今年発売された話題の3作品の代表が美少女ゲームの魅力についてカラー6ページに渡って語り尽くす!!
今年発売された話題作『マルコと銀河竜』『TrymenT』『白昼夢の青写真』。どれも若い感性を活かした表現で、今までにない美少女ゲームの枠を拡げる可能性を見せてくれて話題になったのだ。そこでBugBug12月号では、それぞれのブランドの代表に集まっていただき、改めて美少女ゲームの魅力、とりわけ「AVG」というジャンルの可能性について語り合ってもらったぞ。ピックアップしたダイジェスト版で紹介するので、気になった人は是非本誌を購入して激アツの2万字トーク全文を読んでほしい!!
▲参加してもらったのは、TOKYOTOON代表・なかがわ氏、TrymenT代表・雫将維氏、Laplacian代表・緒乃ワサビ氏の3人。なかがわ氏はHARUKAZEのプロデューサーと広報、緒乃氏はシナリオと広報、雫氏はRASKの代表に加えてディレクター・シナリオ・原画も手掛けるなど、それぞれマルチに活躍している
LaplacianとTrymenTは以前からディズニーシーに一緒に行く程の仲だった!?
──お三方はこれまで交流はあったのでしょうか?
なかがわ:そうですね。ここ一年くらいで面識はあります。
雫:自分は制作が終わってからしばらく死んでたので…なかがわさんと最後にお会いしたのはそれこそ初めてお会いした時かもしれません。
なかがわ:そうかもしれないですね。あの時はお互い制作真っ只中で。
雫:去年の10月とかですかね。
緖乃:LaplacianとTrymenTは『Re:LieF』を作る前から企画の話とかしてました。一緒にディズニーシー行って。男三人で。
雫:行きましたねえ。
なかがわ:それすごいですね(笑)。
緖乃:我々は制作的にもお互いの手伝いとかをしているんで、浅からぬといった仲ですね。なかがわさんはまだちょっと手探り状態です。
一同:(笑)。
なかがわ:でも4年位前から流通さんとか他の方を通して双方なんとなく話は聞いていたんじゃないかと思ってます。
緖乃:そうですね。そんな感じです。
▲今回の対談記事はカラーで6ページという大ボリュームで掲載しているぞ。全ての美少女ゲームファンに読んで欲しい読み応え満点の内容だ
延期を恐れないといいう意味では業界一度胸がある!?
──『TrymenT』は如何でしょう?
なかがわ:相互でプロモーションを打ってたこともあって、出た直後くらいにやらせて頂いたんですけど、先程少し出た求道者だなっていうのはそうだと思っていて。ひとつ製品というか、商品を作るとして考えた時に、色々制約とか考えちゃうと思うんですけど、そういうのが雫さんにはないっていうか、すごい度胸だなと思う部分があって。
──なるほど。
なかがわ:音楽の使い方や背景の使い方、立ち絵の使い方どれをとっても一つの表現したいことのためにやっているのが本当に凄いと思うんですよ。例えば音楽だったらピアノがテーマだったりするので全部合わせてやってたりとか、そういうのってみんなイイのはわかってるんだけど実際やるのは怖いって部分がありますから。それで何となく有名な歌い手の人に頼みますか、ってなっちゃうのって、本当にベストな選択なのかなって思うことがあって。お客さんとかも「イイね」って言ってくれるんですけど、それって無数の選択肢の中からのベストの「イイね」じゃなくて、10個くらい浮かんだ中での「イイね」なんじゃないかと。手前の選択肢からじゃなくて、これが本当にベストなんだって腹くくってやってるのが凄いと思います。だから業界で一番度胸がある人なんじゃないかなって思ってます。そういう新しい表現を追いかけてる姿っていうのは、本当に見ていて勇気が貰えます。
雫:いや、とんでもないです。自分からしたら1000枚スチルとかの方が絶対無理だなって思いますし…。
なかがわ:いえいえ、数っていうのは単にリソースを割けば出てくるものなんで…って言ったら絵の人に怒られちゃいますけど、数を揃えるっていうのは時間の問題だったりするので、やろうと思えばできる部分があると思います。
雫:でもそれができること自体、やっぱり会社というか制作体制として大きくてちゃんとしてなきゃできないですから、その環境を作ったことが凄いと思っちゃいますね。
