声優さんの仕事のことからプライベートのことまで!! 今回は葵時緒さんにお話を伺いました
美少女ゲーム作品で活躍する声優をピックアップしてお話を伺っていくBugBug本誌の人気コーナー「BugBug声優STATION」。
7月号では、年上お姉さんキャラを始め今年も大作注目作のCVに名前が並ぶ葵時緒(あおいときお)さんにインタビュー!!
特別にその一部を見せちゃうぞ。
▲メインから脇まで、様々な役を多芸にこなす葵さん。キミのプレイしている作品にも出演しているかも
声優に目覚めた幼稚園時代の衝撃体験
──今年の上半期だけで、パッケージゲーム6作品に出演されていますね。
葵:運を使い果たしました、マジで(笑)。まあ、たまたま発売が重なったということでもあるんですけどね。収録はもう少しバラバラだったと記憶しています。
──美少女ゲームあるあるですね(笑)。そんな葵さんが声優を意識したのは、いつくらいだったのですか?
葵:幼稚園生の頃です。『忍たま乱太郎』というアニメが好きだったんですが、NHKのドキュメンタリーで、『忍たま乱太郎』の制作の裏側みたいなのを取り上げていたんです。その時アフレコ現場も放送されたんですが、そこで私の好きだった「摂津のきり丸」の声を女性が担当していたんですね。それで「私の初恋の人をおばさんがやってる!?」って。いや、おばさんは失礼ですね。
──いえいえ、幼稚園児にとって大人の女性はおばさんですよ(笑)。
葵:そのショックが癒えるまで一週間かかりました(笑)。それで声優という仕事を意識し始めたというわけです。
──かなり早いですね。
葵:そうですよね。でもあの番組を見ていなかったら、私は声優を目指していなかったと思うんです。アニメが好きだったのでどこかで声優の存在は知ったと思うんですが、あの番組は初恋とも相まって、影響が大きかったと思います。それ以降は戦う女性が好きで、「こういう役ができる声優になりたいなあ」で今まで来ています。
▲幼稚園の頃すでに声優という職業を意識したという葵さん。一途な思いで、現在は多数の大作に出演するまでに
声優希望が進学で舞台の魅力に目覚め
──高校卒業後はどうされたんですか?
葵:私も声優の専門学校へ進もうと思ったのですが、親から大学進学を進められたんです。それで音楽短大のミュージカル科に進みました。
──音大のミュージカル科ってすごいですね。
葵:でも実は入学するまで一度もミュージカルを見たことがなくて、大学時代に観劇を始めました。学校でも演技の勉強を始めて、当時は宝塚の先生が教えに来てくれたりしていました。それで卒業と同時に上京しようと計画したんです。朴璐美さんが大好きだったので、所属されていた「演劇集団 円」の入団を目指したんですが、ちょうどその年に諸事情で養成所の募集がなくなって。それで1年間アルバイトで資金をさらに貯めて、翌年に合格して上京することになったんです。
──他の養成所などは考えなかったのですか?
葵:考えませんでした。なにがなんでも「演劇集団 円」に入りたかったので。子供の頃から思い込んだら一直線だったんですよ(笑)。ただ、今思えば最初に一番行きたい劇団を受けるんじゃなかったなとは思います。というのも、私の同期は50人いたのですが劇団に昇格できたのは4人だけで、しかも皆他の劇団や事務所に所属した経験のある人だったんです。それなら最初は他の事務所に入って力をつけてから、一番好きな劇団に挑戦すればよかったかもしれません。
▲最初のお仕事はセリフの少ない脇役だったものの、そこてプロの声優としての心構えを知ることに
初メイン『黒獣』は今も続く人気シリーズ
──そんな葵さんの最初のお仕事は、ぱれっとの『さくらシュトラッセ』ですよね。
葵:2008年発売なので、収録は2007年でしたね。事務所に入って1年で、ここを続けるかどうか考えていたタイミングで仕事が来たんです。しかも美少女ゲームと知りませんでした。おばあさん役で、台本1枚渡されただけでセリフも一言二言だけでしたね。実はその収録の時、舞台時代の悪いクセで監督さんにダメ出しをもらいに行っちゃったんです。
──ダメ出しをもらいに?
