“道化師”を意味するCIRSUSのサブブランド・CLOWNのデビュー作『ネモフィリア』についてロングインタビュー!!
独特の雰囲気、印象的なタイトル──『ネモフィリア -We pass each other-』は、CIRSUCの姉妹ブランドCLOWNによる本格的サスペンスホラーだ。BugBug7月号では本作のシナリオ担当・満腹亭白米氏へ直撃インタビューを敢行。新しいサブブランドを作るに至った経緯や本作への熱い想いを語ってもらったぞ。ここではその一部を特別にお見せしよう!!
▲CIRSUSにて様々な純愛作品を手掛けてきた満腹亭氏。そんな氏が本格的なサスペンスホラーを手がけることになった経緯を今回語っていただいたぞ
企画ありきで誕生した新ブランドCLOWN
自由さを持った「愚者」としての作品作りを
──CLOWNはCIRCUS久々の姉妹ブランドということですが、立ち位置的にはどういうブランドなのでしょう。
満腹亭:まず僕の方から『ネモフィリア -We pass each other-』の企画を提出したのですが、これをCIRCUSから出すとユーザーさんも混乱しちゃうよね、と。また、自分としてもこれ1本限りで終わりにするつもりはなかったので、新しいブランドを立ち上げたんです。なので作りたい作品があって、それを出すための場を作ったという感じになりますね。
──CIRCUSの新ブランドとしては、かなり久しぶりになりますね。
満腹亭:多分15~6年ぶりくらいだと思います。なので最近CIRCUSを知った方からすれば、少々驚かれるかもしれませんね。
──作品のHPはCIRCUSのサイト内にありますね。
満腹亭:最近のユーザーさんからすれば、自分とか原画家のやたぬき圭さんとか、『D.C.5 ~ダ・カーポ5~』のスタッフが参加しているので、「どういうこと?」と混乱するのではないかと思いました。ならば明確に「CIRCUSの姉妹ブランドですよ」と見せた方がすっきりするかな、ということです。
──CLOWNというブランド名ですが、「道化師」という意味ですよね。
満腹亭:道化師というと皆さんピエロをイメージすると思うんですが、ピエロというのはメイクに涙を描いているように、悲しみ属性の道化師なんですね。CLOWNというのはより喜劇よりの愚者で、愚者なればこそ周囲から無視されているので、かえって権力者に鋭いツッコミが言える。そういう自由さを持ったブランドにしたいというのと、CIRCUSの中にピエロがいるのは自然だよな、ということでこの名称になりました。
▲姉妹ブランドということで作品の雰囲気はCIRCUSとは異なるが、制作にはCIRCUSの精鋭スタッフが多数参加している
これまでも経験の上に大好きなサスペンスものを
長年続けてきて制作環境が整ったタイミングで
──CLOWN第1弾作品の『ネモフィリア』ですが、どのようなコンセプトで企画を考えられたのですか?
満腹亭:僕がクローズドサークル系のミステリーやサスペンス作品が好きなんですよ。小説でも映画でも。で、ゲームの企画というのはどんなものを出しても、結局通らないと制作には入れないじゃないですか。だったらまずは自分の好きな企画を出してみよう、と。それでいくつかミステリー系やサスペンス系の企画を提出したところ、この企画が通ったんです。
──企画を提出した当初はCLOWNというブランドはなかったわけですよね。ということはCIRCUSの新企画として提出されたと思うのですが、これまでのCIRCUS作品とはかなり方向性の異なる企画ですよね。
満腹亭:そうですね。人死にが出たりする作品って、これまでのCIRCUS作品には少なかったと思いますから。でもCIRCUS作品を否定する意図はありませんでした。ファンの中には『D.C.』の新作を求めてくれる方も多く、皆さん大事なファンですから。ただ、自分もシナリオライターとしてこの業界に入ってきたからには当然作りたい作品がある。それを企画にして提案したというシンプルな理由です。
──なるほど。これまでの満腹亭白米さんの作品というと、『D.C.4』や『D.C.5』以外だと『春音アリス*グラム』(NanaWind)といったあたりが代表作になると思うので、そこでも驚いたファンもいるのかなぁと(笑)。
満腹亭:確かにそうですね。でも、そういった作品というのは最初に企画ありきで、その上で「この企画の中であれば、自分はこういうものを書けますよ」といったもの。『ネモフィリア』は企画・ディレクションも担当していますので、より自分のやりたいことを押し出しているわけです。例えば原画家にしても、企画段階から「この作品世界なら、この人が合うと思います」と提案させていただいていますから。
──なるほど。今まで積み上げてきたシナリオライターとしての経験の上に、自分の最も書きたかった作品を作っているのが、この『ネモフィリア』ということなんですね。
