武藤此史氏描き下ろし表紙イラスト連動となる3回連続大特集!! 第2回は【シナリオ編】!!
主人公が偶然訪れた館でメイドから仕事を依頼され、彼女たちと過ごすうちに様々な秘密を紐解いていく、エスクード最新作『悠刻のファムファタル』。
館ものでメイドものという、この期待作をBugBug.NEWSでは全3回で特集していくぞ。
第2回目の今回は、メインヒロインのメイドたちの魅力をもっと知って貰うため、彼女たちとの距離を縮めるシーンをピックアップ!! メーカー全面協力のもと、該当部分のシナリオを掲載させていただいたぞ。
またシナリオ担当である桐月氏にも、各ヒロインのストーリーについて一言ずつ語っていただいたので、そちらもぜひ読んでみて欲しい。
各ショップ特典のビジュアルも後半に掲載しているので、ぜひ最後まで見逃さずにチェックを!!
原画の武藤此史氏描き下ろし表紙イラスト連動・3回連続の大特集!! 1回目はヒロインのメイドさんを始め登場キャラの魅力に迫る【キャラクター編】 エスクードの最新作『悠刻のファムファタル』は、若手作家であ ... 武藤此史氏描き下ろし表紙イラスト連動の3回連続大特集もいよいよ最終回!! 官能的エロスが漂うメイドさんたちとの濃厚エロスをお披露目しちゃう【Hシーン編】 妖艶なメイドさんが暮らす洋館に訪れた主人公が、 ...
エスクード最新作『悠刻のファムファタル』を原画・武藤此史氏の描き下ろし表紙連動で全3回の連載特集!! 初回は秘蔵ラフや原画家コメント付きで登場キャラを深掘り紹介
エスクード『悠刻のファムファタル』表紙連動特集ラストは4人のヒロインによる魅惑のエロスに大注目♥ シナリオ・桐月氏の独占コメントと共に厳選Hシーンをピックアップ!!
▲第1回と第3回の特集記事はこちら♪ キャラクターとHシーンをそれぞれお宝情報満載で深掘り紹介しているぞ
▲BOOTHの【BugBugショップ】では、TOPを飾る表紙イラストの「表紙ver」と、さらにHになった差分イラストを用いた「えっちver」の2種類を応募者全員サービス・B2タペストリーとして期間限定で予約受付中だ。締切は9月2日までなので、忘れずに予約をしよう♪
STORY
4人のメイドが住む、山の中に佇む紅葉館。
そこに若手作家・日下部彰が館を訪れたのは、ただの偶然のはずだった。
死んだ祖母が残した手紙を届けに来た。それだけの目的。
しかし館のメイド長から、二つの仕事を依頼される。
一つは『客』として滞在する事。
二つ目は館を舞台にした物語を作る事。
仕事に行き詰りを感じていた彰はこの依頼を受け、一時の住人となる。
出会うのは花の名を持つ4人の少女。
館での緩やかな暮らしと、その裏にある秘密。
この館で彰は何を見て、何を得るのか…。
▲館のメイドさんたちには秘密がいっぱい。そしてHもいっぱい!?
4人のメイドさんたちとの急接近しちゃうシナリオピックアップ!! 桐月氏のコメントとあわせてチェックだ!!!
