商業から同人に舞台を変えて大ヒット!! 人気作『お兄ちゃんシリーズ』を手掛けてきたちゃた氏に12月号でロングインタビュー
『まいてつ』等の大ヒットで知られる美少女ゲームブランド・Lose。最近惜しまれつつも活動を終了したLoseだが、そのスタッフが中心となって立ち上げたボイスドラマ制作サークルがWhispだ。そしてそのWhispが、初めて音声作品でなくゲーム作品をリリースしたのが、RPG作品『ガマンができない童貞兄キと、スナオになれない反抗妹』。いきなり2万本を超える大ヒットを記録するが、その仕掛け人こそ、美少女ゲーム業界で20年に渡ってゲーム制作を続け、妹モノのジャンルで意欲作を送り出してきたディレクター・ちゃた氏。ちゃた氏が同人デビューした理由と、そこで感じたこととは? 絶賛発売中のBugBug12月号で赤裸々に語ってもらったロングインタビューを、ダイジェストで大紹介だ!!
▲今回インタビューに答えてくれたちゃた氏は美少女ゲーム業界に入ったのが1999年というベテランクリエイター。GaletteやTinkle Positionなどで妹系ゲームのヒット作を数多く手掛けてきたのだ
90年代後半から美少女ゲーム業界を駆け抜けたちゃた氏
──ちゃたさんは、もともと商業美少女ゲームで仕事をされていたんですよね。
ちゃた:そうです。1999年にグラフィッカーとしてROOTに入りまして、『顔のない月』などの制作に参加していました。その後フリーからいくつかの美少女ゲームメーカーを経て、Galetteで企画・ディレクションとして『お兄ちゃんシェアリング』を制作しました。その後に『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します』を制作した後に諸事情からGaletteを離れまして、別の会社でTinkle Positionを立ち上げたんです。
──Tinkle PositionはGaletteのスタッフが中心となっていたのですか?
ちゃた:いえ、Galetteでは基本全部外注で制作したんです。実は僕、Galette以降、現在まで常駐のスタッフというのは持っていないんですよ。
──そうだったんですね。
ちゃた:まあ、僕自身が制作ラインみたいな感じですね。Tinkle Positionの時も「『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します』が人気だったから、ぜひ妹ものを作ってくれ」と言われて、僕も一番自信のあるジャンルだったので、またまた外部スタッフを集めて『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか?』を制作しました。
──それが2016年ですね。そして『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか?』、『お兄ちゃん、朝までずっとギュッてして! 』と続くわけですよね。
ちゃた:はい。ありがたいことにユーザーさんに「お兄ちゃんシリーズ」などと呼んでもらえるようになりました。そんな風に、声をかけてもらった会社を転々としながら、外部スタッフを使って妹ものの美少女ゲームを作り続けてきたというわけです。
──2020年にはSukeraSomeroから『推しのラブより恋のラブ』を作られていますが、これは百合ものですね。
ちゃた:これはTinkle Positionと同じ会社の百合ブランドなんです。実は『お兄ちゃん、朝までずっとギュッてして! 夜までもっとエッチして!』の次となった時、さすがに僕もネタが尽きてきたんですね。そんな話を会社でしていたら「じゃあ気分転換にSukeraSomeroで1本作ってみない?」と言われまして。それで企画を立てて、シナリオとCG、音声収録まで手がけました。結局マスターアップ前に離れることになるのですが、この作品のおかげで、百合ものにも結構詳しくなりましたよ。
──そしてLoseのボーントゥさんに転職されるわけですね。
ちゃた:そうです。それで『まいてつLast Run!!』を手伝っていたんですが、tOさんから「同人ソフトを作ってみないか」と相談されまして、新しい妹ものの企画を作り始めたんです。
──それが『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』なんですね。
ちゃた:そうです。これまで妹ものを作ってきたんですが、基本的にどれも「倫理観のかけらもない、お兄ちゃん大好きな妹」というゲームだったんです。でも、僕の中にはそういうゲームでは昇華されない妹へのこだわりがあって、Tinkle Positionの解散前からその企画を温めていたんですよ。この申し出は、その企画を世に出すチャンスだ! と考えて企画書を提出したところ、「ウチでやってみる?」ということになって、『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』の制作がスタートしました。この辺りはCi-enのブログで詳しく書いてありますので、興味がある方はご一読ください。
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▲『ガマンができない童貞兄キと、スナオになれない反抗妹』はBugBug.NEWSでも紹介しているので、こちらの記事もチェック
改めて『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』の凄さをチェック!!
