【お詫びとお知らせ】記事初出時、鏡裕之氏のお名前を間違って記載しておりましたので、当該部分を訂正させていただきました。読者の皆様ならびに鏡裕之氏、関係各位にご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
『巨乳ファンタジー』の生みの親・鏡裕之氏に本作の魅力&気になるところをとことん聞いちゃった超ロングインタビュー!! まずは前半戦から♪
Waffleの人気シリーズであり、間もなく発売を迎える『巨乳ファンタジー4 -修道士アストル-』。多くのファンが待ち望んだこの一作、その生みの親であるシナリオライター・鏡裕之氏に直撃インタビュー!! ガッツリと語っていただいたこのインタビュー、ボリュームがあるので前後編と分けてお見せしていくぞ。また数々の新着ビジュアルも併せて掲載しているので、見て読んで楽しんで欲しい!!
▲おっぱいプレイが満載で、巨乳好きにはたまらない一作だ!!
デバッグした時に苦痛なゲームは絶対につくりたくない
──待望のシリーズ最新作として多くのファンが待っていたと思いますが、あとは発売を待つのみ。シナリオを終えての感想などをお聞かせください。
鏡裕之 インタビューをいただいた今まさにデバッグ真っ最中のWaffleのスタッフの方々に、感謝を申し上げます。この時期って、書き手にとっては祈りしかないんです。どうか致命的な不整合が見つかりませんように。「全然辻褄が合っていません、でも音声を収録する時間はありません、どうしましょうか」みたいなきついバグがありませんように。何事もなくデバッグが終わりますように。そういう祈りしかないんです。シナリオを読み返している時にも、シナリオを書き上げる直前にも、シナリオを書き上げた後にも、音声収録の朝にも、音声収録の最中でも、自分なりに不整合は取ってきたつもりなんですが、とにかく商業エロゲーのシナリオはボリュームがでかい。『巨乳ファンタジー4』は3.4MBです。ラノベ1冊が200~250KBくらいだから、その14~17倍です。誤字脱字などが宿命的に残ってしまう。シナリオの不整合が残る場合もあります。それがどれだけ取れているか。作り手としては、特にシナリオの不整合が気にかかります。デバッグの段階で致命的な不整合が見つかっても、もう音声の録り直しはできない。だからそういうことがないように不整合を潰していくんですが、それでも「万が一……」っていう不安がある。だから、とにかく祈りしかないんです。
──もうここまで来たら祈って待つだけですか。
鏡裕之 祈り以外には、デバッグの方が楽しんでくださっているといいなあっていう気持ちですね。暗殺者で笑ってくれてるかなあとか、うるっとしてくれたりしてるかなあとか。毎日毎日モニターを見ながらバグがないか注視するのって、大変なんです。眼精疲労も半端じゃないし。その上ゲームがつまらないと地獄です。自分がソフトハウスで下っぱだった時、シナリオがつまらないゲームって、ほんと苦痛だったんです。苦行というか拷問でした。だからデバッグした時に苦痛なゲームは絶対につくりたくないって、ずっと思ってきました。ゲームが面白ければ、デバッグのつらさってかなり軽減されるんです。『巨乳ファンタジー4』がデバッガーの方々にとってもそうであればいいなあって。今聞いたら、Waffleのスタッフの方々が凄く楽しんでくださっているみたいです。「仕事なのに普通に楽しくプレイしていいのかなって思うくらい」って感想も上がってきているみたいで、うれしいし、凄くほっとしています。
──大変なデバッグも楽しくできれば苦になりませんもんね。
鏡裕之 シナリオを終えての感想は…正直、もう雲散霧消しかけてます(笑)。シナリオを上げたのは9カ月前の8月ですからね。これからプレイするお客さんにとってはこれから来る未来、フランス語で言うとアヴニール(Avenir)なんですが、書き手にとっては遠い昔になってしまっています。書き上げた頃にはあった解放感とか充実感とか高揚感といった感慨は、すでに消散しています。そこまでライターズ・ハイは長持ちしません。音声収録もすでに1カ月以上前の4月上旬には終了しています。収録ハイも終わってます。収録の思い出も、どんどん遠くのものになりつつあります。でも、それが作り手にとっては必要なプロセスなんですよね。いつまでも高揚感や解放感が自分の中で躍動してちゃいけない。そういうのは忘れて次の作品へ向かわなきゃいけない。これ、編集さんも同じだと思うんですけど、入稿直後は解放感があるだろうと思うんです。でも2週間もすれば次の仕事、次の締め切りに上書きされる。フリーランスの書き手も同じです。もう次の企画――『巨乳ファンタジー4外伝』――に入ってしまっているので、頭の中は上書きされています。今後は、マスターアップしましたって聞いて少しほっとして、お客さんの反応を見てもう一度ほっとするという感じになるんだろうなあと思っています。
▲ヒロインの一人・リーゼル。ビスカ村の爆乳美人で明るく家庭的な女の子だ
問題になるのはむしろ、書き終えても枯渇しないようにすること、次の創作に向かえるようにすること
──今作は3年ぶりの新作ということで、色々と書きたいことが溜まっていたのではと思いますが…どうでしょうか?