館の謎や花の名前がついたメイド等…見所満載な本作の魅力について
(シナリオ:桐月)
紅葉館は謎に満ちた所で、舞台を用意するにあたり既存の『館物』との差別化を図りました。メイドたちは主人公に全幅の信頼を寄せ受け入れてくれますが、そうしたAVGには珍しくない要素すら、謎に満ちたままでは疑心を掻き立てられ不気味に見えると思います。メイドたちの名前、境遇、秘密のベールが開いていくたびに印象が変わる姿を楽しんで貰えたらと思います。
「マリーゴールドと申します。お客様。なんでもお申し付けください。私で叶えられる事であれば、何なりと叶えさせていただきます。……え、なんでも、ですか?ええ、はい。なんでも、です」
温和で礼儀正しい客室メイド
マリーゴールド
CV:花月さや
マリーゴールドのストーリー展開について
(シナリオ:桐月)
客室付きのメイドです。主人公の彰にとって最も接する機会が長くなる人物です。彼女は過去の思い出を大切にしており、それにより何かを選択する場面があります。その決断がどのような物かを最後まで見届けて下さい。
マリーゴールドと槍術訓練
【マリーゴールド】「いえ、お誘いをしたのは運動ですので、体を動かすことをご提案いたします」
【マリーゴールド】「最初は軽くランニング等も考えたのですが……。日下部様のご職業は作家ですので、普段出来ない体験がよろしいのではないかと思いました」
【彰】「なるほど」
そして珍しい体験を提供してくれるという事は、
それだけ目の前の彼女を知れるという事でもある。
俺にとっては二重に願ったりの状況だ。
【彰】「で、箒でどうするの?」
【マリーゴールド】 「こう致します」
マリーゴールドが箒を逆手に持ち、構える。
箒の柄の部分をこちらに向ける。
【彰】「剣道……というと違うな。薙刀……? 槍か?」
【マリーゴールド】「はい、その通りです。多少ではありますが槍の心得がございます」
なるほど、これは確かに普段では出来ない運動だ。
【彰】「わかった。俺はどうすればいい?」
ひとまずマリーゴールドと同じように構える。
【マリーゴールド】「最初は慣れが必要です。お好きな所を打っていただいて構いません」
【彰】「────」
向こうが言い出すくらいだから、こういう場合の遠慮は逆に失礼になるだろう。
箒の柄を突き出すように、マリーゴールドの腕を狙う。
──カンッ。
当然のように、簡単に弾かれた。
慌てた様子もない。
来る所が分かっていて合わせられた感じだ。
【彰】「じゃあ──」
それから体を狙って突く。
──カン、カンッ。
動きを早くしていくが、そのたびに高い音を立てて弾かれる。
──カン、カンッ! カンカンッ!
連続で……でも動きは見え見えだろうし、俺にはマリーゴールドの隙も見えない。
よくわからないなりについて、弾かれる。
ただそれだけの事なのだが、徐々に息が上がっていく。
これは……確かに。良い運動になりそうだ……。
【彰】「はぁ……っ、はぁ……っ」
そして手に持つ箒が重い。
当然ながら箒の重心は下側にある。
自分の方に重たいものを抱えながら、軽い柄を突き出す。
これが地味に疲れる。
どうやって持っているのが正解なのか全く分からない。
ただ俺とは対照に、マリーゴールドは涼しい顔で弾いている。
【彰】「きゅ、休憩……っ」
そして情けない声を上げたのは、それから数分の事だった。
【彰】「はぁ……っ。はぁ……っ。いや……確かに。良い運動になったけど……!」
【マリーゴールド】「おつかれさまでした。こちらにタオルとお飲み物もご用意しております」
【彰】「あ、ありがとう……」
タオルを受け取って汗を拭い、水を喉の奥に流し込む。
レモンの汁を絞ってあるのか柑橘系の酸っぱさが心地いい。
【彰】「マリーゴールドはすごいな……。全然汗もかいてないじゃないか……」
【マリーゴールド】「ありがとうございます」
彼女にとっては何も運動にもならなかったという証明でもある。
それは少々悔しい。
【彰】「マリーゴールドの動きを見ていると、きちんと法則があってそれに則った理に適った動作って感じがする。次はその辺りを教えてもらえる?」
