瀬菜モナコ氏描き下ろし表紙イラスト連動・全3回の連載特集!! 第2回はストーリーの見所をシナリオプレビューで伝える【シナリオ編】
Liar-softの最新作『誰ソ彼のシェイプシフター』は企画&シナリオ・由又かつお氏、原画・瀬菜モナコ氏で描く、怪奇で切ない恋のストーリーだ。
瀬菜モナコ氏描き下ろしのヒロインイラストがBugBug本誌の表紙を飾っており、本サイトでもトップに掲示されている。
この記事はそんな表紙イラスト連動で作品の魅力を紹介する全3回の連載特集だ。第2回となる今回は、サスペンスや伝奇的な雰囲気を持ちながらも、大学生の恋と青春を中心としたシナリオの魅力を伝える。既に発表されている体験版から特に本作の魅力を伝える一部をピックアップし、物語の要素を紹介していきたい。
さらに体験版のその後を描いたシナリオの一部も特別に提供していただいたので、こちらもシナリオプレビューで紹介。一足先に本編の展開を覗き見ることが可能になっているぞ。読むほどに引き込まれていく、『誰ソ彼のシェイプシフター』の深い世界を体験しよう!!
▲描き下ろし表紙イラストがこちら。「影子とちせ、ふたりの内部的な境界が曖昧になった状態」が表現されているなど、瀬菜モナコ氏のコメントは第1回【ヒロイン編】をチェック!!
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Liar-soft『誰ソ彼のシェイプシフター』を描き下ろし表紙イラスト連動で大特集!! 初回はデザインラフ&スタッフコメント付きで深掘り紹介する【ヒロイン編】
原画・瀬菜モナコ氏による描き下ろし表紙イラストと連動した全3回の連載特集がスタート!! 企画・シナリオ、由又かつお氏による『蛟の巫女』で伝奇的な切り口にチャレンジし好評だったLiar-softが、再び ...
▲第1回【ヒロイン編】はこちら
STORY
昨日別れたはずのメンヘラ彼女・河元ちせ──に見えるナニカに交際を申し込まれた主人公・竹之内洋人。
影子と名乗る彼女の正体は「シェイプシフター」という影の異形で、元カノの姿なのは"ちせ"を取り込みつつも、吸収せずに体内に留め置いているからだという。
さらに影子は「期限付きで構わないから、あなたの彼女として生活してみたい。そうしてくれたら、無事にちせを解放する」と要求してきた。
そんな約束から始まった仮初めの恋人生活は、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか…?
▲ちせが否定したバイク趣味をわかってくれる影子。わかってくれるというか、本人もバイクが大好き。ちせによってすり減った洋人の心が、同じ顔の影子によって癒されていく
影の怪異シェイプシフター
影子
(えいこ)
CV:冬峰小鈴
▲影子と名乗るシェイプシフターがちせに擬態した姿。明るく愛想がいいが、実際は卑屈で自己肯定感が低い。生まれてから日が浅く、精神的に不安定。人の世界で居場所を得ることに憧れている
好き嫌いが極端な主人公の元カノ
河元 ちせ
(こうもと ちせ)
CV:冬峰小鈴
▲大学二年生。主人公・洋人の元彼女で、佳奈枝の従妹。成績優秀で、文学が好き。内向的でごく限られた人間にしか心を開かない。ただ好きになった相手には異常に依存する
気さくで世話焼きなちせの従姉
村瀬 佳奈枝
(むらせ かなえ)
CV:加々美澪
▲大学四年生。洋人の同期生で、ちせの従姉。ちせの面倒をよく見ていたが、大喧嘩して現在は憎み合っている。洋人には以前から友人として以上の心を寄せていた
佳奈枝の友人で大学内でも有名な美人
沢木 瑠実
(さわき るみ)
CV:鹿瀬紫卯
▲主人公と同じ大学の三年生でミスコン二年連続優勝者。美人として有名で、男漁りが趣味の淫乱との噂もある。佳奈枝とは友人で、影子と主人公に興味を示している様子
人生の大半を病院で過ごしてきた主人公の義妹
西園寺 美晴
(さいおんじ みはる)
CV:七瀬こより
▲長期間入院している義妹。親の前では温和で物わかりの良い性格で通しているが、洋人に対してはふてぶてしく、年齢相応の可愛げを見せる。洋人の人格形成に大きな影響を与えている
シェイプシフターの恋心と人間の恋心は複雑怪奇に絡み合う──
公式サイトではゲームの冒頭が収録された体験版を公開中。ここでは体験版のシナリオを抜き出して、どんな雰囲気でどんな要素があるのか、見どころを紹介していきたい。
ストーリーは主人公・竹之内洋人と河元ちせが別れるところから始まる。そんな彼の元に現れた影子が、洋人とどう関わるのか、佳奈枝とちせの関係は……体験版範囲の見どころをチェック!!