鏡裕之 創作欲っていうのは、精液でも性欲でもないんです。男性の場合、体内での精子の保存期間は3日だと言われています。イスラエルの研究では、2日(48時間後)までは精子は元気だけれど、3日になると元気でなくなるという結果が出ています。死んで動かなくなる精子が増えていくということですね。つまり、射精しても妊娠させる力がないやつが増えてくる。それを避けるために、禁欲しても3日ぐらいで自動的に射精欲求が起きてくるんです。元気のない精子を放出して、元気のある精子をチャージしようという、男ならではの自然の摂理です。でも、創作にそんな生理的なものがありますか? ありません。書きたいことがたまるというのは、それこそ精子の製造と射精という生理的メカニズムを具えた男だけの発想です。「書きたいことがたまる」という言い方をする人の多くは、創作を職業にしていない人じゃないかと思います。創作は自分の主体性を発揮する行為です。でも会社の仕事は、ほとんどがやらされている行為です。自分が好きなわけでもないし、自分から進んで主体性を発揮しているわけではない。やらされている状態、主体性を発揮できない状態がつづいていると、心がうずうずして主体性を発揮したくなる。自分の好きなことをしたくなる。それを「書きたいことがたまってきた」という形で認識するんじゃないかと思っています。
──なるほど。
鏡裕之 第一、ぼくの場合、『巨乳ファンタジー』シリーズの新作こそ3年ぶりですが、その間に『3if』『3if アルテミスの矢、メデューサの願い』、そして『巨乳ファンタジー10th Anniversary BOX』を書いています。『高1ですが異世界で城主はじめました』(HJ文庫)も、『揉ませてよオレの正義』(ぷちぱら文庫Creative)』もどんどん新作を書いています。常に放出しつづけているんです。書きたいことがたまるっていうのは、まずありえない。問題になるのはむしろ、書き終えても枯渇しないようにすること、次の創作に向かえるようにすることです。物語を書き終えるというのは、もの凄いリソースを使う行為なんです。創造のリソースというか、作家的リソースというか。具体的に並べると、
・知っているフィクションのキャラクター
・知っているフィクションのヒロイン
・リアル女性の知識
・リアル男性の知識
・リアル年配の知識
・リアル子供の知識
・自分の経験した心の傷
・思春期の経験
・異性との経験
・大学時代の経験
・会社での経験
・知り合いから聞いた会社の経験
・地域のローカルな話
・東アジア史
・南アジア史
・中近東史
・アフリカ史
・西欧史
・東欧史
・北欧史
・近現代史
・日本の戦史の知識
・中国の戦史の知識
・イスラムの戦史の知識
・西洋の戦史の知識
・現代戦争の知識
・東洋神話
・西洋神話
・北欧神話
・日本神話
・他の地域の神話
・人類学
・古代哲学
・中世哲学
・近代哲学
・現代思想
・国際政治学
・政治のリアル
・法律
・社会学
・経済学
・物理学
・化学
・生物学
・工学
・医学
・占い
・オカルトの知識
・仏教の知識
・西欧キリスト教の知識
・東欧キリスト教の知識
・イスラム教の知識
・その他宗教の知識
・政治観や国家観
・性的嗜好への耽溺
・SFの知識
・推理小説への造詣
・伝奇ものへの造詣
・村上春樹への造詣
こんなふうに創造のベースとなる創造のリソースがあって、そのどれを大量に持っているのか、どれに集中したのかで作家的リソースが決まるわけです。だいたい自分の本棚を見れば、どのリソースに集中していてどういうリソースの偏りを持っているのかがわかります。全然読書していない人の場合だと、
・知っているフィクションのキャラクター
・知っているフィクションのヒロイン
・リアル女性の知識
・リアル男性の知識
・自分の経験した心の傷
・思春期の経験
・異性との経験
・大学時代の経験