葵:自分の演技がそれでいいか確認しちゃうんですよね。舞台時代はそれがマナーだと思っていたんです。その時、一緒に収録をしていたひむろゆりさんに「もうプロなんだから、ダメをもらいに行くのは良くないよ」ってたしなめられました。その一言で、現場に行く怖さを知りましたね。現場に行くまでに、自分の納得したものを用意しなければいけないんだ、と。
──大事なことを最初の仕事で知ったわけですね。そして初メインヒロインが2010年。Liquidの『黒獣 ~気高き聖女は白濁に染まる~』です。
葵:しかもセンターヒロインのオリガ役ですよ。それまで声優の仕事といっても10ワード20ワードって感じだったのが、いきなり1000ワード以上。台本の厚さを見てびっくりしました。
▲『黒獣』は長期シリーズとなり、葵さんはずっと出演を続けている
家族のピンチに収録した『無限煉姦』の経験
──そうだったんですね。その後、どんどん出演作を増やしていかれますが、キャリアの中で転機になった作品をご紹介いただけますか。
葵:初期の頃だと2011年の『無限煉姦 ~恥辱にまみれし不死姫の輪舞~』(Liquid)ですね。死生観をテーマにした作品なんですが、収録している時に父が倒れまして、集中治療室に入ったんです。初めて自分が死を意識した出来事で、でも収録が始まっているので実家に帰れない。しかもゲームは死生観がテーマ。死ということについて考えて考えて収録に臨みました。なので、きっとこの時にしかできなかったテンションで収録したと思います。収録が終わってすぐに実家に帰れましたし、今も父は元気なんですけどね。
──それは良かったです。この作品では主人公役なんですね。
葵:はい。不老不死になってしまった少女で、周りの人がどんどん死んでいく中で、時代を越えて生き抜いていくお話でした。主人公なのでセリフも多かったんですが、読み物として好きな作品でしたね。
▲様々な出来事が重なった結果、「この時にしか出来ない収録が出来た」と葵さんは言う
音大時代の友人関係が生きた『夏ノ鎖』
──2015年、2016年は出演作が特に多いですよね。収録前の準備も大変だったのではないですか?
葵:大変でした。台本がギリギリに届くこともありましたし、この頃はまだアルバイトもしていたので、時間のやりくりが大変でした。
──そんな立て込んだ時期だと印象に残るゲームが多いでしょうね。
葵:2016年だと『夏ノ鎖』(CLOCKUP)。夏になると今でも感想がSNSでアップされるので、好きなユーザーさんが多いんだなって思います。実はこの仕事が決まったのはスケジュールが空いてしまった時期で、「もう声優は辞めようかな」と弱気になっていた頃なんです。
──でも出演作はコンスタントにありますよね。
葵:2015年の年末まで本当に忙しかったんですが、年明けから1~2カ月、急に仕事が来なくなって、「これはもう呼ばれなくなったんじゃないか」と思ってしまったんです。それで、これがダメだったら考えようと受けたオーディションが『夏ノ鎖』でした。
──『夏ノ鎖』の白井美月は、葵さんとしても珍しい役柄だったのではないですか?
葵:そうですね。「芯があるけど朴訥とした、でも凛とした女の子」というオーダーシートでした。このオーディションの時、私は敢えて女子校生という設定を意識せず、オーダーシートに書かれた要素だけに集中して演じたんです。それがうまくハマったのかもしれません。それと、美月はヴァイオリンを弾く女の子なんですが、私は音大出身なのでヴァイオリン科の友人もいたんです。なのでヴァイオリン弾きがどんなことを考えるかもなんとなく分かっていたので、それも良かったのかもしれません。
▲『夏ノ鎖』の美月は今も人気が高く、葵さんの代表作のひとつとなっている
大作や人気作の出演が続く2024年
──さてさて、そんな中で2024年も多数出演されている葵さん。中でも今号で巻頭特集している『同級生2リメイク』が注目です。
葵:『同級生2リメイク』は食事中にメールが届いて、思わず食べているものを誤飲しそうになりました。ゲームだけでなくアニメにもなった作品なので、これまでどなたが美佐子役をやったのか調べたんですが、敬愛する『攻殻機動隊』の少佐の方だと知って小躍りしました(笑)。
──制作側は「あまり過去のキャストを意識しないで演じてほしかった」と言われていました。
葵:はい、音響の方にも言われました。私は収録順が後の方だったのですが、前任の方の演技を研究してきて、収録が難航された方もいらっしゃったらしいんですよ。
──そうだったんですね。
葵:『夜が来る! -Square of the MOON- Remastered』でも同じように言われました。でもこっちは自分が遊んでいたゲームなので「長くやっていると、自分が遊んだゲームに出演することもあるんだなあ」と思って不思議な気持ちにもなりましたね。
──演じる側としては、やはり「前任を意識せず、自分なりのキャラ作りで演じてください」と言われる方がやりやすいですか?