──そんな『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』ですが、これはどういう作品なのか、改めて教えてください。
ちゃた:本作は「仲の悪い兄妹企画」なんです。実は私には妹がいなくて、企画を考えるときにネットで「兄妹あるある」みたいなネタを調べるんですよ。そうすると、どうしても「きょうだいげんか」というキーワードは避けて通れないんですね。でも「お兄ちゃんシリーズ」では「口の悪い妹」とか「お兄ちゃんが嫌いな妹」というのは出せない──そもそもがフルプライスのパッケージゲームで、そういうヒロインは出せないですよね。じゃあ、商業で通らないなら同人でやってやろう、と。私の中で積もりに積もったあれこれを「それでもかわいい妹」という形にまとめたのが今回の企画なんです。
──先ほど「妹もののネタが尽きた」と言われていましたけど…。
ちゃった:そうなんです。ネタはあるけど商業では使えないという状況だったんです。
──ちなみに商業でそういう企画にNGを出すのは誰だったのでしょう?
ちゃた:ありていに言えば「お金を出す人」です。企画書を出した時に「売れるかどうか」を精査されますから。そもそも『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!』も、企画段階で流通さんからはNGが出たんですよ。「巨乳じゃない」「学園ものじゃない」「ロリものは売れない」ということで。たまたま後押ししてくれる人がいたので発売にこぎつけたんですけどね。
──『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!』は2014年発売ですよね。確かに美少女ゲーム市場は「巨乳」「学園もの」が人気だった時代ですね。今でもですが。
ちゃた:そんな中で実績を出すことで企画を通してきたわけですが、先ほど言った「お兄ちゃんが嫌いな妹」を通すのは無理なんですよ。
──そういう企画が同人だと制作できるということですか。
ちゃた:うーん、それはちょっと違っていて、tOさんに言われて同人ソフトを作ることになったわけですが、僕を知っているユーザーさんの中には「同人に落ちた」みたいな言い方をする人もいるんですよ。「商業で作れなくなったから同人に行った」みたいな。そうじゃないってことを知ってもらうには「同人じゃなければ出せないゲームを作るんだ」ということを打ち出していかなければならない。なのでCi-enのブログを使って、「ヒロインは一人」「お兄ちゃんが嫌いな妹」「ゲームを始めるまでどんな妹かわからない」「ふくらみかけ」と、商業では出せないでしょって要素をアピールしていったんです。
──その結果、『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』はDLsiteで2万3000DLと大きな売り上げを出していますよね。これは同人だからの結果でしょうか。それとも商業で出しても、これくらい売れていたとお考えですか?
ちゃた:商業で出したら、こんなに売れることはなかったでしょうね。そもそも商業で2万本越えなんて夢の数字ですよ。ましてや低価格ソフトでは考えることもできない。多分ユーザーにも「このヒロインはない」って判断されるでしょうね。実はDLの結果から、商業流通さんがパッケージを作らせてくれるんですが、動くかどうか不安ですね。なぜなら商業パッケージ美少女ゲームのユーザーさんは同人DLで売れているゲームのことなんか知らないから。『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』の2万本の中で、僕のファンだったとかLoseのファンだっていう人の売り上げは5000本くらいじゃないですかね。多くは同人ゲームファンの口コミだと思います。
▲BugBug12月号では『ガマンができない童貞兄キと、スナオになれない反抗妹』をカラーでも2ページで掲載。インタビュー特集と合わせて7ページを使って大紹介しているのだ
冒頭の選択肢の結果でヒロインが9パターンに変化!!