洋人とちせの終わり
……ああ、やっぱり。思っていた通りじゃないか。
少なくともこの恋の終わりは微塵も美しくなんてないし、気分だってすこぶる悪い。
当たり前だ。今でこそ、側にいるだけで気の重くなる相手でも……以前は確かに本気だった。そんな女に、こんな顔をさせなくちゃいけないんだから……。
【ちせ】「……………………あや、まります。おかしかったんです、私……なんであんなことをしたのか、自分で自分が分からなくて……」
【洋人】「それはないだろ。動機も目的も何もかも、あの時懇切丁寧に説明してくれたじゃん? 聞いてもいないことベラベラと、思い知らせるみたいにしてさ」
【洋人】「まったく、毎度毎度よくもそう言い訳にすらなってない嘘を吐けるもんだよな? ……いや、そのつもりすらないのか。都合がいい思考回路してるよな、本当」
【洋人】「理屈も筋道もまるきり無視してさ、自分で言ってておかしいとか思わないわけ? 答えろよ。頭いいんだろう? どうなんだよ。なあ、ちせ──」
【ちせ】「知らないっ! 聞きたくないっ! どっどうしてそんなっ……わ、私だけが悪かったみたいに言ってっ……! もっ元はと言えばっ全部先輩のせいなのにっ!」
【ちせ】「私は嫌だって言った! 嫌いだって、構わないでって、そう言ったのに! それでも先輩が優しくするからっ……支えたいだなんて言うからっ!」
【ちせ】「……理解、してみせるって。側にいてくれるって、先輩がそう言ったから……なのに……っぐす、ひ、うゥっ……なんでぇ? なんでっこんなことになるのぉ……っ?」
【洋人】「そうだな、全部俺が悪い。こうなったのも、分不相応な真似をしたツケだって納得もしてる」
【洋人】「俺は君を恨まない。でも、君は好きなだけ俺を恨めばいい。それでいいだろ。満足だろ? ……だから、佳奈枝にしたみたいな筋違いな八つ当たりだけは二度とするな。いいな?」
【ちせ】「やだあぁっ! ぜんっぜん良くないっ! 面倒そうにしないでっ、終わりみたいに言わないでえぇっ!」
【ちせ】「っせきにんっ……とってくださいよおぉぉっ! 私のことっこんなに弱くしたせきにんんんっ……!」
【ちせ】「ぐすっ! ひう、うっうぅっ……わ、たし、もぉっ先輩がいなくちゃっ……お願い、ですからぁっ……! これからもっ……いつまでもっ一緒に──」
【洋人】「無理だ。俺では君を支えられない」
【洋人】「分かるだろ? ……限界なんだよ、もう。お前といるのしんどいんだ」
【洋人】「……頼むからもう、俺を解放してくれよ」
【ちせ】「…………わたし、たち……本当にもう、終わりなんですね……」
【洋人】「今までありがとう。……さようならだ、ちせ」
CHECK
ストーリーの始まりは、突然の別れ話から始まる。この時点では二人の関係は不明だが、ちせのメンヘラはすぐに理解できる。そして洋人が耐えられなくなる、決定的な何かがあっただろうことも。
何か異様な空気が伝わってくるのは、別れ話の解像度が異様に高いことが原因だ。洋人もちせも、もう終わりであることは理解していて、それでもちせはその終わりに耐えられない。そして洋人はもう、そんなちせの感情に一切付き合う気がない。
恋愛を描く作品が、終局までの道がなんとなく想像できるほど、恋の終わりをリアルに描くところから始まる点に深い決意を感じるスタートである。
洋人と影子の初デート
【影子】「ひろっひろろろひろっ洋人さん! これ! これは! これはぁぁぁっ──!?」
【洋人】「……へぇ、似合ってるじゃん」
やってきたのはバイク用品店。……バイク乗りにとっちゃ、ショッピングモールだのアウトレットなんてものよりよっぽど楽しい時間を過ごせるテーマパークみたいなもんだ。