満腹亭:そうご理解いただけると嬉しいです。「これまでと全然違うじゃないか!!」と怒る人もいると思いますが、そこはあらかじめHPなどで「この作品はサスペンス系ですよ」というのを、きちんとアピールしていこうと思っています。すでにサンプルとして注意付きで首なし死体のCGを公開していますし、周知はしっかりしていかなければダメだなとは考えています。
▲作品の方向性を知ってもらう意味で、公式サイトでもまずはショッキングなシーンを提示。CIRCUS系ブランドだからと勘違いする人がいないように気を配っている
低価格路線での制作で企画のスリム化を図るも
三部作でのリリース決定で元の企画規模で制作に
──『ネモフィリア』についてお伺いしますが、このタイトルの由来をお聞かせください。
満腹亭:元々はネモフィラだったんです。青い小さな群生する花ですね。ただ、ちょっとタイトルっぽくなかったので、ネモフィリアという造語にしました。作品のコンセプトとして花言葉をテーマにしようと考えたのが最初ですね。
──ネモフィラの花言葉は複数ありますが、どれを意図されたのでしょう。
満腹亭:そこはぜひプレイしていただければ「こういうことが言いたかったのか」と分かっていただけると思います。
──公式サイトのメインビジュアルを見ると、白い服を着た黒髪ロングの美少女ということで、古くからのCIRCUSファンからすると懐かしさを感じてしまうわけですが(笑)。
満腹亭:ある意味、美少女ゲームの定番でもありますよね。けど記号的な意味合いではなく、今作の舞台と雰囲気、それに千鶴というキャラクターに合ったデザインや服装という意味で今の形に落ち着きました。懐古主義ではないのですが、良いものは良いなぁ~と思ってます。
──『水夏』も命をテーマにした重めの作品でしたから、雰囲気が似ていないと言えないこともないですし。
満腹亭:自分のブログにも書かせてもらっているんですが、『水夏』とは全然関係ありません。そこははっきりさせておきたいですね。ファンをだまし討ちするようなことはしたくないので。
──その『ネモフィリア』ですが、すでに三部作になることも発表されていますね。
満腹亭:CIRCUSとして久々の姉妹ブランドということで、どれくらいのボリュームにするかを話し合いました。社内の他の開発ラインとの兼ね合いを考えても、最初からフルプライス作品は難しいだろう、と。ということで、最初の企画からいくつかの要素をそぎ落として、ロープライス1本の企画としてまとめ直したんです。ところが続く企画会議で、「これなら三部作にして出した方が魅力が伝わるのではないか」と言う話になって、それならそぎ落とした部分も盛り込めるな、ということになったんです。
▲白い服に黒い長髪。作品の舞台、その雰囲気にあわせた、シンプルながらキャラクター性にマッチしたデザインだ
昭和初期を舞台にするミステリーを彩る
個性的な柊木家の人々の設定とキャラデザは?
──そんな『ネモフィリア』ですが、どのようなストーリーになるのでしょう。
満腹亭:舞台は終戦から数年後の日本。山中にある慈照庵という宿坊—宿泊施設のあるお寺に、主人公たちが夏休みを利用して泊まりに行きます。そこで首なし死体と遭遇するわけですが、深い山中の宿坊なので逃げるに逃げられず…というクローズドサークルものサスペンスミステリー作品になります。
──まさに昭和のサスペンスミステリーと言った感じですね。
満腹亭:横溝正史的ですよね。好きなんです(笑)。あとこの時代の山中の建物だったり田舎町だったりって、簡単に外に出られないじゃないですか。クローズドサークルを作るのに向いているんですよ。
──そんな『ネモフィリア』の登場人物について教えてください。まずは主人公の柊木蛍から。
満腹亭:蛍は柊木家の人間でなく、戦災孤児だった蛍を柊木家の当主が使用人として屋敷に連れてきます。家事全般が得意で、自身も誰かの役に立つことに喜びを感じるような主人公です。
──続いては、柊木千鶴です。
満腹亭:柊木家のお嬢様で蛍の一つ年上です。見た目は大和撫子なお嬢様なんですが頑固な性格で、いやなことははっきり拒絶出来るタイプです。蛍に想いを寄せているんですが、それを隠そうとしません。
──キャラデザインのポイントなどはいかがでしょう。
満腹亭:透明感と儚さです。原画担当の庄名泉石さんと直接やり取りするのは今回が初めてで、最初にDiscordでご挨拶させていただいた時に、「透明感と儚さを兼ね備えた可愛くて大人っぽいキャラを描ける人ということで庄名さんにお願いしたいんです」とお伝えしました。顔が可愛いのは当然として、庄名さんのキャラ絵は手の演技の表現力が高いんですよね。そこも魅力に感じています。庄名さんからはキャラ絵と一緒に「名前の“鶴”からしなやかさを意識しました」というメッセージをいただきまして、長い髪のなびき方などに表現されています。
▲満腹亭さんの難しい注文から、原画担当の庄名泉石さんが見事にデザインしてくれた
幽玄で薄暗く美しいCG表現を目指した1本
サウンドノベル的なテキスト表現で演出も
──18禁作品ということでエッチシーンについてもお伺いしたいと思います。こちらのこだわりなどはいかがですか?