・会社での経験
・知り合いから聞いた会社の経験
・地域のローカルな話
こんな感じになっちゃうんです。みんなが標準的に持っているリソースですね。見るからにお話の幅が狭いというか、お話の底が浅い感じがしちゃうでしょ? 純粋に巨乳フェチものをつくっている時は、この感じのリソースでつくってました。現代が舞台の純粋な抜きゲーなら、この感じのリソースでいいんです。ただ、それ以外の作品となると、もっとリソースが必要です。
▲リガ女子修道院院長にして、真面目な性格の才女のイシュトヴィア。でも陥没乳首が悩み
──リソースは多いほど幅が広がりますからね。
鏡裕之 ちなみにぼくが持っている創造のリソース、作家的リソースは、
・知っているフィクションのキャラクター
・知っているフィクションのヒロイン
・リアル女性の知識
・リアル男性の知識
・リアル年配の知識
・リアル子供の知識
・自分の経験した心の傷
・思春期の経験
・異性との経験
・大学時代の経験
・会社での経験
・知り合いから聞いた会社の経験
・西欧史
・東欧史
・西洋神話
・北欧神話
・日本神話
・人類学
・古代哲学
・中世哲学
・近代哲学
・現代思想
・国際政治学
・政治のリアル
・法律
・社会学
・占い
・オカルトの知識
・仏教の知識
・西欧キリスト教の知識
・東欧キリスト教の知識
・政治観や国家観
・性的嗜好への耽溺
・村上春樹への造詣
・弁舌の切り返し
こんな感じかなと思います。で、『巨乳ファンタジー4』の場合は、
・知っているフィクションのキャラクター
・知っているフィクションのヒロイン
・リアル女性の知識
・リアル男性の知識
・リアル年配の知識
・リアル子供の知識
・自分の経験した心の傷
・思春期の経験
・異性との経験
・知り合いから聞いた会社の経験
・西欧史
・東欧史
・西洋神話
・人類学
・古代哲学
・中世哲学
・オカルトの知識
・西欧キリスト教の知識
・東欧キリスト教の知識
・政治観や国家観
・性的嗜好への耽溺
・弁舌の切り返し
これだけのリソースを使っています。1つの作品に多くのリソースを注ぎ込めた方が、作品は面白くなります。リソースが少ないと、どうしても魅力としては弱くなる。ちなみに一人の作家が泣きゲーを量産できないのは、泣きゲーは「自分の経験した心の傷」をメインのリソースに使うからです。しかも、1作でほぼ消尽してしまう。そして、心の傷には限りがある。補充が効かない。外部から入れて増やすわけにいかない。だからほとんどの場合、1、2作を出してしまうとリソースを全部使い尽くしてしまってそれ以上つくれなくなってしまうんです。で。1つフルプライスの商業エロゲーの作品をつくり上げると、大量にリソースを消費しちゃうんです。充分なストックがないと、枯渇して次回作がつくれないってことになっちゃう。頭がホワイトアウトして再充電に2年とか3年という恐ろしいことになる。そうならないように、とにかく専門書を読んで創造のリソースを補充しておくんです。だから、書き手にとって大切なのは「書きたいことがたまる」ではなく、「書けるように知識をためておく」ことなんです。最新作が終わった、よし、今から補充するぞ、今からためるぞ、では間に合わないんです。書いている最中から次回作のためにためるんです。
▲王家御用達の女商人・ベロニカ。計算高い部分はあるが、愛情も深いらしい
Waffleのディレクターの姫ノ宮くんにまったく別物の世界での物語もどうか? という提案もいただきました
──終わってから次、ではなく…今のうちに次を…ということなんですね。物語を生み出すというのはやはり並大抵のことじゃないですね。さて今作は時代背景やキャラクターも一新と、新たな『巨乳』の幕開けといった感じかと思いますが、最初から新キャラ新時代でという予定だったのでしょうか? もしくは今までのキャラや時代を踏襲しつつ作る予定もあったのでしょうか?