所狭しと並んだ車両のカスタムパーツやツーリング用品、積載装備の数々はいくら眺めていても飽きがこない。
ヘルメットなんかは試着は勿論のこと、個々の頭のサイズに合わせた最適のフィッティングサービスなんかもしてくれる。
今影子が試しているジャケットにも、おまけ程度ながら薄いプロテクターも入ってるからな。
サイズが合っていてもメーカーや素材によってはダボついて格好つかなかったりするし、着心地を確かめて買うのが一番ってわけだ。
【洋人】「着た感じはどうだ? ファッション目的のライダースなんかはタイトに選びがちだけど、実用性を優先するならゆったりめがいいぜ。寒けりゃ下にも着こめるし」
【洋人】「……うん、パッと見は問題なさそうだな。ちょっとそのまま腰落としてみ。そうそう、乗車姿勢っぽい感じで……どうよ、きつくないか?」
【影子】「ばっちりです! いいですねーこの格好! あったかくて、動きやすくって! ジャケットのインナープロテクターも乙女心をそそります!」
【洋人】「……普通男心じゃね?」
【影子】「ロマンが男の人だけの特権だって思ってもらっちゃあ困りますねえ! そっそれよりもっ本当にいいんですか!? このお洋服、一式買ってもらっちゃって!」
【洋人】「ああ。……ま、初デート記念ってやつ? 気に入ってくれたんなら、大事に使ってくれよ」
【影子】「勿論ですっ! いえいっ! フルアーマー影子ここに爆誕! カッコ可愛さ、レッドゾーン!」
おーおー、はしゃいじゃって。……ま、怪異には風邪も怪我も無縁らしいが。一緒してる俺のほうが傍目に見ていて寒そうだったからな。
これからもバイクに乗るっていうなら、ライディングに適した服も一セットくらいは揃えておいてもいいだろう。
【洋人】(……なんて。別にもっともらしい理由を付ける必要もないんだろうけどさ)
出会ってからというもの、影子からは何度となく新鮮味や心動く刺激を与えてもらっている。
俺からも、何か礼を……この女の子を喜ばせてやれることをしてやりたかったんだ。
俺達の関係性を考えれば、形に残るようなものは余計なのかもしれない。だけど……。
【影子】「えへへ……ありがとうございます、洋人さん! 私、このジャケット、ずっとずっと大切にしますね!」
……その、弾けんばかりの笑顔を見て。
この自己満足が間違いでなかったと、素直にそう思えた。
CHECK
別れ話の翌日に、まったくの別人になって洋人の前に現れたちせ……の姿を借りた影子。天真爛漫な彼女は体内に捕獲しているちせを人質にする形で、洋人に一ヶ月の交際を了承させる。捕食したちせの影響なのか、影子も洋人が大好きになっているらしい。
影子はシェイプシフターという、生物に擬態する怪異なのだが、酷い鬱がやっと落ち着いてきた洋人の現実感が曖昧なのもあって、あっという間に生活に溶け込む。
これはそんな彼らが急速に仲良くなるワンシーン。(ちせと違って)洋人のバイク趣味に理解を示すどころか本人もバイク大好きな影子に、洋人がライダースジャケットをプレゼントする。
喜ぶ影子が愛らしいと同時に洋人の回復を示すシーンで、悲惨なことになったちせとの差が浮き彫りになる場面でもある。要素としては恋のシーンなのだが、影子はあくまで怪異であり人間ではない。そこにサスペンスが秘められており、二人の仲が進展するごとにその事実がどんどん重くなっていく。
佳奈枝との衝突
【佳奈枝】「……理由を説明してもらいたんだけど。ちせとは話をつけるって……きっぱり別れるって、そう言ってたよね? どうしてまだ一緒にいて、仲良く食事までしているわけ?」