満腹亭:エッチシーンに限らないんですが、全体的に「幽玄で薄暗くて美しい」グラフィックを意識しています。シーンで言えば、サスペンスということでラブラブなエッチばかりではないですが、その一方でハードなエロを見せれば良いとも思っていません。物語の中で必要とされるエッチシーンを的確に盛り込みました。
──UIや演出面で新たな試みなどはありますか?
満腹亭:「新たな」と言うと違うのですが、今回はテキストの表示をサウンドノベル方式にしているシーンがあります。僕はエロゲーは読み物だと思っているので、シーンの雰囲気に合わせてテキストの表示方法を変えました。
──ゲームのサウンド面はいかがでしょう。
満腹亭:今回BGMは新しい音楽チームに発注しているんですが、印象的な曲が上がっています。ただ、主題歌については予算的に盛り込めませんでした。そこは残念に思っています。
──サスペンス系だとエンディングに印象的な楽曲が入ってエンドロールっていうのを期待しちゃいます。
満腹亭:そうですよねえ。なんとか頑張って第3弾のラストにエンディング曲が入れられればと思うんですが…。個人的にはエンディング曲を作りたいなと思っています。
▲背景も含めたグラフィック、そしてサウンドも活用して「幽玄で薄暗くて美しい」雰囲気を作り出している
昭和の空気感の中で紡がれるサスペンス作品
相性の良いサスペンスとエロゲーで次の扉を
──お話を伺うと期待感が高まってくるサスペンス系作品の『ネモフィリア』ですが、改めて本作のセールスポイントをお聞かせください。
満腹亭:昭和の日本の空気感で描かれるクローズドサークル作品の持つ素晴らしさというのがあると、僕は常々思ってきていました。『ネモフィリア』で、ぜひそこで描かれる物語の素晴らしさを味わってほしいと思います。死体のCGが公式HPにも公開されていますが、グロ画像とかゴア表現を目的に制作しているゲームではありません。本作が描く人のドラマを、この薄暗い世界観で楽しんでいただきたいと思っています。もちろん可愛い女の子も出ますしね(笑)。
──最初に満腹亭さんからCLOWNは本作以降も続けるようなお話もありました。ブランドの方向性なども改めてお聞かせください。
満腹亭:低価格や三部作というのを固定していこうとは思っていません。ただ、『ネモフィリア』の次に作りたいと考えているものもサスペンス系ではあります。「都会から田舎へフィールドワークに行って、現場で起こるあれこれ」という三津田信三っぽいやつをね(笑)。まあ、これも企画が通ればですけどね。大きな方向性で言えば、「CIRCUSでは出せない作品を作る」という感じです。
──そのためにもサスペンス系やミステリー系の美少女ゲームが増えればと思うのですが、今後、このジャンルはどうなると思いますか?
満腹亭:うーん、そこは分らないですが、漫画の世界だと志水アキさんが京極夏彦先生の『百鬼夜行』の漫画化をしていて、個人的には江戸川乱歩作品や横溝正史作品も全て漫画化されないかなぁと期待してるんですよね。僕が美少女ゲームに触れた最初の作品がそういうジャンルだったので、この手の作品がもっと増えてくれれば選べて嬉しいなぁとは思ってます。可愛い女の子が沢山出てきて楽しい作品と、こういう暗かったり怖かったりする作品が同時に存在出来るのが美少女ゲームの良さだと思っているので。いろんなジャンルの作品が出て来て欲しいです。
──最後にBugBug読者へメッセージをお願いします。
満腹亭:CIRCUS久々の姉妹ブランドとなります。これまでのCIRCUS作品とは毛色の異なる作品になりますので、チェックしていただいて「俺に合いそうだな」「私に合いそうだわ」と思ったら、ぜひ遊んでいただければと思います。三部作の今後を少しお話すると、二作目には新キャラが出てきまして、冬の学校が舞台です。三作目は春の離島が舞台ですね。CLOWN自体もこれ1本で終わらないように頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
▲CIRCUSはこれまでも、新しい挑戦のために姉妹ブランドを作ってきた。そこに今、満腹亭氏が作りたい作品を作るためのCLOWNが加わる
他にも様々なお話が飛び出したインタビュー全文はBugBug7月号に掲載!!
CIRCUSといえば『D.C.』などの純愛ラブコメ系作品で有名だが、敢えて異なる姉妹ブランドを設立して全く異なる作品をリリースするに至った経緯が今回のインタビューで理解できたのではないだろうか。よりクリエイターの作家性を前面に出しているCLOWNがこの先どのようなブランドに成長していくのか、今後の作品にも目が離せないぞ。
ほかにもインタビューでは、収録現場での印象的なエピソードといった生々しく興味深いお話も。気になる人はぜひBugBug7月号で全文を読んでみてね。
▲限定版特典はB2Wスエードタペストリー。美しいプリントのため素材にこだわった豪華仕様だ。予約して確実に手に入れよう
ネモフィリア-We pass each other-
CLOWN
2026年7月31日発売予定
AVG、DVD、18禁、Win10/11
パッケージ・初回版:3,850円(税込)
パッケージ・B2Wスエードタペストリー付き限定版:7,700円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:庄名泉石、やたぬき圭、つしまくりた
シナリオ:満腹亭白米
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