審査委員会がなくなるのは寂しいので「BugBugアワード座談会」を開催します!?
2021年から大幅に2021年からされた「萌えゲーアワード」。審査方式が完全にユーザー投票で決まる形になったため、審査委員会は開かれなくなったのだ。しかし美少女ゲームに造詣が深い審査委員たちによる熱い思いが聞ける審査委員会が、これでなくなるのはもったいない!! そこで元萌えゲーアワード審査員のアラフィフ業界人3人が集って座談会を開催。BugBug4月号で発表された美少女ゲーム年間ランキング結果を元に、それぞれの2021年のMyベスト作品を発表しているぞ。今回はその内容をダイジェストでお届け!!
▲今回の座談会に参加した3人。全員「萌えゲーアワード」の審査委員に参加していた、美少女ゲーム・マエストロたちだ
アワードの審査をする機会がなくなっちゃうのはもったいない!?
マス:さてさて毎年の今頃は萌えゲーアワードの審査委員会が開かれていたはずですが、今年からは選考方法が変わりましたね。
今:ユーザー投票、盛り上がっているみたいです。
山下:もうずいぶん長いことやっていたから、なければないで、ちょっと寂しいかなあ(笑)。
今:マスさんと山下さんは2006年の第1回から審査委員だったんですよね。
山下:僕はここ2、3年はアドバイザーとしての参加ですね。
今:山下さんがいないと、シナリオ賞とか紛糾するから(笑)。
マス:今さんって、審査委員は途中から?
今:途中からですね。でも審査委員会には進行役でずっと参加していました。ほら、当時は授賞式をソフ倫の新年互例会の日にやっていたじゃないですか。そこで司会をしていたので、審査状況を知るためにもってことで。
山下:ああ、そうなんだ。
今:その後は電脳妄想開発室で特番をやっていて、毎回マス大澤さんには審査委員会代表として出演してもらっていました。ありがとうございました。
マス:毎年新鮮な経験をさせていただきました(笑)。それでですね、僕にとってアワードの審査委員会って、審査する以上に「他の人がこの年のエロゲーをどう見ていたんだろう」という色々な意見を聞ける場でもあったんですよ。それがなくなっちゃうのはもったいないなあということで、今回は山下さんと今さんにお声がけしました。
一同:よろしくお願いします。
▲2021年から大幅リニューアルした「萌えゲーアワード」。これまではユーザー投票上位作品から審査員会の協議で受賞作を決めていたが、各賞受賞作品も含め全てをユーザー投票で決定することになったのだ
『同級生リメイク』の人気は原点回帰?
マス:でも、2021年のランキングを見ると、原点回帰というか、フルプライス作品が評価されているなあとは思いますね。
今:価格帯で言えば、黒パッケージ作品やエロ系作品はフルプライス系でも売れていますよね。
マス:そこはやはり実用性とコスパみたいなところがあるんじゃないですか。エッチシーンの数も多い方がうれしいし、何回でもヌケるし。まあ、最近は同人ゲームもあるので、コスパという意味では、そことの比較もされてしまうのが難しいですね。
山下:そこを考えると、大作のシナリオゲームというのは、やはり難しくなっているのかなあと思いますよ。いいものができたとしても、回収が難しいでしょう。
マス:そんな中で、『同級生リメイク』が出たというのは、ある種の原点回帰なのかな、と思います。僕としてはそれ以前のノベルゲームではないAVGのリメイクもしてほしいんですけど。
山下:わたしはリメイクされてもイラストが変わったぐらいじゃ買わない。新ルートが追加されたとかなら考えますけど。でも、新しいユーザーさんに過去の名作を遊んでもらうという意味ではいいと思いますよ。
マス:新規ユーザーもそうなんだけど、一度プレイした人へアピールできないのかなとも思います。山下さんみたいな人ももちろんいるでしょうが、僕は美少女ゲームは総合芸術だと思っているから、たとえば「BGMのクオリティーが上がってあのシーンがより感動的になった」とかでもニーズはあると思うんです。僕も新OS対応程度では買わないけど、演出強化とかあれば買いたい作品は出てくると思うなあ。
今:そこを『同級生リメイク』はうまくやったということでしょうね。
山下:そうですね。原画家にすめらぎ琥珀さんを選択したのは大正解だと思いますよ。僕も「お!?」ってなりましたし、実際にハマっていましたからね。ただ、全ての作品でそこが成功に繋がるかというと、やっぱり難しいと思う。
