London犬氏描き下ろし表紙イラスト連動の3回連続特集最終回は鏡裕之氏のインタビュー延長戦!! ボリュームたっぷりのお話を楽しんじゃおう
少しずつ情報が出てきて期待爆上がりなWaffleの大人気シリーズ最新作『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』。
表紙連動特集の最終回となる今回は、鏡裕之氏への直撃インタビューの延長戦。
『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』はもちろん、同時に現在絶賛サービス中の『巨乳ファンタジーバースト』についてもお話を伺ったぞ。
さらに来年業界歴30周年を迎える鏡氏の心境なども語っていただいたので、最後までぜひ読んでみてほしい。
▲今月中にWaffleの公式HPにて本作の新たな続報が出るかも!? 期待して待つべし
原画・London犬氏描き下ろし表紙イラスト連動の3回連続スクープ特集!! 初回はシナリオ担当・鏡裕之氏へのインタビュー前半戦!! Waffleから発表され、話題を読んでいる大人気シリーズ最新作『巨乳 ... London犬氏描き下ろし表紙イラスト連動となる3回連続特集!! 第2回は鏡裕之氏へのロングインタビュー・後半戦!! 特集第1回から話題を呼んでいるWaffleの大人気シリーズ最新作『巨乳ファンタジー ...
Waffle『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』を表紙イラスト連動で連載特集!! 初回はシナリオ・鏡裕之氏への直撃インタビューなど独占スクープ情報満載でお届け
Waffle『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』表紙連動特集・第2回!! 第1回からの続きとなるシナリオ担当・鏡裕之氏のインタビュー後半戦&秘蔵ラフ画像を大公開★
▲全3回の連載特集、第1回と第2回はこちら
STORY
主人公・リーンは、レガリア王国の第三王子。
王子ではあるが、母親が奴隷だったため王位争いでは圏外で、第一王子・タラキン、第二王子・キラルとは違い、家臣はもちろん民衆からも将来を期待されてはいなかった。
そんな彼は二十歳になったことを機に、あまり石高の高くない辺境の地であるボロンド伯領へ伯として派遣されることになる。
ボロンドへ向かう途中、リーンはロバを失い困っている女魔術師に出会う。立ち往生していた彼女に自分の馬を与えると、そのお礼として「魔法のランプ」を譲り受ける。
寂しくなった時に使うものと言われたが、それは願いを叶えるランプではなく、踊り子として有名なサキュバス族を呼び出すアイテムだった。
ランプから呼び出されてやってきたのは、サキュバス族の娘・ベルベル。
彼女との出会いをきっかけに、王子リーンの運命は大きく動き出すことになる…。
▲女騎士・ソニアのおっぱいを…♥ 一回目で見せた彼女のイベントCGの差分となるが、他にも多数の差分や用意され、おっぱいHを堪能することができちゃうのだ
鏡裕之氏直撃インタビューはまだまだ続く!? 本作の気になる点や並行して作業を進めている『巨乳ファンタジーバースト』についても聞いちゃったインタビュー延長戦!!
──特集1回目のお話の際に今作のモデルは『古代ゲルマンの世界と中世ヨーロッパ的世界とを融合』とお聞きしましたが、各キャラクターの名前付けも、前作のように言語圏を意識してつけていたり?
鏡裕之:今作は古代ゲルマンの言語圏を取り込んでいます。主人公リーンの父親はアズラルド。中世ヨーロッパ中期の名前ではないですね。ライバルの王子の名前もキラルとタラキン。これも中世ヨーロッパ中期の名前ではないですね。2人の王子にいつも胸をくっつけている侍女は、ユルグントとジルグント。古代ゲルマン的な名前ですね。
──なるほど。あと名前というと、やはりサブキャラや敵キャラの特徴的…よくからかわれる名前もシリーズではおなじみですが、今作もそういったキャラは用意されているんですか?
鏡裕之:ズコバコ出ます。最低でも2人。最大でも2人。物語の序盤から出てくれます。これぞ巨乳ファンタジー。
そして前もお話ししましたが、暗殺者が出ます。今回は主人公の護衛です。護衛のくせに主人公の飯を勝手に食います。護衛のくせに主人公を暗殺するとか吐かします。つまり、安定のポンコツです。でも、いいやつなんですよ。
──楽しみですね。ちなみに今作のキャラの衣装などは鏡氏から要望を出されているのでしょうか?
