※本記事はBugBug2025年8月号に掲載したレビュー記事の再掲載です。
STORY
学生時代にゲーム制作の夢を諦めた永富幸寿は、父の遺産を相続したのを機に一度は諦めたゲーム制作を再開させる。かつて共にゲームを作っていた九恋乃香、幸寿の最大の理解者である万願寺うらら、新たに出会ったシナリオ担当の波羽若奈らと共にゲーム制作が始まった。
社会に出て少し大人になった男女の甘くてほろ苦い恋物語
学生同士のピュアでときめく恋愛を描いた『アマカノ』や『アマナツ』シリーズで知られるブランド・あざらしそふとの最新作が、この『初恋マスターアップ』です。本作は看板シリーズで大好評だった学生同士の恋愛作品ではなく、濃密な学生時代を共に過ごしつつも、それから数年が経った大人の男女のラブストーリーが描かれています。「遅咲きの青春」がコンセプトということで、より大人向けの味付けがされているのが特徴です。
物語は、主人公の永富幸寿が疎遠だった父親の遺産を相続したのをきっかけに、彼が学園生時代に打ち込んでいたものの一度は諦めた「ゲーム制作」を再始動させるところから始まります。幸寿の幼馴染みで人気同人サークルの主催者でもある万願寺うららに背中を押され、芸術系の学部に進学し現在は人気イラストレーターでもある九恋乃香、偶然出会った小説執筆が趣味の大学生・波羽若奈をメンバーに加えてゲーム制作はスタートするのですが…ここに辿り着くまでの紆余曲折をとても丁寧かつ繊細に描いているのが印象的でした。
▲学園生時代の恋乃香とうらら。幸寿を含めた3人の関係は、形を変えながら現在に至っている
オフィシャルサイトにも掲載されていますが、ヒロインは3人とも「不器用でめんどうくさい」性格の持ち主なんですよ。一緒にゲームを作ろうという幸寿やうららの誘いに対して、冷たい対応を取りながらも「それって本心から思ってる?」とツッコミたくなる恋乃香の態度や、自分の作品に自信が持てないでいる引っ込み思案な若奈の葛藤。そういった彼女たちのこじらせポイントに対して、幸寿は具体的なプランを提示したり、自信を与える言葉を沢山注ぐことで地道に前向きなリアクションを引き出していきます。そのあたりのエピソードが大小積み重ねられたことで、彼女たちの人となりが分かると共にどんどん惹かれていきました。
特に恋乃香は、幸寿のことが今も昔も好きなのに過去の出来事が邪魔して素直になれずにいて、それなのに彼が他の女性と親しげにしているのを見ると嫉妬してしまうなど、個別ルートに入るまでは随一のめんどうくささを発揮していたと思います。そんな彼女に対してうららが本音をぶつけ、それに恋乃香も本音で応えるシーンは本当に見応えたっぷりでした。これは学生同士では絶対に描けない、大人になったからこそ成立する名シーンだと思います。
▲若奈とデート。引っ込み思案な彼女だけど、幸寿と腕を絡めて歩く姿は幸せで満ち溢れている
結ばれて幸せになる子がいればその影で失恋し涙する子もいる
個別ルートに入ると、幸寿と恋人になった女の子はゲーム制作もプライベートも順調すぎるほど順調になっていきます。そこで描かれるのはとてもスイートで光り輝くようなラブラブな日常の数々なのですが、本作は同時に「影」も丁寧に描いているのが特徴です。その「影」とは、幸寿へ想いが届かなかった女の子の失恋の苦みです。
個別ルート分岐前のストーリーは、昔から幸寿を好きだった子(恋乃香)と最近出会って幸寿に惹かれている子(若奈)の、それぞれの想いのコントラストが強く印象に残っています。それが最高潮に達したのが恋乃香ルートへの分岐ポイントでした。若奈から告白され、それに幸寿がどう返すのか…。ここに選択肢を設定したのは神采配ですね。恋乃香と結ばれるためには若奈を振らないといけない。そこで幸寿は恋乃香への想いを自覚すると共に、同時に描かれる若奈の失恋の痛みは、これぞ大人の恋愛ドラマと言いたくなる展開でした。
▲幼馴染みから恋人にステップアップして迎えた初Hは、幸寿とうらら共に心身が昂ぶりまくりだ
▲Hシーンでは実はむっつりスケベという若奈の本領発揮した姿が思う存分楽しめちゃうぞ♥
ゲームを全てプレイして、本作における王道ヒロインは若奈、裏ヒロインは恋乃香という印象を持ちました。では残るうららはと言うと、彼女こそ本作の「真のヒロイン」だと思いました。共通ルートにおけるうららの存在感は小さくないとはいえ、若奈や恋乃香と比べた場合、ちょっと影が薄いと思っていました。幼馴染みのうららは幸寿にとっての良き理解者であり、ゲーム制作や彼の恋を応援する、メインヒロインの一人というよりサブヒロイン的な立ち回りの方が印象に残っています。
そんなうららと恋人関係になると、それまでに描かれてきたエピソードの裏で、彼女が何を思っていたのかがつまびらかになっていくんです。そこにあるのは最近出会った若奈はもちろん、学生時代からの付き合いである恋乃香でもかなわない幸寿への深い、深すぎる想いです。恋人になるまでのすったもんだ、そして恋愛関係になった後に待ち受ける恋乃香も絡んだビターな展開は本作における最大の見どころだと思います。
本作は学生同士の純粋でまっすぐな恋愛ではまず描かれない、恋の甘さと共にほろ苦さもしっかり含まれた大人の恋愛が楽しめる作品です。恋する幸せと共に、ヒロインの失恋というビターな展開も楽しみたいという方は、ぜひお手に取ってプレイしてみてください。
▲Sっ気がある恋乃香を思いっきり攻めてみたらどエロい反応が返ってきて、さらに大興奮♪
▲個別ルートに入り恋人になったうららはかなり積極的に色々なプレイで魅せてくれる。当初からは想像できなかったイチャラブ感にドキドキ
【ライターのイチオシ】美少女ゲーム制作の裏側もまる分かり!?