鏡裕之 Waffleのディレクターの姫ノ宮くんには、今までの『巨乳ファンタジー』シリーズとはまったくつながりのない、まったく別物の世界での物語もどうか? という提案をいただいてたんです。自分もその提案については選択肢の1つとして考えました。まったく違う世界の物語にするのか、今までの世界を受け継いだ物語にするのか。結果が、今までの世界を受け継ぐでした。別の世界にシフトする理由を見いだせなかったんです。ともかく世界を引き継いだ上で、『1』の原点に戻す――下っぱからサクセスする快感を実現する。
──原点に、ですか?
鏡裕之 ただ、今までと同じ感じにしてしまうとまったく同じになってしまうだろうなと思っていました。西欧が舞台で主人公が騎士でとやっちゃうと、『1』か『2』の二番煎じみたいになってしまう。お客さんも「前とおんなじやん」って感じてしまうだろうなと。『2』の時にも『1』と同じということを言われていたんです。差別化が最優先事項になってしまってはいけないし、差別化ばかり考えてしまうと『3』みたいになっちゃうんだけと、差別化をまったく意識しないというのはまずい。今回でも「前と同じやん」になってしまうと、それこそ『巨乳ファンタジー』シリーズが終わる可能性が出てきてしまう。『1』の原点に帰って「下っぱからのサクセス」を楽しみながら差別化できるものはないのか。それで思いついたのが、東欧であり、修道士だったんです。実は2018年に、恒文社の『ルーマニア史』とか『ハンガリー史』とかを読んでたんです。明石書店の『リトアニアの歴史』も読んでました――今回の舞台のリトヴィアとは全然関係ありませんが。ともかく、それで東欧のイメージはだいたいつかめていたんですね。なぜ西欧は発展して東欧は発展しなかったのか、それも把握していました。東欧は地理的に東にあったために発展が遅れちゃったんです。最初にフン族の侵入があって。あの大打撃を喰らったのが東欧なんです。西欧は東欧のおかげで打撃を喰らわずに済んだ。次がモンゴルの侵略ですね。これまた東欧は打撃を喰らっちゃうんです。最後がイスラムトルコの侵略です。特にオスマン・トルコの収奪がえぐかった。本国から派遣された長官って、数年で帰っちゃうわけです。で、帰国するまでに吸い取るだけ吸い取って帰っちゃう。これがかなり痛かったですね。ハンガリーの場合にはオーストリア帝国に「おまえンところ工場建てちゃだめ!」って近代化を阻止されたのも、結構痛かった。オーストリアはハンガリーを潰したりヒトラーを生んだり自分からヒトラーを歓迎したり、そのくせ戦後はヒトラーの被害者ヅラをしたりとろくなことをしてません。このヒトラーをめぐる複雑な状況については、法制大学出版局の『オーストリア文学の社会史』で詳述されています。
▲リトヴィア王国の女王であるセレスティア。その美貌と爆乳っぷりは隣国でも有名なのだ
東欧関係の歴史を調べてたのは「将来、東欧を舞台にしてものを書こう」って決めてたからじゃないんです
──東欧史もガッツリと調べていたんですね。
鏡裕之 東欧関係の歴史を調べてたのは「将来、東欧を舞台にしてものを書こう」って決めてたからじゃないんです。書く予定は全然なかった。ただ、作家的リソースを広げるための作業の一環として、元々自分が興味があった東欧の国々の歴史の本を読んでたんです。それが2019年に企画する時に奏功した。だから、作家って5年10年後のための読書をしておかなきゃいけないんですけど。あと、数年前に修道士の話を書こうとして修道士のことをガチガチに調べたことがあったんですね。10冊以上参考資料に当たってて。それで西欧キリスト教とは違う、東方正教会――東欧のキリスト教――のこともだいぶ理解できるようになってた。それで、東欧を考えたんです。西欧だと『1』や『2』と同じものになる感じしかないけど、東欧なら違うものにできるだろうって。もちろん、『1』の原点――下っぱからサクセスする快感も充分に実現できる。で、その「下っぱから」をより実現するものが、修道士だったんです。