【影子】「えっ……と、あの、それはですね──」
【佳奈枝】「あんたは黙ってて。あたしは洋人に聞いてるの。……どうなってるの、洋人」
【洋人】「……もう少し、お互いと向き合う時間を作ることになったんだよ。とりあえず一か月、また前みたいに彼氏彼女やった上で、あらためて今後について決めようって……」
【佳奈枝】「本気なの……っ!? そうやってズルズル相手し続けたせいであんな底なし沼みたいな関係になったんだって、嫌ってほど分かってるはずでしょう!?」
【佳奈枝】「半端な同情が一番駄目なんだって! この子のことだもん、付け入る隙があるって見れば、何度だって洋人のこと引きずり込む気でいるに決まってる!」
【洋人】「そういう言い方はらしくないぞ、佳奈枝。……まして、ここは人の目のあるんだし。お前は交友関係だって広いんだからさ……」
【佳奈枝】「人の目なんてどうだっていいよっ!」
【佳奈枝】「……どうしてよ、洋人。あんなに苦しんだんだよ? やっとここまで回復して、ようやく立ち直ろうって時に、これじゃあまた……」
【洋人】「悪いとは思ってる。お前にも随分と相談に乗ってもらった上で、一度は関係を畳むって、そう決めたのにな。相談もなしに翻すような真似をしちまった」
【洋人】「……だけど、もう決めたことなんだ。自分自身の意志でな。この状況について、ちせは何も悪くない。……責めるなら、俺だけにしておいてくれ」
……。
…………。
【佳奈枝】「……そう。それなら、これ以上あたしが出しゃばるのはお門違いだね」
【洋人】「悪い」
【佳奈枝】「謝らなくていいって。……でも、あたしは反対だから。この子といたら、洋人は幸せになれないって考えは変わってない。それだけは覚えておいて」
【影子】「あっ……あの、佳奈枝さん……」
【佳奈枝】「……名前で呼べるんじゃない、洋人のこと。その気持ちの悪いぶりっ子といい、悪あがきもいよいよ本気ってわけ?」
【影子】「わるあがき……?」
【佳奈枝】「それ以外のなんだって言うのよ。……ま、長続きするとも思えないけど。あんたのことだもの、どうせすぐ癇癪起こして滅茶苦茶やらかすに決まってる」
【佳奈枝】「これだけ親身な彼氏のこと、あんなにボロボロにしてさ。この上まだ人生の足を引っ張りたいの? ……そうなんだろうね。そういうやつだもんね、あんた」
【佳奈枝】「あんたみたいな人間はどうせ懲りない。いつだって、いつまでだって自分の気持ちばっかり押し付けて他人を不幸にし続けるんだ。まともじゃないよ、絶対──」
【洋人】「佳奈枝! いい加減にしとけって!」
【佳奈枝】「っ……ごめん、言い過ぎた。いつもみたく食ってかかってこないから、つい止まらなくなって……ああ、これじゃあたしだけが嫌な奴だ……」
CHECK
体験版から抜き出したシナリオはどれも恋の話だ。ちせの終わった恋、影子の始まった恋、そして佳奈枝の始まってないから終わりもしない恋。
佳奈枝はちせと洋人が付き合い始めて、恋の終わりを……始まりすらしなかったことを悟った。しかし洋人が鬱になり、それを立ち直る手助けをし、肉体関係まで結んだことで恋が恋にならないまま段階だけが進んでいる。そのどうにもならないモヤモヤを、しかも当人ではない影子に対してぶつけてしまう。
通常なら本人が言う通り「嫌な奴」な印象だろうが、そうではなく本当に「良い奴」なんだろうという印象が残るのが本シナリオの非凡なところだ。物語をちせと影子に単純化しない佳奈枝の存在は、シナリオのキーとして注目していきたい。
そしてできるなら幸せになって欲しい。絶対良い奴だし……。
特別に提供していただいた体験版以降の本編シナリオをプレビュー!!
