湯気氏のオリジナルキャラを立体化した「ドジっ娘メイド『リリー』」をロングインタビュー付きで大紹介!!
人気イラストレーター・湯気氏のイラスト「ドジっ娘メイド リリー」が1/6スケールフィギュアになって登場!! はち切れそうなバストや、白タイツに透けるムチムチの太もも、流れる髪の毛やこぼれ落ちる涙など、とってもハイクオリティなのだ。本作を制作したメーカーのVibrastarは、2020年くらいから急に名前を聞くようになったけど、実は中国のメーカーなんだとか!? そこで美少女フィギュアメーカーを立ち上げた経緯や、本作へのこだわりなどなど、色々まとめてVibrastarスタッフに聞いてみたぞ。気になる中国フィギュア事情と一緒に、ロングインタビュー付きの大ボリュームでお届けしよう!!
▲こちらがドジっ娘メイド『リリー』。お皿を割って座り込むメイドさんは、インタビューの後で改めて詳しく紹介していくぞ
好きなコンテンツの商業フィギュアを制作したい!! そんな思いから生まれた小規模メーカー
──まずは自己紹介をお願いします。
Lin:はじめまして、私はVibrastarのLinと申します。社内での担当は「制作進行」。具体的には各担当の業務内容のフォローと、業務進行管理、仲介です。時には企画や制作にアイデアを出すこともあります。
──早速、Vibrastarについて、一体どんなメーカーなのか教えて下さい。
Lin:Vibrastarは中国の小規模メーカーで、主にいろんなコンテンツの成人向けフィギュア商品の開発を行っています。フィギュア制作専門ですね。
──いつ頃、どんな経緯で始まったメーカーなのでしょうか?
Lin:設立は2019年、最初はフィギュアメーカー勤務経験者数名で構成しました。前職では会社に決められたコンテンツでの作品制作が多かったのですが、やはりそれぞれに「自分の好きなコンテンツで商品を作りたい」という気持ちがあり、集った形です。商品の初披露・初展示は2020年2月の日本のワンフェス冬。その後にそれぞれのメンバーが好きなコンテンツでのフィギュア制作を開始し、次々に商品を発表しています。
▲デビュー作、『恋糸記念日 アイシャ』の初展示。新進気鋭のメーカーとして、力強いメッセージが表明されている
──フィギュアメーカーとしての特長や理念を教えてください。
Lin:理念はVibrastar設立当初の初心のひとつである、「各自が好きなコンテンツの商業フィギュアを制作する」ということですね。そのため好きなイラストレーターさんのなかでも、フィギュア化未経験者から作品のモチーフを選んだり、懐かしいコンテンツから選んだりもしています。
──企画者の「好き」を重視している訳ですね。
Lin:もちろん大多数のコンテンツはメンバーのフェチから選んでいます。ユーザー様に、弊社メンバーが好きなコンテンツとイラストレーターを広めていきたい。もうひとつの会社理念は設立当初の初心である「ひとつひとつの作品を楽しんで制作しよう」です。私たちはクリエイターであると同時に、フィギュアコレクターでもあります。クリエイターがドキドキできない作品が、ユーザー様の心を動かすことができるわけないですからね!!
──自分たちの得意分野や強みについてはどう考えていますか?
Lin:ポイントは製造……開発周期の短さと出荷の安定、になるでしょうか。現在までの商品は、社内メンバーの努力のおかげで、比較的スムーズに出荷し、安全に皆様へお届けできています。数年前まで、出荷を安定させるのはとてもとても大変でした。ほとんどの方は知らないかもしれませんが、製造担当は原型師に匹敵するほど重要な役割なんです。
▲『恋糸記念日 アイシャ』は、人気イラストレーター・たかやKi氏の初単行本『恋糸記念日』のキャラクター。原型制作は後ほどインタビューで言及される、こばやし氏が担当
フィギュア好きは惹かれ合う!? 日中で連携しての開発体制
──日本での販売は2021年の『恋糸記念日 アイシャ』からです。日本で販売しようと思ったきっかけを教えてください。
Lin:設立当初から、弊社の商品は全世界で販売すると決めていました。日本での展開は、メンバーの一部が日本で生活しているのと、小さいころから日本文化の影響を受けていることが大きいと思います。当初、GOT(『恋糸記念日 アイシャ』版権元)とたかやKi先生(イラストレーター)に連絡した時は、新しく設立した会社で作品実績もなかったので心配していましたが、ありがたいことに、あっさりと制作許可を出していただけました。おかげさまで『恋糸記念日 アイシャ』が弊社のデビュー作となりました。
──日本と中国でメンバーがわかれているのですか?