鏡裕之:デフォルトで指定することはしないです。衣装的なイメージ力、衣装的なイメージを具現化する力は、原画家さんの方が全然高いので。低い人が事細かに指示をしてもね。ただ、キャラクターのイメージは明確に持っているので、あがってきたラフに対して「そのイメージではなく、これこれのイメージです」というお願いはします。
▲前回の特集でソニアのラフを掲載したが、こちらは裸での髪型ラフ。鎧やマントがなくなった分、より後髪の形の違いが分かりやすいかも
──これまでのお話で、今回の『5』は今までとは違う完全に新しい舞台となりましたが、『6』や『7』を作る際、また違った世界や舞台にする可能性も? もしくは今回の『5』と同じ世界、舞台でさらに広げていく可能性の方がありえそうだったり…?
鏡裕之:ぼくの場合、将来ってのは、将棋の次の一手でもないし、またパズルのピースみたいに「この形の次にはこの形」って形が決まってるものでもないんです。
『4』の具現化した形があって、さらに『4』に対するお客さんの反応があって、さらにWaffleさんからのお願いもあって、それらもろもろを受けて、初めて『5』の形が決まっていくわけで。『4』をつくった段階で、すでに『5』の形が決まるなんてことは100%ありえないです。だって、つくってる段階でお客さんの反応はないんだから。ないのに次の形が決まるわけがない。『6』の形にしたって、『5』が出て、『5』に対するお客さんの反応があって、そしてWaffleさんのお願いもあって、それで『6』の形がやっと決まっていることになるわけだから。だから、『6』とか『7』とか、そんな未来の話、不定形で形すら発生していない世界に対して妄想することはないですね。
──ということは、『6』や『5外伝』などの構想…次回はこんなことをしよう、こんな設定を盛り込もう…なんてことも考えては…。
鏡裕之:ないですね。「2作目はこうで、3作目はこんな感じで……」というのは、他のソフトハウスの他の方の場合にはあるのかもしれないし、あったとしてもそれは尊重されるべき考え方だと思いますが、ぼくの場合、ある続編をつくるというのは、1人目の子供が生まれたらこんなふうにしよう、2人目の子供が生まれたらこんなふうにしよう……と考えるようなものではないんですね。「こんなふうにしよう」って形を決めるフェーズというかステージにまだないっていうか。『5』が出て、そして『5』へのお客さんの反応があって、それに対してWaffleさんのお願いもあって、そういうのがもろもろ集まったフェーズになって初めて次の形が決まるわけですから。何も固まってないフェーズ、何も決まっていないフェーズで構想なんかできるわけがない。ある意味、立つための地面がないわけですから。がっちりと固まった地面がない場所に立てます? 雲の上に立てます? 立てないでしょ? 立つというのを将来を構想することだと捉えていただければ、よくわかると思います。
▲こちらはソニアの表情パターンラフ。とっても表情が豊かで、怒った顔やコミカルに照れてる顔なんかもあって面白いぞ
──確かにそのとおりですね。さて、今作の『5』もですが、同時にソーシャルゲームである『巨乳ファンタジーバースト』も手掛けられていますが、『バースト』は毎月新イベントが導入されていますし、『バースト』の1ヶ月分を終えたら『5』の執筆を…みたいな感じで並行して進めているのですか? もしくはその時の状況により、書けそうな方を先に進める…みたいな?