【マリーゴールド】「はい。もちろんです。ですが休憩の方はよろしいのでしょうか」
【彰】「運動不足で息が切れただけだから大丈夫。座学中心でお願い」
【マリーゴールド】「ふふ。かしこまりました」
再び箒を持って向き直る。
【マリーゴールド】「日下部様は槍術についての心得や知識はございますか?」
【彰】「いや、まったくない。習った事もない」
【彰】「でもそういうのが出てくる創作は見た事ある。だから実践はゼロだけど聞きかじりはある感じだ」
【マリーゴールド】「なるほど……どのような物かお伺いしてよろしいですか」
【彰】「まず日本の戦国時代の話で定番なんだけど、槍って突く物じゃなくて叩く物ってのはよく見かける」
【マリーゴールド】「はい……そうですね。その通りです」
【彰】「でもマリーゴールドのは明らかに突きが主体だった。この違いはどこから来てる?」
【マリーゴールド】「上から叩くというのは、男性の槍術です。私は女の槍術を習っております」
【彰】「ふむふむ」
男女で明確な違いがあるのだろうか。
なかなか興味深い話だ。
【マリーゴールド】「男性が槍を扱う場合、一人で振る事はあまりありません。戦列を組み呼吸を合わせ敵に向かい、あるいは押し寄せる敵を止めるための壁となります」
【マリーゴールド】「槍とは長物ですので、上から振り下ろせば威力が上がります。一斉に振れば馬上の騎士も叩き伏せられるでしょう」
【彰】「突進を止めるための圧力として機能するわけだ」
この辺りはネットや何かの作品で見た内容にも合致する。
【彰】「では女性の槍というのは?」
【マリーゴールド】「はい、それは室内で使う事を想定されたものです」
【彰】「あぁ……なるほど」
その一言でも非常に分かりやすい。
女性が戦列を組むような事はないだろうし、
室内で使うなら上に振り上げるわけにもいかない。
【マリーゴールド】「穂先はこのように常に相手の視線の高さに合わせます。相手の目の高さに置く事で突進の勢いを殺します」
【彰】「まっすぐ進めば自分の目に刺さるってわかっていたら、確かに動きづらいな……」
【彰】「さっきの俺も実際そうだったし。マリーゴールドの穂先を下げようと躍起になってた気がする」
【マリーゴールド】「はい。狭い通路で勢いをつけられた場合、止める手段はほぼ存在しません。そのため足を止めるのが重要になります」
【彰】「なるほど……ちなみに盾を構えて突っ込んで来たら」
【マリーゴールド】「逃げます」
とても現実的な案だった。
【彰】「そうなると普通に盾構えて突撃して来たら、槍ではもうどうにもならないのでは……?」
【マリーゴールド】「はい。どうにもなりません。そもそも屋内で女が槍を振るう状況になった時点で既に敗戦は確実となっております」
【彰】「……正論すぎる」
というか、そういう現実的な部分をひとまず棚上げして
技とかを習うのがこういう講習なんじゃないだろうか。
【マリーゴールド】「ですが、問題はありません。今の話では室内で振るう男性の槍術と変わりがありません」
【マリーゴールド】「私が話をしているのは、女の槍術なのですから」
【彰】「というと?」
【マリーゴールド】「相手が足を止め、無防備で、突進をしてこずに、恐れを持って対峙し、穂先を警戒する……。このような状況が存在しているのです」
【彰】「…………ずいぶん都合がよく聞こえるけど、そんな状況ってある?」
攻め込まれた時点でもう劣勢なんて言葉じゃ済まない。
もう戦争も終わった後の室内……つまり征服された後で、
相手が油断して戦意も無くしているような状況だ。
【マリーゴールド】「はい、ございます」
だがそのあまりに都合がよすぎる仮定を、マリーゴールドは存在すると断言する。
【マリーゴールド】「それは略奪者に対峙した時です」
マリーゴールドが槍を……箒を下す。
それだけで重く感じていた空気が霧散したように感じた。
【彰】「略奪者……」
【マリーゴールド】「だからこそ、女の槍術なのです」
【彰】「戦争は終わっているから相手に戦う意志はない。むしろ怪我なんてしたくない……」