マス:僕は原画家だけでなく、声優のキャスティングやOP主題歌とムービーなんかもよかったと思います。つまり何が言いたいかというと、こういう時期だからこそ、ノベルゲームの原点回帰をユーザーも求めていると思うんです。だからこそ、どうリメイクするかということを、真剣に考えるべきじゃないかってことなんです。
今:わかりますけど、難しいテーマですねえ。
▲BugBug4月号で発表した読者が選ぶ2021年間ランキング。総合部門は『同級生リメイク』が1位に輝いたのだ
重いシナリオを書けるライターが出てきたのは嬉しい
マス:それではここから、それぞれの2021年TOP3をお願いします。まずは山下さんから。
山下:1位は『冥契のルペルカリア』、2位が『アサガオは夜を識らない。』、3位は考えたんですが『創作彼女の恋愛公式』かなあ、と。
今:山下さんらしい3作品だなあ(笑)。
マス:それぞれどんな理由でしょう。
山下:『冥契のルペルカリア』はシナリオという点で断トツですね。今年はシナリオで楽しめるゲームが少なかった印象なんですが、ほかの年に出ていても、シナリオの良さでは上位だったでしょう。『アサガオは夜を識らない。』は良く書けているし、ストーリーも面白かったんですが、ちょっと短かったかなあ。あと、人を選ぶ作品だと思います。
今:『アサガオは夜を識らない。』は番組で紹介した時も反響が大きかった作品です。でも、あまりランキングなどで目立ちませんよね。
山下:そうなんですよねえ。いろんな理由があると思うんですが、パッケージがDVDケースのサイズだったのも影響したと思うんですよ。お店でも目立たなかったし。
マス:確かにゲームを遊ぶワクワク感を考えると、パッケージも大事ですよね。昨今、こんなにパッケージにこだわるオタクコンテンツって、他にはないですよ。
山下:他には内容面で見ると、3作いずれも、どこか暗さや重さを感じさせるシナリオなんですよね。
今:そういうシナリオが人気なのは、18禁ノベルゲームならではだと思います。18歳以上しか遊べないから、逆に重いことも盛り込めるというか。
山下:そうそう。そして、やっぱり不慣れなシナリオライターは、そういうのを書ききれないんですよ。こういったシナリオを書けるライターが、新しく出てきて美少女ゲームを作ってくれるのは嬉しいですね。
マス:それはすごくわかるなあ。新しい才能が、まだここから出てきているという喜びですよね。それを最初に見つけて紹介するのがBugBugでありたいと、やっぱり思います。
▲シナリオゲー好きな山下氏らしさ溢れるチョイス。「萌えゲーアワード」でもシナリオ賞を決める際には山下氏の貢献度が高かったのだ
販促展開や取材をした上で印象に残った作品
マス:では、続いて今さん。
今:僕の場合はプレイしてというより、販促展開や取材させていただいたりして、という側面があるのですが、1位は『Monkeys!i』。女装ものと思わせながら、これまで人気の女装もの作品とは大きく変えてきた切り口の素晴らしさですね。それと漫画のコマ割りを想起させるグラフィック演出。常々「ノベルゲームの可能性を追求したい」と言われているHARUKAZEさんらしいアプローチだと思いました。しかもそれが作品にハマっている。そして『マルコと銀河竜』を出したのに18禁に戻ってきてくれたことへの感謝です(笑)。
マス:ああ、ありがたいですねえ。
今:2本目は『Role player:小粥姉妹の粘膜ポトレ ぐりぐちゃLIVE!』。これも番組で体験版紹介で大きな反響があったんですが、とにかくキャラが良く動く。エッチシーンもLive2Dで動く。さらにコスプレエッチもあるし、とにかくヌキゲーとしてよく作られているなあって思いました。あとFANZA GAMESでよく売れていた印象があるんです。
マス:もう1本お願いします。
今:ここねえ、悩んだのですが、『創作彼女の恋愛公式』はずいぶん話したので、『ねぇねぇ姉』ですね。これも先ほど話しましたが、昨今の年上ヒロインムーブメントを作り上げた一つだと思います。そこで姉ヒロインに特化した作品をきっちり作り上げてくる凄みを感じました。
▲業界に幅広く関わっている今氏ならではのチョイス。業界の未来に貢献する作品をプッシュしていてサスガなのだ
編集長・マス大澤のチョイスは…1位と2位がモロ被り!?
