伝説の名作復活!! 『君が望む永遠 ~Enhanced Edition R~』に込めた思いをスタッフ直撃インタビュー!!
2001年に発売され、その衝撃的なストーリー展開で多くのファンに衝撃を与えた『君が望む永遠』は、その後一般向けとしてCS機への移植や、2008年の『Latest Edition』といくつかのバリエーションが発売されたが、どれも現在入手は困難。そんな伝説の名作が現在マブラヴ統括プロデューサーを務めるtotoro氏により、まずはクラウドファンディングで全年齢版として復活!! そして今、一度削った18禁要素を加えた『君が望む永遠 ~Enhanced Edition R~』が11月に発売予定!! 現在発売中のBugBug10月号では本作について制作主要スタッフへ直撃インタビュー。ここではその一部を抜粋して紹介しよう。
▲かつてâgeにて『君が望む永遠』のメインシナリオライターを務めたタシロハヤト氏と、現在『君が望む永遠』や『マブラヴ』のライセンスを持つaNCHORの濱永にインタビュー。ちなみにtotoro氏も同席している
Steam販売で国内反響大の『君が望む永遠』
一般版クラファン中に盛り上がった18禁版待望論
──『君が望む永遠』(âge)は2001年8月発売。今年で24年になりますが、『君が望む永遠 ~Enhanced Edition R~』として11月発売となります。これはどういった経緯で進んだ企画なのでしょう。
濱永:最初は「全年齢版でリリースして『君が望む永遠』を全世界に広めたい」というところから始まりました。マブラヴ統括プロデューサーのtororoが『君が望む永遠』のさらなる展開アイデアを持っていて、その前段階として改めて『君が望む永遠』を世に送り出そう、と。当初は一般版をSteamで販売する方向で進めていたんですが、そうなればファンからR18版リリースを求める声もあがるだろうことは想定していました。実際に一般版のクラウドファンディングを行ったところ、やはりR18版を求める声を多数いただき、それで今回の『Enhanced Edition R』発売となりました。
──tororoさんは元CIRCUSのプロデューサーで、現在はマブラヴ統括プロデューサー。なぜ『君が望む永遠』で名前が出てくるのでしょう。
濱永:マブラヴという大きな作品群の中に『君が望む永遠』も存在しているからです。なので『Enhanced Edition』というプロジェクトは私がプロデュースしていますが、その上にマブラヴ統括プロデューサーのtororoが存在するという形ですね。また、統括プロデューサーとしても今後マブラヴを盛り上げていくためには、元々ファン層が重なっていた『君が望む永遠』を盛り上げることが一つの方法だと考えて、今回のリブート企画を立ち上げたというのもあります。
──タシロさんは『Enhanced Edition』を、どのように受け止められましたか?
タシロ:「え? やるんですか?」って感じで(笑)。それと同時に、「いよいよタイミングが来たんだ」という思いがありました。
──実際に『Enhanced Edition』がSteamで発売された時の反響はいかがでしたか?
濱永:良かった部分で言うと、日本国内で新規のユーザーさんにご購入いただけたことです。これは成功したと思います。クラウドファンディングを含めて日本のユーザーさんが盛り上がっていただけたというのは、一つの成功だったと考えています。
▲クラウドファンディングの大成功により一般作である『Enhanced Edition』をSteamで発売!! この盛り上がりが18禁版の『Enhanced Edition R』へと繋がったのだろう
『君が望む永遠 ~Latest Edition~』をベースに
シナリオ、CGに大きく手を加えることなく制作
──ちなみに『Enhanced Edition』の移植元は2001年版の『君が望む永遠』ですか?
タシロ:いえ、2008年リリースの『Latest Edition』をベースとしています。
──それ以外の部分で内容の追加や修正などはありますか?
タシロ:基本的にはありません。流れを説明しますと、『Latest Edition』から『Enhanced Edition』に移植する際に18禁シーンを削除する必要があったのですが、その時に参考にしたのがPS2版の『君が望む永遠 ~Rumbling hearts~』でした。この時も単純に18禁シーンをカットするだけでなく、前後の流れがおかしくならないように、シナリオなどに手を加えたんです。なので『Latest Edition』から『Enhanced Edition』へという際も、同じようなアプローチで制作しています。その『Enhanced Edition』から『Enhanced Edition R』へとなった時に、外したシーンを単純に戻すというわけにはいかない。そういう意味での加筆修正は行なわれています。
──そんな『君の望む永遠』は、発売当時からその衝撃的なストーリーに注目が集まりました。この作品を令和の現在リリースするわけですが、今のユーザーさんにどのように捉えられると考えられていますか?
