終末の世界ですごす二人の物語…『夏ノ終熄』を語り尽くすロングインタビューをダイジェストで特別公開!!
数々のヒット作を世に送り出してきた人気ブランドCUBEの最新作は、終末世界を舞台にたくましくも穏やかな日々を送る主人公とヒロインを描いたAVG。BugBug9月号では発売直前の特集記事として最新ビジュアルに加え、シナリオライター・かずきふみ氏と広報・かたひと氏に本作の魅力をロングインタビューで語っていただいている。4ページ行間つめつめでギッチリ書かれた内容は実に興味深いものだ。今回は特別に、その内容の一部をダイジェストで公開しよう!!
▲CandySoftでのデビュー以降はフリーランスとして活動、シナリオを手掛けたゲームが何度も美少女ゲームの賞を得たヒットメーカーなのだ
最新作『夏ノ終熄』誕生秘話…お仕事のきっかけはYouTube
──かずきふみさんがCUBEさんでお仕事をされるのは初めてですよね。
かずきふみ(以下:かずき):はい、初めてです。
──どのような経緯で、オファーがあったのですか?
かずき:実は僕、YouTubeの配信をたまにやっているんですけど、そこで『響野さん家はエロゲ屋さん!』(sonora)の体験版の実況プレイを上げたんです。それがきっかけだと思うんですが。『響野さん家はエロゲ屋さん!』はエロゲーあるあるな感じが面白くて、普通は体験版実況は途中で終わってもそのままなんですが、この作品だけは唯一2回配信したんです(笑)。
──それがきっかけですか。
かずき:だと思うんですけどね。「体験版、プレイしてもいいかなあ」ってツイートしたら「OKです」ってDMをいただいて、その後すぐにオファーをいただきましたから。
──かたひとさん、覚えています?
広報・かたひと(以下:かたひと):覚えているも何も、DM送ったの僕ですもん(笑)。体験版を公開した直後はよくエゴサしているんですよ。そこでかずきさんのツイートを見て、業界関係者の方から感想をいただけたら嬉しいなと思って、すぐにDMを送りました。
──それがすぐお仕事につながるのもすごいですね。
かたひと:やりとりをさせていただくうちに、「かずきさんにSonoraのシナリオをお願いできないかな」と考え始めていたんです。次回作というわけではなく、タイミングの合うときに、くらいの気持ちだったんですけどね。でも『響野さん家はエロゲ屋さん!』の体験版をYouTubeで実況プレイしてもらったのが嬉しかったから、社内で自慢していたんですよ(笑)。そしたらちょうどCUBEの新作企画の会議があって、上司から「かずきふみさんってみんな知っているよね。シナリオお願いしたから」って言われて、「ええ!? そっち!?」って(笑)。
かずき:そんなやりとりがあったんですね。知らなかったです。
かたひと:もちろん社内のスタッフは、みんなかずきさんのお仕事を知っていますから、すんなりOKになったんですけど、僕だけは「Sonoraでお願いしようと思っていたのに」ってちょっとゴネました(笑)。
──ちなみに『夏ノ終熄』という企画は、かずきさんから出されたのですか?
かずき:僕の方から出しました。僕はメーカーさんに企画を出すとき、「メーカーの作風に合うもの」と「自分の趣味のもの」の二つを出すようにしているんです。今回は趣味に近い企画が選ばれましたね。だからCUBEさんの作品ラインナップを見ると、若干雰囲気が違うかなって印象はありますよね。僕も「こっちが選ばれたか」って驚きました。
▲かずきふみ氏のYoutubeチャンネルではこれまでのお仕事のほか様々なゲームに関することをお話してくれている
魅力はかずきふみ氏の日常シーンも、実はマルチエンドの本格AVG!?
──タイトルもとても意味深ですよね。「終熄」と書いて「オワリ」と読ませる。しかも「終息」ではなく「終熄」なので、何かが消えてなくなってしまうようなニュアンスも感じます。
かずき:実は……このタイトルは僕が考えたんじゃないんですよ。今作はCUBEさんの10作品目で、デビュー作の『夏ノ雨』と季節が一緒なので、このタイトルにしたそうです。最初は『夏ノ終息』だったんですが、後から『夏ノ終熄』になりますと連絡をいただきました。
──確かに『夏ノ終熄』というタイトルになって、より終末感を感じられるようになりました。それにしても、タイトル決定にかずきさんが関与していないというのは驚きですね。
かずき:実は僕、タイトルを決めるのが恐ろしく苦手なんです。今回はそういうやり取りはなかったんですが、メーカーさんによっては「考えてほしい」と言われて、いくつかアイデアを出すんです。でも、結局採用されずにメーカーさんが決めるってことが多いですね(笑)。
──改めて、タイトルを聞いた時の感想をお聞かせください。
かずき:カッコいいなあって思いました。メインビジュアルにも合っていますよね。確かにこのタイトルとビジュアルがあれば、終末感のある世界系の作品に見えますよね。
──でも実際は……。
かずき:日常系です(笑)。儚げなルートもありますが、基本は楽し気に進んでいきますので、そちらをメインに楽しんでいただければ。
──マルチエンディングなんですか?