【マリーゴールド】「その通りです。そのような状況で身を護る術があります。これが私の修めた武術です」
再び、箒を構える。
「お客様、紅葉館はいかがでしょう。不在のご当主様の代わりに、誠心誠意おもてなしをさせて頂きますわ」
明るく社交的なメイド長
ローズマリー
CV:乙倉由依
ローズマリーのストーリー展開について
(シナリオ:桐月)
メイド長の彼女は少女らしい外見ながらしっかり者で仕事を円滑に回していきます。彼女あってこその紅葉館と言っても良いでしょう。体験版でもあけすけな言動やどきりとした発言がある彼女ですが、責任感が強くメイド達の今後の事も深く考えています。その分自分自身がおざなりになってしまいますが、どういう結末を迎えるか本編を楽しみにしてください。
ローズマリーと蔵書整理
空き室……いや、この言い方は間違ってるかもしれない。
実質的な第二書庫の中での作業が始まった。
ローズマリーは本をどかして場所を作ると、そこに体育座りをする。
【彰】「この様子だとなくなった本もありそうだな」
【ローズマリー】「それは大丈夫でしょう」
【ローズマリー】「私どもしか利用しませんから、外に持ち出すとも思えません」
【彰】「なるほど。メイド長の部屋にもかなりの数があったのに、こっちもすごいな。当主様はよほどの本好きなんだ」
【ローズマリー】「記録に対しての思い入れが強いご様子です。本はその最たるものですから」
【ローズマリー】「ジャンルも多種多様にございますよ。物語から実用書、歴史解説まで」
【彰】「料理のレシピ本もあるな。ブラックリリーはこういうので調べたりしているのかな?」
【ローズマリー】「彼女はそうですね……物語や歴史には興味はないようです。人が残した技術を身に着ける事を喜んでいます」
【ローズマリー】「私やマリーゴールドは物語を好みますよ。素敵な殿方との出会いに憧れます」
言いながら、こちらにちらりと視線を向ける。
その際に膝を寄せ……。
【彰】「…………」
思いっきり下着が見えてるが、見えないように視線を外す。
【ローズマリー】「あら、どうかされましたか? 彰さん。何か面白い物でもありました?」
【彰】「……いいから始めよう」
【ローズマリー】「くすくす。そうですわね」
【ローズマリー】「彰さんがタイトルを読み上げ、私が目録で確認するという方法でよろしいですか?」
【彰】「わかった」
【ローズマリー】「それでは参ります」
それで作業が始まる。
最初こそ上手く流れがつかめなくて再確認作業もあったが、
だんだんと慣れてきてスムーズに進むようになった。
そうして確認作業が続き、半ばに差し掛かった時の事だった。
【彰】「…………あれ?」
本の中に紛れるように一冊のノートが挟まっている。
【彰】「このノートは目録にある?」
【ローズマリー】「少々お待ちくださいませ」
ノートの表には何も書かれていない。
形態としては市販されている一般的な学習ノートで、
コンビニでも文具屋でも買えるものだ。
ただ、表紙の絵がずいぶん古い。
ローズマリーが目録の一番後ろを開く。
そこにはタイトルが無い物の概要が記載されていた。
【ローズマリー】「無題の物については裏表紙を開いた所に番号があります。ご確認していただいてよろしいでしょうか」
【彰】「……何もないな」
【ローズマリー】「では中身の方から確認いたしましょうか」
【彰】「分かった……というか、その感じからするとこういうノートが他にあるんだ」
【ローズマリー】「はい。そのうちのほとんどがメイドの覚書です。ブラックリリーの物が特に多いです」
【彰】「リリーというと料理のレシピ本?」
【ローズマリー】「他には園芸……植物に関する物ですね。彼女は作り出す事にも熱心ですから」
【彰】「そういえばラベンダーも中庭の手入れはリリーに習ったって言ってたな。山の事も色々教えてもらったし、本当に博識だな」
多分、努力家なんだろうとつぶやくと、軽く頭を振る。
【ローズマリー】「努力家……というのは少し違うかもしれません。以前の話ですが、何かを知るのが楽しいと言っていました」
【ローズマリー】「彼女にとって知識の空白を埋めるのは一種の娯楽なのでしょう」