──そんな『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』ですが、せっかくBugBugでお話を伺っているので、ゲームの内容についてもお聞きしたいと思います。まず注目したいのが妹です。こちらが9パターン用意されていて、ゲーム最初のプレゼントなどの結果でタイプが変わってくるじゃないですか。
ちゃた:私はコンセプトを中心にしてゲームを作っていくタイプなんですが、今回は「俺の好きな妹はお前みたいなタイプじゃねえ!」というのがあるんです。リアルでも、そう思っている兄って多いじゃないですか。そういう「自分の思い通りにならないヒロイン」というのを今回は楽しんでほしいと思ったんです。「俺はオタクな妹が好きなのに、ギャルになっちゃった」みたいなのを味わってもらうために、9パターンの妹が選択の結果で出てくるようにしたんです。コンセプトをシステムに落とし込むとこうなるね、と。
──ちなみに9パターンのヒロインは、どのように決まるのですか?
ちゃた:キャラデザインが3パターン、シナリオが3パターンで合計9パターンですね。
──プレゼントをどう渡すとどのパターンになるかといった情報は公開しないのですか?
ちゃた:しません(笑)。ただし、ベースの3パターンに関しては、3つの選択肢のうちの1つを選び続ければそこに行くようになっています。これについては公開する予定だったのですが、ユーザーさんが先に法則を発見しているので、やめておきました。
──でもヒロインパターンが9あるなら、エッチシーンも増えるわけですよね。
ちゃた:かなり増えましたよ。エッチシーンは18で、それが各パターンで変わってきますから、単純に18×9ですね。結果的にフルプライスのゲームと遜色のないくらいの数になりました。エッチの流れはCGがあるから大きくは変わりませんが、シナリオは全て3種類必要になりますから。
──それは大変だ(笑)。
ちゃた:もちろんシナリオも共通で使える部分はあるんです。でも、セリフは変えなければいけないですよね。そこだけ変更するくらいなら全部個別に書いたほうが早いわけです。
──ベースのキャラデザインはいかがですか?
ちゃた:原画をTinkle Positionなどと同じK子さんで、「ふくらみかけ」にしたのは、以前のユーザーさんを意識してです。それと今回は「兄と仲の悪い妹」ということなので、あまり美少女ゲーム的でない、実際にいそうな妹を意識しました。なので衣装なども、あまりキラキラしていない、普通の洋服です。
──もう一人、ナビ子というキャラがいますよね。
ちゃた:ゲームのナビゲーションキャラなのですが、妹が「普通の子」なので、キラキラした部分は全部こちらに盛り込みました。「兄を嫌いな妹」なので、ゲーム序盤は会話もあまりないんですよ。それを埋めるキャラでもありますし、エッチもあります。それと広報キャラとして動画に出すことも考えていたので、広報で使いやすいキャラにしました。
──そうだったんですね。
▲ヒロインが9パターンに変化したりRPG要素を取り入れたりなど、同人ゲームに求められるものを勉強した成果が詰まっている
同人ゲームに求められるものを勉強
──話をゲームに戻しますが、今作はRPGパートがありますね。
ちゃた:と言っても、主人公が自分を操作して場所移動をするだけなんですけどね。商業では「いらない」と言われる部分ですね。ユーザーさんの違いが明確に出ている部分ですね。
──その違いについては研究されたのですか?
ちゃた:同人ゲームを作ることが決まってからの後付けですが、勉強しました。これは言おうか迷ったのですが、『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』を出した時、商業で美少女ゲーム制作をやっている人から、「この値段でこのクオリティのゲームを出されると、こっちはやってられないよ」と言われました。ですが実際に同人ゲームがどれくらい手間がかかっているか、どうか見てみてほしい。クオリティではなく手間ですね。それを2000円で出している同人ソフトと、本来商業のゲームだって戦っていかなければいけないわけです。にもかかわらず同人ゲームがどこまで進化しいるかに目をつぶって、「商業の低価格は値段がいくらでシナリオとCGはこれくらいで」と業界で決められたルールの中でしか語っていない。私よりもずっと才能があって結果も出してきた人たちが、その枠組みから出れずに業界から去っていくのを見るとやりきれなくなります。ちょっと視点とやり方を変えるだけで、まだこれだけ売れる市場があることを知ってほしいと真剣に思いますね。
──実際、商業の美少女ゲーム市場が厳しくなる中で、同人ゲームの作り方と売り方が突破口の1つになる、と。
