2001年の美少女ゲーム年間ランキングとその結果を肴にした編集部座談会・再掲載の後編!!
新春特別企画という事で始まった、昔のBugBugに掲載された名記事をBugBug.NEWSで復活紹介する「BugBug CLASSICS」。昨日公開した前編に続き、2002年4月号掲載の「言いたいホーダイ2001年 編集部㊙座談会」・後編を掲載するぞ。上に掲載した記事でシメを担当したイラストは、今も本誌で活躍するマミヤ狂四郎氏が担当するなど、貴重なコラムも再掲載していて注目なのだ。約20年前という事で皆イキった発言してますが…お正月という事で、メーカー各社様も笑って許して!!
▲座談会に参加した当時の編集部員を紹介。お馴染みの編集長・マス、ベテラン副編・で、異動になった昔気質のゲーマー・に、会社を辞めたばかりの中堅編集・K、若手のエース編集・りっちぃ、以上の5名。今は編集長のマス以外残ってないが、別の出版社に移籍して大活躍してる人もいるのだ
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【BugBug CLASSICS】時代を超えた名作揃い!! 2002年4月号に掲載した名企画「言いたいホーダイ2001年 編集部㊙座談会」を復活紹介・前編
約20年前・2001年の美少女ゲーム年間ランキングとその結果を肴にした編集部座談会を再掲載!! 新春特別企画という事で、昔のBugBugに掲載された名記事をBugBug.NEWSで復活紹介する「Bug ...
▲前編の記事はこちらをチェック!!
業界に古くから関わる「で」はベテランならではの納得チョイス
で:1位の『大悪司』と2位の『君が望む永遠』(以下『君のぞ』)について、あえて語ることは野暮というか。ただ、どちらを上に持ってくるかと聞かれたら、自分も十年選手っていう意味で、最終的に『大悪司』を選んだって…。そこがまぁ、オールドファンの性というか。ただ、本当に『大悪司』は面白いから。前にも少しふれたけど、アリスソフトだからこそ作れた超大作だな、と。見せ掛けだけの派手さはないけど、プレイのやり方しだいで世界がどんどん膨らんでいくあたり、同社のスキルの高さを証明しているね。
に:自分も存分に楽しみました。
で:んで『君のぞ』は、永遠の2位っていうか…。そうあってほしいな、って。
マス:ああ、分かるな、それ(笑)。
で:これは、1位を取っちゃいけない作品なんじゃないかなって…美少女ゲーム史の中では、ある意味“鬼っ子”。斬新なからくりで仕掛けて、見事に大当り。
に:「で」さんもゲーマーですね。
で:そういう意味で独自のベストを決めるとなると、3位の3本くらいになるのかと。『自慰倒錯』は、ホントにビビっときたっていうか、エロシーンのやらしさが独特だった。女性のシナリオライターさんなんだけど、女性の視点でしか解らないような描写、テキストの生々しさってのがある。ついに女性スタッフがここまで来たか、っていう。
K:メーカーの人が実際に大人のおもちゃ屋に行って、自分で買ったって言うてはりましたからね。
りっちぃ:Liar-softでは、『ラブ・ネゴシエイター』よりも『サフィズムの舷窓』ですか?
で:うん、そうだね。ユーザーをも巻き込んで、みんなでワイワイやろうぜ!的な勢いが『ラブ・ネゴシエイター』では薄かったから。ま、物語としては起承転結があって面白かったんだけど。ひとつの場所にキャラたちが集まって、そこでガヤガヤやってるっていう楽しさあるのが『サフィズムの舷窓』だと思うんだ。
に:なるほどなるほど。
りっちぃ:「美少女は世界の宝だ!!」ですからね(笑)。
で:そうそう(笑)。で、Liar-softには一生ついていきますって。
K:最後の『捕らわれた硝子の心』は3Dですね。
で:相撲でいう技能賞かな。びしょゲ−はここまでやれるんだ、と。こういうポリゴンキャラって、発想も含めて日本人にしか出来ない“匠の技”じゃないですか。コンセプトは、次回作の『めいでん★ブリーダー』にしっかりと引き継がれているみたいだし。このジャンルは正真正銘、新しいパイだよ。エポックメイキングとして、これからの発展に注目。
マス:確かに。『君のぞ』とはまた別の意味で、衝撃度は高いかもしれないな、将来的に。
▲業界の御意見番的存在な副編集長「で」はサスガの眼力で、今の視点から見ても納得な名作ばかりをチョイス
編集長マスは『君望』と『月姫』どちらを1位にするか贅沢な悩みが
に:『月姫』が1位じゃないんですか?
