エロゲシナリオライターの僕はこんなことを考えている
こんにちは! シナリオライターの渡辺です!
代表作は『はるまで、くるる。』『蒼の彼方のフォーリズム』『缶詰少女ノ終末世界』などです。
ここでいろいろ書くことになりましたのでよろしくお願いしますッ! イェイ!
今回はエロゲシナリオライターがどんなことを考えているかについて書いていこうと思います。やったー!
──僕は毎日、性器のことを考えています!
より具体的に言うと、男性器を挿入する場所、膣とアナルと口のことを考えています。
いや、アナルと口は性器じゃないだろう、という人がいるかもしれませんが僕は現実の話をしているのではなく、ファンタジー性器の話をしているのでよろしく頼むぜ!
いろんな作品に登場するので、みなさんご存知だと思いますがユダヤ教の神秘主義思想にカラバというものがあります。
それによると神によって生み出されたばかりの頃の人間は両性具有で、男性器は口にあり背中を丸めて己の女性器に接触させていたそうだ。
──何を言ってんだテメーッ! 正気かッ!
と思うしかない話だが、口を性器とする思想は古代インドにも、17世紀のヨーロッパの秘密結社薔薇十字団にもあるそうなので割とメジャーな妄想なのかもしれない。
やるじゃねーか、人類ッ! というわけで口は性器です!
アナルがいかにファンタジー性器であるかを賢明なるみなさんに語る必要はないだろう。BL本の一冊でも読めば即座に理解できるはずだ。
膣、アナル、口。どれもみな怒張した男性器を挿入する場所である。
しかし、それぞれ性器として違う特徴を持つ。今日はその話をしようと思う。
──膣のファンタジーを支えるのは有限さだ。
膣に対してエロゲ主人公はこんなことを言いう。
曰く「こんな場所に俺のが全部、入ってしまうなんて……」
曰く「きついッ!」
曰く「まだ半分しか入っていないのに一番奥に届いちゃった」
曰く「しめつけが凄い」
どれも空間の有限性を意識させる言葉だ。
ヒロインも言うではないか「ダメだよ。そんな大きいの入らないってば!」と。
つまり、空間が有限であることに膣の本質があるのだ。
──ではアナルはどうなのか?
アナルが男性器をしめつけるの肛門の部分のみだ。
膣のように全部で締め付けてくる、ということはない。
肛門から向こうは圧倒的な無限である。
アナルのファンタジーはその無限が支えているのではないだろうか?
己のアナルにいろいろなモノを入れたがる人達がいる。もちろん性具だけではない。
例えば、優勝トロフィー、歯ブラシ、缶詰、ナイフ、キン消し、いろいろなものを入れてみたくなる魔術的無限空間がアナルである。
アナルビーズを次々と入れられたヒロインが言う「うそっ。まだはいっちゃうの?」という言葉にアナルの本質があるのではないだろうか。
膣を支えるのが有限でありアナルが無限であるならば、口の本質とはなんだろうか?
──口の本質とは人間である。
人間が人間を見る時、どこに注目するのか? それは顔である。
ボディビルダーの筋肉を見て、どれも似たようなものだろう、と思う方は多いのではないかと思う。
一つ試してみて欲しいことがある。ボディビルダーの顔を見ないようにして鑑賞して欲しいのだ。それをした瞬間、ボディビルダー達の筋肉の違いがハッキリとわかる。
つまり、それだけ人間は人間の顔を見ているということなのだ。
その顔に男性器を埋めるのだ。人間というものを意識するのは自然な話だ。
考えて欲しい! キミが弱チンネトラレ主人公だとする!
その時、彼女がやられている場所が口だった時にもっとショックを受けるのではないだろうか?
膣やアナルの場合、無理矢理という可能性にすがることができるが、口は基本的に両者の合意がなければ不可能だからである。つまりネトラレを鮮やかに確認できる場所が口なのである。
人間と人間の関係性がもっとも強いのが口なのだ!
そして、膣やアナルと決定的に違うのは、口は有限にも無限にもなれるということである。
膣やアナルも女性の努力で狭さや広さをある程度は変えることができる。しかし、己の意志で動かすことが難しい部位である。
しかし、口は細かく動き自在に空間を決定することができるのだ。さらには喉仏を下げて口蓋垂を上げる、いわゆる喉を開くという状態にすることで無限性を獲得することだってできる。
口は有限と無限を自由に選択できる。それこそが人間ではないだろうか?
膣の有限。
アナルの無限。
口の人間。
女性器とは──有限と無限の狭間に立つ人間なのである。
なぜ人間は空間を有限と無限に分けたのか?
空間を有限と無限に分けるため人間は存在するのではないか?
膣とアナルと口を考え続けた先にはきっと菩提樹があり、いつかボク達はそこで初転法輪(釈迦のはじめての仏教教義)を巡らせるのだ。
──こういうこと毎日考えてゆるやかに狂気に落ち込んでいく毎日を過ごしています! やったー!
これからよろしくお願いします!
▲初回からブッ飛んだ内容で混乱している読者もいるかもだが、この摩訶不思議な世界こそ渡辺僚一氏が作り出すシナリオの醍醐味。特に「SF四季シリーズ」が氏の魅力が炸裂していて有名なので、まずはシリーズの最新作にして完結編でもある『ふゆから、くるる。』(シルキーズプラス)から是非プレイしてみて!!
渡辺僚一
100年に1人の逸材、太陽の天才児。史上最強のシナリオライター。別名「渡辺ファッキン僚一」。ゲームクリエイター有志によって設立された「とまりぎ亭」に所属。代表作は、『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』(sprite)、『ふゆから、くるる。』(シルキーズプラス)、『缶詰少女ノ終末世界』(シルキーズプラス)、『あきゆめくくる』(すみっこソフト)、等多数。先日発表されたばかりなHOOKSOFTの最新作『シークレットラブ(仮)』にもシナリオで参加して期待を集めている。
▲HOOKSOFTの最新作は、学園生活の「バレない恋」を楽しむ秘密の恋愛AVG『シークレットラブ(仮)』。本作に渡辺僚一氏もシナリオで参加しているぞ。2024年夏発売予定なので、プレイできる日を楽しみに待とう!!