【渡辺僚一のが長い気がする】人気シナリオライター・渡辺僚一氏の連載コラム・第10弾!!　マインドフルネスで異常修正要求マンと戦え！【第10回】

怒涛のように修正要求が押し寄せる最狂の日々への対抗策

　世の中には様々な疑似科学がはびこっており、人をだますことに手練れた連中が僕らの金を奪おうと手ぐすね引いて待っているのはみなさんご存じの通り。
　まさにこの世は、疑似科学戦国時代！
　久しぶりに会った友人がコロナウィルスは日本人去勢が目的！　日本の選挙は日本会議に操作されている！　などと衝撃的なことを言い出したりすることだってよくある話。

　そんな戦国時代で、どれが科学でどれが疑似科学なのかを素人が勝手に判断するのは危険としか言いようがない。
　どのくらい危険かを賢明な読者のみなさんに伝えるとするならば……。
　エロゲのフェラ音はスタッフの男性が録音している。
　『太陽の子』は再来月に発売される、などという情報を信じるのと同レベル。

　というわけで本題に入らせていただく！
　『マインドフルネス』をご存じだろうか？
　過去や未来を意識せずに『今』という瞬間の自分の状態や周囲の状況に集中する、という瞑想方法である。

　僕は東洋思想は怪しいとか東洋医療はうさんくさい、などとは思っていない。
　しかし、疑似科学の人らが東洋思想や医療を都合よく解釈して、疑似科学を生み出す、ということはよくある話だ。
　『マインドフルネス』は東洋の瞑想が基本になっていると聞いた時から警戒していたのだが『日経サイエンス』が割と頻繁にとりあつかっているので大丈夫！　と思うことにした。

　総合格闘技団体リングスのキャッチコピーは『世界最強の男はリングスが決める』だった。現代を生き抜くためのキャッチコピーは『怪しいか怪しくないかは日経サイエンスが決める』だ。
　権威に弱い！　って思う人もいるかもしれないが確かな権威を信用せずに、「量子力学と般若心経を利用して夢を現実にする！」などいうユーチューバーの戯言を信じる方が明らかに異常だ。

　というわけで『マインドフルネス』。
　瞑想中の僧侶の脳に電極をつけたり、海兵隊員に瞑想させたり、その研究史もおもしろいのだが今は置いておく。

　『マインドフルネス』をうまくやると注意力散漫が治り、物事に感情的に反応しなくなり、ストレスが減る、というのである。
　どう考えても僕に必要じゃないの！

　ゲームって大勢と一緒に作っていくわけじゃないですか。
　『すみっこソフト』や『シルキーズプラス』といったメーカーはライターの個性を重視してくれるのでシナリオの直しが少ないし、一緒にいい作品を作りましょう、という熱があるので書いていてストレスがないのだが……。

　時には……。
　まぁ、時にはですよ？　一緒にいい作品を作ろう！　と向こうはしているのだろうけど、全力でよくない作品にしよう、としているとしか思えない直しを要求してくる人が現れたりもするわけです。

　面白さの感覚が違うのだからしょうがない！　といえばそうなのだが、そういう人と一緒にシナリオを完成させなきゃいけない時は、おもしろくなさの妥協点を探る、という異様にストレスのかかる作業が必要になるわけです。

　これは僕が匿名でシナリオを書いた作品の話なんですが……。
　「はぁはぁはぁはぁはぁ……」と書かないでください、という直しがきたんですよ。
　理由を尋ねると「はぁはぁ、だと吐く音だけで吸う音がないので声優さんが困ります」というものでした。
　「はぁはぁ」となってる時の呼吸では吸う音はほとんどしないですよ！　あと声優さんは困りませんよ！
　って反論すると「いいから直してください。直さないなら今後は呼吸音を極力、書かないでください」って言ってくるわけですよ！
　いや、エッチにシーンに呼吸音は必要じゃん！
　こんなやり取り正気じゃできないですよ！
　こんなレベルの修正要求が怒涛のように押し寄せる毎日！
　最狂の日々でした！　ファック！
　こんなのこっちも感情的に反応してしまうじゃないですか。
　そこで『マインドフルネス』ですよ。

　あの時！
　あの時に『マインドフルネス』をやっていたら、気が狂いそうになったりはしなかったと思うんですよ。
　あのレベルの異常修正マンが僕の前に現れるかもしれないのだから『マインドフルネス』は絶対に必要！
　1日に10分から15分の瞑想でいいんだって！
　やったる！
　そしていつか『マインドフル勃起』もしたる！（このオチにどうにかして自然に持っていこうとしたが無理でした！　ファックイェイ！）

▲渡辺僚一氏ならではの摩訶不思議なエロスが大好評な『先輩が私の妄想にドージンする？！～ボディータッチにご用心～』。シルキーズプラスはシナリオの直しが少ないとのことで良かった良かった

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