エロゲシナリオとヨナ・コンプレックス
エロゲーライターという仕事をしている人畜有害な僕でも社会の中で生きている以上、知り合いの4歳女児の子守をする、という強制イベントが発生することがあるッ!
子守の間、ずっと無言というわけにもいかない。
しかし、4歳女児とエロゲライターの間に共通の話題があるのか!?
ある!
あるのだ!
プリキュアである!
そこらへんの大人はプリキュアを卒業しているが、エロゲライターは入学しっぱなしである!
というわけで、4歳女児と新作プリキュアについて話す機会があった。
彼女は正しい情報を全く把握をしておらず、真剣な顔をして堂々と妄想を流してきた。何も話さないよりは嘘をついた方がマシとクレバーに判断したのだろう。
【女児】
「新しいプリキュアのタイトルは『やっちゃった!? プリキュア』だよ」
たまらない響きであった。絶対にありえない。
毎回、何かをやらかすプリキュアということだろうか? すげー、おもしろそう!
『(セックスを)やっちゃったプリキュア』などの同人誌が作られそうだ。
【女児】
「プリキュアの名前は、キュアお花。キュア滑り台。キュアゴミ。キュアおじさん。キュア鹿の骨の5人組」
キュア鹿の骨! 野生動物の骨のプリキュア! エキセントリックすぎる! そして変身するとおじさんと化すプリキュア! さらにゴミ!
凄いメンバーが揃った!
どんなストーリーなのかと問うと……。
【女児】
「大きな敵に5人とも呑み込まれて……」
おっ、おう? それでどうやって逃げ出すの?
【女児】
「みんな……お腹の中で溶ける」
とっ、溶ける? そっ、それで?
【女児】
「溶けて……それで、最終回」
──『淫妖蟲』のバッドエンドかよ!
そう叫びたくなるのをぐっとこらえた。
4歳女児に向かって淫妖蟲と叫ぶのは言葉の暴虐だろう。
『淫妖蟲』以外にもう一つ、僕の胸に去来するものがあった。
──それはヨナ・コンプレックスという言葉だ。
賢明なる読者の方々に説明する必要はないだろうが、ヨナとは旧約聖書の登場人物だ。
神に重要な使命を与えられるが、ぶるっちまって逃げたら、巨大魚の腹の中に三日三晩閉じ込められるはめになった男である。
ヨナ・コンプレックス──という言葉を使う時、神の使命から逃げたとこに注目するのか、巨大魚の腹の中に三日三晩いたとこに注目するのかで、その意味合いが変わってくるようである。
前者の場合、自分の枠を超えられないコンプレックスというような意味になり、後者の場合は離乳コンプレックスの特殊ケースとなるようである。
ここでは後者の意味で使っていきたいと思う。
フランス文学者である澁澤龍彦氏はヨナ・コンプレックスをこのように説明している。
『巨大な生きものの腹中に呑みこまれはしないかという、恐怖と魅惑の反対感情を伴った、無意識の感情傾向のことであり、胎内回帰願望の一変種なのである』
腹の中で溶けていくプリキュアというのは、まさにこれでバシッと説明されるように思える。
さらに言うならば何者かの腹中を閉鎖空間だと解釈すれば、僕が企画シナリオを担当した『はるまで、くるる。』『なつくもゆるる』『あきゆめくくる』『ふゆから、くるる。』もヨナ・コンプレックスの産物であると解釈することも可能かもしれない。
実は──。
実は、だ。
僕は保育園児の頃からオナニーしていた。誰かに教わったわけではない。ち○こを揉んでみたらどうなるのか? と唐突に思ったのがきっかけであった。
もんだら気持ちよくてびっくりして癖になってしまったのだ。
ディズニー映画の『ピノキオ』にはピノキオが巨大なクジラに呑み込まれるシーンがある。
園児だった僕はそのシーンを思い返して繰り返しオナニーした記憶がある。
あの頃のドキドキをうまく再現することはできないが、巨大な何かに呑み込まれる、という状態にたまらぬエロスを感じていたのは間違いない。
思い返してみれば、僕は幼い頃から閉じ込められる、ということに魅力とエロを感じていた気がする。
かくれんぼで押し入れに入った時の熱くよどんだ空気に変に興奮したのを覚えているし、ビジネスホテルよりもカプセルホテルの方がテンション上がる。大通りより狭い路地のほうが好きだ。
なんということだ! つまり僕は抱え持っていたヨナ・コンプレックスでシナリオを書いていたのかもしれない。
そのことを4歳女児との会話で気づかされたのだ。
今日は保育園ぶりに巨大クジラに呑み込まれるとこを想像しながら、オナニーしてみようと思う。
いや、より素直に(素直に?)キュアハニーがサイアーク(ハピネスチャージプリキュア!の敵)の胃袋の中で溶けていくとこを想像しながらオナニーしてみようと思う!
いや、両方でやってみる! 連続絶頂だ!
なんか甘酸っぱいオナニーができそうで、わくわくしてきたぜ。
▲公式Xで特報的に発表された、しるき~ずこねくと最新作『先輩が私の妄想にドージンする?!~ボディータッチにご用心~』で、渡辺僚一氏は企画・シナリオを担当。原画はイチリ氏とすめらぎ琥珀氏が担当する豪華スタッフ陣で、続報に期待大だ!!
渡辺僚一
100年に1人の逸材、太陽の天才児。史上最強のシナリオライター。別名「渡辺ファッキン僚一」。ゲームクリエイター有志によって設立された「とまりぎ亭」に所属。代表作は、『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』(sprite)、『ふゆから、くるる。』(シルキーズプラス)、『缶詰少女ノ終末世界』(シルキーズプラス)、『あきゆめくくる』(すみっこソフト)、等多数。7月26日発売予定のHOOKSOFTの最新作『シークレットラブ(仮)』にもシナリオで参加。「バレない恋」をテーマに描かれる秘密の学園イチャラブエロスに期待大だ!!
▲渡辺僚一氏もシナリオで参加するHOOKSOFT最新作『シークレットラブ(仮)』。恋愛バレを周囲にするかしないかの選択で、純愛ルートとインモラルルートに分岐。それぞれのHシーンにも力が入っているぞ
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