マス:実は1位と2位が今さんと被ってしまっているんですが(笑)、1位は『Monkeys!i』。新しい才能が新しいアイデアで作品を作ってくれているのがうれしいなあ、と。そのチャレンジ精神を評価しました。2位の『Role player:小粥姉妹の粘膜ポトレ ぐりぐちゃLIVE!』はダークホース的に高セールスになった印象なんだけど、非常に実用度が高い作品でした。Live2Dも評価されているんだけど、売れている同人ゲームでは当たり前で、そこと比べても、コスパの部分でも負けていないのもよかった。今後、美少女ゲームが同人ソフトやそれ以外のオタクコンテンツとどう戦っていくかを示してくれた1本だと思います。
今:なるほどねえ。
マス:3位は『思い出抱えてアイにコイ!!』。これは『ゆびさきコネクション』と合わせて一本って感じなんですが、このご時世に1年でフルプライスを、高いクオリティーで2本出しているのはすごいことだと思います。姉妹ブランドのSMEEやASa Projectも同じように活躍されていて、そこは本当に素晴らしいですよね。
山下:SMEEさんは『1/1彼氏彼女』に期待しているんですよ。
今:ああ、あれも新しい切り口ですねえ。
▲マス大澤が選んだ3作品。この後でHOOKSOFTの素晴らしさを熱弁、次の6月号でWhirlpoolとの対談が実現するきっかけになったのだ
「エロゲー面白いよね」となってシナリオゲーが増えるのに期待
マス:それでは総括しましょうか。
山下:シナリオゲーが減ってきたのが残念ですね。特に一人で書いているゲームが減っています。『創作彼女の恋愛公式』を評価している理由の一つですね。それを書けるライターも、書かせるメーカーも頑張ってほしいですよ。
今:『我が姫君に栄冠を』も一人じゃないですか。
山下:だって、タカヒロくんだもん。タカヒロくんなら書けるよね。
マス:まあ、エロゲーの良さとは?というと、シナリオの長さもありますよね。長時間プレイしたからの感動というのもありますしね。
山下:3MBほしいとは言わないけど、2MBくらいのシナリオは読みたいなあ。ラノベ10冊分。そこに挑戦する若手に期待したいです。
マス:ラノベ10冊分かあ。いきなりそこに挑戦する若者はいますかねえ(笑)。
山下:でも最近はラノベ業界も厳しいので、ゲームからという人が増えてもおかしくはないよね。
今:まあ、ゲームのシナリオと小説では、求められる才能は違うところもありますから。ただ、「エロゲー面白いよね」となれば、「小説ではなく、エロゲーシナリオを書きたい」と思う人が増えるんじゃないでしょうか。
山下:そうね。だからLeafとKeyの功績は大きいんですよ。あの2ブランドの作品に影響を受けてゲームシナリオに入ってきた人たちが、2000年代の盛り上がりを支えたわけですから。そこでいいものを書き続けた結果、ラノベに持っていかれてしまったわけだけど(笑)。
マス:ただ、同人ゲームを見ると、一人で全部やっているってところが多いんですよ。どうしても美少女ゲーム業界って、会社での共同作業じゃないですか。もっと同人で活動していた人が、こっちに気軽に入れるようになればいいと思うんですよ。だってエロゲーも昔は、コンシューマーやアニメに比べれば参入が楽だったというのも、盛り上がった原因にありますよね。同じような状況を、今の業界の先輩が用意することも必要だと思うんですけどね。
▲スペシャルゲストで美少女ゲーム歌手のAyumi.さんに2021年おすすめ3作品を伺ったぞ。Ayumi.さんは美少女ゲームトーク番組「電脳妄想開発室」のパーソナリティとしても活躍しているのだ
誌面では業界人たちの美少女ゲームへの熱い思いがまだまだ炸裂!!
5月号に掲載した「BugBugアワード座談会」では、BugBugの2021年間ランキングの結果について、最近のシナリオゲー事情、2022年の美少女ゲーム業界の展望…等々、今回紹介した以外にも濃い内容が盛り沢山。絶賛発売中のBugBug5月号をGETして、美少女ゲームに懸ける熱い思いを感じ取ってほしい。
▲リニューアルした「萌えゲーアワード」公式HPは月間賞や最新ニュースなど見応え満載!! 2021年のアワードの結果ももうすぐ発表されると思うので、楽しみに待とう
▲BugBug5月号は紙版も電子書籍版も絶賛発売中。これ以外にもスクープ特集やインタビュー企画が満載なので、こちらの記事で確認してね♪