かつては「素骨亭塵紙(すこつてい ちりがみ)」という名前を使っておりました
前回のコラムにもちょろっと書きましたが「中島大河」は筆名であると同時に本名でもあります。ペンネームっぽい字面ですよね。自分でもそう思います。
本当はですね、きちんとペンネームでデビューしようと思っていました。「中島虎一郎」って名前も考えていました。こいちろう、と読みます。大河はタイガーなので“虎”、どうせなら誰かの中で一番心に残るようなシナリオを書きたいという気持ちがあったので“一”、生まれたときの名前候補が創太郎(そうたろう)だったらしいのでそこから取って“郎”……という予定でした。
ところがですね、当時仕えていました社長様から「一はちょっとなぁ……なんかこう……うん、一はちょっとなぁ……」的な謎のクレームを受けまして、それに対し私が「そんな文句あるならいいよ!!」とキレてしまい、結局代案を考えることもなく流れで本名デビューとなりました。
後日社長様は「大河はなぁ、本名しっかり出してまでこの業界で戦おうとしてるんよ! 立派な覚悟の証なんよ!!」と周りに言っておりました。そうなった原因が社長様ご本人にあることは完全に忘れていたのでしょう。
ということで結局本名でデビューをしてしまったわけなのですが、なんとエロゲーライターとバレたことがあるんですよ。
忘れもしないとあるマッサージ屋さんにて、受付票に名前を記入するわけですが、施術担当の若いお兄さんがしばらく受付票と私の名前を見比べたあとで「……中島大河さん?」と明らかにその字面に覚えがあるようなニュアンスで確認してきました。話を聞くと、どうやらエロゲーユーザーさんだったようです。私の作品はプレイしていなかったようですが、どこかのサイトで名前だけ見たことがあったらしいです。
名前の字面だけならたぶんバレはしなかったでしょうが、職業欄にバカ素直に「文筆業」とか書いちゃったので、そこが決定打になったのかなと思います。
当時は今以上に承認欲求の塊だったのと、シナリオライターという肩書きに対して特別感みたいなものを持っていましたので「ヤッベぇバレた!(焦)」ではなく「ヤッベぇバレた!(喜)」みたいな反応をしちゃいました。
60分の施術コース中、何回も「俺の書いた作品を買え!!」と言い続け、最後はRanceシリーズの話をしてから帰りました。なおそのお兄さんは見当かなみちゃんが一番好きだったようです。私は1:チルディ 2:魔想さん 3:ハンティの順番で好きです。男なら……うーん……リックやパットンと迷うけどバレスさんかなーという感じです。ランスくんからの程よい扱いの悪さが見ていておもしろいです。
なんか周りだと戦国ランスで時間を溶かした勢が多かったのですが、私が一番周回したのはたぶん9です。もうとにかくチルディを可能な限り強化したいという一心で何周もしておりました。プレイ時間の順で並べるなら9>10>クエスト>6>戦国>他じゃないでしょうか。「他」の中ではリメイクの03が一番多いかなーってくらいです。戦国ランスを知った時期ってあんまりゲームする時間が取れなくてやり込めなかったんですよねぇ。
Ranceシリーズの話を始めると終わらなくなるので軌道修正しておきます。
ともかく、本名でデビューしてしまうと、プライベートにちょっとした支障が出る可能性もなくはない、という話です。
そういうわけなので「中島大河」以外にも、複数のペンネームを作りました。
なんか気付いたら増えてしまい、今では全部で6つあります。そのうち5つは現在も使い続けております。私はいくつもの顔を使い分けているライターなのです。具体的にどんな名前でどんな作品にどのようなポジションで参加しているかは言えませんけど。関係者には内緒で「……この◯◯っていうの実は中島なんです」と伝えると割とびっくりはされます。
1個だけ暴露しますと、かつては「素骨亭塵紙(すこつてい ちりがみ)」という名前を使っておりました。一応解説しておきますとティッシュのスコッティが由来です。
ただ、これはライターとしての名義ではありません。デバッカー名義です。ちゃんとスタッフクレジットにも載っているはずです。
もうちょっと使い続けるかと思っていたのですが、以降デバッグのみでの参加というのをしなくなってしまったため、使用回数一回だけのセカンドバージンでございます。もう使っていないし使う予定もない名義です。二代目素骨亭塵紙になりたい人がいたら声かけてください。プレゼントします。
複数のペンネームがある人って、どんな風に使い分けているんでしょうね。
全年齢向けと成人向け、みたいな感じにレーティングで分けているのでしょうか。それとも純愛(白)か凌辱(黒)かで分けていたりするのでしょうか。男性向けか女性向けか、とかで変える人もいるかもしれませんし、もしくはポジションで変えている人もいるかもしれませんね。ディレクターとしての名義とライターとしての名義は違う、とか。
中島の場合はその辺りの区分けをあまりハッキリさせておりません。強いて言うなら「メイン・サブよりも作業比率の少ないサポートライターで参加した場合は別名義」ですかねえ。
ジャンルで分けることはあまり考えていません。企画シナリオ4作目の『略奪者の淫宴』という凌辱(黒)系作品も中島大河名義で書いていますし、先月発表されました『ゆきもよい』『私のメロエピ聞いてください~ヒプノインタビュー~』という全年齢漫画2作品も中島大河として原作を担当しています。
そう、『ゆきもよい』と『ヒプノインタビュー』です。
全年齢漫画の原作デビューしました。買ってください。
ここを読んでくださっているやさしいお兄様お姉様たちには、も ち ろ ん 買っていただけると信じております。買ってね。絶対に買うんだよ。買わなきゃダメだ。買うんだよ。おい、買うんだぞ!!