別れ話から始まり、影子との生活が始まった体験版以降、キャラクターの仲は進展し、変化し、ルートによっては「怪奇譚」としての側面が顔を覗かせていく。そんな本編シナリオを一部特別に提供していただくことができたため、3シーンを厳選して掲載しておきたい。
内容は影子との踏み込んだ会話、ダークなルートへの入口、ヒロインのひとり美晴とのシーン。
シナリオの由又かつお氏がネタバレに配慮して一部テキストを改変してくれたため、読んでしまったから本編を楽しめなくなることはない(ありがとうございます!!)。安心して想像を膨らませながら、発売を楽しみに待とう!!
影子に対して本気になった洋人
【洋人】「……んなことしなくたって、俺はお前に夢中だよ」
【影子】「え──ア、アハハ! もー急になんです? 嬉しいですけど、素直過ぎるのもらしくないですよ?」
【洋人】「変な意地張って後悔したくないからな。……大事なことは、今のうちに伝えておこうと思ってさ」
【影子】「…………洋人、さん?」
……心臓が騒がしい。らしくもなく、俺は緊張しているらしいな。
【洋人】(でも……こんな感情の機微を味わえるのも、こいつのおかげなんだろうな……)
そう思えば、愛おしさに肩の強張りは自然に解けて、口は想いを伝えるべく滑らかに動き出してくれた。
【洋人】「どれくらい伝わってるかわからないけどさ、俺はお前のことマジで気に入ってるし、感謝だってしてるんだ。……この時間を一か月きりなんかで終わらせたくないと、そう感じてしまうくらいに」
【影子】「……本当に、どうしたんですか? 私がちせさんのこと返さないんじゃないかって心配になって、それでこんなオベッカ使ってるんです?」
【影子】「だ、大丈夫ですって、約束は守ります! 時が来たら、ちせさんのことはちゃんと──」
【洋人】「違う。違うよ。俺が一緒にいたいのはちせじゃない。……お前なんだよ、影子」
【影子】「────そ、れは」
【洋人】「……本気になっちゃ、迷惑か?」
【影子】「そんなっ! 迷惑だなんて……あの、でも、本当の私は醜くて、悍ましくて……」
【洋人】「確かに、ちせが俺好みの外見してるってのはその通りだ」
【洋人】「だけど前にも言った通り、仮に元通りのあいつがかえってきたとして、今更よりを戻すことはないよ。……もう終わったことだし、続けたいとも思えないんだ」
【洋人】「俺が目の前の女に惹かれてる、その一番の要因が間違いなくお前だ。影子っつう中身ありきなんだ。そこを誤解せず考えてみてほしい」
【影子】「……でも……それじゃあ、本物のちせさんはどうするんですか?」
【洋人】「勿論、解放してやるべきだとは思ってるさ。……短くない時間一緒にいた女だからな。これ以上関わりたいとは思えないけど、不幸であるより幸せであってくれた方がいいに決まってる」
【洋人】「……だけど、どうしてもお前が本当の姿を見せたくないっていうなら、それでもいいと思ってる。……それをこそ尊重したいと、そう思うようになった」
【洋人】「お前が俺から離れていくってんなら……その姿でなけりゃ俺といられないっていうのなら、これからもずっとその姿で──ちせとして生きていけばいい」