Lin:はい。Vibrastarの企画の大多数が日本のコンテンツを採用しているため、企画段階は日本の事務所で行っています。開発は日中それぞれで進行します。打ち合わせが必要な場合は、リモート会議で制作する商品の監修について話し合っています。版権元様の迅速なフィードバックや、社員の努力による制作のおかげで、企画から予約開始まで、大体は1年で進行できるようになりました。
──メンバーについて教えて下さい。
Lin:一部はネットで知り合ったクリエイターの方で、一部は前職の同僚です。ワンフェスの後、みんなで自分が作った作品について話し合った時に、会社を作って一緒に制作しようという考えに至りました。スタンド使いのように、メンバーがお互いにひかれあっているんでしょう(笑)。制作チームは初期から大きくは変わらず、各メンバーが知り合いのクリエイターを引っ張って来て、今の体制になっています。
▲例えば『地雷コーデエロフ-ルナ』は、原型師が「眠い猫」と、日本人ぽい名前に見える
──彩色は過去作品すべてrokukuという方ですが、こちらは社内の方なのでしょうか?
Lin:弊社には2名のフィニッシャーがいて、デコマスを他社に依頼したことは現状ありません。基本的に弊社のrokukuが制作しています。彼はSNSがあまり得意ではないので露出はありませんが、ACG(Anime・Comic・Game)に関してはかなりの熟練度です。フィギュアやプラモ歴も数十年のベテランです。もうひとりのフィニッシャーは生産技術にとても詳しく、裏方をメインでやっています。製品の塗装クオリティを可能な限りデコマスに近づけられるのは、彼の生産管理によるものです。
──日本のコンテンツに影響を受けているというお話ですが、フィギュアに絞って「特にコレ」という作品はありますか?
Lin:この質問は、あらかじめ原型師のこばやし氏に聞いてきました。ALTERさんの『Fate/Grand Order セイバー/アルトリア・ペンドラゴン[オルタ] ドレスVer. 』だそうです。「おそらく私が一生追いかける目標であり、あらゆる面で完璧な非の打ち所がない作品だと思っています。のぶたさんが制作した原型の多くは、私の追い求める目標です」とのことです。
──ありがとうございます(笑)。
Lin:あともうひとり、こちらは本人の希望により名前を出しませんが、原型師の方の回答です。「個人的に好きなのは横田健さんの作品で、AMAKUNIさんの『ジュリア』と『鹿島』です。私が今追求しているものがイラストの再現力であれば、横田健さんの制作する作品はイラストを超えた作品だと思います。とてもリスペクトしています」ということでした。
──では一方でVibrastarらしいフィギュア、代表作というとどの作品になるでしょうか?
Lin:やはり『シャルロット』ですね。この商品のおかげで、一気に多くのユーザーに私たちを知っていただけました。予約開始時点では、弊社はまだ何の商品も出荷していなかったのですが、皆様が私たちを信じて『シャルロット』を予約してくれた。当時、あみあみランキング1位になったときは、会社の全員が感動していましたね。
▲Vibrastarの2作品目、『オリジナルキャラクター シャルロット』。人気イラストレーター・七原冬雪氏とまくらぶ共同制作のキャラクター、金髪シスター・シャルロットを、1/6スケールでフィギュア化した
気になる中国フィギュア事情についても聞いてみた
──中国でのフィギュア人気はいかがでしょうか?
Lin:直近5年間の中国におけるフィギュア熱の上がり方は非常に速かった印象です。特に美少女フィギュアは顕著でした。みんな銀髪や白髪が好きみたいですね。日本で人気なアニメやゲームは、中国でもリリースされているので、人気については日本とほとんど同じです。一部のギャルゲー、例えばゆずソフトさんの作品や、『美少女万華鏡』、『NEEDY GIRL OVERDOSE』なんかは中国でもとても人気があります。
──人気作は日中で連動しているんですね。
Lin:ただ中国で放映されていないコンテンツは、比較的人気が落ちることもあります。あとは中国国内で人気のスマホゲームのキャラクターが多くフィギュア化されていますね。こちらは非フィギュアコレクター向けの商品も多くリリースされています。
──基本的には、フィギュアはコレクター、マニアが買うものなのでしょうか?
