※本記事はBugBug2024年6月号に掲載したレビュー記事の再掲載です。
STORY
カージ合衆国とヴィルカール帝国という大国の緩衝地帯に設定されたフロスト中立特区にあるトリガー探偵事務所で働く榊カイ。彼の目的は戦争で行方不明となった幼馴染の楪紗衣奈を探すことだった。だがミリセントという少女に出会ったカイは、世界の趨勢を巡る渦中に…。
スケール感の壮大な物語と登場人物の魅力にワクワク
本作は実力派シナリオライターの工藤啓介氏と、大人気原画家の有葉氏が制作陣に名を連ねる新ブランドArchiveのデビュー作です。ブランドとしては初めましてですが、クリエイターの名前を見る限りシナリオ重視でエロも申し分ない、完成度の高い作品が楽しめそうというのが第一印象です。
ではどういうゲームかというと…かなり壮大な世界観の作品でした。現実でいう近現代に近い時代感を感じる、ヴァンプ(吸血人)、ヒューム(人間)、アニマー(獣人)という人種がいるファンタジー世界が舞台ですが、物語の中心地であるフロスト中立特区は3年前まで戦争状態だったヴァンプの国家「ヴィルカール帝国」とヒュームの国家「カージ合衆国」の間に作られた緩衝地帯という位置づけの街になります。
▲平和を願う自らの理想を語るミリセント皇女。果たして彼女の望みは叶うのか…!?
アニマーの国家「ジーミイル共和国連邦」は両国と国境を接していますが、中立を宣言しつつも戦争特需で儲けた立ち回り上手な国です。このように国家関係だけでもキナ臭いのに、そこに種族的な対立も加味されます。ヴァンプは自種族以外を見下し、特に身体能力が劣るヒュームを差別しています。差別を受ける側であるヒュームとしてはまったくもって面白くないですから、当然ヴァンプ憎しとなるわけです。
この国家や種族間の対立が作中のキャラクターの価値観のベースにあるので、なかなか明るい気分には傾かないですよね。有葉氏が生み出すキャラのビジュアルはチャーミングですし、工藤氏が命を吹き込んだ個々のキャラも人間臭さと愛らしさが同居していて愛着を感じます。
主人公とヒロインたちの軽妙な会話劇には自然とニヤけもします。ですが物語全体を覆う、どんよりした雲に覆われた冬の日のような重苦しさはなかなか拭えません。そこにメイン・サブ関係なく登場人物たちの所属組織の思惑や個々人の目的や願望といった要素、さらには銃器や特殊能力等を使ったバトルシーンがたっぷり加わるわけです。骨太感がハンパないです。近年の美少女ゲーム業界ではお目にかかれなかったスケール感の大きさにワクワクしちゃいます。
▲打ち解けた後のソフィアの姿は、普通の少女と何ら変わらないのだ
総プレイ時間30時間超も苦にならない大作だ!!
そんな本作には、ヴァンプを嫌うヒュームの少女・レイリ、共和国秘密警察の腹黒い中将・ソフィア、そして帝国の第一皇女・ミリセントという3人のヒロインが登場します。ストーリーも良いところが沢山でしたが、ヒロインとして最も萌えたレイリ、指揮官として冷酷、でもデレるとメチャ可愛いというギャップにドキドキしたソフィアのルートは、共に硬派な話と柔らかい恋愛パートの行き来に興味を刺激され、グイグイ引っ張られました。
そんな中、もっとも見応えを感じたのはミリセントルートでした。ミリセントはヴァンプどころかこの世界には珍しい、平和を希求し実際に行動する理想の実現に情熱を注ぐ少女です。ですが、そんな彼女の願いむなしく悲惨な事態が避けられないとなった時、何を考え、どのように行動し、決断を下すのか。本作最大の醍醐味はココだと思うので、ぜひプレイしてご確認いただきたいですね。
そして、全てのルートに深く関わってくる主人公の幼なじみの紗衣奈。主人公が探し続けた彼女の存在も物語の中では重要なウェイトを占めてきます。各ルートで異なる道を進むことになる彼女の姿からも目が離せなくなりました。もし叶うなら、紗衣奈のバックグラウンドを深堀りした個別ルートも見てみたかったです。
▲あざといレイリをメロメロにするには、Hでイかせるのがイチバンだ
久しぶりにプレイしたシナリオ超大作でした。それゆえ共通ルートだけで10時間超、総プレイ時間も30時間をゆうに超えると思います。世界観や人間関係・組織関係が複雑なこともあり咀嚼する時間も必要でしたが、登場人物それぞれの感情を追いやすいし共感もしやすかったので、娯楽作品としてしっかり楽しむことができました。ゲーム選びにシナリオ、特に国家間や種族間の軋轢に、そこに生きる人たちの人間ドラマを加味するようなスケールの大きさを重視するという方は必見です。
物語のラスト、立ち込めた雲を割って差し込む光がどういったものか、ご自分の目と心でお感じください。
▲ネコ耳のソフィアにアレをペロペロされると、イケナイ気持ちになってきそう。でも、それが逆に興奮を煽ってくれる…!!
▲一国の皇女、しかも敵対し合った国の皇女と男女の関係になるなんて…興奮するね!!
【ライターのイチオシ】クリア後にもHシーン&ストーリーが♪
本作は、ヒロインルートを攻略するたびにHシーンありのアフター&EXストーリーがプレイ可能になるぞ。さらに「豪華限定版」(パッケージ・DL共)をゲットすると、サブヒロインのシルヴィア、アリーシャ、若葉のHシーンありミニシナリオが特典としてゲットできるので、気になる人はこちらもチェック!!
▲クリア後のHやストーリー、特典のミニシナリオなど、嬉しいサービス満載♪
ライター:NOV
ゲームは何でもウェルカム。4月は突然自炊ムーブが発動。これまで外食や総菜メインだったが、ほぼ毎日自炊で出費も酒量も減って一石二鳥かも。長続きしますように。
『アンラベル・トリガー』OPムービー
アンラベル・トリガー
Archive
2024年3月29日発売
AVG、DVD/DL、18禁、Win10/11
パッケージ・通常版:10,780円(税込)、パッケージ・豪華限定版:18,480円(税込)
DL・通常版:9,900円(税込)、DL・豪華限定:17,600円(税込)
ボイス:あり、アニメ:目パチ口パク有り
原画:有葉、サイキライダー
SD原画:九条だんぼ
シナリオ:工藤啓介
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