マス:うーん。最後は完成度の差だろうね、細かいところの。演出面を比べた場合、それが顕著じゃないかな。ただ『月姫』の場合、商業ベースだと照れとかプライドが邪魔して出来ないことが、インディーズだからできたっていう勢いが感じられたから。昔あった「エロゲーだからできる」っていう感覚? ホントに好き勝手やってるって感じがあるんだよ。
りっちぃ:ぼくは逆にそういうインディーズ魂みたいなものは感じませんでしたけどね。むしろしっかりつくってるっていう。
マス:いやいやそれはさ。例えば、話を脱線するにしても、普通のアドベンチャーとかだと「これくらいだろ」って歯止めがかかるんだけど、『月姫』だとそれをとことんまでやるっていうか。これ、普通の商業だったら「商業だから」ってブレーキがかかると思うんだよな。それが無い。で、やりたいものをやりたいように、儲けを抜きでやってる感じがして好きだね。
に:ああ、なるほど。
で:ニューウェーブ系っていうのは、そういうのも計算されたっていう?
マス:そうだね、その枠の中にはある。それでも『君のぞ』が1位なのは、そういうのを考えつつも、内容的にかなり突き詰めたことやったってとこだね。他にも、体験版の配布だとか。あれはまさに、商業主義的戦略だから。
で:実に鮮やかだった。けど、あの体験版は「卑怯だ」ってユーザーに言われ続けるよね(笑)。
りっちぃ:で、3位の『南国あばんちゅーる』ですが。
マス:とにかく、「南国」で「あばんちゅーる」って言うのが、すごいお気楽っていうのか(笑)。ヘラヘラーみたいな、すごいアッパー系だね。鬱ゲーとは反対の、“躁ゲー”になるのかな?
で:ああ、それは新しい(笑)。
マス:ただ、お手軽にエロシーンは見れるけど、ハーレムを見ようと思ったら、全部やらないといけないわけだよ、ヒント参照しながらもね。それでプレイ続けてると、どうしてもこう、みんなとヤりたくなるわけで。気の持たせ方も、すごいうまいと思うし。
りっちぃ:ノリやテンポで計るマスさんらしい意見ですね。
マス:ただ、3位にこれを入れたのは、戦略的というかね。『君のぞ』とかも関係するんだけど、美少女ゲームが年間500本出るような状況で、メーカーはどんな戦略で勝負かけるかってことで。『君のぞ』は、モニターに5時間へばりつかせるほうに行ったわけだし、これは短い時間で満足させるゲームにいったわけで。『尽くしてあげちゃう』や『はじるす』なんかの人気も、そういう業界の現状とリンクしてるんじゃないか。いわゆる「鬱ゲー」人気の、表と裏じゃないかと。
で:全体の戦略としての3位で、その象徴としての『南国あばんちゅーる』?
マス:まぁ、そうだね。まさに“躁ゲー”って舞台設定だし、象徴だね。だから、これが『君のぞ』より上に行くことはないかな、っていう。そんなとこっすかね。
▲当時は同人ゲームはリストに掲載されてなかったので『月姫』は年間ランキングには入っていない。しかし編集長のマスはお気に入りで、特集記事も掲載したのだ
2001年の美少女ゲームの総括は…老舗vsニューウェーブ!?
りっちぃ:では、これらを踏まえた上で2001年の総括をしてみましょうか。
K:KDIが月刊化した…と思ったら、なくなりました。ボクの人生ダメダメです(涙)。
りっちぃ:どうでもいいよあんたの人生なんて(笑)!!
に:2001年は、老舗系とニューウェーブ系とに二極分化が始まった年になるんだろうね。
K:そうですね。新しいブランドが、勢い持って出てきて。で、老舗っていうのも、看板タイトルがたくさんでたりして。
マス:一般的に考えられているのが、老舗vs萌えみたいなね。萌えイコール、ここでいうニューウェーブみたいな感じだと思うんだけど。
に:その間でもがいてたのが、自分の好きなr.とかAbogado Powersとか。
りっちぃ:でも別に取り残されてるとかいうんじゃなくて、結局分かっててもやるかやらないかで。それは表面には出てこないっていう。
に:ドロドロとはしてるけどね。
マス:いや、それは老舗系だろ、結局。
に:そうですね。それで「萌え」の要素を、肯定するにしても否定するにしても、うまく取り込んだゲームを出してきたのが、ニューウェーブ系として台頭してきたメーカーになる?