Lin:そこは以前と変わらず、マニアが買う場合が多いと思います。ですがコンテンツによって割合が違っていて、例えば『初音ミク』や『進撃の巨人』、『ONEPIECE』等のコンテンツは一般層にも人気で、ライトユーザーもフィギュアを購入します。人口比を考えると、市場規模は日本と大きく差がないくらいじゃないでしょうか。ロボット系は店頭販売で人気があり、ユーザー層が美少女フィギュアより広い印象です。
──店頭というと、中国にもフィギュアショップがある。
Lin:経済的に栄えている都市、上海や広州等の地域だと、ショップは結構ありますね。グッドスマイルカンパニーさんやバンダイさんもショップを出しています。ALTERさんは結構前からECを開設していました。また、フィギュアショップじゃなくても、多くの店舗が一番くじを売っています。ショップではありませんが、中国でも毎年1回ワンフェスがありますし、それ以外にも多くの小規模なフィギュア展示イベントがあります。
──Vibrastar自体はファンやユーザーとの交流はありますか?
Lin:公式サイトやメールで商品に関しての質問があれば対応しますが、それ以外でフィギュアに関連しないものについての交流は行っていません。ただ弊社製品に関するネット上の意見は、注意してひとつひとつ拝見させていただいています。
▲ワンフェス上海の様子。「あみあみ」など日本のメーカーも多く出展するなど、盛り上がりを見せている。2023年も10月に開催予定だ
ドジっ娘メイド『リリー』に詰め込まれたVibrastarのこだわり
──前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介する「ドジっ娘メイド『リリー』」について教えてください。
Lin:『リリー』はアダルトフィギュアです。イラスト中の「お皿を割った」雰囲気を頑張って再現しました。泣いている表情や、うっかりこけてできた傷口も、すべてていねいに仕上げています。いろんな差し替えパーツがあることで、ドキドキさせるシーンを再現することが可能です。
──なぜ、湯気氏のイラストを選んだのでしょうか?
Lin:このイラストは彩色担当であるrokukuがTwitter上で見つけたお気に入りの一枚です。イラストのシーンがとても素晴らしかったので、彼が企画書を作成して社内に提出し、社内で検討した後に、先生に連絡してフィギュア化の企画を進行するに至りました。
▲元となったイラスト。あみあみで購入すれば、限定特典のアクリルキャラクタープレート(A5サイズ)が付属する
──原型師のこばやし氏はどんな方ですか?
Lin:原型師が考えた企画は、企画者が担当するのですが、今回はrokukuの企画です。こばやしは責任感が強く、今回のように他の人が考えた企画の制作を担当することが多くあります。多ジャンルのコンテンツに手を出していて、チャレンジが好きな人ですね。アマチュア時代は自身で自身のために、非公開、一体限定のフィギュアを作って、自分でコレクションしていました。
──『リリー』の制作における苦労を教えてください。
Lin:今回苦労したのは、涙ですね。他のフィギュア会社ではやっていることですが、弊社では初めての試みだったので、まずはUVレジンを使用して制作してみました。しかしクリア感と涙の液体っぽさはとても良い感じに表現できたのですが、量産が容易ではありません。また、見る角度によっては涙の厚さが不自然になってしまいました。最終的にはシリコン型でレジンパーツを量産しましたが、パーツが小さかったので、今度は組み立てが難しかったですね。
▲UVレジンで試作した涙。素晴らしい出来映えだが、それだけでは採用できない難しさがある
──こだわったポイントについてはいかがでしょうか。
Lin:毎回、制作において最も重要だと考えているのは顔の再現です。どのイラストにも、それぞれのテーマや作風があるので、原型師はどのようにイラストの雰囲気を再現するかを重視しています。顔はもちろんですが、雰囲気に影響を与えるパーツやポーズにも注意を払っていて、『リリー』だと、こけてケガした太もも、緊張を隠せない手の造形、あふれ出た涙については特にこだわりました。
▲こだわりの傷表現。左足の床側で目立たないが、しっかりと造形されている
──『リリー』の話とは少しズレるかもしれませんが、作業環境はどんな感じですか?