──なるほど、主人公を修道士とされたのもそういった理由なんですね。
鏡裕之 修道士というのは、我々日本人からすると身近にいない存在、馴染みのない存在、それゆえあまり知らない縁遠い存在です。騎士の方が、映画やJRPGなどで馴染みがある。主人公を修道士という設定にするってことには、「馴染みのない存在でお客さんに受け入れてもらえるのか?」という不安がある。ただ、ぼくが西欧の修道士を勉強していった時、感じたのは、これ、めっちゃ日本の組織みたいなところだなってことだったんです。修道士の世界って、基本的に年功序列なんですよ。修道士を長くつづけた人が偉い。これ、吉本と似てますね。年齢が下でも、先に芸人やってる人の方が偉い。つまり芸歴の長い方が先輩になる。修道士も同じです。年齢が下でも、修道士歴の長い方が先輩になる。つまり基本は年功序列です。非常に日本的、日本の組織的です。しかも、院長の命令には絶対服従なんです。院長ってのは修道院の中の神の代理人なんですね。神様の言うことは聞かなきゃいけない。だから上長の命令には絶対服従なんです。めっちゃ父権的というか家父長的。まるで古い日本の組織です。修道士というと我々日本人には縁遠く見えますが、中を見てみると、実は非常に日本的なものがあるんですね。それで、修道士って設定しても、意外とお客さんが日本的なものを感じて共感してくれるんじゃないかと感じたんです。
▲ダークエルフでも随一の剣士であるグネヴィア。ミノタウロス族と強いパイプを持っているぞ
──あー、そう聞くとたしかに日本的な感じがしますね。
鏡裕之 それから、主人公を修道士に設定すると、本当に主人公がペーペーになるんですね。本当に下っぱになる。過去作品の『1』も『2』も、落ちこぼれと言いながら実はエリートなんですね。『1』の場合、全国で選ばれた22名の中に入っている。『2』でもそうです。いわば、東大で落ちこぼれちゃったみたいな感じです。エリートなんです。落ちこぼれってことでエリートを感じさせなくしているんです。ある程度エリートじゃないと、あの若さでいきなり州長官補佐とか守備隊隊長とか、任せてもらえませんから。本当に下っぱにしてしまうと、なかなか出世してくれないんですね。それで隠れエリートにしてたんです。でも、今回も同じように隠れエリートにしてしまうと、『1』や『2』と同じ感じになってしまう。それでは、あまり面白いと思ってもらえないだろうなと。『1』や『2』との差を出すという意味でも、下っぱにしちゃった方がいい。で、修道士だと本当に下っぱに設定できるんです。特に修道院に入って半年にしてしまうと、どうあがいてもペーペーです。ただ、下っぱにすると大きな問題が生じるんですね。出世が超難しくなるんです。基本的に『巨乳ファンタジー』シリーズは王にまで出世する物語なので、本当に下っぱにしてしまうと王まで届かなくなる。というか、王より遙か手前の段階でストップする。ってか、そもそも出世が起きなくなる。それでもリアルにやろうとすると、出世にめっちゃ時間が掛かるし、超地味になる。『3』で主人公を軍団兵にしなかったのは、時間が掛かり過ぎるからです。いわんや修道士をやです。修道士としてサクセスすると言われても、イメージもつかめないしね。とんとん拍子で出世するように思えない。じゃあ、修道士でありながらどう出世させていくのか。そこで2つの設定を行ったんです。
──2つの設定ですか。
鏡裕之 1つ目は、「ミノタウロス族という強力な部族が国境に接していて掠奪などの問題が生じていて、村や町を守る守備隊がもっと必要なんだけど、人員が足りていない」って設定を追加したこと。2つ目は、「主人公が十字軍帰りで、その修道院では唯一の戦闘経験者」って設定にしたことです。この2つを設定したおかげで出世の糸口が用意できて、なおかつ物語的に盛り上げることが可能になったんです。
▲ヒロイン全員の立ち姿がこちら。彼女たちとのHを楽しみながら、物語は進んでいくぞ
──環境を整え、少しだけゲタを履かせた感じですか。
