気づかない内に何度も読み返してしまう中毒性があるリアルなエロス
捨て猫をきっかけに知り合った幼い少女・小雪。アパートに入り浸るようになった彼女は、いつしか主人公と肉体関係を持つようになる。
そうして月日が経ち、主人公はアラサーになり、小雪はJKの美しい娘へと成長していた。
「…そろそろ、潮時なのかもな」
そんなある日、地元の花火大会に友達と出掛ける予定の小雪が、猫に餌を与えるために、アパートに浴衣姿でやってくる。
「ちゃんと…、幸せになるんだぞ」
我慢できずに浴衣姿のままＨする小雪に、そっと語りかける主人公。
はたして二人の関係の行く末は──？
楝蛙（おうちかえる）氏の4冊目となる最新刊『恋のむきだし』は、『COMIC快楽天』に掲載した全9編を収録した短編集。
211ページとボリュームがあるが、上で紹介した「たべかけ」のように、いずれも淡く切ない極上の青春ラブストーリーが展開される。
そのラブストーリーも、単純なボーイミーツガールで終わる話ではない。思春期ならではの悩みや葛藤も抒情的に描かれ、心に残る読後感が素晴らしい。
絵柄の繊細なタッチも相まって、どこかまったりとした雰囲気の中で描かれる恋愛模様は、まるで手描きアニメのMVが人気な今どきのCHILL J-POPのよう。深夜に繰り返し聞くBGMのように、気づかない内に何度も読み返してしまうぞ。
もちろん実用度も高く、卓越した画力で描かれるSEX描写はリアリティ抜群。
しかも実写を意識しているのか、構図やコマ割にカメラで撮影したかのようなリアリティがあって、先に説明したチルい雰囲気もあって、妙に生々しいエロさがある。
このチルな雰囲気との相乗効果による解像度の高いリアルなエロスは、他にない魅力で中毒性抜群なので、ぜひ体感してほしい。
恋のむきだし
楝蛙
ワニマガジン社（レーベル：WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL）、A5判、紙版・電子版：1,430円（税込）、発売日：2023/12/15
▲大人向け恋愛漫画のように現実のホロ苦さを感じる話も。まったりとした本当にありそうな男女の空気感が、リアルなエロさを醸し出す
デビュー作から年代順からに読み進めるとストーリーも画力も着々と進化!! 過去作から最新作まで読み進めて【楝蛙ワールド】の成長過程を辿るのもオススメ
恋のち交尾
楝蛙
ワニマガジン社（レーベル：WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL）、A5判、紙版・電子版：1,210円（税込）、発売日：2021/12/24
おもちかえり
楝蛙
ワニマガジン社（レーベル：WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL）、A5判、紙版・電子版：1,100円（税込）、発売日：2020/10/15
春と青
楝蛙
ワニマガジン社（レーベル：WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL）、A5判、紙版・電子版：1,100円（税込）、発売日：2018/12/19