【彰】「なるほど」
それならばこれもそうなのだろうと思って開く。
【彰】「あれ?」
だが色あせた紙に記されているのは、想像したような女の子らしい文字ではなく、
万年筆で書かれたような太さで、角ばった筆致だった。
【彰】「……リリーの文字……じゃないよな。ええと……『エリス様、手解きに厚くお礼申し上げます』って何だこれ、手紙?」
【ローズマリー】「……あら」
ローズマリーに見えるように広げた。
【彰】「誰か宛てのメッセージみたいだけれど」
ローズマリーは手に取ると、パラパラとめくって読み進めていく。
【ローズマリー】「なるほど、当時の住人に宛てた物ですわね」
【彰】「当時?」
そう問うとノートをひっくり返す。
発行年月日が昭和になっている。
表紙や紙が古く感じたのも納得だ。元々古かったのだから。
【ローズマリー】「当時の誰かが書庫に入れておいたものが、こちらに紛れてしまっていたのでしょう」
・
・
・
【ローズマリー】「さて、これで午前のお仕事は終わりです。お疲れ様でした。日下部様」
【彰】「ああ……終わりか」
短い間とはいえ名前呼びだったのが苗字に戻ると、
若干距離が開いた感じになってしまう。
まぁ、コレが正しい距離感ではあるのだが……。
【彰】「ちなみに聞いておくけど、ローズマリーは名前呼びと苗字どっちがいい?」
【ローズマリー】「そうですわね……お名前を呼ばせて頂けるのは、距離が縮まった感じがいたしますね」
【ローズマリー】「私は立場上、ブラックリリーのような態度は出来ませんが、ああいう奔放さをうらやましく思う気持ちが無いわけではありませんから」
【彰】「そっか……じゃあローズマリーが良かったらなんだけど、これからも名前で呼んでくれないか」
【ローズマリー】「よろしいのですか?」
【彰】「俺の方こそ。知り合ってすぐの女の人にこんな事言うの、正直引かれないか心配っていうか」
【ローズマリー】「ふふ。その場合であっても堂々としているのが、異性を虜にするコツですわ」
「お客様の目を楽しませる事が出来るなら、それが喜びです。この子たちもこうして綺麗に育ってくれて嬉しいです」
館の清掃や洗濯を担う洗濯メイド
ラベンダー
CV:霧島はるな
ラベンダーのストーリー展開について
(シナリオ:桐月)
物静かな少女ですがたまに(?)面白い発言が飛び出したりします。洗濯メイドで清掃や中庭の管理を一手に引き受けており、何かを綺麗に整えるのが得意です。マリーゴールド同様に過去の思い出を大切に持っており、そちらが焦点になります。
ラベンダー中庭の手入れ
館の外に出て、玄関からぐるりと回ると中庭がある。
一度案内された所だが、今回は一人でやってきた。
左右対称の作りになってる紅葉館において、
食堂の反対側に位置しているのが応接室だ。
そして応接室の窓に面しているのがこの中庭にあたる。
館の主人が大事な客を出迎え、客は中庭の風景に目を止める。
話が行き詰ったら散歩に誘うのも良いだろう。
手入れの行き届いた中庭は客人の心を解きほぐし、交渉もスムーズになっていく。
【彰】「…………」
実際に見たわけでもないのに、そのような情景が目に浮かぶ。
そしていくつかの緑の壁の先に、目当ての人物を発見した。
ラベンダーは中庭の手入れをしている。
6月ともなれば草木は生い茂り、虫の活動が盛んになる。
荷物が入ったバッグには駆虫剤や除草剤が顔をのぞかせる。
伸びた枝を一本一本、ハサミで切り落として形を整える。
【彰】「細かい作業なんだな」
【ラベンダー】「あ──」
【ラベンダー】「申し訳ありません。作業にかかりきりになっておりました」
【彰】「そのままでいいよ。勝手に見学していただけだから」
【ラベンダー】「では……」
作業に戻る。
慣れた手つきで整えていく姿を観察しつつ、
思ったことを聞いてみた。
【彰】「ずいぶん慣れてるけど、誰かに習った?」
【ラベンダー】「ブラックリリーとアマリリスです」
【彰】「……あの二人が? というかアマリリスって外出られないんじゃ」
【ラベンダー】「はい。今は」
という事は、今が外に出られないだけで
昔は違ったんだろうか?