鏡裕之 2009年から一般向けラノベの世界でも仕事をするようになってようやくわかってきたことがあるんです。当たり前の事実なんですけどね。一般の世界はアダルトの世界よりも、面白さ、エンターテインメント性がないと戦っていけない。ほんと当たり前の事実なんだけど、それを心底わかるっていうのが、実は作り手としては難しい。知識としてはみんな知ってるんだけど、それを心のレベルで、覚悟として、心構えとして自分の中にインストールするのが難しい。作り手の多くは、エンターテインメント性に目覚めていないんですね。ちょうど昔のぼくのように。ぼくは、商業エロゲー、一般ラノベ、エロラノベの三足の草鞋を履いています。エロラノベは、商業エロゲーで言うと抜きゲーオンリーの世界です。基本的にあまりストーリー性はありません。プロローグとエピローグを除いてだいたい5~6章のチャプター構成で、各章の終わりは射精の絶頂で終わる。射精すると基本的にエントロピー0になるので、物語的にはまったく引きがなくなるわけです。次への期待もワクワクも発生しない。そして、ストーリー性は高くない。むしろ低い。2008年頃、抜きゲーが「ストーリー性がない」と言われたってことがありましたが、同じ見方で言うと、ストーリー性がない。つまり、ストーリー性の高いものと比べると、ストーリー性がないように感じてしまう。エロラノベのストーリーって、ヒロインとの複数のエッチシーンをつなげた軌跡なんです。つまり、あくまでも複数のエッチシーンをめぐっていくプロセスであって、ストーリー的なエンターテインメント性は含んでいないってことですね。それでもエロラノベは戦えちゃうんですね。ストーリー的なエンターテインメント性が高くなくても戦えちゃうところがある。それはそれで面白いところなんだけど、一般ラノベではそうはいかないわけです。ぼくも一般ラノベで仕事を始めた頃は、「きっと自分にはお色気路線を期待されているんだろうなあ」って思って、巨乳フェチを主軸に据えてお色気路線の話を書いてましたが、それだとシリーズがつづかないんですね。2巻とか3巻で終わっちゃう。前に調べたことがあるんですが、ラノベで5巻以上に到達する作品はだいたい全体の1/4なんですね。つまり、新作の3/4は4巻までに終わる。10巻以上に到達する作品となると、全体の7%ぐらいです。面白さがず~っとつづいていかないと、10巻以上に到達できないんですね。とにかく面白くなきゃいけない世界なんです。じゃあ、どうやって面白くするのか。その方法の1つが、「主人公を思い切り追い込むこと」だったんです。アメリカのベストセラー作家のクーンツも『ベストセラー小説の書き方』の中で「追い込め」って言ってるんですけど、まさにその「追い込め」だったんですね。拙著『高1ですが異世界で城主はじめました』(HJ文庫)が現在19巻にまで達してくれているのは、もちろん読者の方の力が一番大きいんですけど、自分なりに毎回主人公を追い込めたことも大きいのかなって思っています。
▲主人公が働く修道院。本作の物語はここから始まるのだ
鏡氏の怒涛のインタビューは後半は…気になるHシーンや、続編の情報など見逃せないぞ!! 後半戦はこちら!!!
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巨乳ファンタジー4 -修道士アストル-
Waffle
2021年5月28日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win7/8.1/10
特装版:12430円(税込)、通常版:9680円(税込)、DL版(DLカード版含む):8800円(税込)
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原画:Q-Gaku、深泥正、只野あきら
シナリオ:鏡裕之
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