STORY
T県奥志麻市で奇々回避コンサルタントを営む緋修離。彼のもう一つの顔は “かたり屋”である。様々な危機や奇禍を“かたり”で避けさせ、言葉と語りで人に道を指し示す。そんな彼がライオンのような見た目の「がしゅう」に遭遇し、さらに奥志麻に君臨する高賀家前当主の孫娘・高賀津希から死んだはずの祖父を捜してほしいと頼まれて…。
どんな難題もかたり解く主人公・緋修離参上!!
何年か前に発売され、現在は生産中止になっている人気作をお手軽価格で購入可能なヌキコレシリーズ。当時興味はあったけどプレイできなかった…とか、大好きなクリエイターの過去作をプレイしたい、以前プレイして大好きだったから再び遊びたい!! なんて人には超嬉しいシリーズですね。
そんな作品群の中で今回プレイさせてもらったのが、暁WORKSの『緋のない所に烟は立たない -緋修離と一蓮托生の女たち-』。無料で公開された『緋のない所に烟は立たない』の後日談として、3つのヒロインルートが追加され話題となった作品です。
実は当時『緋のない所に烟は立たない』はプレイしており、今回、本作ならではの独特の雰囲気を久々に味わえること、そして続きが楽しめるということでワクワクしながらプレイしてみました!!
▲意味深なシーンから始まりますが実は…(笑)
本作は4つのエピソードが遊べるのですが、まずは「夢追いの犬」のみがプレイ可能(『緋のない所に烟は立たない』で遊べた部分)となります。これをクリアすると、残り3つのエピソードが解放されプレイ可能になりますよ。
残り3つ「悄々の鶩」は津希、「反復の鮫」は小夜、「明け待ちの鸚鵡」が由利がヒロインとなっていて、それぞれHシーンも用意されています。順番は自由でどう遊んでも各々の物語は充分堪能出来ますが、個人的には「明け待ちの鸚鵡」を最後にプレイするのがより楽しめるのではないかと思いました。
▲「夢追いの犬」をクリアした後、スタートを選ぶとこの画面に。ヒロインを選ぶと新たなルートを遊べる
さて本作の舞台は四国T県の奥志麻市。人口20万ほどのこの都市で、主人公・緋修離(あけの しゅり)は奇々回避コンサルタント(通称EPC)の事務所を開き所長を務めています。所属しているのは彼一人ですが…。
この聞きなれない奇々回避コンサルタントとは、余人には見えない忌まわしい髑髏だったりとか不可解な災難など、目に見える見えないを問わず、人のあるところにはどこにでも潜んでいる「奇々」の回避運営が生業。人々が語りえない何かを「かたり」、明らかにするのです。詳細に説明するといくらスペースがあっても足りないので、「かたる(=騙る、語る)」ことを武器に、人の世の裏に潜む「奇々」に対抗し片づけていくと思ってもらえれば。
緋自身は「かたり屋」として知る人ぞ知る存在です。ちなみに「運び屋」「おろし屋」「埋葬屋」といった、その世界の超一流どころも登場し関わってきますよ。
さてそんな「かたり屋」の緋がちょっとひと仕事を終えた帰宅途中、深い霧と共に突如現れたライオンのような見た目の「がしゅう」に遭遇。何とか相手を引かせると…そこに女の子が落ちていたのが物語の始まり。
その女の子こそ、奥志麻で最も古い名家の一つで、この都市に君臨していると言われる名家・高賀家のご令嬢・高賀津希。ただ、彼女自身は高賀家の主導権争いに敗れた前当主・高賀丈六の孫娘であり(付け加えれば丈六と血の繋がりはなし)、特別な権力は持っていません。しかも丈六は先日亡くなっており、未練を残し夜な夜な屋敷を歩き回っていると噂されていました。
▲ライオンのような姿の「がしゅう」。こいつが津希の身柄を求める理由とは…
津希はかつて祖父から「かたり屋」のことを聞いたことがあり、言い値を払うからそんな祖父を捜してほしいと依頼してくるのでした。こうして津希を狙う「がしゅう」や、高賀家の実力者と対峙するヤバすぎる日々が幕を開けるのでした。
なお、「がしゅう」とは正体が分からない魑魅魍魎的なもので、何かが原因でこの世に生まれてきた存在。そして因となる存在を追い続けるのです。その因や理由を突き止めることで正体が判明するのですが、そこが「かたり屋」の見せ場であり本領発揮の部分。4つのエピソード全てで異なる「がしゅう」が登場するので、その正体へ迫っていく道筋は是非しっかりと味わってほしいですね。
▲「夢追いの犬」は津希がメインのお話ですが、小夜や由利との出会いもありますよ
さて、そんな本作をプレイして特に面白かったのは以下の3点。やはり何といっても主人公・緋修離の決めるところは決めるカッコよさでしょう。
普段の生活は借金やツケだらけで、年下の女の子にいつも食事をおごってもらい事務所は荒れ放題、良い女には目がなく適当なことばかり言っている…と、周囲からすると口先ばかりなチャラ男でどうしようもない存在な緋。
しかし、普通の人間ではどうしようも出来ない「がしゅう」と対峙し危機に陥った時の冷静さや、相手を追い詰めていく時の“かたり”は普段の彼とはまるで違います。口調自体はいつも通りなんですが(笑)。依頼者が危機に陥れば身を挺して守ったりもしますし。しかも良い女に誘われても据え膳は基本的にいただきません。相手としっかり盛り上がったタイミングでそういう関係になる…それが緋修離という男で結構ハードボイルドだったりします。
▲「がしゅう」と対峙し「かたる」主人公。小倉百人一首の和歌と共に相手を弱らせていきます
そして何よりも普段はどうしようもない軽口ばかりな印象ですが、相手が素の状態で気楽に過ごせるようにしたり、相手自身の良さを気付かせるようにしたり、そんな場面が度々出てきます。
魑魅魍魎的な「がしゅう」相手には、「呪いを蒐集し、整理し、語り解くのが俺たち『かたり屋』」と「かたり」で「がしゅう」を解き明かし、逆に依頼人に対しては「人間とは、人の間と書く。隙間はあるのが当然。生き違い擦れ違うも当然」「だから『かたり』がある。埋まらない隙間を仮初めに、ほんの一時だけ埋め合わせる」なんて言いながら、相手のこじれた気持ちを解きほぐしたり。あらゆるものを「かたり」で解き明かしていきます。いやぁ、男が男に惚れそうな瞬間です(笑)。
同じ読みでも違う漢字を当てはめたり、同じ単語でも違う意味にしたりみたいな「かたり屋」らしい言葉遣いも本作の大きなポイントですので、テキストはしっかりと読みたくなりますよ!!
