私の経験した「こんなはずじゃなかったのに」を、のんびりと語っていきたいと思います
どーもはじめまして。BugBug.NEWSを見ているお兄様お姉様が私のことをご存知かは分からないですが自己紹介します。中島大河(なかじま たいが)と申します。シナリオライターとか漫画原作者とかしながら生きています。総括して『物書き』を名乗っております。
この度コラムを連載させていただくことになりました。
いやー、こんなお仕事いただけるなんて、ゲームのシナリオライターを志した当初は思いもしていなかったです。
まずそもそもなんですけど、ぶっちゃけ「シナリオライターってどんな仕事するの?」っていうのをほぼ知らないでライター募集に応募したんですよね。実はPCゲームというのも5本かそこらしかプレイしていませんでした。
最初にプレイしたのはあかべぇそふとつぅ──私の出身である有限会社AKABEiSOFT2様のブランドですね。そちらから発売の『W.L.O.世界恋愛機構』でした。
エロあり笑いあり涙あり感心ありの爆裂長尺シナリオ。絵も曲もキャラも何もかもが新鮮でした。それに触れて非常に感銘を受けました。もっと正確に言うと「俺もこういう作品作りに関わりてえ!!」と短絡的に思い、ちょうどそのタイミングで前に勤めていた旅館を社長と喧嘩して辞めていたので、その勢いのままに開発会社様に応募したら拾っていただいた、という感じですね。
▲『W.L.O. 世界恋愛機構 未来のために、いま恋をしよう』は2009年3月にあかべぇそふとつぅよりリリース。世界的な少子化解消のために結成された世界恋愛機構・「W.L.O.」のターゲットになった主人公が幼なじみのクラスメイトとの恋愛を強要されることから始まるドタバタ学園恋愛AVGだ
関わりてえ、と思いはしていたのですが、私の中のゲームシナリオライターの仕事のイメージって『こういう作品の構想があるからプロデューサーなりの指示に従って何人かで協力してテキストを書いてね!』だったんです。少なくとも自分で1から物語を創造してそれを具現化していく仕事ではない──と思っておりました。
ところがです。いざ入社して最初に言いつけられたミッションは、
『フルプライス作品の“企画”を作成せよ。
あとそれのシナリオは全部“自分1人で”書いてね♥』
つまるところ1から物語を考えて完成させろということです。
今にして思えば本当に、本当にありがたい話なんです。
このご時世……というか当時2013年辺りでも、新人ライターにこんな風にさせる会社様はなかなかないと。
もし見たこともない新人さんが企画シナリオを全部1人、とかやっていたら、それはたぶんいわゆる転生体だと思います。たぶんですよ? 勝手な想像で言っていますので真に受けないでくださいね。
ともかく、当時の私はガチ新人。前職種で多少のテキスト執筆をしていたとか、ゲーム制作に携わっていたとかでもありません。温泉旅館で接客とお風呂掃除をしていただけです。そんな私が企画の作り方──というかPCゲームの作り方なんて分かるはずがありません。
前述のとおり、私はただシナリオのテキスト部分を誰かに言われるがままに書けばいいだけだと思っておりました。それなのにいきなり『企画』『1人で全部執筆』を任されたのです。
率直に思いました。「こんなはずじゃなかったのに」と。
で、右も左も分からない状態での慣れない作業をしつつ、スタッフの皆様全員のご尽力もあり完成しましたのが、企画とシナリオを担当することになったデビュー作『できない私が、くり返す。』という作品です。
▲『できない私が、くり返す。』は2014年8月にあかべぇそふとすりぃよりリリース。感動的なストーリーが好評を博し、霜月はるかさんが歌う主題歌は萌えゲーアワード2014にて主題歌賞も受賞した
それから時が経ちました。只今2026年。
PCゲームのシナリオライターを志したあの日の純粋な中島青年は、腰痛と躁鬱と不眠症と虫歯を抱えつつ、なんとか『物書き』を名乗りながら生きております。
まだまだ若輩者ながら、いろいろなことをしてきました。
それこそ当初思っていた「テキストを書くだけ」以外のことを。
そんな風にして直近の企画シナリオ作品『リルカは幾重に夜を彩る』も制作いたしました。買ってね。
きっとこのコラムの担当編集様が、最後にいい感じの宣伝をぶち込んでくださると思います。
ともあれ、制作のたびに「こんなはずじゃなかったのに」と思い続けてきました。何年経っても変わりません。
ちなみにですがこのコラム執筆も、冒頭でも書きましたが「こんなはずじゃなかったのに」の1つです。戸惑いつつも感謝しながら指を動かしております。
せっかく頂戴した機会でございます。
この連載では、私の経験した「こんなはずじゃなかったのに」を、のんびりと語っていきたいと思います。
まあ「PCゲームのシナリオライターって実はこんな仕事もしたりするんだよ」という簡単なご紹介です。
いるかいないか分からないですが、もしも「当方ライター志望」という方がいらっしゃいましたら、1%でも参考になりましたら……という次第でございます。
あくまでも私の視点、かつどこまで言えるかは分かりませんが、しばしお付き合いいただけますと大変ありがたい次第です。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
中島大河
フリーランスのシナリオライター・作家・漫画原作者。いわゆる物書き。美少女ゲームでは2014年に『できない私が、くり返す。』(あかべぇそふとすりぃ)でシナリオデビューして以降、純愛系・癒し系・感動系の名作を数多く手掛けている。代表作は、『働くオトナの恋愛事情』(あかべぇそふとすりぃ)、『なちゅらるばけーしょん』(hibiki works)、『はるとゆき、』(あかべぇそふとすりぃ)、『自爆カノジョ ~彼女は隠れて身悶える~』(Hending)、『Secret Agent~騎士学園の忍びなるもの~』(ensemble)、『まどひ白きの神隠し』(Lump of Sugar)、『僕と先生の個人授業』(あざらしそふと+1)、『俺の瞳で丸裸!不可知な未来と視透かす運命』(HULOTTE)、『ラブピカルポッピー!』(SMEE)、等多数。この3月には『リルカは幾重に夜を彩る』(シルキーズプラス)がリリースされ、圧巻のクオリティで美少女ゲームファンの話題を集めている。
▲3月27日にリリースされた『リルカは幾重に夜を彩る』(シルキーズプラス)で中島大河氏は企画・シナリオを担当。3月29日に秋葉原で開催された発売記念イベントにも参加し、会場を盛り上げてくれたのだ
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