鏡裕之:ネックは主人公なんです。『5』の主人公リーンと『バースト』の主人公ルーファスは違うんですよ。両者の違いはエッチシーンの台詞まわしにも出ちゃう。『5』を書いて『バースト』を書く、あるいは『バースト』を書いて『5』を書くっていう時に、主人公の切り替えで引っかかるわけです。この切り替えがうまくいかないときつい。
たとえば1週間のうち、月~金まで『バースト』で土日が『5』とか、その逆とか、やってみたんですが、何日もつづけちゃうと、どっぷり浸かり過ぎて頭の中が切り替わってくれないんですね。リーンだったらリーンを、ルーファスだったらルーファスを、書き続けようって衝動が抜けなくて、なかなか切り換えられない。
──そういう切り替えって難しいですよね…。
鏡裕之:たとえば最初に『5』をつづけすぎた場合、ルーファスがリーンに上書きされてしまって、リーンを書きたいって衝動が消えなくなってしまう。おまけにすぐにはルーファスを読み出せなくなってしまう。ルーファスを読み出そうとすると、1、2時間くらい『バースト』のシナリオを読み直さないといけない。その分、タイムラグが発生してしまう。
これ、『バースト』をつづけすぎても同じです。ルーファスを書きたいって衝動が消えなくなるんですね。で、リーンがルーファスに上書きされてしまって、リーンを脳内から読み出せなくなってしまう。結果、また『5』のシナリオを一から読み直さないといけなくなってタイムラグが発生する。
ちょっと哲学の用語になりますが、現働(げんどう)的、潜勢(せんせい)的って言葉があるんですね。アリストテレスの言い方だと、現働的はエネルゲイア。潜勢的はデュナミスです。訳わからんですね。ヘアドライヤーで説明します。
ヘアドライヤーを電源につないでいてスイッチをオンにしてウイ~ンって回している状態が現働的。スイッチはオンにしてないけど、ヘアドライヤーの電源をつないでいて、いつでもオンにしたらウイ~ンって回せる状態になってるのが、潜勢的。そう思ってください。
──は、はい。
鏡裕之:リーンで書く場合には、『5』のシナリオデータがある程度頭の中に入ってる状態、潜勢的にロードされてる状態じゃないといけないんです。ルーファスで書く場合には、『バースト』のシナリオデータが潜勢的にロードされてる状態じゃないといけないんです。主人公は主人公だけで決まってるんじゃなくて、「周りにどう反応するのか」、そして「周りもどう主人公に対して反応するのか」の2つのデータからも成り立っているわけです。主人公単体と、主人公の周囲への反応、主人公への周囲の反応。この3つから成り立ってるわけです。この3つが潜勢的に存在する状態じゃないといけない。
ところが、リーンで書きすぎた場合、ルーファスに関しての3つのデータが飛ぶわけです。ルーファスのデータが上書きされて消えてしまう。逆にルーファスで書きすぎた場合、リーンのデータが飛ぶわけです。リーンのデータが上書きされて消えてしまう。結果、ロードしようとした時にロードできない。仕方がないから、外部から入れ直す、つまり、シナリオを1、2時間読み直すってことをしないとロードできなくなっちゃうわけです。これがきついんですね。本当はルーファスを書いている時にもリーンのデータを潜勢的な状態にしておきたいわけです。リーンを書いている時にも、ルーファスのデータを潜勢的な状態にしておきたい。そして書くぞとなった時に現働的にしたい。ところが、潜勢どころか、消えちゃうわけです。これが、切り換えて書く時の一番のハードルになるんてすね。
▲8月22日まで開催される、『巨乳ファンタジーバースト』の最新イベント「太陽と月」から、SSRである双子姉妹の歌姫・ベルナデットとのHシーン。もちろん妹とのHシーンもあるので、ぜひ遊んでみよう
──その対策…といいますか、どのように対処されているんですか?
鏡裕之:色々試して一番よかったのが、1日の中で分けることですね。午前中は『5』で午後は『バースト』。あるいは午前中が『バースト』で午後が『5』。これだと、頭の中にリーンとルーファスの両方のデータが残っていて、すぐに読み出せるんですね。
──確かにそれなら、日を跨いでるわけでもなく同日内での作業だからすぐ読み出せそうですね。ちなみに『バースト』の毎月の各イベント内容は全て鏡氏が考えて作業を? もしくはディレクターからこんなイベントをできれば~みたいな案が届いてそこから執筆を?
