※本記事はBugBug2024年8月号に掲載したレビュー記事の再掲載です。
STORY
瀬戸内海の離島「申仏島」は戦後まもなく売春島として隆盛を極めてきたが、裏には70年にわたり受け継がれてきた忌まわしい呪いが存在していた。そんな島を舞台に呪術師たちの思惑が交錯する。呪われた島の真実とは? そして最後に生き残るのは誰…!?
人と人との思惑が交差しミステリー要素も楽しめる作品
CLOCKUPの新作『鏖呪ノ嶼』。読みは「おう・じゅ・の・しま」で、それぞれ「みなごろし」「のろい」「しま」という不吉なワードが目に留まります。初見ではゾンビなんかが大量に出てくるホラー的な作品なのかなと勘違いしていましたが全然そんなことはなく、人と人との思惑が絶妙に絡み合うサスペンス要素とスリラー要素、そしてミステリー要素がふんだんに盛り込まれた、読み応えのある物語でした!!
そんな本作を語るにあたってまず紹介しておきたいのがW主人公を採用している点。片や戦後まもなくから売春島として密かに隆盛を極めてきた瀬戸内海の離島申仏島。そこの主ともいえる有力者一族「二ツ栗家」に仕える呪術師・文鳴啾蔵視点で描かれる物語。此方、そんな申仏島にひょんなことから潜入することになった四人の男女の内の一人で、過去に文鳴と浅からぬ因縁を持つ呪術師・吐月完視点で語られる真相究明ストーリー。
プレイヤーとしてはどうしても吐月視点に重きをおいてしまいがちで、実際私も最初はその吐月視点をメインに楽しんでいたのですが…面白いことに気がつけば文鳴視点での物語にもどきどきさせられちゃっているんですよ!! どういうことか考えてみたところ、おそらく内幕を知っているはずの文鳴としても衝撃の事実が次々と発覚していったからに違いないという結論に達し、プレイ後は「なるほど、これはW主人公にして正解」と納得せざるを得ない内容でした。
▲因縁がある文鳴と吐月が申仏島で再会
さらに本作はそんな主人公をはじめキャラクターたちが個性的で魅力的なんですよ!! 文鳴編で登場する呪われし一族・二ツ栗家を継ぐことになった二ツ栗珠夜や、売春島である申仏島のナンバーワン嬢の兎口姫奈などの女性はもとより、呪術に精通する苦松刑部、珠夜の忠実なるボディガード・塔婆不二彦、珠夜の叔父で売春島の運営を担っている二ツ栗宗孝など、男性陣もその魅力を語りだせばきりがないくらい。
もちろん吐月編もそう。背中に鬼の刺青を入れた殺し屋・火蛾偲や、年端もいかぬ少女ながらも娼婦として売春島の店に娼婦として潜入していくカノ、三下ムーブをかましながらも「ああ、この男は最後まで生き残りそうだな」と感じさせる暴力団組長の荒忌善次郎という潜入組も、ひと癖もふた癖もある人物ばかり!! そこに孤児であった文鳴を拾い、育て、そして死んでいった呪術師・槐や、二ツ栗の先々代当主・菊乃といった故人の意志などが絡み合ってきて…と、キャラクター紹介だけでかなり使ってしまいましたが、本作のキモの二つ目はこの人間関係なので、どうしても語りたかった部分なのでお許しを。特にお気に入りのキャラクターは別枠で語っていますので、そちらも一読していただければ幸いです。
▲三下ムーブで早死にしそうな荒忌だが、荒忌組の組長だけあってなかなかしぶとい!!
