未経験から声優を始めて今年でデビュー10周年となる風花ましろさんに直撃インタビュー!!
美少女ゲーム業界で活躍する声優さんにスポットを当てて、そのキャリアや仕事への姿勢を深掘りしていく、本誌の人気コーナー「BugBug声優STATION」。
BugBug10月号は、今年でデビュー10周年を迎える風花ましろさんを紹介。全7ページにわたって濃密に語られた彼女の声優のお仕事への、そして美少女ゲームへの熱意と楽しさ。その一部をここで特別にお見せしちゃおう。
▲今年でキャリア10年になる風花ましろさん。白い作品から黒い作品まで多数出演する多芸な声優であり、近年は創作活動も行っている
飽きっぽかったオタク女子が夢に一念発起
そこから始まる10年間の声優キャリア
──10周年を迎えた風花さんですが、そもそも声優という仕事を意識されたのはいつくらいなのでしょう。
風花:初めて意識したのは小学生の頃。林原めぐみさんが無双してたんですよね。その当時に観ていたアニメのエンドテロップに、必ず林原さんのお名前があって、「この作品にも出ている、このキャラもそうだ」っていうのが声優というお仕事を認識した最初です。
──そこから声優を追いかけていったんでしょうか?
風花:いえ、そこからはアニメよりむしろ漫画の方が好きになりました。だから声優を追いかけたりはなかったですね。
──漫画はどんな作品を?
風花:色々読みましたよ。少年ジャンプ系から花とゆめまで(笑)。好きな漫画家はCLAMP先生。漫画を読みながら、一人で絵を描いている中学生でした。
──ちなみに同人活動などは…。
風花:めっちゃしていました(笑)。同人誌を作ってイベントにも参加していました。
──そういう中で声優の仕事をしようと思ったのは、どういう経緯でだったのですか?
風花:ある時、このまま死んだとしてやり残したことってあるかな?って思ったんです。そうしたら小学校の卒業文集に「声優になりたい」って書いたことを思い出して、それに対しては何もしていないなって。その頃は会社員をしていたんですけど、このままだと声優という夢に対してなにもせずに終わってしまう。ならば1回挑戦してみよう!! と思い立ったんです。それでとりあえず声優養成所を調べ始めたんです。オタクなので、ネット検索はお手のものだったので(笑)。
▲メインヒロインだけでなくサブキャラや無名のモブの仕事も数多く受けている。「作品の世界の土台を作るのはサブキャラやモブキャラだと思うんです」と風花さんは言う
電波ソングへの興味から知った美少女ゲーム
援護の下積みなしに養成所からデビューへ
──美少女ゲームはどういう経緯で知ったんですか?
風花:きっかけは電波ソングなんです。桃井はるこさんや大野まりなさんの電波ソングが好きで、当時は電波ソングをまとめたHPがあったんですが、そこから電波ソングが主題歌のゲームということで美少女ゲームの存在を知りました。
──そこから結果として美少女ゲームの声優に、ということなんですね。
風花:そうですね。それで知った美少女ゲームに出演している声優さん──小倉結衣さんや大野まりなさんを調べたらアトリエピーチさんだし、18禁ゲーム声優の養成所を調べてもアトリエピーチさんだから、それならここだよねって感じでした。
──アトリエピーチさんでは18禁シーンのレッスンもあるんですよね。
風花:むしろそちらの方がメインでした。講師の方が口をそろえて言われていたのが「エッチシーンもキャラ目線で見れば日常の流れの中の1シーン。あまり気負わなくて大丈夫」ということでした。なのでエッチシーンのレッスンも、変な力を入れずに受けられました。
──養成所の期間はどれくらいだったのでしょう?
風花:養成所期間は1年だったんですが、所属になった最初の1年も続けてレッスンを受けていました。その他、外部のワークショップにも参加していたので、かなり濃密な2年間でしたね。
▲アトリエピーチにモニスタラッシュから新人の起用を提案され、それが最初のチャンスとなった
商業デビューの2ワードで緊張しまくり
──そして2014年にデビューされたわけですが、当初「モニスタラッシュ」という同人サークルの作品に定期的に出演されていますね。
風花:アトリエピーチさんは音響制作やキャスティングの仕事もしていて、モニスタラッシュさんの制作も受けていたんですね。そこで「新人さんもキャスティングしてください」と言っていただけたそうでお仕事をいただきました。ワード数はそれほど多くなかったんですが、講師さんも「最初はワード数の少ない役から始めた方がいい」という方針だったのもあって、自分には合っていましたね。1000ワードなんて言われたら混乱しちゃったと思います(笑)。
──商業では『女子のおしっこいじめ ~女子便くんといわれたボクの6年間~』(しろいぱんつ)のサブキャラ出演ですね。
風花:セリフは2ワード(笑)。でも収録はめちゃくちゃ緊張しました。同期同士でセリフを聞いて、思わず笑っちゃいましたよ。「緊張しすぎじゃない?」って言われて。
──新人さんらしいエピソードですね(笑)。
風花:私、普段は凄い早口なんですよ。新人の頃はセリフも早口になってしまって、「演技はともかく、早口になるのがあなたの課題」って言われていました。
▲最初はセリフの少ないキャラからという気遣いでまずはセリフが2つのサブキャラから…にも関わらず緊張しまくりだったという
2年目の2015年は6作品でメイン出演
──それだとおっとり系キャラとか大変だったんじゃないですか?
