普通では見られない美少女ゲームの業界紙「ソフ倫ニュース」の内容を特別公開!!
昨年で編集部が忙しかったり等の都合で記事に出来なかっネタを、お正月休みを使って記事を作成してお届けする「BBN新春お蔵出しSP」。その第一弾として取り上げるのは、日本の成人指定ゲームを中心としたコンピュータソフトウェアの倫理審査等を行う業界団体「一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構」・通称「ソフ倫」が発行する業界紙「ソフ倫ニュース」だ。こちらの2020年6月19日発行号(Vol.198)で取り上げているのは、「新型コロナウィルスに関するアンケート結果」。機構に加盟する54社の回答をもとに、コロナ禍が美しょゲー業界に与えた影響を考察したその内容は、美少女ゲームファンが読んでもとても興味深い。普段は業界関係者しか見る事の出来ないこの「ソフ倫ニュース」を、特別にダイジェストでお見せするぞ!!
▲今回の記事はソフ倫が普段どんな活動をしているのかを知る機会にもなるはずだ
テレワークの現状
Q1 テレワーク
実施中 44/実施せず 10
【テレワークを実施しない理由】
・機密保持関連でテレワークしにくい。
・資金を管理している役員だけ出社。
・普段から自宅で制作している為。
・自宅=会社のため。
・本人達が事務所に集まりコミュニケーションをとりながらの作業を希望している為。そのかわりにプライベートでも電車を利用しない、他社を事務所に招かない等のルールを決めて臨機応変に対応。
・出荷があるからテレワークは難しい。
▲ゲーム開発はテレワークを導入しやすい業種というイメージがあるが、例えばIllusionは3D系の動きにモーションキャプチャーを導入していて撮影が必要など、リモートでは難しい内容も多い
Q3 就業時間
短縮 21/通常 25
【就業時間を変更しない理由】
・仕事量が減らないどころか、取引先のテレワークに伴い弊社の仕事量が急増している為。
・融資を受けての納期厳守開発の場合、予め製作期間を大幅に予備確保する必要がある為。
・商品のマスターアップが近い為。
・自宅での作業がメインの為。
・決まった就業時間がなく、自分の行う仕事のスケジュールを各個人でたてており、リズムを崩さない、締め切りを破らないといった自主性で行っている為。
▲マスターアップは嬉しい報告だが、その前にある修羅場はコロナ禍でも変わらない!?
Q5 声優事務所の状況
収録可 10/収録不可 16
・昨今の情勢を見て、弊社としては感染の危険が少しでもあるなら作品を延期するべきと考えている(自宅に収録環境のある方にはお願いしてる)
・5月以降スタジオ閉鎖。
・音響会社が収録を中止。
・声優事務所から派遣NGの通知。
・スタジオの入れ替えや収録時間短縮などでスケジュールは通常より遅れあり。
・元々スカイプ収録のため現場に立ち会いをしていない。
・現状は収録ができないため、発売日に影響がでる。
・音声収録等はどうしても密になるのでやりにくい。
▲『恋姫』などの大作シリーズは人気声優を大勢起用しているので、収録も長期間に渡って大変なのだ
パッケージ・ダウンロード販売への影響
Q6 パッケージ販売
プラス 5/影響なし 11/マイナス 28
【マイナス要因】
・発売イベントができず買い渋っている方が相当数いると伺っている。
・店頭での広報・イベントができず告知ができない。
・イベント延期または中止に伴う売上げ減。
・景気の悪化。
・量販店、店舗が開いていない。
・流通様に確認したところ、そもそもお客様が来ていない…。
・店舗での予約ができない。店舗販売自体してない店舗多数。
【その他の意見】
・DL販売へと舵を取り、通常と比べ展開をかなり多くし、バランスを取っている状況。
・通販に関してはややプラス。全体の数値はほぼ変わらず。
▲ファンにとってはパッケージ自体もコレクターズアイテムの一つ。発売日のいわゆる“月末エロゲの日”に店舗を訪れ次の作品を予約する人も多い
Q7 ダウンロード販売
プラス 18/影響なし 25/マイナス 4
【プラス要因】
・各サイトによるセール実施。
・一概には言えないがパッケージ販売が減少している為、ダウンロード販売が増加していると思われる。
・外出自粛により在宅で楽しめるDL配信の需要が高まっている。
・お店で買えないから。
・自宅待機の影響からか多少増えている気がする。
・若干だが増えている。巣ごもり効果?