ちゃた:そうですね。ただ、1つだけ注意してほしいのは、すでに同人ゲーム市場は独自性をもって成立しているということなんです。今から入ってくれば、どれだけ商業で成功していたとしても新参なんです。それを理解せずに「俺たちは商業で何万本売ってきたんだ」と上から目線で入ってきたら、失敗するとは言いませんが、間違いなく苦戦すると思います。
──商業と同人に大きな違いがあるわけですね。
ちゃた:特にユーザー側の違いですね。同人ゲームのユーザーは作り手の熱意に強く反応するんです。そこに反応して応援する。ネームバリューに頼るやり方では通用しないんです。まず熱意があって、その上でのクオリティなんです。
──『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』でもそうでしたか。
ちゃた:そうですね。先ほども言いましたけど、Tinkle Positionのゲームを作ったスタッフかどうかは関係なかったです。作品やCi-enのブログで私たちの熱意を感じてくれた人が、プレイしたらクオリティの高さに驚いてくれている感じですね。やはり商業で長年もまれてきたメンバーで作っていますから、クオリティは担保できていますよね。これはエッチシーンなどで、特に顕著かもしれません。高く評価していただきました。
──確かにいろんな同人ゲームを遊んでみて、エッチシーンのようにAVGパートになると、CGやテキスト、演出面で、まだまだ商業ゲームのクオリティの方が高いなと思います。
ちゃた:CGやシナリオといった素材作りの部分に関しては商業の方が上をいっていることが多いです。これは間違いない。ただ、ゲーム全体としての見せ方や「こういうゲームを作りたいんだ」という熱意といった部分では同人ゲームの方が上だと思います。その違いをちゃんと理解して、そこから販売方法を設定し直した方が良いと思います。
──その一方で、本作でのRPGパートのような見せ方──これは他の同人美少女ゲームにもよく見られるんですが、このやり方って『同級生』っぽい印象があるんですよ。
ちゃた:はい、そうなんです。結局、90年代の美少女ゲームではシステムで見せていた部分を、2000年代になってノベルゲームが幅を利かせるようになって、テキストベースで見せるようになった。あの頃の美少女ゲームユーザーは、そうやって文章で読んで楽しむことができたんです。でも今のユーザーさんの中には、街の移動などはマップでやってもらった方が感情移入しやすいという人も多い。同人ゲームは、まさにそういう「今のユーザー」に応えていると思うんです。
──確かにドット絵のヒロインとマップ移動でデートを描いてもらっても、僕たちは感情移入できましたもんね。
ちゃた:実は私、同人ゲームを勉強するまでは、AVGは表情が変わる立ち絵での会話じゃないと感情移入できないと思っていたんです。でも、そう言われてみれば90年代のゲームはドットに感情移入してたなと思い出しました。ありがとうございます。
──いえいえ。なのでぜひ次回作は、ドット絵のヒロインと一緒に街の中を歩き回るパートを作ってください(笑)。
ちゃた:検討します(笑)。まあ、色々言いましたけど、商業でも現状うまくいっているところは今のままでいいんですよ。フルプライスでも低価格でも。でも、全部がそうではないですし、そんな中で美少女ゲーム制作をやめてしまう会社やクリエイターが少なくないのが残念だし寂しいんです。そういう人たちに、「同人ゲームというフィールドもあるよ」と伝えていきたいなあと思っています。
▲元が音声サークルだけに本作からスピンオフした音声作品もWhispより多数リリースされている。詳しくはこちらでチェックしよう
同人ゲームと商業ゲームの違いとは?
──さて、改めてお伺いしますが、実際に同人ゲームとして『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』を制作してわかった同人ゲームと商業ゲームの違いをお聞かせください。
ちゃた:これは何度も繰り返しますが、作り手側の熱量が何よりも重要であるということと、そこで判断されるということ。それと完璧を求められないというのもあると思います。原画やグラフィック、シナリオなどもそうですが、企画の段階で、同人は熱量重視なのですが、商業では完璧と言うか、高い総合力を求められます。これはどちらがいいかという話ではなく、そういう違いがあるということなので、だからこそそれを理解しないで同人ゲーム市場に入っていくと厳しいですよ、ということです。
──その意味では、ちゃたさんのチームは上手に融合できたということでしょうか。
ちゃた:そうですね。ウチらが培ってきた高い技術力を、うまく同人ゲームの企画に乗せられたなと思います。
──そして『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』というゲーム自体への反響などは、どうでしたか?