【影子】「っ……!? 洋人さん、自分が何を言ってるのか分かってるんですか!?」
【洋人】「分かってるさ! ……その上で言ってるんだ。お前といるために必要なことだっていうのなら、俺は──」
ダークルート影子
【影子】「──こんなもの、だったんですね」
……一体私は、何を幻想していたんでしょう。
信じたかったものは、この一晩ですっかり価値を無くしてしまった。
けれど、気分は悪くありません。つまらないことで死にたくなるほど悩んでいたことが馬鹿らしく思えるほど、ただただ静かな心地でした。
私はどこまでも怪異で、その本能から逃れることはできない。……そして、人間もまた、そう価値のある生き物ではないのでしょう。
【影子】「結局は全部、ミメイさんの言う通りだったな……」
今なら、彼女が望んだような私をやれそうな気がします。無理することなく、責任転嫁のためでもなく、自分自身の自然な意志で。
……さて、この人、どうしようかな? 成り行きながらある程度の寿命は稼げましたし、今後の糧を選り好みする余裕は十分にあります。
それに──これは、自らに固く禁じてきた一線を越える行為。越えたら最後、もう本当に以前の私には戻れなくなるでしょう。
……しかし。だからこそ、今この場で「そう」する意味があるようにも思えます。本当の自分を受け入れる、その通過儀礼として……。
【影子】「……いいよね、別に。戻れなくて困るようなこと、もうないだろうし」
──決めた。やっちゃおう。
【影子】「……ねぇ。あなた、私を見捨てないって……いつまでも一緒にいたいって、そう、言いましたよね?」
意識はまだあるようです。けれど、答えはありません。そんな力さえもう残っていないようです。
けれど……私を見つめるその表情は、恐怖で引き攣っているように見えて──
【影子】「──まあ、どうでもいいですけど」
……。
…………。
【影子】「……まず。やっぱり出涸らしですね」
【影子】「それでいて、妙に胃もたれするような感じもあって……なるほど。醜い個体は命の味まで下等というわけですか」
【影子】「──次はもう少し、美味しいモノが食べたいな」
打ち解けていなかった頃の洋人と美晴
【美晴】「……はい?」
【洋人】「あー……俺。洋人だけど」
【美晴】「お兄ちゃん? ……えっと、どうぞ」
……そんな俺が母親の頼みを聞いて一人病院までやってきたのは、果たしてどういう心境だっただろうか。
別に大した手間じゃないし、忙しいというのなら遣いくらい頼まれてやってもいい。その程度の、ほんの気まぐれだったと思う。
いずれにせよ、俺一人で美晴を訪ねるのはこれが初めてのことだった。
【洋人】「……あー、体調は?」
【美晴】「う、うん。まあ、いつも通りかな? ……お見舞いに来てくれたの?」
【洋人】「まあな。……ほらこれ、母さんから。着替えと……こっちの紙袋は、漫画がどうとか言ってたっけな」
【美晴】「ああ、そうそう。あはは、久しぶりに読みたくなっちゃって。今度来るときに持ってきてほしいってお願いしてたんだ。手間かけちゃってごめんね。重くなかった?」
【洋人】「や、別に……」
美晴は、俺が持ってきた紙袋の中身を早速あらためている。
……いや別にいいんだが。目の前に下着とか積み上げていくのはどうなんだ?
