エスクード『悠刻のファムファタル』に込められた伝奇ミステリーとしての魅力とは!?
発売が迫る『悠刻のファムファタル』。最近では珍しい『館モノ』、そして可愛いヒロインたちとのギャップを感じさせるホラー&ミステリーな雰囲気。一体どんな物語なのか誰しも気になる本作について、BugBug10月号ではシナリオ・桐月氏と、エスクードの薄迷氏に直撃インタビュー!! カラー6ページに渡って語られた作品の魅力、その一部を特別にお見せしよう。
▲エスクードの作品群の中でもミステリアスなシナリオが魅力の作品に携わってきた二人にお話を伺ったぞ
エスクード12年ぶりの桐月作品
メイドが好きだからの館モノ企画
──先ほど伺ったのですが、薄迷さんは桐月さんの影響を受けてエスクードに入社したとか。
薄迷:エスクードには先輩の紹介で入社したんですが、「エスクード」という名前を聞いて最初に思い出したのが『紅蓮華』だったくらい、ユーザーとして桐月さんのゲームをプレイしていたんです。
──桐月さんは薄迷さんの件、ご存知だったんですか?
桐月:『悠刻のファムファタル』のプロジェクトが始まった時の打ち合わせで聞きました。
薄迷:「桐月さんの作品は全部プレイさせていただきました!!」ってご挨拶させていただきました。
桐月:やっぱり嬉しいですよね。
──今回のインタビューでは桐月さんに加えて、そんな薄迷さんにもメーカー代表として参加していただきます。さて、『悠刻のファムファタル』の企画ですが、桐月さんから提案されたんですか?
桐月:はい。『紅蓮華』以降もエスクードさんとは連絡を取らせていただいていて、「こういう企画がありますよ」と『悠刻のファムファタル』の原型にあたる館モノの企画を提案させていただいていたんです。ただ、その時はエスクードさんの方の制作体制が整っていなくて、「体制が整ったら制作に取り掛かりますので、企画を詰めておいてください」と言われました。
──館モノの企画を作られたのはなぜでしょう?
桐月:メイドが好きだったので、洋館モノを作ってメイドを出したかったので。自分の過去作品である『月影のシミュラクル -解放の羽-』(あっぷりけ)も神秘的な洋館モノでしたよね。好きなんです(笑)。
▲メイドものが好きで館ものが好きとくれば、このような企画になるのは当然の成り行き!?
美少女ゲームの外で盛り上がるホラーブーム
読み進めると作品の見え方が変わる物語に注目
──そんな流れで生まれた『悠刻のファムファタル』ですが、企画のポイントを教えてください。
桐月:一番はメイドの属性です。「ファムファタル」というのは男性を破滅させる女性という要素もありますが、本作のメイドたちは主人公にとって献身的かつ都合のいい存在でありながら、そこにはまり込んでいくと人生がろくでもないものになっていく。体験版には主人公がメイドにはまり込んでいかないルートを収録してもらっているんですが、体験版部分が主人公が一番幸せな時期なんです。もちろん「ヒロインたちと結ばれる」というような幸せは手に入れられるんですが、そこに至るまでの道筋が結構長いんです。
──昨今の美少女ゲーム作品では館モノというジャンルは少なくなってきている印象があります。若いユーザーさんへのアピールなどはどうお考えでしょう?