かずき:エンディングは4つくらいあります。また、同じルートでも選択によって少しだけシーンが変わったりとかがあるので、ほんのりフリーシナリオ風味として楽しんでいただければと思います。
──低価格でマルチエンディングは珍しいですよね。
かずき:最初は一本道シナリオで考えていたんです。でも、ゲーム的に遊び要素があった方がいいなってことで、いっそのこと複雑なルート構成にすることも考えたんです。僕、そういうシナリオを書くのが好きなんですよ。
──CUBE初の低価格ソフトがマルチエンドのフリーシナリオ風っていうのは、広報的にもかなりの推しポイントになるんじゃないですか?
かたひと:僕は推していきたいと思っているんですが、今の段階でもどこまで出していくか考えているんです。このインタビューが公開されているときには方針を決めていると思いますので、確認してみてください(笑)。
▲CUBEブランドとしては初のロープライス作品だがクオリティは犠牲にしていない。評価の高い主題歌やBGMも公式サイトで聴くことが出来るぞ
主人公とヒロインが1対1だから盛り込める二人の濃密な関係性
──そんな作品に登場するキャラは二人ですが、それぞれを紹介していただけますか? まずは主人公のユウジです。
かずき:ブラック企業を就職して半年で辞め、田舎の集落でアウトドア系動画投稿者をしている主人公ですね。
──なんともコメントしにくい設定ですね。
かずき:感情の起伏がそれほどない冷静なタイプなんですが、冗談なんかもそれなりに言ったりする、嫌味のない青年です。生活と動画ネタのためにアウトドアのあれこれに挑戦することでスキルを得て、後に役立ってくるわけです。
──かなり個性的な主人公ですね。
かずき:僕が主人公を書くときは、個性を立たせながら、プレイヤーの感情移入を邪魔しないバランスを考えているんです。ユウジもそういうバランスのキャラになっています。
──かなり調整が難しそうですね。
かずき:そうですね。どちらに傾きすぎても「この主人公は嫌い」と言われてしまいますので、毎回描き方には注意しています。
──今回は主人公とヒロインが1対1ですよね。そういう意味で難しさはありましたか?
かずき:どうでしょうねえ……1対1だと他のキャラを気にせず、二人だけの関係に注力すればいいので、かえって書きやすかったかもしれないです。
──例えばどういうところでしょう?
かずき:例えばヒロインが5人いれば、主人公に5人分の「好きになる要素」を盛り込まないといけませんよね。今回は1対1なので、ミオが好きになる要素だけを盛り込めばいいわけですから。
──なるほど、そういうことなんですね。そんなミオは、どんなキャラクターなのでしょう?
かずき:方向性的には、割とユウジと似ているんですよね。年齢の割には落ち着いているけど、はしゃぐ時ははしゃぐし、妙に冷めているところもある。「年頃の女の子」というのを出せればいいなと思って書いていました…具体的じゃなくてすみません(笑)。
──いえいえ(笑)。
かずき:僕の場合、キャラ設定をあまり固めずに、なんとなくで書いていることが多いんです。「今自分が思う可愛い感じ」みたいな感じで動かしていくことで、キャラの個性が出てくるような。
──設定を見ると、伝染病で天涯孤独になって死に場所を求めて旅立つという、なんとも重いキャラですが。
かずき:でも方向音痴すぎて、海に向かったはずが山に辿り着いて、行き倒れたところをユウジに助けられる。ちょっと抜けたところもあるんですね(笑)。
▲二人の関係性を大切にするのでいきなり激しいHとはいかないが、順序を踏まえた上で自然かつエロいシーンになるように力を入れているぞ
日常系を演出するために用意した豊富なヒロインの衣装差分に注目
──そんな二人を描いたのが、うみこさん。CUBE作品はもちろんCUFFS作品でも初めての原画家起用ですよね。
かたひと:弊社の通販で、色々な有名イラストレーターさんに描き下ろしていただいたオリジナルキャラのタペストリーを定期的に販売しているんですが、過去にそちらのイラストをお願いしたことがありまして、ゲームの原画としては初めてです。
──確か、ここ2~3年は、うみこさんは他作品で原画をされていますね。
かたひと:はい、それらの作品も拝見させていただきまして、今回の企画がうみこさんの絵とマッチしそうだということでオファーさせていただきました。
──『夏ノ終熄』のキャラデザインは、かずきさんから提案されて絵を起こされたのですか?
かずき:僕からはざっくりしたアイデアだけですね。原画家さんのイメージを邪魔しない程度の資料を作ってお渡ししました。
──上がってきたキャラ絵を見ての感想はいかがでしたか?