俺の気にしすぎなんだろうか。突然湧いた妹なわけだし、ほとんど他人のメスだって考えると、いくらガキだとしても──
【洋人】「『天使かもしれない』? ……随分古い漫画読むんだな」
出てきた漫画が中々に予想外で、つい反応してしまった。
俺が生まれる前の漫画だ。美晴に至っては一回り近く年上の作品を、なんだってわざわざ……?
【美晴】「……お兄ちゃんこそよく知ってるね? これ、少女漫画なのに」
【洋人】「なんだよ。知ってちゃ悪いか?」
【美晴】「ううん全然! ……これ、ボロっちいでしょう? 元はお母さん……えっと、前のお母さんのものなんだ。小さい頃からこんなで、毎日暇してるもんだから、親の本まで読み漁ってたりして……」
【洋人】「ふうん、そうかよ……」
適当な相槌だけして、俺は口を閉ざした。
元より話すことなど用意していない。共通の話題が見つかったのなら能動的に広げてやるべきなのかもしれないし、美晴からもそれを期待している感じの気配が窺える。
だけど……俺としては、やっぱりあんまし関わらないほうがいいって思う。
男が少女漫画の話題に花咲かせるなんてこっ恥ずかしいし……さっきも、つい当たりのきつい感じになってしまった。その場凌ぎだろうと、感じのいい兄貴なんてのをやれる気がしなかった。
【洋人】(……俺、女って苦手だ。しかも年下で病気とか、どう扱っていいのか見当もつかねぇっての……)
【洋人】「……渡すもんも渡したし、帰るわ」
【美晴】「あ、うん。……ありがとう。来てくれて嬉しかったよ、お兄ちゃん」
【洋人】「ん……まあ、お大事にな」
なんとなく寂しそうな感じがしたけれど、仕方ない。
余計なボロを出す前に出て行った方がいいだろう。……きっとこれくらいの距離感が、義理の兄妹には相応しい……。
公式サイトで体験版が公開中!! 影子との楽しい生活をちょっとだけ味見しちゃおう!!
3月27日の発売予定日に先駆け、『誰ソ彼のシェイプシフター』体験版が公式サイトで公開中だ。内容はゲーム本編の導入部分が楽しめるもの。冒頭で紹介した「洋人とちせの終わり」「洋人と影子の初デート」「佳奈枝との衝突」の3シーンのシナリオを演出やボイス付きで体験できる。
冬峰小鈴氏の影子の演技がとてもよく、プレイしたらより影子が好きになること請け合いだ。彼女とのエッチシーンも含まれているので、肝心のシーンがどう描かれるかの雰囲気も味わえるぞ♪
▲影子の不慣れで快感に戸惑うセックスや、どんどん上手になるフェラを体感したければ体験版をプレイ!!
BugBug.NEWS用描き下ろし『誰ソ彼のシェイプシフター』の表紙&えっちな差分イラストがタペストリー化!!
本サイト・BugBug.NEWSのトップ画面に掲載している瀬菜モナコ氏の描き下ろし表紙イラストが、BugBugオリジナルタペストリーになった。BOOTHの【BugBugショップ】にて、B2タペストリーを期間限定で予約受付中だ。
絵柄はトップ掲載画像をそのまま用いた「表紙ver.」と、いけない部分を隠していた影がなくなった差分イラスト「えっちver.」の2種類を用意している。受注締切は2026年5月1日(金)いっぱいまでなので、忘れないように予約しておこう!!
▲BugBugショップの画面。こちらのイラストが「えっちver.」になっている。もう一つの「表紙ver.」とどちらのver.もここでしか手に入らないお宝アイテムなので、今すぐ【BugBugショップ】にアクセス!!
『誰ソ彼のシェイプシフター』OP
誰ソ彼のシェイプシフター
Liar-soft
2026年3月27日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win10/11
パッケージ版:8,580円(税込)、DL版:8,445円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:瀬菜モナコ
シナリオ:由又かつお
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