葵:やりやすいんですけど、やっぱりファンの方の心境を考えちゃうんですよね。自分がアニメやゲームが好きだから、気持ちが分かるんですよ。でもやっぱり「今回はこの声と演技でお願いします」と割り切るようにしています。
▲人気作のリメイク作品では自分自身もファンなので過去のキャストに引っ張られそうになるが、良い仕事のために「今回はこの声と演技で」と割り切るようにしている
準備不足の反省から自分なりの方法確立
──さて、ここからはお仕事へのアプローチについてお伺いします。葵さんがゲームの収録に臨む際に、一番大切にしていることは何でしょう。
葵:台本を読んで、演じるキャラがどういう人かを自分の中で掴んでいくことが一番です。あとは現場でのあいさつ。これは大事だと思っています。
──キャラ作りはしっかりされていくのでしょうか?
葵:いえ、ふんわり「こんなキャラだろうな」を掴んでおくくらいで、後は収録する際にメーカーさんと調整していく感じですね。というのも、デビューしたての頃にがっちりキャラを作ってスタジオに来て、メーカーさんからの修正に対応できず大変な思いをしている方を見たことがあるから。それからはあまり固め過ぎないようにしています。それと、台本をあまり練習しすぎないこと。しすぎると新鮮さがなくなってしまうんです。演者は台本を読んでいるからこれから起きることを知っていますけど、キャラクターは当然知りませんよね。そうするとセリフから新鮮さや驚きが薄れてしまう。セリフに乗せるのは私の気持ちではなくキャラの気持ちなので、あまり読み込みすぎてセリフが自分にとって新鮮でなくならないようにしています。
──そこまで考えて演じるんですね。
葵:とはいえ、このやり方を始めたのはキャリアを積んでからですよ。新人時代はちゃんとセリフを読み込んでスタジオに入るようにしていました。現場での対応力がつくまではそんなやり方はできませんから。
▲人気作『Role player:小粥姉妹の粘膜ポトレ ぐりぐちゃLIVE!』(あかべぇそふとつう)をきっかけに葵さんを知ってくれたユーザーも多かったそうだ
原動力は自分じゃない誰かになれる醍醐味
──そんな葵さんはオフの日は何をされているんですか?
葵:Xを見たりYouTubeを見たり(笑)。YouTubeで面白いレシピを見つけたら、それを作ったりもします。お酒も好きなので、手に入りにくいクラフトビールを探しに行ったりしていますね。
──普段仲のいい声優仲間などはいらっしゃるんですか?
葵:和央きりかさんとはパフェ仲間で、一緒にパフェ巡りをしています。あとは『黒獣外伝』でご一緒した杉原茉莉さん。最初にご一緒した時は蕎麦屋で日本酒でした(笑)。それくらいかなあ。もちろんお声がけいただければ参加しますので、よろしくお願いします(笑)。
──今日は随分長い時間お話を伺わせていただきました。最後の質問なのですが、葵さんが考える声優というお仕事の楽しさ、大変さをお聞かせください。
葵:大変なのは健康管理。特に喉のケアですね。声が変わってしまったら、収録し続けられませんから。あとは収録が始まると必ず終わっちゃうことですね。楽しい収録であればあるほど、終わるのが寂しくなっちゃうのが辛いところです。楽しいところは自分でない誰かになれることが一番の醍醐味ですね。そして他の人の人生を生きることができる。そこが楽しさだと思います。
▲葵さんの担当するキャラ、その声や演技に興味が湧いたら、紙のBugBug本誌に付いているDVDで実際のゲーム画面をチェックしよう!!
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他にも、葵さんの声優に至るまでの様々な出来事や、ここで紹介した以外にも過去の経験が役に立つエピソード、そして各作品の収録時の思い出など、色々と面白いお話が聞けた貴重なインタビュー。
その全文はぜひBugBug7月号の「BugBug声優STATION」で読んでね!!
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