かずき:主人公はカッコいいし、ヒロインは可愛いし(笑)。実は「最近のエロゲーの主人公はこういうのが多くて、ヒロインはこういうのが人気で」と理論武装をしてからキャラデザインを見たんですよ。で、何パターンかいただいた中で、髪がウェーブしたミオがあって、それがすごい好みだったんですね。それで「これが好きです」みたいな感じで(笑)。
──いただいた作品資料を見ると、ミオの衣装差分が6パターンあるのですが、低価格ソフトとしては異例の多さですよね。
かずき:こちらからは制服、私服、水着、パジャマとほしい衣装を指定しただけで、基本はうみこさんに自由に描いてもらいました。衣装差分は多分6種類とも使用されると思います。
──私服が3パターンというのは、フルプライスのゲームでもそう多くはありませんよ。
かずき:日常を描く作品なのに、女の子の服装がワンパターンってかわいそうじゃないですか。なので3種類用意して、二日続けて同じ服は着せないようにスクリプターの方にはお願いしています。それもやはりヒロインが一人だからできたことだと思います。リソースを全てミオにさいていただいた感じです。
──ビジュアル面では、先ほども話に出たメインビジュアル。これは本当にインパクトのある絵ですよね。
かずき:メインビジュアルは完全にお任せだったんです。雰囲気重視でとてもインパクトのある素晴らしい絵だなあと思いました。
──このビジュアルがあるから世界系の作品なのかと思ったんですよ。
かずき:そうですねえ。しかもやや引きのアングルがいい感じですよね。この構図を指定した方のセンスとうみこさんの画力が爆発しているなあって思いました。
▲ヒロインが1人だからこそ、衣装をワンパターンにしないなどの工夫で「生活感」を感じさせることを忘れないようにしている
背景、システム、音声などの全てがハイクオリティーで統一された期待作
──さて、CUBEはもちろん、CUFFS作品と言えば声優のキャスティングです。今回はミオを三咲里奈さんが演じられていますね。
かずき:ほんと、すごい人をキャスティングしたなあって驚きました。当然クオリティーも高いんですよ。もう、ユーザー気分で聴かせていただいています(笑)。
──このキャスティングのポイントを教えてください。
かたひと:ユーザーさんに驚いていただきつつ楽しんでもらえることはもちろん、登場ヒロイン全体のバランスを考えてのキャスティングを常に意識しています。そんな中、今回はヒロイン1名ということでトコトン「ミオ」に合うキャストを探すことだけに専念できたのは初めての経験でした。相手がベテランの方でも、初めてお仕事をお願いする方だとどうしても不安な気持ちが心のどこかに残っているのですが、最初に上がってきたボイスを聞いた瞬間にそんな気持ちを吹き飛ばしてくれるくらいイメージもばっちりで演技も素晴らしく、またキャスト発表した時のお客様からの反響も良かったので、ホッと胸をなでおろしました。
かずき:声質やしゃべるイメージがミオにぴったりなんです。公式サイトにサンプルボイスが公開されていますが、体験版の方が素のミオの声という感じなので、ぜひ聴いてみてください。
──そんな『夏ノ終熄』のセールス・ポイントはどういった部分になるのでしょう。
かずき:繰り返しになってしまうのですが、ユウジとミオの日常ですね。そこを楽しんでいただけるように書いているので、ぜひ繰り返し遊んでほしいなと思います。マルチエンドですが1プレイはそこまで長くはありませんので、空いている時間に、二人の田舎の生活に浸ってもらえればいいなと思います。
──改めて販促関連についてお聞かせください。
かたひと:体験版については7月中には公開します。その少し前に、『夏ノ終熄』プロローグムービーというのも公開します。これは村にたどり着いたミオが、主人公に合う前に撮影した動画という設定です。
──と言うことは書き下ろしですか?
かたひと:そうです。ムービーのために台本をかずきさんに書いていただきました。
かずき:自己紹介的な内容ですが、「8月26日発売!!」みたいなメタ情報を入れてしまうと雰囲気が壊れてしまうので、そこは注意しました。この動画の後に体験版につながるようになっています。
──つまりプロローグムービーの後、ミオが行き倒れる、と(笑)。
かたひと:そうなりますね。プロローグムービーから体験版という流れで、作品に興味を持ってもらえればと思います。
▲現在では体験版も公開中!! インタビューにあるように、プロローグムービーから続けてプレイするとスムーズに話が繋がるようになっているぞ
背景のこと、Hシーンのこと、仕事への気持ち、まだまだあるインタビュー内容は本誌でチェック!!
BugBug9月号では全6ページにわたって『夏ノ終熄』を大特集!! ロングインタビューはそのうち4ページまるまる使ってびっしりの密度だ。今回のダイジェストでは紹介できなかった部分にも、ひとつの作品ができ上がるまでの仕事の流れや、さまざまなプロフェッショナルたちの相乗効果でどんどん作品が良くなっていく様子、そしてこれからの展望など多くのことが語られていて実に読み応えのある内容となっている。ぜひBugBug本誌で全文を読んでみて欲しい!!
▲Hシーンも見られる鮮かな冒頭の見開きを始め、製作におけるリソースのバランスの取り方、美しい背景グラフィックについてのお話やNTRに関する考察など、ここには載せきれなかった情報がいっぱいだ♪
夏ノ終熄 ティザームービー
夏ノ終熄 オープニングムービー
夏ノ終熄 プロローグムービー
夏ノ終熄
CUBE
2022年8月26日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win8.1/10/11
初回版:4,620円(税込)
特別限定版:7,700円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:うみこ
シナリオ:かずきふみ
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