風花:めっちゃ大変でした。手でリズムを作りながらゆっくりしゃべるようにしていたんです。その頃って、自分の収録に時間をかけることが悪いことだと思っていたんですよ。それでどうしても早口になるというのもあって…今なら「ゆっくりしゃべってもNGが少なければ収録時間は短くなる」って分かっていますけど、当時はそういう風に考える余裕もなかったですね。
──そんな経験を積みながら、デビュー翌年の2015年に『J×J 女子校生獣化計画 ~メス○公開生調教~』(Drei)で初メインヒロイン出演を果たします。
風花:ワード数も結構多かったですね。エッチシーンの喘ぎ声がちょっと特殊だったこともあって、台本をもらった時から緊張しすぎて具合が悪くなりそうでした(笑)。でも収録が大変なキャラほど可愛いんですよ。勝代ちゃんは今でも好きなキャラですね。
──2015年は6作品でメインヒロインを担当されています。
風花:事務所がすごく推してくれたんです。収録が終わった後も「メーカーさんがこういうことを言っていたよ」「ここを直せば次につながるから頑張ろうね」って言ってくれて。本当に親身に育てていただいたので、アトリエピーチさんには足を向けて寝られないと今でも思っています。
▲凌辱系作品で初のメインヒロイン抜擢。その後も事務所のフォローのおかげもあって順調に仕事は増えていった
今もファン人気の高いデビュー2年目作品
──そんな10年を改めて振り返って、風花さんの転機になった作品、印象に残っている作品をお話していただければと思います。
風花:どれも思い出深いんですけど、最初に転機になった作品は2015年発売の『聖騎士Melty☆Lovers』(あかべぇそふとすりぃ)です。まだデビュー間もないタイミングでのメインヒロインで、人気ブランド作品だったので、事務所からも「みんながやりたい作品に入れたんだよ。頑張れ!!」って言われました。役どころがクールビューティーなんですが、「感情を乗せながらも淡々と冷静に、でもギャップがあって可愛いキャラ」って、今でも難しいと思っているので、当時は本当に大変でした。沢山指導していただいて、自分ができなさすぎて苦しくもあったんですけどやっぱり反響も大きかったんです。イベントにも初めて出させていただきましたし、Xのフォロワーや「ファンです」と言っていただける方も一気に増えて、『聖騎士Melty☆Lovers』のフレイ=ノールズという役は自分にとって大きかったですね。何年か前にXで「私の演じたキャラで好きなキャラは誰ですか?」と投稿したら「フレイです」というリプライも沢山いただきましたし、自分にとっては本当に大事なキャラですね。
──まさに最初の転機になった1本ですね。
風花:フレイちゃんのおかげで「クールで厳しめ」という役が一時期増えたんですよ。もちろんありがたいことなんですけど、さっき言った通り元々が早口で、しかも説明セリフとか苦手だったりするから「これはとんでもないことになったぞ」って思ってました(笑)。
▲普段の自分と全く違う難しいキャラを演じる苦労はあったものの、それを乗り越えることで新たな依頼も増え、これを機にファンになってくれた人も数多くいた
凌辱映えするボイスを生かして黒パケも
──なるほど(笑)。他にこの時期はいかがでしょう?
風花:翌年の2016年にFrillさんから発売された『清楚で真面目な彼女が、最凶ヤリサーに勧誘されたら…?』は大阪での収録で、泊りがけで臨みました。
──この作品はいわゆる黒パッケージ系ですよね。
風花:私、エロ漫画を読んでいた頃から凌辱系作品が好きで、ゲームでも黒パッケージに出たかったんですよ。先輩から「風花さんってかわいそうな演技をするよね。凌辱映えするよね」って言われたのがすごく嬉しくて、自信をもって凌辱作品をやっていこうって思っているんです。なので『清楚で真面目な彼女が、最凶ヤリサーに勧誘されたら…?』が決まった時は凄く嬉しかったし、OVAにもなったのでとても楽しかったことを覚えています。「テニサーがテニスラケットを持っているわけねえだろ」ってセリフがバズったんですけど(笑)、まさにその通りの作品で、かわいそう感が溢れるヒロインだったこともあって、自分がユーザーだったら買っているなって(笑)。
──収録は大変でしたか?
風花:濁点、多いなって(笑)。まだデビューしたてて声の出し方も上手くなかったから、この頃の凌辱系作品の収録では喉を傷めることもあって、病院に通っていました。でもやりたかったジャンルなので大変だとは思わなかったかな。今では声の出し方も覚えてきたので、「ここまでは大丈夫」というところがわかってきました。
▲「かわいそう感」のある演技を評価されたことで自信を持ち、凌辱系作品は得意なジャンルに
仕事は「誠意をもって真摯に臨む姿勢で
スタッフと一緒にキャラを作る醍醐味も
──ここからは風花さんのお仕事などについてお聞きします。風花さんが収録に臨む際に、一番大事にされていることは何でしょう?