文鳴、吐月、過去編と3シナリオで物語は進行
▲呪われた一族・二ツ栗。その呪いに術なく抗おうとすると無残な最期を迎える
ここからは本作の物語を語りながら、その魅力を伝えていきたいと思います。まず前提となっているのが現代の法律では捌けない完全犯罪も可能な能力「呪術」について。文鳴、吐月共にこれの使い手で、これが物語の根幹となるキーワードになります。また申仏島にはその呪術にまつわる秘密が隠されていて、この解明が一つ目のミステリー。そんな一つ目のきっかけとなったのが二つ目のミステリー。こちらはネタバレになるのでこれ以上語ることはしませんが、この二つが絶妙に絡み合い、ときには作為的なミスリードを交えつつも明かされていく展開は読んでいて本当に楽しい部分でした。さらに「文鳴編」「吐月編」に加え痒いところにも手が届く「過去編」の存在もうれしいポイントの一つでしたね。
エッチシーンについても気になる人がいるでしょう。こちらはかなりグロ系や強姦系が多くて、和姦しか勝たん派は食指が伸びづらい内容かもしれません。ただ個人的には本作が悲壮感漂う物語である以上、最善の選択だったなと思うわけですよ。
▲ごく普通の大学生だった珠夜は、二ツ栗の因縁に向き合うべく、まだ清い自らの身を叔父に差し出し決意を示す!!
▲人探しの依頼で島に潜入した吐月が調査で娼館に足を運ぶと、とある人物に瓜二つの女性・姫奈がいた
例えば珠夜。数ヶ月前まではごく一般的な大学生だった珠夜が甘さを捨て、二ツ栗の因縁に向き合う転機となったのが叔父である宗孝と取り引きをするために身を差し出したことでした。処女にも関わらず好きでもない男に抱かれる。その事実が彼女の決意を如実に表していますよね。これが和姦だった場合そうはいきませんから。…とはいっても個人的にはこっち系もイける派なので、えずきながらもチ○ポをしゃぶり、痛さと苦しさに耐えながらセックスの終わりを待つ姿には興奮させられちゃいましたけれどね!!
娼館に潜入したカノもなかなか悲惨なセックスを強要されるヒロインでした。彼女はその生い立ちからセックスに忌避感がなく娼婦は天職のようなものでしたが、ときには首を絞められ窒息しながら絶頂させられたり、四肢をもがれながら強姦されたりと散々な目に遭います。しかし吐月とのノーマル(?)セックスが用意されていたので、ある意味救いはあったのかな? このように結構難易度の高いシーンが多めであるものの、それが物語を彩るワンシーンになっていることはご承知おきいただきたいところですね。
以上のように重厚な物語、絡み合う謎、人間臭さなど、本作はそこに重点を置いて作られた傑作です。エッチに関しても世界観を崩さないように考えられた必然的なシーンが多く、制作陣からの「この物語を楽しんでください」という強い思いが伝わってくる意欲作となっていましたので、皆さまもぜひ本作をプレイして二人の主人公の生き様をその肌で感じちゃってください。
▲セックスに忌避感のないカノには天職のような娼婦だったが、ときには命の危険にさらされて…
▲なかなか壮絶な過去を持つ偲。母親の再婚相手に母を殺され、自分も尻穴の処女を奪われさらに…
【ライターのイチオシ】最推しヒロインの火蛾偲
プレイ開始時は火蛾偲にほとんど興味がありませんでした。背中の刺青、粗雑な態度、そして殺し屋という生業。ハマる要素は皆無ですよね? ただ彼女が背負わされた運命や、それに立ち向かう信念が語られていくにつれ、自分が誤解していたことに気がつき…。今では最も信頼できる仲間になりました。
▲とある呪術を施行するため吐月に抱かれる偲
ライター:タナカツ
やり込みゲーと金髪ツインテちゃんが好き♪ 夏を前に蚊取り線香を探してみたら衝撃の事実が…。なんと火も電源も要らずに100日使用可能の商品なんてあるんですね!! びっくり。
鏖呪ノ嶼 オープニングムービー
鏖呪ノ嶼
CLOCKUP
2024年5月31日発売
VN、DVD/DL、18禁、Win10/11
パッケージ版:9,680円(税込)、DL版:8,580円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:のりざね
キャラクターデザイン:はましま薫夫
シナリオ:昏式龍也、和泉万夜、栗栖、冬野ヒョウヤ
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