鏡裕之:基本的にイベントストーリー、絆ストーリー、エッチシーン、システムボイス、公開プロフィールは全部書いてます。容量にして、だいたい月600~800KB。技名は優秀なWaffleの若手、空撃くんがつくってくれてます。空撃くん、優秀なんですよ~。
空撃くんには、「鏡さんといるとバグる」と言われます。月600~800KBは普通の人のスピードじゃないのに、それがデフォルトみたいな感じになってしまう、つまり、バグると言われます。
──(笑)。
鏡裕之:開発当初の頃は、企画の姫ノ宮くんがプロットやプロット原案を持ってきてくれてたんです。で、それに対して偉そうにふんぞりかえってケチをつけたり、書き直したり、あるいはそのままシナリオに書いたりしてたんです。このままやと絶対ヒロインとエッチせえへんとか、偉そうに突っ込んでたんです。姫ノ宮くんじゃなければ、とっくの昔に殺されております(笑)。ちなみに姫ノ宮くんは、初代の頃から『巨乳ファンタジー』のディレクターをしてくれている子で、もう15年以上の付き合いになるんです。
『バースト』では、ぼくはあくまで影武者的にシナリオを書く人に徹しようと思ってたんです。専門的に言うとテキストライターですね。指示されたプロットに従って忠実に書く人。『バースト』では監修とテキストライターの立ち位置でいるのがみんなのためなんだって思ってたんです。
▲こちらは8月前半に開催されたイベント「Fanzine第4弾」から、スケートボーダーの鵺。このイベントはゲストライターに妄想Hを書いてもらう限定召喚シリーズなのだ
──そうだったんですね。
鏡裕之:でも、去年の11月あたりぐらいからストーリーの内容にも深く関わるようになっていって。自分の思い違いに気づいて、深く関わるようになっていったんですね。プロット原案があっても没にして全部ぼくがお話をつくったりして、そういうことが続いているうちに、今では姫ノ宮くんからのプロットはなくなってしまいました(笑)。
打ち合わせで最初に見せられるのは、キャラクター設定と立ちポーズラフですね。それを見て「こういうことをやりたいんやな」ってつかむ。何をやりたいのかをつかむのは、得意なのです。で、すぐにプロットを立てはじめる。読んで数分以内にはプロット作業を始めます。
──そんなに素早くプロット作業に!? ではノートPCなどを常備して即…みたいな?
鏡裕之:ぼくの場合は手書きですね。コクヨのレポート用紙にSARASAの1.0ミリの水性ボールペンで書きます。太い方が指には優しいので……。第1節、第2節のマークを紫色のペンで書き込みながら、会話もどんどん書いていきます。だいたいキャラクターの設定と立ちポーズを見たら、会話はすぐ浮かぶんです。考えなくてもすぐリアクションみたいな感じで台詞が出てくるんです。
で、早くて開始後2~3時間、難易度の高いものだと4~5時間でプロットを立て終わります。だいたいレポート用紙100~150枚ぐらいになるのかな。ただ、1行1行びっしり細かい字で書いているんじゃないですよ。めっちゃでかい字で、3行あたり1字の大きさで、数行書くみたいな感じで書くんです。
で、その後、絆ストーリーのプロットもだいたい1本30分くらいで立てて、エッチシーンの指示書をチェックしたり、指示書がなかったらエッチシーンの内容を決めたりして、ザ・終了です。
その後、Waffleの若手スタッフ君がテキストに起こしてくれます。30KB近くになるのかな。それをもらって、今度はパソコンでシナリオを書いて全テキストを数日でトータル200KB近く書いて仕上げるという感じですね。
▲8月は「おπの月」ということで、期間限定キャンペーンも実施中。8/16からキャンペーンの後半がスタート。さらに「8」の付く日は「おπの日」ということで特別仕様に!?
──全部が早い!! しかも数日で200KB…驚きです。作業にあたって、パッケージ作品とソーシャルゲームとでは色々と勝手が違うと思うのですが、実際に執筆をされてその違いや戸惑ったこと、逆にソシャゲならではの良かったところや、パッケージだからこそ良いというところなど、感じたことをお教えいただけますか?