タシロ:内容もなんですが、それ以前にボリュームが今のユーザーさんに受け入れられるのか、プレイ中に心が折れちゃうんじゃないかなって不安もあります。とにかくべらぼうに長い(笑)。当時は「シナリオ容量が多いのが正義」みたいな風潮だったのですが、今はそういう時代ではないじゃないですか。
濱永:『君が望む永遠』を含めたマブラヴ作品群の力は相当なものです。これは現在でもSteamでシリーズ作品が売れ続けていることからも明らかだと思っています。価値があって力のある作品は、時代に関わらずユーザーさんは受け入れてくれるというのが前提にあります。『君が望む永遠』という作品もそれだけ強いコンテンツなんです。
▲Steam向けの一般作品としてリリースした『Enhanced Edition』は多くの新規ユーザーにプレイしてもらう目的は果たせたが、見た目が幼女な蛍のルートはSteam基準により泣く泣くカットするしかなかった。今回『Enhanced Edition R』でようやく彼女のルートも復活することに
衝撃だった「第1章まるまる体験版」配布
──さて、そんな『君が望む永遠』について、当時のお話を少し伺わせてください。この作品の企画はどのように生まれてきたのでしょう。
タシロ:これまでお話ししてきたことの繰り返しになってしまうんですが、当時のâgeは企画会議にみんなで企画を持ち寄って話を進めていました。そこに僕が持ち込んだのが、「男性主人公が寝たきりになって、何年後かに目覚めたら恋人が兄だか弟だかに奪われていて、主人公はどうするのか」という企画でした。
──『君が望む永遠』と男女が逆になっている企画ですね。これも中々エグみのある企画です。
タシロ:そうなんです。「なんでそんな企画を考えたのか」と言うと、当時のâgeがエロ重視ではなく、例えばグロでも政治的でも人間関係でもいいのですが、R18でしか表現出来ない作品を作ろうという姿勢だったんです。それにこの企画が合致したということで、スタッフとさらに企画を練り込んで、『君が望む永遠』になったというわけです。
──なるほど。
タシロ:それとその頃のâgeは3年やってダメだったら会社を畳もうという話になっていて、1999年に『君がいた季節 ~Primary~』、2000年に『化石の歌』と出して、3年目の作品が『君が望む永遠』だった。これが最後になる可能性があるなら、挑戦的な作品を作ってみようという考え方もありました。それが「第1章まるまる体験版」の配布に繋がったんです。
──あれは衝撃的でした。内容、ボリュームとも、当時の体験版配布の中でも群を抜いていましたから。
タシロ:なぜ第1章を体験版で出せたかというと、我々にとって本当に見せたかったのが第2章だったからです。ただ第2章のドロドロした、ある種トレンディドラマのような作品をいきなり出しても美少女ゲームファンはプレイしてくれない。当時吉宗鋼紀が『君が望む永遠』の企画を持って雑誌社や店舗、流通会社を回ったけど、皆に「これは売れない」と言われたと言われたくらいですから。じゃあどうすればいいか。そこで明るい学園ものといった雰囲気の第1章を作ったんです。
▲主人公に都合よく気持ちいいだけの恋愛ではない、愛憎入り乱れる人間関係を描いた衝撃作。全てを選ぶことは出来ないからこそその決断は重く、結末の感動は心に残り続ける
ストーリー、キャラ配置はスタッフ会議で決定
──さて、そんな『Enhanced Edition R』ですが、この10年以内に美少女ゲームを始められた人にとっては伝説のゲームで、実際にプレイしたことのない人も多いと思います。改めてどんな作品か教えてください。
タシロ:まとめるのが難しいんですよね。主人公の孝之は特に目標もなく毎日を生きている学生──当時のエロゲーの主人公に多いタイプですね(笑)。なのになぜかヒロインの遙に好かれて告白されます。で、ノリで付き合いだすんですが、最初は上手くいかないわけです。で、周囲の協力でなんとか上手く付き合えるようになるんですが、主人公が待ち合わせに遅刻したことで遙が事故にあって、3年寝たきりになります。
濱永:この事故までが第1章。体験版部分です。
タシロ:で、主人公は遙が目覚めるのを待つ間に、もう一人のヒロイン・水月と関係を持ってしまう。そんなタイミングで遙が目覚めるのですが、事故の前までの記憶しかない。そこで刺激を与えたらダメだということで、孝之は遙の恋人ということで会うことになるのですが、そこから主人公と元カノ、今カノの三角関係が大変なことになって…という感じですかね。
──この三角関係はもちろんですが、その他のキャラも含めて登場人物の配置が絶妙なんですよね。これはどなたが考えられたのですか?