りっちぃ:それも、狙ってるといえば狙ってるんでしょうね。萌えを否定するにしても、肯定するにしても、意識してるってことは同じじゃないですか。意識した上で、やるかやらないかってだけで。
で:『大悪司』にしろ『鬼作』、『Pia♥キャロットへようこそ!!3』にしろ、老舗系はユーザーが何を求めているかが、しっかり見えてるね。
マス:老舗の、それこそ98時代からやってる人が良かったっていう『Piaキャロ3』、『大悪司』っていうのは、20世紀の集大成と言っていいようなものだと思うからね。
に:どちらにも言えるのが、ゲームとしてしっかり作り上げてきたところの評価が高いということですね。まぁ当たり前のことなんですが。
▲年間ランキング記事中に掲載された2001年のセールスランキング。協力店リストにも懐かしい名前が
編集部も鬱ゲーが何かよく分かっていない!?
りっちぃ:それと、ニューウェーブ系にも色々ありますからね。ひと括りにするのも、どうかと思います。ちよれんと埼玉連合とじゃ、その性格がまったく違いますから。
に:どちらかって言うと、アージュ、オーバーフロー、ニトロプラスのちよれんに鬱っぽさが濃厚で…。
で:サーカス、ねこねこソフト、Witchの埼玉連合には萌えの要素が濃いと。
K:鬱と萌えは正反対やから。
に:…鬱ゲーって、誰が言い出したんだろうね?
マス:鬱ゲー自体、よくわからないよな。
に:やってると鬱になるゲームってこと?
マス:そうなの? 泣けるゲームとは違うの?
に:泣けるゲームって言うと、感動して泣くのもあるから。鬱ゲームはどんどん塞ぎ込んで行く、みたいな。「そんなんでいいのかお前はっ!」ていう。
りっちぃ:鬱ゲーって結局、今まで美しょゲーが避けてきた、臭いものに蓋をしてきたものを開けちゃったっていう。
に:三角関係の気まずさとか、オタクが嫌がるリアルっぽい恋愛話?
で:そうそう。本当はリアルじゃないんだけど。これぞまさにパンドラの箱。
に:そこを逃げないでちゃんと表そうとすると、鬱ゲーって呼ばれちゃうんじゃないんですか?
りっちぃ:『君のぞ』とか『ピュアメール』とか。もしニューウェーブっていうのが本当に存在するとしたら、その辺の蓋を開けちゃったところなんじゃないですかねぇ。
に:で、その反対が躁ゲー。
マス:トラヴュランス系を代表にしてるけど、この流れも昔からしっかりと業界にはあって、現状にうまく対応しているよな。
▲現在も本誌のイラストをお願いしている、さっぽろももこ氏による貴重なコラムも掲載。あのカルト作『さよ教』も2001年発売だったなんて…名作多過ぎ!!
ランキング圏外だが編集長・マスは『はじるす』にも注目していた!!
りっちぃ:あと、今まで名前の挙がらなかったタイトルで、注目していたゲームとかありますか?
マス:俺は特集でやった『月陽炎』なんか、シナリオでもっといっても良かったかなぁって。あとは『はじめてのおるすばん』かな。ボイスも良かったし。
に:「あわわ」?
マス:そう、それ(笑)。
りっちぃ:「あの、あの」?
マス:ちがう、「えと、えと」だ(笑)!!
一同:(笑)。
に:同じく特集で担当した『星空ぷらねっと』は、素直に良かったって思うんですけど。同じD.O.の物語モノとして『家族計画』の方が評価されたのかな?
で:発売が一昨年の12月で、ちょっと間があいちゃったからじゃない?
K:ベスト3に入れようかどうしようか、最後まで迷ったのが『淫獄病棟』。これも面白かったですね。ネットで追加シナリオのダウンロードができたりして、そういった試みは前からありましたけど、新しい流れのひとつになるんじゃないのかな。
りっちぃ:純愛と鬼畜の二面性っていうのが、ひとつのジャンルとして『Coda〜棘〜』で完成したのかな、と。この制作チームは次作も期待してます。
K:去年は『Portrait』イチ押しやったもんなぁ。
で:『こんなアタシでも…』みたいな、非処女のヤリマン女との恋愛路線が出てきたよね。
りっちぃ:そう、それすっごくやりたいと思ってたんですよ(笑)。
で:うん、面白いよ(笑)。冗談抜きで次作も期待してるし。
に:これも、違う意味で鬱ゲーなんですかね?