ちゃた:正直、こんなに性格の悪いヒロインのゲームは売れないだろうなって思ってはいたんです(笑)。それがこれだけ高い評価をいただくとは思いませんでした。確かにこれまでにはないタイプのヒロインですが、それを肯定的に受け止めてもらえたのが嬉しかったですね。これが同人ゲームのファンなんだと思いました。商業ゲームでは、キャラクターデザインの部分を、かなり神経質に突き詰めてゲームを作ってきたんです。それでも賛否はどちらもいただきました。だからこそこれだけ受け入れてもらえたのが驚きであり、嬉しくもありましたね。
──まさに熱意のある作品やクリエイターを応援する感じですか。
ちゃた:そうですね。同人の場合は「やってみたら面白かった」という感想が多い気がします。気になったら、とりあえず試してみる感じ。商業の場合は「面白そうと思わないと買わない」なので、「面白くて当然」なんですよね。もちろん価格の違いというのが大きいのはわかるんですが、美少女ゲーム業界も2000年前後は、フルプライスでも「気になったから買ってみた」というお客さんが多かったように思います。その頃に美少女ゲームを作っていたクリエイターの皆さんには、「もう美少女ゲームは作らない」となる前に、一度同人ゲームの方を見てもらえたらなぁと思います。もちろん絶対に同人ゲームはやめたほうがいいなって方もいらっしゃいますけど(笑)。
──やめた方がいいのはどんな人でしょう。
ちゃた:王道で過不足ないゲームをきっちり作れる人かなあ。あくまで私がそう思っているだけなんですけどね。
──他に同人と商業の違いを感じたことがあれば教えてください。
ちゃた:広報面ですね。正直『ガマンができない童貞兄キとスナオになれない反抗妹』の広報は、私的にはなにもやっていないレベルなんです。自分のSNSとCi-enのブログくらい。あまりにも不安でtOさんにお伺いを立てたら「そんなもんだよ」と言われて驚きましたから。でもじゃあ、何ができるのか? と聞かれると、思いつかないんですよね。
──その辺りは発売前の予約と最初の週末のセールスが大きいパッケージ商業ゲームとは違いますね。
ちゃた:今回の経験だけですが、ランキングは重要かもしれませんね。上位に入っていれば動いているんですが、ちょっと下がってしまうと動きが止まってしまうんです。あとはセールに入るくらいかなあ。
──なるほど。そういう影響度がわかれば、色々出来そうですけどね。
ちゃた:そう考えてしまうところが商業のスキームなんだと思います。それに凝り固まってしまったまま同人に来ると、困ってしまうかもしれませんね。私が困惑したのも、雑誌広告や店頭配布、イベント参加など、いろんなことをやってきたからだと思います。
▲同人ゲームらしく低価格のアペンドもリリースされているぞ。こちらは11月1日リリースの3本目『ガマンができない童貞兄キと、スナオになれない反抗妹 APPEND.03 二人は共犯関係』で、税込220円という安さ。その他のアペンド作品はこちらでチェックを!!
『ガマンができない童貞兄キと、スナオになれない反抗妹』&同人ゲームの魅力についてBugBug12月号では気になる内容がまだまだ満載!!
BugBug12月号ではモノクロ5ページに渡ってちゃた氏のロングインタビューを掲載。今回のダイジェストでは紹介した以外にも、Loseで『まいてつLast Run!!』を手伝った感想や、パッケージ版「2万DL記念パック」のリリースについて、主題歌とOPムービーの評判、現在の美少女ゲーム業界に思うこと…等々、非常に読み応えのある内容となっているのだ。作品についてだけでなく、美少女ゲーム業界全体への提言や今後へのヒントも盛り沢山。ファンはもちろん業界関係者たちも絶賛発売中のBugBug12月号を手に取って、ジックリ読み込んで欲しい!!
Whisp『ガマンができない童貞アニキとスナオになれない反抗妹』デモムービー
ガマンができない童貞兄キと、スナオになれない反抗妹
Whisp
2022年7月24日発売
RPG、DL、18禁、WinVista/7/8/8.1/10
2,200円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:K子
シナリオ:東人
▲BugBug1月号は紙版も電子書籍版も絶賛発売中。これ以外にもスクープ特集やインタビュー企画が満載なので、こちらの記事で確認してね♪