【ラベンダー】「ブラックリリーは本来こちらの仕事を得意としております」
【彰】「そうなのか……なるほど」
不意に笑顔で山に入っていく姿と
花畑の中で風を受ける姿を思い出す。
【彰】「彼女は自然に愛されてるって感じあるもんな」
【ラベンダー】「はい、その通りです。彼女に触れられた植物は息を吹き返し、言葉を交わします」
【ラベンダー】「私は形を整えているだけなのですが、彼女は伸ばす方向を変えて、あるべき形に変化させます」
【彰】「話を聞くだけでも、造園の天才って感じだ」
【ラベンダー】「天才……はい、そうですね。天が与えた才というなら、それ以上の物はないでしょう」
【彰】「でも館の仕事は料理人なのは、何か理由が?」
【ラベンダー】「明確な理由はありません。ただ、料理を作るのが好きだからとの事です」
【彰】「……あ、好き嫌いの問題なんだ。ちょっとほっとした」
【ラベンダー】「どうしてですか?」
【彰】「何か理由があって好きな事を断念したとしたら悲しいから」
【ラベンダー】「…………はい、そうですね。私もそう思います」
【彰】「でも見てる限り、ラベンダーも上手いと思うけど」
【ラベンダー】「そ、そう……でしょうか」
【彰】「木の枝一本一本を扱う手つきが優しいし、綺麗な形に整ってると思うし……」
【彰】「それにさっきから、枝葉の裏まで見て虫がついてないか確認してるだろ?」
【彰】「丁寧な仕事してるって感心してたところだよ」
【ラベンダー】「あ、……ああ、あり……がとう、ございます……。そのように……褒められたのは初めてで……申し訳なくなります」
【彰】「俺以外でもそう言うと思うけど……。他のメイド達からは厳しい評価だったり?」
【ラベンダー】「い、いえ。特には……。皆ここの仕事に慣れておりますので、お互いに褒めたとして心に響かない……といいますか……」
【彰】「あー……うん、なるほど」
なんかすごく納得してしまった。
先ほどの電話がそうだ。
今でこそ発破をかけられた影響を理解して、
自分の思考がそっちになってしまったと実感をしたが、
東京にいた頃に似た事を言われても、心が動かなかった。
良くも悪くも慣れがあったのだろう。
違う環境に身を置く。
違う人から言われる。
これらがもたらす影響はすごく強くなる。
【彰】「すごく良く頑張ってると思う。そして迷惑じゃなかったらでいいんだけど、時間がある時に仕事の内容を教えて欲しい」
【ラベンダー】「仕事……庭園の手入れをですか?」
【彰】「俺の周りに詳しい人ってこれまでいなかったんだ。だから、勉強のために知っておきたい」
【ラベンダー】「……かしこまりました。私でお教え出来る事でしたら、なんなりと」
にこりと微笑む。
その笑顔が、とてもまぶしく感じられた。
「この花畑は私たちとお兄ちゃんの秘密の場所。だからいつでも来ていいよ。好きな時にね」
和洋問わず何でも作れる料理メイド
ブラックリリー
CV:ヒマリ
ブラックリリーのストーリー展開について
(シナリオ:桐月)
館の料理メイドです。最年少に見えますが年齢はそれなりに高く経験も豊富。作れない料理は無いと自負する程です。他人の笑顔が好きで『美味しいモノを食べて怒る人はいない』が座右の銘になっています。秘密が多い彼女ですが、それが露わになった時にきっと見え方が変わるのではないでしょうか。
ブラックリリーと花畑
【リリー】「お兄ちゃんは作家さんだよね。取材っていう旅行をするんでしょ?」
【彰】「……取材旅行は……実はあんまりした事がないんだ」
【リリー】「そうなの?」
【彰】「俺が書いてるのはライトノベル……ファンタジー小説だから。もちろん取材は大事だからやっているけど、現地取材はあまり」
【リリー】「ふぁんたじー?」
【彰】「あれ……分からない?」