タシロ:これに関しましてもスタッフ全体で、ああでもないこうでもないと考えましたね。物語の構図で言えば、主人公は家に今カノがいて、病院には元カノがいるわけです。その関係からの逃げ場がバイト先で、そこにも女の子がいる。じゃあどんな女の子にいてほしいか。みんなでアイデアを出し合って決めました。大空寺あゆなんかは原画担当のバカ王子ペルシャ(=杉原鎧)が「こんなキャラを出したいんじゃ!!」って描いてきて、「じゃあ、出すか」ってなったんですよ(笑)。
▲メインとなるヒロインは3人だが、サブヒロインたちもみんな魅力的で、今も多くのファンがいる
「何かを得れば、何かを失う」、「清濁あわせ持つ
のが人間」変わらぬâgeイズムに貫かれた歴史的傑作
──これだけ魅力的なキャラがいて、シナリオはとても印象的で、それでいながら気持ちの良いハッピーエンドとは無縁の作品ですよね(笑)。当時も色々話題になりましたが、実際作り手側はいかがだったのでしょう。
タシロ:先ほど言いましたように「これが最後かもしれないから好きに作ろう」というのもありましたが、僕ら全員が「こういうのが良いよね」って思っていました。つまり「何かを得れば、何かを失う」、「清濁あわせ持つのが人間」というのを突き付けているわけですが。
──いわゆる吉宗鋼紀イズムですね(笑)。
タシロ:今は吉宗鋼紀が代表して語られていますが、当時のâgeは全部を皆で決めて作っていたので、その意味ではâgeカラー、âgeイズムですね。そういうのを言葉で表現するのが上手いのが吉宗鋼紀なんです。そしてそれは『マブラヴ』でも全く変わっていません。
──そんな『君が望む永遠』を今のユーザーに勧めるポイントをお聞かせください。
タシロ:なんですかねえ…こんなシチュエーションは現実でも中々ない、フィクションだから経験出来る物語ということで、ぜひ味わってほしいと思います。そして『君が望む永遠』は、たぶん今ゼロから作り上げることは出来ない作品かもしれません。だからこそ、過去の作品ではなく今プレイ出来る作品としてプレイしてほしいですね。
──2000年代初期といえば美少女ゲーム業界にものすごい熱量があった時代で、クリエイターもその情熱のままゲームを作っていた時代でもあります。ぜひプレイしてほしいとは編集の人間としても思います。
タシロ:もちろん今もそういう熱意のあるクリエイターはいると思いますし、その熱意をぶつけるような作品を作りたいと思っているでしょう。じゃあ、そういうゲームを今のユーザーさんが受け入れられないのかと言えば、そうじゃない。市場がそういうゲームをユーザーさんから遠ざけてしまっているのではないでしょうか。本当だったら受け入れてもらえるものを、届けないようにしている。そこに『Enhanced Edition R』が風穴を開けられればと思います。そうすれば『君が望む永遠』の新しい展開も見えてくるきっかけになるのではないでしょうか。
▲読み応えのある濃密な物語は現在では市場から少なくなってしまった。しかしだからといって、ユーザーに受け入れられないことはないはずだ
新たな情報が語られるかもしれない10月イベント
新展開への期待から『君が望む永遠』から目が離せない
──さて、11月に発売される『君が望む永遠』ですが、何度も出てきていますように『マブラヴ』とは切っても切れない関係にあります。今後の両作品の展開などのご予定はありますか?
濱永:もちろん構想はあります。ただ、直近で何か具体的な話があるかというと、そこはまだです。まずはユーザーさんとコミュニケーションを取りながら、グローバル展開を模索していくことになると思います。
tororo:何か新しい発表をするのであれば10月のイベントになると思います。僕の話をすると、『君が望む永遠』の今後について新しい受け皿はこういうものを作ればいいかなという構想はあります。詳しくは語れませんが、『君が望む永遠』も『マブラヴ』も自分の立脚点を見定めて、問題に立ち向かうか、逃げるかを問われる作品ですよね。それを経験することで成長出来る人もいれば、「ちょっと違うんだよなあ」という人もいる。その「ちょっと違う」という人に向けた出口を与えてあげられるのではないかと思っています。
──楽しみにしています。それでは最後にBugBug読者へメッセージをお願いします。
濱永:それでは代表してタシロハヤトから(笑)。
タシロ:はい。20年以上の歳月を越えて『君が望む永遠』が皆さんのお手元に届くことになりました。ぜひお買い求めいただいて、当時を思い出していただくもよし、初めてのプレイで打ちひしがれるのもよし(笑)。ぜひ体験していただければと思います。決して鬱ゲーではありません(笑)。
▲『マブラヴ』もaNCHORがライセンサーを務めている。統括プロデューサーのtororo氏がここからどう発展させていくのか楽しみだ
力のある作品は時代に関わらず受け入れてくれることを信じて
『君が望む永遠』は間違いなく歴史的名作だが、インタビュー内でタシロ氏が「べらぼうに長い(笑)」と語っているように、現在の市場で受け入れられるか不安になる要素もある。それでも濱永氏の言うように「力のある作品は、時代に関わらずユーザーさんは受け入れてくれる」──それを前提としてスタッフは今も本作を作り続けている。この熱いインタビューの全文をBugBug10月号で読んで、『君が望む永遠 ~Enhanced Edition R~』の11月発売に備えよう!!
▲tororo氏は、本作がここから始まる新展開のスタートラインと感じているという。これからまだまだ面白いことが起きそうな予感…🎵
君が望む永遠 ~Enhanced Edition R~
aNTIQ
2025年11月28日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win11
パッケージ・初回生産版:12,000円(税込)
パッケージ・初回生産豪華版:24,000円(税込)
DL 版:6,980円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:杉原鎧
シナリオ:タシロハヤト、松永北斗、渋谷藍、吉宗鋼紀
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