修羅場のエロゲライターが気分転換で読む本は?
きゃーっ! 最近、過剰に忙しい日々が続いていました。
俗に言う修羅場という奴です。ファッキンシット!
こういう仕事に就く前は、漫画家や小説家の修羅場描写を見てなんだかうらやましいな~、がんばってるの楽しそうだな~、と思ってました。
だって、学園祭の前日の忙しさは楽しいじゃないですか。あれと似たようなものなんじゃないかって……。
でも経験した今は微塵もそんなこと思わないッ!
辛い! ただただ辛い! 修羅場って本当に辛いだけなのにビックリするわ! ちっとも楽しくない! イェイ!
そんな修羅場な最中でも本を読みたい! なんてことを思ったりします。読んどる場合か! という状況だからこそ、ぐちゃぐちゃになった頭を落ち着けるため、気分転換読書が必要なのだ。
しかし、何を読めばいいのか?
修羅場中の僕の脳は美少女達とのイチャイチャを書くことで疲れ切っている。
その頭に美少女を流し込む気にはとてもならない。それができるのが本物のエロゲライターなのかもしれんが、そんなことするくらいなら僕は本物じゃなくていい! 今は美少女摂取したくないざます!
そして、物語を作ることに疲れているので物語成分も欲しくにゃいッ!
美少女とか物語とか、そういうのから離れたいのだ。
──ということは小説はダメだからエッセイや随筆なんかがいいんじゃないのかな?
おおぅ、妹ちゃんも一緒に何を読めばいいのか考えてくれるのかい? いいとは思うんだけど、エッセイや随筆は作者の気持ちが入り込んでくるだろ。それさえもしんどいんだよ。
──こういう時だからこそ、ビジネス書を読んで効率的な仕事の方法とか覚えたらいいんじゃないかな?
いやじゃー! なんつーかよー! 僕はよー、本は娯楽として読みたいんだよー。お勉強のために本を読みたくねーんだーよー。
──じゃ、こういうのはどうかな? ほら素敵な言葉で心を癒す感じの本とかあるじゃない。ヒーリングな雰囲気の。
そういうのってスピリチュアルでしょ? 僕はそういう連中に1円もはらいたかねーんだよー。自分の金が奴らの食う米の一粒になってるのを想像するだけでも金玉が千切れそうなくらい痛くなるんだよー。
──もう! お兄ちゃんったらわがままばっかりなんだから。ビジネス書もダメ、癒しもダメ。じゃいったい何を読めばいいの?
『現代語訳 信長公記』
──そっ、それって?
戦国大名の織田信長の一代記だ、オラッ!
信長の側近をやってた太田牛一が書いたもので、現代でも信長研究の基礎中の基礎として読まれているんだぜ。
これが修羅場中の脳に凄まじくはまった!
信長の一代記なんて波乱万丈で物語成分高いんじゃないの? と思われるかもしれないが、そうじゃないのだ。いや、そういう読み方もできるんだろうけど、今の僕にとってそこはどうでもいい。
まずはこの文章を読んでくださいよ!
『岩屋長門守は、こめかみを突かれて討ち死にした。だれ知らぬ者のない有能な人物であった。』
岩屋長門守はこれがはじめての登場です。いきなり現れた有能な人物がすぐに死んだ! すげー、スピード感だ。
『林のご家来で賀藤次郎左衛門という人は(中略)人びとによく知られた射手であった。(中略)討ち死にした。』
いきなり現れたよく知られた射手がすぐ死んだ!
こういう文章がけっこうあるんですよ。
小説だったら有能って肩書の人物が、その行の中で死んだりしないじゃないですか。でも『信長公記』は実際にあったことだけを記す、という姿勢で書かれたノンフィクションな一代記なのでこういうことが頻繁に起きるのだ。
だって現実は物語じゃないからね!
だから有能な人物が唐突に死す! ということだってあるのだ。実際にそうだったんだからどうしようもねーだろ、って話だ。
一人で散歩してた信長の弟が弓で殺された話の唐突さとか、もうたまらないですよ。濡れちゃう!
馬での散歩中の信長の弟が本当にたいした理由もなく、そこら辺の連中にぶっ殺されるんですよ。あいつ誰かわからんけど生意気だからなんとなく殺しておくか……みたいな理由で矢を射られて死ぬんですよ。
信長の弟なんて物語だったら絶対に重要人物じゃないですか。
小説ならこんな無意味に死ぬわけがない。
でも死ぬ! 現実がそうだったから! 痺れる!
現実だからしょうがねーだろ! というパワーで唐突な死や唐突に発生する事件を突きつけてくるの本当に最高!
物語を作ることに必死になっている脳に、爽やかな風が吹き抜ける!
そうだよな。現実に伏線なんかねーよな! って気持ちで泣きそうになってしまいますよ。
現実って物語としてまったく洗練されてないってよくわかる!
小説なら読者に怒鳴られそうな話がぞくぞく出てきて本当に気持ちいい!
小説って嘘だから面白いんだな、ってしみじみと思えますよ!
というわけで物語で凝り固まった脳は『信長公記』でほぐしていただきたい。僕はそうした!
▲4月25日発売予定で『シークレットラブ(仮)純愛アフターストーリー』(HOOKSOFT)が発表。本編の純愛ルートのその後を描いたイチャエロ満載のアフターストーリー集になっている。もちろん渡辺僚一氏もシナリオで参加するぞ!!
渡辺僚一
100年に1人の逸材、太陽の天才児。史上最強のシナリオライター。別名「渡辺ファッキン僚一」。ゲームクリエイター有志によって設立された「とまりぎ亭」に所属。代表作は、『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』(sprite)、『ふゆから、くるる。』(シルキーズプラス)、『缶詰少女ノ終末世界』(シルキーズプラス)、『あきゆめくくる』(すみっこソフト)、『先輩が私の妄想にドージンする?!~ボディータッチにご用心~』(しるき~ずこねくと)、等多数。3月には『蒼の彼方のフォーリズム10th Anniversary Boxd』(sprite)、4月には『シークレットラブ(仮)純愛アフターストーリー』がリリース予定だ。
▲すみっこソフトの名作『はるまで、くるる。』がSteamで発売決定!! 記念のトークイベントが3月1日(土)に秋葉原『CafeASAN』にて開催されるぞ。渡辺僚一氏を筆頭に豪華クリエイターが集結するので、是非参加してみよう
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