Lin:現在の原型は基本的にすべてデジタルで作業しています。使用しているソフトはZbrushです。付属品類……例えば以前の製品にあったコピー機、机と椅子等は、Mayaを使用しています。
──彩色についても教えてください。
Lin:実際の彩色はスプレー塗料で、レジン製ガレージキットパーツに塗装しています。目に関しては、フィニッシャーは手描きで描くことができますが、商業作品の場合はあえて描きません。できるだけサンプルと同じようにするために、デコマスから既に水転写デカールを使用しています。そうすれば、デコマス時の手描きと量産時のプリントが違う問題が解決できます。
▲こちらは『シャルロット』の瞳プリント調整中の写真。納得がいくまで調整を繰り返す
──ドジっ娘メイド『リリー』の一押しポイントはどこでしょうか?
Lin:露出していない胸パーツでしょうか。かなりぴったりな大きさで、原型師が好みのサイズに仕上げています。ボリューム感をより良く表現するために、原型師のこばやしがディティールについて、rokukuと何度も検討を重ねていました。陰影の位置や肌の色等を含めてこだわっているので、最終的に手に入れた皆さんにご満足いただけると嬉しいです。
▲「ちょうどいい」という難題に挑戦したおっぱい。紐で強調されたふかふか感がたまらない
Vibrastarの今後の活躍に期待大!!
──今後のVibrastarの活動について、予定や目標を教えてください。
Lin:Vibrastarはこの先も変わらず美少女フィギュアを一意専心制作してまいります。また、様々な新しいコンテンツにもチャレンジし続け、優れた品質と納期の安定性を維持していきます。もちろん一番重要なのは、原型師に制作を楽しんでもらい、ユーザーに原型師の真心、作品を楽しんでもらうことです。
──最後に日本のフィギュアファンや美少女ゲームユーザーへ、メッセージをお願いします!!
Lin:回りくどい返答になってしまったかもしれませんが、辛抱強くお読みいただきありがとうございます。まだ公開はしていませんが、美少女ゲーム関連のコンテンツも制作する予定です。設立して間もないブランドであるのにもかかわらず、皆様にこんなにも応援していただき大変感謝しております。もし何かおすすめのコンテンツやイラストがありましたら、公式メール(support@vibrastar.jp)にリクエストいただけますと幸いです。皆様のリクエストからコンテンツを拾って商品化することもございますので、たくさんのリクエストお待ちしております。私たちはこれからも皆様をドキドキさせる商品をお届けしてまいりますので、これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
▲Vibrastarにある歴戦のタンポ印刷機。今後も、ここから多くのフィギュアが誕生していく!!
「ご、ご主人様…またお皿割っちゃいました……!」これがVibrastarの最新作「ドジっ娘メイド『リリー』」だ!!
ここからはインタビュー内でも大きく取り上げた最新作『リリー』について、その魅力を改めて紹介。食器を落とし、膝を怪我してプルプルと座り込むドジっ娘なメイドのイラストが、実に繊細に立体化されている。こだわりのバストや、太もも、こぼれ落ちそうな涙など、見所満載な各部をチェックしていこう!!
▲割れたお皿が付属。イラスト再現のため、広げたエプロンの上にも置ける
▲髪の塗装やタイツの透け感も素晴らしい
▲実際に採用された涙と、足の傷が確認できる
CHECK
本作はアダルトなフィギュアなので、胸部パーツ、ヒップパーツを付け替えると脱いだ状態にできる。お皿を割った愛らしいメイドを辱めるのも、ご主人様の特権だ。どんなおしおきを与えるかは、ご主人様である貴方次第。好みの格好にして、メイド服に隠された豊満なボディを楽しもう♪ 今回は特別におっぱいを見せた画像をいただいたので、ムフフな部分のハイクオリティ具合もジックリ注目してくれ!!
▲見よ、この芸術的な美しさ。ちょうどいいおっぱいは、メイド服を脱がせてもやっぱりちょうどいいね!!
▲涙なしバージョンの表情パーツも付属。こちらもイラストを再現した不安げな雰囲気
▲乳首の柔らかで張りがありそうな色や表現も完璧。メイドさんを手元に迎え、至近距離でたっぷり奉仕してもらおう♥
ドジっ娘メイド『リリー』
Vibrastar
2024年2月発売予定
作品名:オリジナル
商品名:ドジっ娘メイド『リリー』 illustration by 湯気 1/6 完成品フィギュア
仕様:PVC・ABS 塗装済み完成品
21,780円(税込)
スケール:1/6スケール(全高 約160mm・台座含まず)
原型:こばやし
彩色:rokuku
©湯気