鏡裕之:ぼくが見ているソシャゲマーケットはたぶん1側面、1部分だけだと思うので、「ソシャゲ全般は」みたいに主語をでっかくしてしゃべることはできないんですが、ぼくが感じてる範囲でも、商業エロゲーのパッケージ作品とソシャゲ作品の違いはありますよね。
ソシャゲは初トライだったので、いくつか思い違いというか見込み違いをやらかしてしまって。だいたい3つくらいあって。
1つ目。ソシャゲというから、もっとライトな感じ、隙間時間にサクッとやってサクッと終わりっていう感じ、まさにライトな感じのものを想像していたんですね。だから、重厚にしようとは思ってなかった。重厚なのは重すぎていやがられるだろうと思ってたんです。
でも、実際はちゃんと厚みのあるもの、しっかりしたもの、本格的な感じのあるものを求めてたんですね。競合商品にチープさが目立つものもあったりして、ライトなものはそのチープなものに引き寄せられて捉えられていた。
それで、まず設定の厚みを増して、チープさをなくして本格的な感じを強めて。それからどんどストーリー的にも厚みを増していって。人間的な部分もしっかり出すようにしていきました。今だと、主人公の人格とか野郎キャラとか、ヒロインのことについて、凄い書き込みをしてくれていますね。とてもありがたいです。
実は「ライトかも」っていうの、ラノベに懐(いだ)いたのと同じ間違いなんですよね。ラノベの時も、「ライトノベル」という名前、「ライト」の部分に引っ張られて、軽くさく~っとしたものでいいんじゃないかって思ってたんですね。
蓋を開けたら違ってて、ちゃんとした厚みのあるものじゃなきゃだめだったんですが、ソシャゲも同じ間違いをやらかしました。
▲7月にはメインストーリーの13章も解放された。これを待っていた人も多いハズ
──確かにソシャゲってサクッと遊べるものも中にはありますしね。ラノベも「ライト」ってあるから、最初は軽いものっていうイメージになりますし…。
鏡裕之:次に2つ目。ストーリーレベルでサクセスを見せるのは無理だろうとも思ってたんです。パッケージ作品の場合は、男性キャラがばしばし出てきて、出世と同時に主人公が居住エリアを変えていく。レベルの高い場所にシフトしていく。それによってサクセス感を出してたんです。
でも、ソシャゲではそれはできない。主人公の住所は固定です。なので、ストーリー的な部分でサクセス感は出せないというのがぼくの判断でした。サクセス的な部分は、ゲーム的な部分で感じてもらえたらと思っていたんです。
でも、期待しているお客さんが多くて。「こんなの『巨乳ファンタジー』じゃねえよ!」って声が、初期の頃にはありました。これはやばいな、応えないといかんな、てこ入れせなあかんなと。そこで、主人公のチームを応援する町の人たちが最初は罵倒とか冷たい状態からだんだん熱く、好意的になっていくという感じならばサクセス感を出せると気づいて、序章を大幅に書き直しました。20KBもなかったやつを80KBぐらいに加筆修正しました。
──かなり修正されたんですね…。
鏡裕之:最後に3つ目。ぼくはSSRキャラとかSRキャラに対する思い入れ、情熱みたいなものがわかっていなくて。SSRキャラであっても、イベントストーリーの中で主役として書くんじゃなくて、お話を動かす駒の1つとして書いちゃってたんですね。
でも、お客さんとしては、やっぱり新規のSSRキャラやSRキャラには新規イベントで活躍してほしいし、この子いい子だなあと思いたいわけです。でも、ぼくは駒の1つとして書く。ストーリーによっては主役を持たせるということはしない。それですっごいネット上で怒られて。「買わせる気、あるんか!?」って。
そう書いてくれた人に感謝していますね。そうか、そうかぁって。それで新規のSSRキャラやSRキャラが初登場するイベントストーリーではちゃんとそのキャラたちに活躍の花を持たせるようにして、あと、ヒロインの過去も少しなりでも見せるようにしました。
だいたいそういう感じかな。
▲7月のイベントでSSRキャラ・イルーギオが登場。SRやSSRキャラを始め、巨乳美女&美少女がどんどん増えているのだ
──好きな子や推しの子に対するファンの情熱って凄いですもんね。それにしてもやはり違いってのはあるもんなんですね。
鏡裕之:パッケージエロゲーもエロソシャゲも、ともにエロ(エッチシーン)があるわけですけど、ソシャゲの方が一般ジャンルに近いなって感じますね。ぼくが一番タッチするのは「台詞を書いてキャラを立てる部分」と「お話をつくって書く部分」なので余計にそう感じるんでしょうが、ストーリーレベルで言うと、ソシャゲはポルノというより一般ジャンルに近い感じですね。アダルト区分と一般区分の中間、エロゲーと一般ラノベの中間、エロゲーと一般向けコミックの中間みたいな感覚を、ストーリーレベルでは感じます。一般ジャンルで「このお話、面白い!」って思わせる力がある程度ないと、なかなかソシャゲで戦うのは厳しいなあという感じです。ソシャゲでお話をつくっていくのは、難易度的に難しい作業なんだなあって感じてます。
──ストーリーレベルでは、というと…作業的にはどうなんでしょう?