風花:これはデビュー以来変わっていなくて、「誠意をもって真摯に臨む」ということです。スタジオはもちろん、その前準備も含めてですね。そしてスタジオには自分の気持ちを持ち込まない。辛い事、悲しい事があっても、それはキャラには関係ないですから。その点、私は切り替えが早い方なので、これまでもスタジオで暗かったりしたことはないと思います。「楽しく!! 元気に!! 真剣に!!」という姿勢で続けていきます。
──収録の中で大事にしていることはありますか?
風花:私は自分の仕事それぞれに理由が欲しいタイプなんですね。なのでセリフ一つにしても「こういう理由があって、こんな演技をした」って説明できるんです。それについて質問されたら、ちゃんと説明するようにしています。こちらの意図を組んでくれる現場もたくさんあるので、「一緒に作っているな」って気持ちになれますね。
──収録に際してのルーティーンなどはありますか?
風花:そういうものを作ると崩れた時に不安になっちゃうので作っていません。でも「仕事の時のルーティーンです」って言えるものがあるとカッコいいですよね(笑)。あ、一つあるとすれば、収録開始の3時間前には起きることですね。そうじゃないと声が出ないんですよ。だからどんな状況でも本番ですぐに声が出る人に憧れます。
▲ソフトハウスキャラでのお仕事がきっかけで初めてのWEBラジオ経験となる「プラスになるラジオ」に抜擢。最初はうまく出来ないことに悩み、MCの勉強をしながら成長していった
クリエイターとしてもゲーム制作に参加!?
──さて、声優デビューして10年ですが、声優以外にも歌やラジオなど様々な仕事をされています。今後はどんな仕事をされていきたいですか?
風花:確かに色々やらせていただきましたけど、やっぱり声優が一番向いていると思うんですよね。もちろん歌もラジオもやらせてもらえたら嬉しいのでお声がけいただいたら全力でやらせていただきます。最近は音声作品も作ってクリエイターの大変さを実感したんですけど、やっぱり楽しいので今度はゲームも作ってみたいなあと思いますね。
──そして自分が声優を?
風花:いえ、そこは別の声優さんを(笑)。やっぱりみんなで一緒に作るのが楽しいんですよ。私はディレクターで、「私の考えた最強のキャスト」でゲームを作ります。私が出ていたら予算が足りなかったと思ってください(笑)。
──さて、今もお忙しそうな風花さんですが、オフの日はどのように過ごされているんですか?
風花:皆さんの予想通り、ゲームと漫画を読む日々です(笑)。外に出るのは誰かが誘ってくれた時ですね。
──声優さんのお友達が誘ってくれたり?
風花:そうですね。ありかわ真奈と天知遥ですね。ありかわは永遠の同期でずっと仲良くしてもらっていて、天知はとにかく器が大きくて、なんでも笑って受け止めてくれるんです。
▲ラジオや同人活動など多芸な風花さんだが、話題作『同級生2リメイク』に抜擢されるなど人気声優としての活躍もとどまることを知らない
今後10年の新たな出会いを楽しみに
──そんな風花さんの感じる声優のお仕事の楽しさ、大変さはどういうところでしょう?
風花:やっぱり今までで一番大変だと思った仕事でもあります。苦しいし辛いこともあるし、プレッシャーが個人にかかってくる仕事は初めてだったし。でも、その分自分を成長させてくれたし、やりがいの大きな仕事でもありますよね。他者を演じることで人生の幅が広がっていくし、現場に出てスタッフさんとお仕事をすることでコミュニケーション能力は磨かれるし。私はこの仕事をやってよかったと思っています。自分の可能性を広げてくれた仕事なので、これからも続けていきたいですね。
──今年で10年目ですが、これからの10年も楽しみですね。
風花:これまでの10年で沢山の人と出会ってきたので、これから10年でもいろんなクリエイターさんや声優さんにお会いできて、一緒に作品作りができたら嬉しいですね。そして私自身が美少女ゲームの世界が大好きなので、盛り上がるように少しでも貢献していきたいと思います。
──それでは最後にBugBug読者にメッセージをお願いします。
風花:BugBug読者の皆さんは美少女ゲームが大好きな方たちだと思いますが、私も声優というよりはファンとして美少女ゲーム業界を応援しています。これからも作品作りに寄り添って頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。
▲『恋姫』シリーズ最新作『双天†恋姫 -至源の王-』(BaseSon)では、軍師キャラ・張良役で出演。この作品のために中国の歴史を調べてたらそっちにもハマってしまった模様
読んでいると彼女の出演作を遊びたくなるインタビュー全文もチェック!!
今回はインタビューの序盤と終盤をメインにピックアップして紹介したが、中盤にはこれまでの関わってきた印象深いタイトルそれぞれについて、それがいかに面白い作品なのか熱弁、当時の印象的な出来事も添えて本当に楽しそうに語ってくれた。
声優として以前にファンとして、本当に美少女ゲームが好きなんだなぁ…とほっこりする話がいっぱい。ぜひ全文をBugBug10月号で全文を読んでみてね!!
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