で:でしょう。だから、『オブリガート』にも期待しちゃうな。特に、恋愛に失敗したときの展開がどうなるか期待してるんだけど。
りっちぃ:単なるヤリマンになって輪姦されちゃう、みたいな?(笑)
で:ドロドロの刃傷沙汰とか(笑)。この新路線の開拓には注目したいね。
▲『はじるす』は昨年12月にまさかのOVA化がメリー・ジェーンより発売で、編集長・マスも大歓喜。続巻も予定しているので期待しよう
2002年の業界予想…の前に、安っぽいシメ雑炊が話題をさらう!?
りっちぃ:では最後に2002年、今年の業界を予想してみたいと思うのですが。
マス:まだもの足りないな。雑炊でも頼むか。すいませーん。
女将:はーい。
で:雑炊を人数分。
りっちぃ:毎年のように「今年は淘汰の年だ」と言われ続けていますが、実際のところはどう思います?
K:うーん。今年に関して言えば、このまま現状維持が続くんやないかな?
マス:まず、あれなんじゃないの。ニューウェーブ系の勢いはこのまま続くだろうね。老舗も相変わらず安心させてはくれるだろうけど。
で:でも、結局ニューウェーブは老舗へのカウンターパンチ的な意味合いが強いし。
(雑炊が運ばれてくる。何だか安っぽい匂いが…)
りっちぃ:なんかサッポロ一番のみそ味みたいな味がするんですけど(笑)。
マス:失敗だなこの店(笑)。
K:とりあえず業界はしばらく現状維持ってこと?
マス:今年はまだそうだけど、長い目でみるとどうかなぁという。最近の流れとして、ネットとかイベントに力を入れてるメーカーが増えてるよね。それはとてもいいことなんだけど、そっちの方ばっかりに顔を向けて、ほんとに大事なことを見失うとまずいな。
りっちぃ:イベントには行けない、アンケートはがきも出さない、ネットにも書かないっていう「サイレントマジョリティ」の意見を、どれだけ汲み上げることができるかにもかかってくるってことですよね?
で:実際しっかり支持されてるメーカーってのはそういうユーザーのほうが圧倒的に多いはずだよ。
マス:声にならない声をちゃんとキャッチできるか、またしようとするか、ってのが企業努力でもあると思うんだよ。
K:目先のはっきりわかる意見だけに踊らされてると、しばらくはいいけど、そのうちくっきりと明暗が分かれるやろな。
りっちぃ:もう辞めてるからって言いたい放題ですねKさんは(笑)!!
に:(笑)。その間で、自分が挙げた『D.i.G』みたいなゲームが評価されるといいんですけど。こればっかりは見た目だとわからないからなあ。
で:そんな感じだから、淘汰はまだ先かな?
K:とりあえず今年は大丈夫ってことで。
マス:そうだな。でも本当に淘汰が始まって真っ先に『BugBug』が犠牲になったらいやだな(笑)。
(2月14日聖バレンタイン 新宿荒木町にて)
▲2001年の総括コラム。まさに群雄割拠で黄金期ならではの熱気がビンビンに感じられる
業界一の老舗雑誌なのでネタが豊富な「BugBug CLASSICS」はまたやりたい!?
新春特別企画という事で掲載した新企画「BugBug CLASSICS」、いかがだったかな? 反響が良いようなら、今後も定期的に掲載していくぞ。業界で一番の老舗雑誌だけあり資源は豊富、貴重な記事が沢山あるのでお楽しみに♪ ちなみに今回紹介したのは20年前の2020年の年間ランキングだけど、去年・2020年の美少女ゲーム年間ランキングも絶賛発売中のBugBug2021年2月号で募集しているぞ。恒例のお年玉BIGプレゼントもあるので、キミの熱い想いを投票しよう!!
▲こちらが今回の記事が掲載された2002年4月号。編集部にも1冊しか残ってなく、紐で綴じられててもうボロボロ。今回掲載したスキャン画像も汚いけどご勘弁を!!
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