鏡裕之:作業的な違いはあまり感じないですね。やることは同じ。システムボイスや公開プロフィールがあったり、イベントシナリオと絆シナリオとエッチシーンとがテキストとして分かれていたりってのはありますが、ゲーム性の強いゲームだったら、パッケージ作品でもシステムボイス的なものはあったりするから、そんなにパッケージ作品と違うなあという感じはありませんね。
作業的な違いを一番感じるのはエッチシーンですね。SSRキャラはアニメがデフォルトで入っているので、低速のアニメ、中速のアニメ、射精、高速のアニメ、射精、みたいな流れで書く。この辺りの流れはちょっと違うなという感じがあります。
ただ、基本的にエッチシーンが2カットなので、前戯を出しづらいんですよね。どうしてもパイズリと挿入セックスという形になる。前戯と挿入セックスというのはやりづらい。乳吸い手コキと挿入セックスというのも、あまり多くは使えない。1人に対して投入できるCGリソースが、パッケージ作品の方がある。乳揉みと乳吸いの前戯で2カット、それから挿入セックスがあって、さらに別の日のセックスでパイズリがあって乳吸い手コキがあって……みたいに、パッケージ作品は1人のヒロインに対してそこそこCGリソースを投入できてしまうので、そこはほんと、パッケージ作品のよさだよなと思います。逆に、そこがソシャゲのビハインド的な部分ですよね。また、必ずしもアニメを投入しているわけではないので、「これだと動かした時にちょっと微妙かな」ってことを考えなくていい。純粋に映像的なつながりとか、映像的なかぶりとか、映像的な映えを考えればよくて、そこもパッケージ作品のよさだなと思います。ソシャゲの場合、このカットいいんだけど、アニメにする時に微妙だから却下っていうのがあるので。
▲7月下旬から8月上旬には、水着姿が眩しい「タコ帝国の逆襲」という夏らしいイベントも開催されていたぞ
──あー、Hアニメの導入もってなると、考えることも多くなりそうですしね。
鏡裕之:ソシャゲの場合、SSRキャラはアニメがデフォルトなので、そこはいいなと思います。でも、一番のよさは反応の早さかなと。つくって出して、反応が来るまでのサイクルが早い。パッケージ作品だと相当のボリュームをがっつりパッケージするから、反応がわかっても、反映は1年後の作品で……なんてことになる。
でも、ソシャゲはすぐにお客さんの反応を見て次に生かせちゃう。文字の修正なんかも比較的すぐにできちゃうし、お客さんの反応を見て、「そうか、こういうのはあかんのか」「こういうのを入れていけばいいのか」っていうのはすぐ把握できて、次回作とか次々回作に投入できちゃう。そこはほんと、いいところだなと思います。
ただ、その代わりに次のシナリオの締め切りが来るのが早い(笑)。1人で書いてるからそうなるんですが、週刊連載です。毎週締め切りがある。そして毎週、10時間の打ち合わせがある。これはパッケージ作品ではないですね。
──お、お疲れ様です(汗)。ちなみに、その『巨乳ファンタジーバースト』ですが、今作の『5』ともコラボや何かしらの関連した展開なども盛り込まれる予定は…。
鏡裕之:姫ノ宮く~~~ん!
▲ギャグテイストかと思いきや、ちょっとした秘密が明らかになったりハートフルな展開があったり、名前とセリフだけだった主人公の親友が登場したりと話題になったイベント「天と痴と」
──(笑)。では最後にお聞きしますが、今年で業界歴29周年、そして来年30周年とのことで、これまでの活動を振り返ってみての思い出や、まだまだやりたいことも沢山あるかと思いますが、これからの抱負などをお聞かせください。
鏡裕之:この業界に入って2、3年経った頃だったかな。ブランドとしてはなくなっちゃったエルフの蛭田さんが45歳までつづけていたって話を聞いて、45歳まではつづけたいなあって思ったことがあるんですね。ぼくは26歳でこの業界に入ったから、20年近くつづけられたらいいなあ、その年になっても一線でシナリオを書けていたらいいなあって。
結果的に30年近く書いているわけで、まだ不思議な感覚があります。まだ自分は書いてるんだなあって。それに対してすげえなって感覚はなくて、不思議な感覚なんですね。自分でも、なぜ続いているのか、わかってない部分がある。わかってる部分もあるけど、わかってない部分がある。そのわかってない部分が凄く引っかかっていて、不思議な感じがするんです。
──凄いではなく、不思議な感覚…ですか。