【リリー】「うん」
【彰】「空想の中の世界が舞台なんだ。登場人物が架空の存在なのはもちろんだけど、世界そのものがフィクションになっている」
【リリー】「世界が?」
【彰】「魔法とか出て来たり、モンスター……怪物がいたり……」
【リリー】「妖精も?」
【彰】「うん、それもファンタジーの定番」
【リリー】「ミッドサマーナイトドリームね。分かった」
【彰】「ミッド……?」
今聞いた単語を頭の中で組み立ててみる。
ミッドサマー……夏……真夏か。
ナイト……騎士の方じゃないよな。夜。そして夢。
【彰】「真夏の夜の夢? シェイクスピアを知ってるんだ」
【リリー】「うん、有名だから」
【彰】「文芸とかそっちは知ってるって事なのかな。ああ、教科書にも載ってるか……」
でも学校ならそういう漫画やゲームを、
教室まで持ってくる子もいるだろうし。
彼女の年齢からするとどこかちぐはぐだ。
ただ、あの古めかしい洋館のメイドとして考えると
これ以上ないほど似合ってるようにも思えてくる。
【リリー】「空想の世界は私も大好き。だから、お兄ちゃんのお仕事好きだな」
【彰】「はは……そう言ってもらえるのは嬉しいけど、ちょっとプレッシャーかもしれない」
【リリー】「どうして?」
【彰】「比較対象を考えるとね……。それに今はあまり上手く出来てないんだ」
【リリー】「そうなの?」
【彰】「ああ……うん。まぁそんな感じ」
【リリー】「言いたくなさそう」
年下の女の子に苦笑されてしまった。
無邪気で天真爛漫といった感じだけれど、
やはりどこかちぐはぐな雰囲気を持っている。
【リリー】「じゃあ、そんなお兄ちゃんにおまじない」
【リリー】「私は妖精じゃないけれど、一つ魔法を見せてあげる」
【彰】「……魔法?」
【リリー】「うん、だから目を瞑って」
【彰】「…………」
素直に従う。
森の中はとても静かで、それでいて様々な音であふれている。
葉が揺れてこすれあう音。
遠くから聞こえる動物の声。……鳥だろうか。
木々のざわめきに混ざって、羽ばたく音も混じっている。
目を閉じる事で感覚が研ぎ澄まされる。
【彰】「…………?」
ふと、鼻腔を何かがくすぐった。
森の匂いに交じって、別の何かが……。
【リリー】「もう少し、そのままこっちに」
リリーに手を引かれて歩く。
枝にぶつかるような森の中を目を閉じて歩くなんて
本来は怖くて仕方がないはずだ。
でも不思議となんの緊張も抱かなかった。
【リリー】「いいよ、目を開けて」
そうして目を開けると、そこには一面の花畑が広がっていた。
森の中から一変して緩やかな斜面には色とりどりの花がある。
白、青、赤、黄色……森の中に突如として現れた鮮やかな色彩は現実味を失わせる。
【リリー】「どう? お兄ちゃん」
【彰】「すごいな……」
そんなありきたりな表現しか出来なかった。
【リリー】「それだけ? 中庭のすぐ後は失敗だったかな?」
くすくすと笑いを抑えながら言う。
さっきの中庭でも、すごい、綺麗と連呼していたから
ここでもみたいな感じなのだろう。
【彰】「……表現力が乏しくてごめん。でも、それしか出てこない」
【リリー】「ううん、すごく驚いてるのが分かるから嬉しい」
【彰】「この花はリリーが?」
【リリー】「うん。他のみんなもたまに。でもそれくらいかな。後は勝手に育ってるよ」
【リリー】「中庭は綺麗に整えた場所。みんなで落ち着く場所。だからあそこの花や植物はお世話をして大事にしている」
【リリー】「でもここは、花たちに咲いてもらう場所。自分たちの力で咲いてもらうために、強く、深く根を張ってもらう」
時には咲けずに萎れる事もあるけれど、それでも強く生きてもらう。
そういう場所なのだそうだ。
【彰】「……強いんだな」
【リリー】「お兄ちゃんなら好きな時に来ていいよ」