作中で幸寿たちが作るゲームというのが、実は美少女ゲーム。ということで、ゲーム制作に関するシーンはかなりのリアリティを持って描かれているのが特徴だ。餅は餅屋ではないが、美少女ゲーム業界のいろはやアレコレなど業界ネタがかなり描かれているので、この業界に興味がある人はこの点でもゲームを楽しめると思うぞ。
▲原画家として真剣に仕事に打ち込む恋乃香の姿はカッコよく、見惚れてしまいそうだ
ライター:NOV
ゲームは何でもウェルカム。急に暑くなってツラい…が、昨夏宮崎に行き日傘の有用性を痛感したので、今年はすでに日傘が活躍中。日中の外出時にはもう日傘が手放せない!!
『初恋マスターアップ』OPムービー
初恋マスターアップ
あざらしそふと
2025年5月30日発売
AVG、DVD/DL、18禁、日本語版Windows10 64bit/11
パッケージ・通常版:11,000円(税込)、パッケージ・豪華版:14,300円(税込)
DL・通常版:9,900円(税込)、DL・豪華版:13,200円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:さいもん、やまのかみ
サブ原画:あにぃ、ぼに~、まろたろ(SD原画)
シナリオ:保桜
関連記事 一度は諦めた夢を追い求めて動き出す男女の姿を描いた遅咲きの青春ストーリー あざらしそふとの最新作『初恋マスターアップ』は、『槇村葉月の恋語り』や『友だちから恋びとへ』と同じ保桜氏企画・シナリオによる「 ... あざらしそふと最新作『初恋マスターアップ』の魅力をディレクター・あおきゅん氏に伺ったぞ!! BugBug.NEWSでも現在表紙イラスト連動特集を連載している、あざらしそふと最新作『初恋マスターアップ』 ... 原画家・やまのかみ氏描き下ろしイラスト連動・全3回の連載特集!! 最終回はシナリオプレビューとエロCGで送る【Hシーン編】 純愛ラブストーリーと濃厚エッチに定評のあるあざらしそふと。最新作『初恋マスタ ... 原画・やまのかみ氏描き下ろしイラスト連動・全3回の連載特集!! 第2回はシナリオプレビューで送る【シナリオ編】 極上のエロスとラブストーリーを描き続ける、あざらしそふとの最新作『初恋マスターアップ』は ... 原画家・やまのかみ氏描き下ろしイラスト連動・全3回の連載特集!! 第1回はヒロイン9人のデザインと出会いに迫る【ヒロイン編】 純愛モノでナンバーワンの人気を誇るあざらしそふと。 最新作『初恋マスターア ... あの日に忘れてきた青春を取り戻しに走ったら不器用でめんどうなヒロインとの一癖ある恋が始まった!! あざらしそふとの新作『初恋マスターアップ』は、遅咲きの青春をコンセプトにしたAVGだ。学生ではないけど ...
あざらしそふと『初恋マスターアップ』が発売直近!! あの日捨てて来た青春を取り戻すため不器用なヒロインたちとゲーム作りを始めるちょっとオトナの恋愛AVG
コミカルで少し大人の恋愛ストーリー★ あざらしそふと最新作『初恋マスターアップ』の魅力をBugBug5月号ではディクター・あおきゅん氏に直撃インタビュー!!
あざらしそふと『初恋マスターアップ』表紙イラスト連動連載特集・最終回は【Hシーン編】!! ヒロイン3人の激エロシーンのシナリオを独占先行プレビュー紹介
あざらしそふと『初恋マスターアップ』連載特集第2回は【シナリオ編】!! ゲーム制作を通して男女の人間模様と恋愛を描くシナリオの魅力を徹底紹介
あざらしそふと『初恋マスターアップ』の表紙イラスト付き連載特集スタート!! 初回は秘蔵ラフ満載でヒロインの魅力を深堀り紹介する【ヒロイン編】
あざらしそふと『初恋マスターアップ』を速報チェック!! 純愛モノNo.1のブランドが描き出す遅咲きの青春をテーマにした不器用で優しい男女のラブストーリー