【その他のご意見】
・現状はあまり大きな変化は無く、明確な増減は5月末以降にならなければわからない。
・別業界の販売価格やセールの頻発により、通常価格帯の商品が買いづらい。
・あまり頻発してセールを行ってしまうと、そもそもの定価に対して抵抗が生まれ、安易に行うとパッケージへ影響が出やすい。
▲DL販売が伸びた背景には大規模なキャンペーンの影響も大きいだろう。一時期は巣ごもりキャンペーンなども話題に
イベント開催中止がユーザーに与える影響
Q8 イベント開催
プラス 0/影響なし 14/マイナス 28
【マイナス要因】
・2月末以降、22本のイベントが中止。
・発売日イベントやコラボ喫茶等ができない。
・イベントが無いとグッズ等が売りづらい。
・イベント運営でのマイナスよりも、販売機会の損失によるダメージが大きい。特にグッズを展開する際の初動にて、イベント販売を挟めるかどうかで、本来通販を嫌う方や、クレカ利用を避けたい方への影響大。
・安全開催の基準や指針が明確に国や各都道府県より提示されない限りリスクが高く難しいと感じている。
【その他のご意見】
・現状はできないので、オンラインで思索中。
▲美少女ゲームと飲食店とのコラボは昨年まで順調に盛んになってきていただけに、コロナ禍で水を差された状況だ
Q9 ユーザー様への影響
影響あり 30/影響なし 11
【影響ありの理由】
・発売イベントを待っている方が多数いて、その方々がパッケージを買えずにいるそうです。
・この業界ではネットよりも店頭で予約する文化がまだ強く、これにより店に足を運ぶのをやめてしまわないかの問題がありそう。
・ある店舗で予約を取っていた層がダウンロード販売サイトに流れた可能性を感じる。
・イベントが出来ないので淋しがっている。
・コミックマーケットがなくなったことで情報の盛り上がりに欠けた。
・不景気による財布への自粛効果、不要な娯楽費用が削られる。
・日本は保証と休業がセットになってない、支援金関係も遅い、ゲームを購入するメンタルが弱っていきそう。
・時間はあるが収入が減少になり、生活必需品を除いた娯楽への投資額が減る。
・実写やコンシューマを含む競合業界との認知度の差で苦しい。収入減の流れの中での優先順位から外れやすいと思っている。
・自宅待機や自粛でフラストレーションが溜まっており、いつもよりSNSへの反応や情報へのアンテナ(感度)が高い気がする。
▲ユーザーにとってリアルのイベントはグッズ購入だけでなく、メーカースタッフやファン同士の貴重な交流や情報交換の場でもあった
ゲーム制作・開発環境への影響と、今後について
Q10 ゲーム制作・開発環境
影響あり 21/影響なし 11
・開発規模縮小。
・売上低下によるスタッフのモチベーションの低下。
・テレワークに伴いタイムラグや意図している通りの指示が出来ないなど若干仕事上に不都合あり。
・クリエーターにも見えない不安やストレスが溜まり通常時とは違う精神状況での作業となっている為、負荷がいつもよりかかっている。
・新作が発売できない、制作の遅延など。
・新入社員育成ができない。
・今後、店舗展開を望まれない可能性。
・固定費が削減され、融資が受けやすくなってる。
▲コロナ禍で刻々と変化する開発環境や様々なストレスに対応しながら、素晴らしい作品を生み出すクリエーターたちに改めて感謝しよう
その他、機構に寄せられた意見
・一番気にしているのはモチベーションの低下。創作を行う環境が悪くなると大きく影響を受けやすいセクションがある事。
・外注での製作比率が高い場合、経済状況によっては料金が高騰してしまう事がありえる。
・補助金、助成金を活用し社員の巣ごもりを強化。
・そもそも融資が受けづらい状況が増加し、製作自体が困難となり廃業・休業のパターンは大いに危機感をもっている。
・今後発売するタイトルの展開や価格について予算や製作スタイルに配慮が必要。
・DL販売主体にならざるを得ないのではないか。
・ネットでのように展開するか検討が必要。
・この状況が長期化するようなら、今まで店舗などで行ってきた広報活動を全て見直し、WEBへの広告に切り替えていかなければならないのではと考えている。
・自社の社員のみでは作品制作はできないのでまずは作品にかかわっている方達への支援の範囲を広げられるか、広い視点で考える事が難しいが非常に大事な事だと思う。その上で自分自身達も余裕のない時ではあるが、業界全体という大きな視点でメーカー皆でどのような対策を考えられるかという事を忘れずにいくのが、ひいては関わって下さっているクリエイター皆様と一緒に困難なこの局面を乗り越える為に必要かと考えている。
・コロナウィルスの影響は沢山ありすぎるが、影響がすくなくなるように対応するしかない。
・ソフ倫が稼働して頂いていて非常に安心、とても助かっております。
▲年末に『コイノハ -恋のシェアハウス-』がヒットしたスカイロケットのように、この厳しい状況でも期待の新規ブランドは出てきている
二度目の緊急事態宣言発令を受けた現在、感じたことは…?
今回の「ソフ倫ニュース」特集号は6月19日発行で、2020年4月7日~5月25日の一回目の緊急事態宣言が終わったすぐ後に配られたもの。現在は二回目の緊急事態宣言だが、事態は一回目の時からあまり変わってないようだ。しかしそんな苦境にあっても、各メーカーはできる最大限の努力をもって日々ゲーム制作に勤しんでいるのが、今回紹介した様々な意見から伝わってくると思う。苦しい今だからこそ、我々メディアはもちろん、ファンやユーザーも小さな事で構わないので、業界の力になる応援を是非お願いしたい。
▲2021年は始まったばかり。年末発売作品の中には注目を集めたタイトルもあったので、これから明るい話題がもっと増えることに期待したい!!