【彰】「ありがとう。でも来る途中に迷いそうだからその時はまたリリーにお願いするよ」
【リリー】「分かった! 任せて」
それからしばらく森の中の花畑に佇む。
木立の隙間を流れる風に花の匂いが乗り、
俺たちの周囲を取り巻いてくる。
ざわざわと木の葉がこすれあい、森の音を奏でている。
【彰】「この花畑……みんながって言ってたけど、花の種や苗を植えて広げているの?」
【リリー】「そうだよ。外で見つけた花や買ってきた花もあるかな。鳥が運んできた物もあるかもしれない」
【リリー】「そうして集まった花の種を、一つずつ地面に埋めていくの。やがて芽を出し、茎が伸びて、花が開く」
【リリー】「季節と共に枯れちゃう花もあるけれど、そこは頑張ってお世話しているから! 一年中綺麗だよ」
【彰】「……そっか……」
サブヒロインの三人についても桐月氏から一言ずつ頂いたぞ!!
「せっかくですのでお客様。占いなどはいかがでしょうか」
夜にだけ出会える不思議なメイド
アマリリス
CV:金松由華
アマリリスについて
(シナリオ:桐月)
館の夜番をしており、夜間にしか会えません。秘密が多く、最も不思議が多い存在です。果たして実在するのかそれとも幻か…。作中でアマリリスはある誘いをしてきます。それに乗るかはプレイヤー次第。フローチャートシステムは選択肢を選びやすいので、ぜひとも試して貰いたいと思います。
「いらっしゃいませー。あ、先生。いらっしゃい。ご注文はなんでしょう」
館近くの喫茶店・くろねこの看板娘
黒井 宮子
(くろい みやこ)
CV:赤月ゆむ
宮子について
(シナリオ:桐月)
元気いっぱいの少女です。喫茶店の看板娘で勉強より運動が得意。田舎の町からいずれ出ていきたいと思っていますが、同時に自宅の喫茶店を継ぐのも良いと思ってる家族思いのいい子です。
「あ、ありがとうございます……。先生、一生大切にします……!」
主人公の手掛ける小説のファン
御影 由香
(みかげ ゆか)
CV:倉下撫子
由香について
(シナリオ:桐月)
両親が家を空けているために、喫茶店でお世話になっています。暇つぶしから小説を読み始め、今ではいっぱしの読書家になりました。主人公の作品のファンで何冊も持っていたりします。そうした方面から関わる関係も珍しいのではないかと思います。
メイド服をたくし上げる姿がソソる特典をチェック!!
本作の各ショップ特典をまとめて掲載。特典にはB2タペストリーが用意されている。店舗ごとに描かれているキャラクターが違うので、好みのヒロインの特典があるショップで予約をしちゃおう♪
▲4ヶ月連続で開催の無料配布イベント。会場はソフマップAKIBA 8Fのイベントフロアと、ソフマップなんば店 7FのPCゲームフロア。4回目となる7月26日の開催ではブラックリリーの特製カードが貰えるぞ
悠刻のファムファタル OPムービー
悠刻のファムファタル
エスクード
2024年9月27日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win7/8/8.1/10/11
10,780円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:武藤此史
シナリオ:桐月
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調教エロとバトルの両方が楽しめるエスクード新作『戦巫〈センナギ〉―穢れた契りと神ころも―』体験版レビュー!! 魔と戦う美しき巫女を淫らな儀式で育てよう♪
美しき姫巫女を汚して神の力を宿し、魔を討つ!! 待望のエスクード新作SLG『戦巫<センナギ>』の公式サイトを速報チェック!! エロくて遊べる期待作だぞ