STORY
主人公・卯月誠一が数年ぶりにやってきた伊沢の町。この街で最も名家と言われているのが如月家であり、卯月家はその分家の一つ。元々からくり師の一族だった如月家は、ITや機械産業を中心に多くの企業を抱えている。
今回誠一が久々にこの街に戻って来たのは、家族同然の間柄だった幼馴染みの如月零より、古くから伝わる如月家の特別な儀式に参加してほしいと頼まれたため。通常は如月家の当主が参加するのだが、零の父は車椅子生活で儀式に耐えられなかったのだ。そして儀式で出会う不思議な如月の生き人形。それ以降、様々な事件が発生し…。
次々とエンディングを見ることで様々な謎が解かれていく!!
ちょっと前に発売された人気作をお得な価格で購入出来るヌキコレシリーズ。今回はあっぷりけから2017年に発売された『月影のシミュラクル -解放の羽-』をプレイしてみました。
前年に無料で配信された『月影のシミュラクル』に18禁要素を含め大量のシナリオが追加された作品となり、その完成度が当時評判になった記憶があります。
名作『黄昏のシンセミア』の桐月氏が企画・シナリオを担当している上に、シナリオ系が大好物の自分にとっては今回のプレイは渡りに船といった作品。期待に胸を膨らませながらプレイをSTART!!
▲零と久々の再会。「胸デカくなったな」とか言ってもそれに乗ってくれるぐらい気の置けない関係だ
久々に伊沢に戻ってきた本作の主人公・卯月誠一。彼が向かったのはこの街最高の名士・如月家のお屋敷。卯月家は如月家の分家であり、同年の幼馴染み・如月零もいるため引っ越すまで良く遊びに来ていたお屋敷です。
今回、零に呼び出された理由は古くから続く如月家の儀式に当主の代わりとして参加して欲しいということで、夏休みを利用し里帰り感覚でやって来たのです。
見た目は成長したものの、昔同様の雰囲気で接してくれる零や、かつては誠一の家の隣に住んでいて妹的な存在で両親がなくなった現在は如月家のメイドを務めている水無月一葉、一葉を引き取った水無月さえに、零の父親である如月兼定ら旧知の面々は彼を温かく迎えてくれます。その温かさは誠一や零といつも一緒に遊んでいた、野上美優や一条忍という他の幼馴染みも同様でした。
▲一葉とも久々の再会。この時は私服ですが、メイド服姿はメチャカワ!!
▲零とその父・兼定。兼定はこんな状態な上に穏やかそうな表情だが、心には激しいものを秘めていて…
久々の伊沢を満喫しつついよいよ迎えた儀式の日。その儀式とは、卓越した人形師であった如月家の初代が連れていた“如月の生き人形”と結婚式を挙げること。
この人形は初代の身の回りの世話もするし、自由に会話もでき笑いもしたとのことで…。初代が亡くなるとその動きを止めたのですが、現在も如月家の家宝として残っているのだとか。彼の役目は儀式の間中、人形の横でずっと座っているだけでいいということでした。
厳粛な儀式の最中、誠一の横にはうつむいた人形が座っているのですが、部屋は薄暗く…。人形の表情や顔は分からないものの、彼には横にいるのが人形とは思えず気配のようなものを感じてしまい、つい話かけてしまうのでした。「ずっと座っているだけって大変だな」そんな愚痴めいたことを話しかけると、人形が笑いをこらえかすかに震えて…。
それを見て人形役の女性が横に座っているのだと思い、先ほどまでの自身の疑問に納得し儀式を終えたのでした。
▲儀式中、すぐ横には生き人形が。その表情は人間同様と言っても遜色ない?
その日の夜、館の中で謎の気配を追いかけ、たどり着いた人形の間。そこで彼が出会ったのは、零と瓜二つの着物姿の女性。
彼女に求められ、誠一は「紅(くれない)」と命名。最初、零が演じているのかと思ったその存在は、魂を繋ぐ契約として結ばれたいと誘ってくるのでした。どう考えても零のする行動ではないと断ると、紅は誠一の首から少しだけ血を吸い「もうあなたはここに来ない方がいい」と告げるのでした。
これらの疑問に残したまま館での生活を続ける誠一。そんな日々の中、惨劇が発生!!
まずは如月兼定の惨殺死体。続いてはさえが…。しかも何かが起こる時には大抵、紅が彼の前に現れていたのです。そしてついには零が、「如月家の因縁を断ち切るため」と、館に火をかけその中に消えていって…。疑問は何も解けず、やるせない想いだけを残して迎えたひとつの結末。
が、これで本作は終わりではありません。むしろここからが始まりなのでした!!