▲「おろし屋」の猿丸犬好。「がしゅう」と対峙する際には彼が「おろし」てきた品物が役立つことが多く主人公もその腕を信頼している
二つめはサブキャラも含め芯のしっかりした個性的なキャラクターたちでしょうか。
緋については先ほどお伝えしましたが、例えば助けを求めている者には必ず手を差し伸べる自称“探偵”・万条女桐子。探偵としての矜持を守り依頼者の素性を明かすことはないですし、どんな偉い人が出てきても彼女の言動は変わらず自分の信念のまま行動します。
頼まれればどんな些細な情報からでも有形無形問わず役に立つアイテムや情報などを集めてくる「おろし屋」の猿丸犬好や、「埋立屋」の剣豪・脇坂紫水ら、良いキャラ揃いです。あまりセリフはないですが高賀家のベテランメイド・スミレや警察の超エリート・日守日薙なんかもいい味出してますね。彼らが活躍するシーンをもっと見たいと思わせるキャラ揃いですよ♪
なお万条女桐子と主人公の息もつかせぬような丁々発止のやり取りや、息の合ったコンビっぷりはどんなシーンでもクスクスさせてくれます。強いて言えば、彼女と結ばれる展開がないのは残念ではあるのですが…。先ほど言った緋のハードボイルド的生き方からすると恩師の娘に手は出せないとか、異性というより肉親的な相手なんだと思います。
▲立場的にはパートナーに近い(?)万条女桐子。探偵としての情報収集の腕は一流で、かなりの強運
▲合法ロリなメイドの峰子。彼女はなかなか良い性格をしているし、選択によってムフフなイベントも…
▲高賀津希はほとんど屋敷の外に出たこともなかった箱入り娘。主人公の家でも普段通り裸で風呂から出てきてしまい…
▲「運び屋」でもある岬小夜。運転の腕はかなりのもの
▲超一流の社会人である布田楽由利ですが、裏の顔もあって…
そしてもう一つの見どころは、熱くスリリングな4つのエピソードですね。4本それぞれで異なる「奇々」に対処することになります。それぞれに出てくる「がしゅう」にはどんな背景があり、ヒロインとの関係はどんなもので「かたり屋」としてどう対処するのか…。「がしゅう」とのバトルシーンの演出を含め思いっきり引き込まれるので全てを味わってほしいです。
4本と言うか、ヒロインとの物語3本で言うと個人的には由利との「明け待ちの鸚鵡」が一番の好みでした。「悄々の鶩」での津希の成長も感慨深かったですが。
「かたる」という行為を通し様々な難題をクリアしていく主人公・緋修離の活躍が描かれる本作は、爽快さが思いっきり詰まっています。熱くて楽しいそんな物語を味わいたい人は是非遊んでみてください。日野亘節とも言える独特のテキストが最高ですよ♪
▲津希とは二つめのエピソードとなる「悄々の鶩」でHシーンが発生。大人への階段を登っていきます
▲小夜はペット以外信頼していなかったのですが、主人公にかばわれながらの逃亡で徐々に変わっていくことに
▲由利は大人の女性として関係を求めてくることもありますが、主人公は簡単には応じません
緋のない所に烟は立たない-緋修離と一蓮托生の女たち-
オープニングムービー
ライター:ロブロイ
現住所に引っ越してきて8年、初めて34度予報が出た。酷暑日になりエアコンなしな最厄の夏になるかもと慄く。結局32度でホッと一息。さらに8月は現時点で30度オーバーなし…も、毎日明日の気温が気になって仕方ない状況。面白いゲームプレイ時だけが暑さを忘れられるそんな夏。
ヌキコレvol.103
緋のない所に烟は立たない
-緋修離と一蓮托生の女たち-
暁WORKS
パッケージ版:2026年5月29日発売
AVG、DVD、18禁、Win10/11
パッケージ版:4,180円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:おりょう
シナリオ:日野亘

