鏡裕之:ぼくね、エロゲー業界に入りたいって気持ちはなかったんですよ。業界への憧れもなかったんです。エロゲー雑誌は91年頃から買ってたけど、パソコンを持ってなかったからプレイしてなかったし。中学2年生の時からとにかく作家になりたい、作家になるんだって思ってて。書く時間をつくれるところはないかって、それで就職を決めたようなところもあるし。初めてエロゲーをプレイしたのは業界に入る半年前、1994年の12月頃です。最初が『河原崎家の一族』で、次が『DESIRE』。
入るきっかけになったのは、26歳の誕生日の2日後ですね。ぼくは大卒で入って某大手メーカーの医療事業部に勤めていて、誕生日の2月21日にXレイフィルムと付き合ってほぼ徹夜したばかりだったんですね。その時に、九州支店へ行けって辞令が下ってしまった。間接部門から営業への配置転換です。ぼくにとっては、望まぬ人生の地殻変動です。新人が九州支店に配属となると、沖縄担当になるんですね。博多の支店を出たら、1週間は帰って来ないわけです。
当時からメーカーは合わないと思っていて、寮で毎朝午前4時に起きて3時間エロ小説を書いて自分のアイデンティティを保ってたわけです。でも、それができなくなる。
あ、精神的に壊れるなって思いました。おまけに新人君は、先輩といっしょの時は車の運転担当になるんです。ぼく、公道で車を運転するのが大嫌いで、ここでもまた削られるよなあって。それでエルフとかいろんなところへ履歴書を送ってイリュージョンに受かって決めたんですが、あの時の地殻変動がなければ、今のぼくはないわけです。たぶん、今でもクリエイターになれずにサラリーマンをやってたんだろうと思うんです。何度思い出しても、運命の不思議さを感じますね。
▲多種多彩な巨乳キャラがバンバン登場する『巨乳ファンタジーバースト』。おっぱい好きならぜひ遊んで欲しい
──もの凄い転換ですね。
鏡裕之:入社して3カ月後の95年9月に、一線級の声優さんの収録に立ち会えたのも大きかったなあって思います。ちょうど8月に一般作のシナリオも任されることになって、ハイピッチで書き上げて、スタジオに出掛けて。
人生初スタジオで、しかも、凄く有名な声優さんもいらっしゃってて。思い切り舞い上がってました。フワフワ、キラキラしてましたね。でも、上手な人に演じてもらうと、自分の芝居のクオリティがわかるんです。シナリオのだめさ加減がわかるんです。凄い声優さんにお芝居していただきながら、「おれはこんな凄い人たちに、なんてひどいシナリオをやらせてるんや……」ってもうどんどん気分がブルーになっていって。待ち時間の間に稽古されている姿を見て、「やめて! そんなに練習する価値のあるものじゃないから!」って叫びたくなっちゃうくらい、きつくて。その時に、一線級の人たちに、「あなたのお芝居なら出たい」って言われるようになりたいって思ったんですね。そう思えたのは、本当に作り手として最高の財産だったなと思います。今のところ、そういう言葉はもらえてませんが(笑)。
──(笑)。でも衝撃的な出来事といいますか…他にも色々な思い出がありそうですね。
鏡裕之:別のソフトハウスに転職したらプロデューサーとディレクターとシナリオライターを兼務するようになったりとか、フリーランスになったり、巨乳フェチゲームの話が原画家さんと流通さんとダブルでほぼ同じタイミングで来てひっくり返ったりとか、なんか色々あったなあという感じはありますけど、振り返ってみればいやに思えることがあっても、それをきっかけにして結果的にジャンプアップしているので、チャンスってのは、必ずしも気持ちいい形で来るものじゃないんだな、少なくとも成長のチャンスってのは、気持ち悪い形や不愉快な形で来ることの方が多いんだなって感じてます。
今は、時々考えたりします。『巨乳ファンタジー』シリーズの次に、自分は何をつくるんだろうって。消費税は減税しないままだし、課税率は高いままだしで、あんまり『巨乳ファンタジー』が誕生した頃とお客さんの懐状況は変わってないんですよね。だから、次のシリーズ、何になるんだろう、何をつくればいいんだろうって。自分がぷちぱら文庫Creativeで7巻まで出してる『揉ませてよオレの正義』をエロゲーにしたいなあって気持ちはありますが、あの作品が商業エロゲー市場に果たしてマッチしているのかっていう問題がありますからね。
個人的には、70歳ぐらいまでエロゲーのシナリオの仕事をつづけられたら面白いなあって思ってます。
──ぜひ続けていただきたいです!! そしてまた色々とお聞かせいただければと(笑)。では締めとして、ファンの方々に一言いただけますか?