桐月:確かに美少女ゲームで館モノって減っていますが、ゲーム全体を見るとホラーゲームが盛り上がっていますよね。自分でプレイするだけじゃなく、YouTubeにアップされたプレイ動画がバズっていたり。なので美少女ゲーム関係者が考える以上に伝奇館モノへの潜在ユーザー層は多いと思いますよ。
薄迷:自分もYouTubeのホラーゲーム実況などの盛り上がりを見て、「このジャンルはいける」と考えて『廃村少女』の企画を出しましたし、会社も同じように感じていました。「陰のある世界に迷い込んで、その謎を解いていく」という物語を体験することへの需要は高まっていると思います。
──その物語の部分も注目されます。『悠刻のファムファタル』はどういったストーリーになるのでしょう。
桐月:主人公は行き詰まりを感じている小説家です。祖母の葬儀の時に連絡先の書かれた遺品を見つけ、それを届けに洋館に向かいます。そこでメイド長から、祖母のやっていた仕事を引き継いでほしいと頼まれるんです。それが館を舞台とした小説を書くこと。そこから主人公は客として館に滞在しながら、メイドたちと交流を深めていく…という物語になります。
▲『館モノ』でありつつ若者にも人気のホラーゲーム・伝奇モノとしてのテイストも強く、先が気になるストーリーでプレイヤーを引き込んでゆく
桐月作品でおなじみにフラグメント導入で
多彩なエッチシチュエーションを楽しめる
──ゲームの中身についてもお聞きします。やはりBugBugとしてはエッチシーンが気になるところなのですが、『悠刻のファムファタル』での見どころなどはいかがでしょう。
桐月:過去作に比べるとだいぶ多いですね。『紅蓮華』と比較しても、かなり多くなっています。
薄迷:『紅蓮華』はサブキャラにもエッチシーンがありましたので、単純にボリュームで比較できませんが、メインヒロインだけなら倍はあると思います。
桐月:『悠刻のファムファタル』では『見上げた空におちていく』や『黄昏のシンセミア』に盛り込んだフラグメントシステムを採用しているので、ゲーム本編とは関係ないエッチシーンを入れることができます。例えばエンディング後の二人の生活をイメージしたシーンとか、「メイドでない女の子がもしメイドだったら…」というシーンとか。なのでバリエーションはかなり多岐に渡りますね。本来であればファンディスクやアペンドなどで提供するシーンだと思うのですが、本作ではシステム上盛り込むことができたので、ぜひ楽しんでほしいです。
──グラフィック面でのこだわりなどはありますか?
薄迷:これはエッチシーンに限ったことではないのですが、最近のエスクード作品は複数原画が多かったんですが、『悠刻のファムファタル』では武藤さんお一人での原画だったので、より武藤さんの絵柄に合わせての塗りにしています。武藤さんの細身でありながら肉感的な女の子の身体をより際立たせる塗りになったと思います。
桐月:エッチシーンと言えばシチュエーションの打ち合わせは結構しましたよね。
薄迷:そうでした。もちろん物語も大事なんですが、エスクードとしてはエッチシーンもメインディッシュの一つなので、エッチのシチュエーションや着せたいコスプレとかお互いやりとりしましたね。
▲メイドたちの献身的な奉仕と蕩けるようなHで、主人公はこの館にはまりこんでゆく…
ミステリー感を強く演出する日記システム
──システム面ではご説明いただいたフラグメントシステムに加えて、フローチャートシステム、日記システムが導入されています。
桐月:フローチャートは自分のゲーム作品だとお馴染みです。プレイアビリティ―を高めるシステムですね。フローチャートでシナリオを進められるのと、好きなパートにすぐ飛べるのと、自分が今どこを見ているのかをわかりやすくしてくれるのがフローチャートシステムです。そしてこれをもう少し進めたのが日記システム。これもフローチャートから参照できるのですが、主人公がその日起きたことを「創作メモ」という形で残しておけるんです。主人公の日記なのでその記述には主人公の主観が入るのですが、その主観がユーザーの主観と必ずしも一致しない。時々おかしな記述が交っていたりもします。
──それはちょっと面白そうですね。
桐月:これはある意味フローチャートを補完するものです。フローチャートの欠点として、便利すぎてユーザーが物語を読み返してくれないというのがあります。自分の読みたいところまでジャンプしてしまう。でも、日記に引っかかる記述があれば、それを確認するために読み返して、物語を考えてくれる。そこは意識していますね。
──ああ、そうですね。確かに気になりますから読み返しそうです。しかもミステリー的な雰囲気も演出してくれそうです。
桐月:探索型の伝記モノゲームに、「謎の日記」みたいなアイテムってありますよね。あれを見つけた時ってユーザーの妄想が膨らむじゃないですか。あのワクワク感をAVGでも感じてほしいと思いました。もちろんこの日記システムはフローチャートに付随するものなので、チェックしなくても問題なくゲームは進みます。
▲フローチャートに挟まる、主人公が書いた日記。そこにはプレイヤー視点とは異なる記述も…!?