買ったあとは星評価をつけるのとSNSでの拡散宣伝もお願いします。いい感じのレビューもしてくれるとうれしいです。書いてもらえたらそれを読んで購入検討をする人もいますので――ってなんか情けないくらい必死ですね。それだけ人様の目に触れてほしいと思っているからです。担当したエロゲーと同じです。
あと、このコラムの担当編集様へ。このコラムの文末に大々的宣伝文句を書いておいてください。今月は『ゆきもよい』の方でお願いします。来月は『ヒプノインタビュー』です。
最初はブックライブ様のみですが、このコラムが世に出るころには様々な電子書籍書店様でも配信されているかもしれません。
話は逸れますが前述の「買ってね。絶対に~」のくだりは、かの有名なザ・ドリフターズの元メンバー荒井注さんの葬儀の際、リーダーのいかりや長介さんが読んだ弔辞のパクリです。元文は「飲もうぜ。絶対に飲むんだよ。飲まなきゃダメだ。飲むんだよ。おい、飲むんだぞ!」……だった気がします。
無理やりペンネームの話に戻すと、このドリフのメンバーも、途中加入の志村けんさんを除くと、全員が『水』に関わる芸名みたいですね。仲本工事さんは工事現場で水を使うから、高木ブーさんは豚小屋を水で洗って綺麗にする云々という結構こじつけ感のある由来らしいですが。なんで水かというと「芸能界は水商売であるから水に関する名前は縁起がいい」とのことです。
こじつけでもなんでもいいのです。芸名もペンネームも大事です。もう一つの名前なんですから。
これから何かしら創作関係なり芸能関係なり他の何かしらでデビューしたいと思っている方には、よーく考えていただきたいと思います。本名はオススメしません。マジで。
本名にしたうえで、作品内に個人情報と紐づけられたような設定を入れたりするのなんて本当にやめた方がいいです。
私の場合、デビュー作の『できない私が、くり返す。』で、地元である宮城県の地名をヒロインたちの苗字に使ってしまった結果、ライターになる前に勤めていた旅館の先輩にバレてしまったことがあります。
どうやら地名の「瀬峰」で検索したところ、「瀬峰藍里(せみね あいり)」というヒロインの名前が引っかかってしまい、そこから辿られてエロゲーライターだと知られてしまいました。……後に知ったんですがその先輩もRanceシリーズ、というか鬼畜王ランスはプレイしていたらしいです。他のエロゲーはそこまで知らないけど鬼畜王はやり込んだとのことです。他にはスマガが好きだとも言ってました。私が勤めていたころはそんな話一切したことなかったのに。言ってもらえれば『僕はととのと刃鳴散らすと咎狗が好きです!』と返していたんですけどねえ。……まあ旅館勤めだったころはまだととの発売してなかったんですけど。
あとはですね、親戚の結婚式(私自身は不参加)で、参加した母が「息子が大人向けゲームの脚本家をしている」と話してしまったらしくて……年の近い親戚には、私がこの指で数多の美少女の乱れたシーンを書いているということが周知されてしまっております。いとこたちも私の名前で検索した結果、どういう作品を書いているのかはきちんと把握したみたいです。その時期に書いていたのが前述の凌辱系作品『略奪者の淫宴』。女の子たちをひどい目に遭わせまくる作品です。それを見たであろう親戚一同がそれぞれどう思ったのかは未だに怖くて訊けません。
まあ、一度デビューしてしまったのですから、今更隠すこともできません。仮に「中島大河」の名義を完全に隠したところで、このインターネット社会じゃすぐにバレるでしょう。
開き直って堂々と生きていきたいと思いますし、来年開催される予定となっている高校の同窓会でも、みんなの前で「俺の今の仕事? エロゲーライターですけど?」と言ってこようかなと思っております。それでどんな反応をされるかは知りません。
きちんとペンネームでデビューしていれば、こんな細かい問題で気を揉む必要もなかったんですけどねえ。『中島虎一郎』の何が悪かったんでしょうか。
▲中島大河氏が親戚に知られてしまった凌辱系作品である、あかべぇそふとすりぃの『略奪者の淫宴』。リョナ要素もあるハードなダークファンタジーが魅力の作品だ
中島大河
フリーランスのシナリオライター・作家・漫画原作者。いわゆる物書き。美少女ゲームでは2014年に『できない私が、くり返す。』(あかべぇそふとすりぃ)でシナリオデビューして以降、純愛系・癒し系・感動系の名作を数多く手掛けている。代表作は、『働くオトナの恋愛事情』(あかべぇそふとすりぃ)、『なちゅらるばけーしょん』(hibiki works)、『はるとゆき、』(あかべぇそふとすりぃ)、『自爆カノジョ ~彼女は隠れて身悶える~』(Hending)、『Secret Agent~騎士学園の忍びなるもの~』(ensemble)、『まどひ白きの神隠し』(Lump of Sugar)、『僕と先生の個人授業』(あざらしそふと+1)、『俺の瞳で丸裸!不可知な未来と視透かす運命』(HULOTTE)、『ラブピカルポッピー!』(SMEE)、等多数。2026年3月には『リルカは幾重に夜を彩る』(シルキーズプラス)がリリースされ、圧巻のクオリティで美少女ゲームファンの話題を集めている。
▲コラム本文でプッシュされていたので今月は中島大河氏が原作を担当する全年齢コミック『ゆきもよい』を紹介。漫画は久條音氏が、構成はマツヤニ浩二氏がそれぞれ担当。中島大河氏らしいちょっとビターな大人のヒューマン恋愛ドラマが描かれている。初回は第1話から第5話までブックライブにて一挙先行配信し、現在DMMブックスやブックウォーカー、LINEマンガ、ピッコマ、ブッコミなど、大手電子書店でも販売中だ
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