▲人形の間に祀られている生き人形。ここではとても動きそうにないのですが…
本作はあるエンドを迎えることでフラグが立ち、選択肢が追加され物語が広がります。新たに追加された選択肢の選び方で行動が変わり隠されていた秘密が明らかになったり、悲劇を避けられたり。新たな悲劇が生まれるなんて展開もあります。
なお本作にはフローチャート機能があり、選択肢が増えた場所はそれをみれば分かるので、フローチャートでひとっ飛びで行くこともできますし、選択肢でセーブしておいてそこからロードでも大丈夫です。
エンディングは10を軽く超えています。フラグを立てるために全てを見る必要はないですが、個人的には全て見たくなっちゃいました。
そうしたエンドの中に「美優」「一葉」「零」「紅」、それぞれと結ばれる展開が用意されていますが、如月家の謎という意味ではハッピーエンドではない展開もあるのでご注意ください。
▲フローチャート画面。すでに見たことがある場面ならクリックすれば飛べます(この画面はほぼ全て解放済みのものとなります)
さて何といっても本作の魅力の最大のポイントは、物語を繰り返すことで謎が紐解かれていくことでしょう。
最初のエンドの中だけでも、「如月の生き人形とは何なのか?」「零と紅は同一人物? 二重人格?」「兼定やサエはどう死んだのか? 誰が殺したのか?」「如月家の因縁とは?」「過去にあった吸血鬼事件とは?」etcが疑問として残されていますし、新たな選択を選ぶことで主人公以外のキャラの行動も違ったものになり、例えば「一葉の両親が亡くなり、兼定も巻き込まれた火災の真相とは?」など新たな謎も増えていきます。
これらは全て繋がっていて、新たなルートをプレイするたびに続々と伏線が回収されていく展開は本当に素晴らしいの一言でした。伝奇モノの設定を活かしきった物語は桐月さんの面目躍如といった内容なので、全てを遊びつくしてほしいですね。
▲選択によってはこんな凄惨な展開も…
そしてもう一つ素晴らしかったのは、タイプが異なる愛おしさを持つヒロインたちの魅力です。
如月家に縛られながらもそれを打破しようと必死に行動する零。彼女は幼馴染みらしい気の置けない関係や気安さが心地よい上に、素直になれない一面がありながらもなんだかんだ誠一の身を案じ巻き込まないように行動する思いやりやいじらしさには愛おしさを感じました。拗ねた時の彼女の表情は特にお気に入りです。
実は昔から誠一に好意を寄せていたらしい、もう一人の幼馴染みの美優は超がつくお嬢様の零ともフラットな友人付き合いをするなど、「THE良い子」といったタイプであり、傷心の主人公を支えてくれます。
昔からよく一緒に遊んでいた一葉は、TCG系が大好きなのですが、実はその原因となったのが誠一だったりと、意外な繋がりが色々と出てきます。零とは違ったタイプの気の置けない関係であざと可愛い一面も。さらに思わぬ頑固さなども持ち合わせていて驚かされますよ。
そして零とそっくりな紅。彼女については零との関係性を含めネタバレだらけなので割愛。と言っても彼女の存在や行動が物語の肝になってきますし、すごくいじらしい部分や可愛らしい部分があるので、是非最後まで見てくださいとだけ伝えておきます。
謎だらけの伝奇系作品ということでほのぼのしたシーンはそこまで多くないですが、その他のキャラも含めた日常はどれもクスクスさせて貰えるのでそんなまったりなシーンは最高のアクセントになっていて、もっともっと味わいたいと思えます。
そんなこんなで様々な謎が絡み合い、それらがしっかりと紐解かれていく様が最高な本作は、シナリオ系作品や伝奇系が大好きな人には超オススメな逸品ですよ!!
▲婚約を周囲に告げた零と主人公は、ベッドの中でも深い関係に♪
▲ある秘密を共有するために一葉が関係を求めてきて…
▲初めて同士だった主人公と美優。結ばれた幸せを二人ともかみしめていくのでした
▲一葉との会話は漫才のような掛け合いになることも♪
ライター:ロブロイ
やはりシナリオ系作品はサイコーって感じでした。プレイ時間はたっぷりと必要ですが、それを感じさせない物語や作品構成、まだまだ未プレイの名作探していきたいです!!
ヌキコレvol.101
月影のシミュラクル
-解放の羽-
あっぷりけ
パッケージ版:2026年3月27日発売
AVG、DVD、18禁、Win10/11
パッケージ版:3,960円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:オダワラハコネ
シナリオ:桐月