鏡裕之:元通り1日80KB書いてもまったく壊れない腕に戻れるように、みなさん祈っていてください!
──(笑)。ありがとうございました。
▲『5』も『バースト』も今後の続報から目が離せない!! まだ見ぬヒロインや無数のHシーンに期待してまとう
BugBug.NEWSのTOPを飾る描き下ろし表紙『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』のイラストがタペストリー化!! Hな差分もあるぞ♥
本サイトのトップで掲載中の、原画・London犬氏による描き下ろし表紙イラストをBugBugオリジナルタペストリー化!!
BOOTHの【BugBugショップ】にて、表紙イラストを使ったB2タペストリーを期間限定で予約受付中だ。
トップに表示された画像を用いた「表紙ver」と、もっとエッチになった差分イラストの「えっちver」の2種類を用意。受注締切は2024年10月2日(水)いっぱいとまだまだ間に合うのでぜひ予約をしちゃおう!!
▲BugBug.NEWSのためだけの描き下ろしビジュアルが、貴重なB2タペストリーに!! ここでしか購入できないぞ
巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~
Waffle
2025年2月発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win10
価格未定
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:London犬、西條サトル、深泥正、只野あきら
シナリオ:鏡裕之
関連記事 現彼女と幼馴染み──二人の美少女に慕われる人間ドラマと極上エロスが楽しめる新機軸ラブロマンス 巨乳モノをはじめ様々なジャンルのヒット作を世に送り続けるWaffle。その最新作は、『奴隷姫騎士と奴隷侍女 ... London犬氏描き下ろし表紙イラスト連動となる3回連続特集!! 第2回は鏡裕之氏へのロングインタビュー・後半戦!! 特集第1回から話題を呼んでいるWaffleの大人気シリーズ最新作『巨乳ファンタジー ... 原画・London犬氏描き下ろし表紙イラスト連動の3回連続スクープ特集!! 初回はシナリオ担当・鏡裕之氏へのインタビュー前半戦!! Waffleから発表され、話題を読んでいる大人気シリーズ最新作『巨乳 ... ずぶ濡れ表現に特化したハイクオリティなビジュアルが極限生活の物語を盛り上げる!! ずぶ濡れ表現にこだわったビジュアルが特徴的なWaffleの『濡れる孤島』。 元々は2022年に発売された作品で、ワガマ ... 原画:深泥正氏×シナリオ:はやさかうたね氏のコンビで贈る息子の嫁とナイショの逢瀬を楽しむAVGがお得な価格で復活 2022年に発売されたWaffleの『ナイショの姦淫』は、三人の息子の嫁たちと、息子に ... おっぱい星人が待ちに待ってた大人気シリーズにナンバリング最新作がついに登場!! 巨乳好きがみんな大好きな美少女ゲームと言えば、言わずと知れたWaffleの『巨乳ファンタジー』シリーズ。 実に15年以上 ...
Waffle『恋愛弱者な幼馴染少女と恋愛強者な彼女』を速報チェック!! 原画・柾見ちえ氏とシナリオ・間崎俊介氏のタッグで描く新しい形のラブロマンス
Waffle『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』表紙連動特集・第2回!! 第1回からの続きとなるシナリオ担当・鏡裕之氏のインタビュー後半戦&秘蔵ラフ画像を大公開★
Waffle『巨乳ファンタジー5 ~王子リーン~』を表紙イラスト連動で連載特集!! 初回はシナリオ・鏡裕之氏への直撃インタビューなど独占スクープ情報満載でお届け
Waffleの『濡れる孤島』は流された無人島でワガママ姉妹を徹底的に蹂躙する極エロAVG!! 生と性を描くサバイバルが待望の破格版となって帰ってきたぞ★
Waffleの人妻エロス満載なAVG『ナイショの姦淫』がオトクな破格版となって登場!! 息子の嫁三人との濃厚エロにオジサンチ◯ポは乾く暇なし♥
Waffleの代表シリーズ最新作『巨乳ファンタジー5-王子リーン-』がついに登場!! 底辺王子が爆乳美少女たちと王位争いを勝ち抜く痛快おっぱいラブロマンス★