作品イメージを伝えるOP曲やムービーも注目
──それにしても主人公の記述にユーザーが違和感を感じるというのは演出として面白いですね。
桐月:ここは体験版の最後で使っています。体験版の引きについては好評をいただいているようで、ひと安心しています。
薄迷:体験版はアンケートを実施しているのですが、かなりのご好評をいただいています。結構ボリュームのある体験版になっていて、これも桐月さんにたっぷり書いていただいたおかげなのですが、どんな作品なのかユーザーさんにしっかりお伝えしたいという気持ちもあって、体験版を早めに公開しました。現在HPのギャラリーにはご指摘通りショッキングなCGもあるのですが、表面上を見ると「メイドさんと仲良くできるゲームなのかな」って思うかもしれません。体験版ではそういう方々に「いやいや、そんなことはないでしょう」と、これが『悠刻のファムファタル』という作品ですよと、しっかりお伝え出来たと思っています。今回の体験版の最後の引きについては桐月さんとも何度も話し合いをして、あの形になりました。OPムービーも早めに出しまして、「メイドモノというだけじゃないよ」というのをアピールしてきました。反響を見る限りでは、告知は上手くいっているようです。
桐月:今回の主題歌、本当にカッコいいですよね。デモ版から聴かせていただいていますし、歌詞もお任せだったんですが、監修させていただきました。先ほどから「歴史」と繰り返していますが、その重厚さを感じられる主題歌なのがいいなあと思います。
薄迷:今回、主題歌については同時発売のサウンドトラックにフルバージョンを収録していますし、OPムービー公開と同時に楽曲のDL販売を開始しました。最近のアニメで第1話放送と同時にOP曲のサブスク配信やDL配信を行なっていて、それが作品の話題を加速しているので、『悠刻のファムファタル』でも取り入れてみました。
悠刻のファムファタル OPムービー
▲サムネイルだと可愛いメイドたちとイチャラブするゲームっぽい雰囲気だが、ムービーを見ると映像や歌詞のあちこちに不穏な要素が。「刻(とき)」というワードが印象的な歌詞や時計の映像は作品タイトルの「悠刻」を匂わせる
注目はヒロインの名前と彼女たちの歴史
BugBug読者にもぜひ期待してほしい!!
──そんな『悠刻のファムファタル』のセールスポイントを改めてお聞かせください。
桐月:まずはヒロインの名前です。これについては過去の美少女ゲームの中でもあまり例のない仕掛けをしていますので、そこを楽しんでほしいです。それとヒロインたちがなぜそうなっているのかという彼女たちの歴史、その二つですね。体験版の最後で触れていますので、気になる方はぜひプレイしてみてください。
──楽しみが増えるばかりですね。それでは最後にBugBugの読者へメッセージをお願いします。
桐月:私がまとめてお答えします。BugBug誌面に登場させていただいたのが2017年の『月影のシュミラクル』以来なんですよね。当時を知っている方には「桐月がまた帰ってきた」と、初めて名前を目にする方には、このインタビューを読んでいただいて「ゲームが面白そうだな」と興味を持っていただけたら嬉しいです。どのような方であっても楽しめるようにシナリオを書いたつもりです。今回の特集で興味を持たれた方、ぜひとも手に取ってみて下さい。そして『悠刻のファムファタル』を楽しんで貰えたらと思います。
▲メイドたちの名前は皆、植物の名前になっている。それは物語において重要な意味があるようだが…体験版の最後にヒントがある!?
どこか懐かしくも新しい「令和の館モノ」──謎めいた雰囲気にハマること必至!!
BugBug10月号のインタビュー記事全文では、本作のプロトタイプとして作られた企画の話やストーリーの掘り下げ、各ヒロインの魅力や海外展開の話などまだまだ気になるお話が語られている。ますます本作が気になると思うので、ぜひ本誌で読んでみてほしい。
上質なミステリー小説の物語の中に入りこむような体験ができるのが、こういった作品の面白いところ。気になるけど迷っているという人はまず体験版をプレイしてみよう。紙のBugBug本誌の付録DVDでは体験版のプレイ動画も収録しているので、プレイするのが難しい人はそちらをチェックしてね!!
▲謎めいた物語がとても気になる『悠刻のファムファタル』の発売は9月27日。サウンドドラックと共にまもなく発売なので忘れずに★
悠刻のファムファタル
エスクード
2024年9月27日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win7/8/8.1/10/11
パッケージ・DL版:10,780円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:武藤此史
シナリオ:桐月
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