なかがわ:まあそこは……そういっていただけるとありがたいです。
雫:そういう度胸ではかなわないと思います。
緖乃:うちも延期を恐れないっていう意味では業界一度胸があると言えるかもしれない…。
一同:(笑)。
▲『マルコと銀河竜』はAVGとカートゥーンアニメを融合させた話題作。AVGのテンポ感を突き詰めることに拘っているのだ
はと氏の作品にはミュージカル感が
雫:『マルコ』は…はとさんの作品に以前から感じていたことなんですが、ディズニー感というかミュージカル感があるなと思っていて。
なかがわ:ああ、わかります。
雫:スチル1000枚って聞いた時もどういうことだろうって想像もつかなかったんですけど、蓋を開けてみたら絵と演技、音とか全部使って、本当に舞台を見ているような感覚でした。
なかがわ:実は『ノラとと』の頃から、はとからのキャラクター参考例にディズニーのキャラクターが出てきたりとかしていたんですよね。なので仰る通りだと思います。本人じゃなくて僕が言っていいのかわかりませんが(笑)。
雫:『白昼夢の青写真』は自分も関わらせて頂いているので客観的かはわからないんですけど、最初に情報を貰った時には、ついに完成させ切らないといけない作品が出てきたなと思いました。
緖乃:いやー、そうですね。
雫:なので色々間に合わなさそうな時も、延期してでも完成させた方が良いと思ってましたね。
緖乃:実際延期しました。
雫:そうだね(笑)。僕が緖乃さんの表現で一番強いなと思うのは、演技を昇華させる力が凄いというところなんですよね。今回演出とかに関わらせて貰った時も、もうシナリオと演技で完成されていて、絵を挟む余地がないなと思って悩んだ記憶があります。
緖乃:実は彼には『白昼夢』に途中から参加して貰っていて、1ヶ月くらい会社に来て作業してくれていたんですよね。
なかがわ:そうだったんですね。
──どういう作業をされていたんですか?
雫:「雫将維」としてはメインビジュアルの制作としてクレジットされているんですけど、実は別名義で色々とやっているんですよね。主にはCASE-0のスクリプトを組む作業を。あとは細かいスクリプトとかデバックくらいですかね。
なかがわ:ええー、凄い。
緖乃:彼は10日間で30枚くらい追加でCGを書いてくれているんですよね。仕上げまで。
雫:描いたね(笑)。
──30枚!!
緖乃:別物になってましたね、彼が居なかったら。本当バケモンなんですよ。
──指揮官として優秀なのに兵卒としても一流ですね。
雫:ただ喋るのはちょっと苦手っていう。
なかがわ:いえいえ。
▲『TrymenT』はRASKからリリースされている『Re:LieF』と同じ世界を異なる視点から描いた作品で、お互いを補完するような関係になっている
雫氏が『白昼夢』のパッケージイラストを描くようになった経緯は
──『白昼夢』はパッケージイラストも絵画的で目を惹くな思ったのですが、あれも雫さんが描かれてたんですか?
緖乃:そうです。メインビジュアルが二つあって、二枚目の絵画のようなメインビジュアルは雫が入ってきてから作ってます。
なかがわ:あれはとても印象的でしたね。
緖乃:経緯として、まず夜景の方のビジュアルに関してですが、『未来ラジオ』と『白昼夢』の間に実写映画を撮ったんですよ。45分くらいの。その時に機材も揃えて、使い方も多少身についたので、今度は写真加工でメインビジュアルを作れないかとなりまして。横浜のランドマークから撮った写真を加工して使ってます。二つ目の方は、雫に本編のシナリオを読んでもらって、どの要素を使ったら良いか判断しながら描いてもらっています。
──なるほど。雫さんはシナリオを読んであのビジュアルが浮かんだんですね。
雫:そうです。『未来ラジオ』の時に初めてちゃんとメインビジュアルの仕事をさせてもらって。その時は色々と緖乃さんから聞き取りをしながらやっていったんですけど、その時にどうやって表現したらいいかってのは固まっていたんですね。なので今回は余計な聞き取りなどはせずに、もう自分の中で汲み取って描いていきました。
緖乃:そうなんです。お願いねって言ったらもうアレが上がってくるんですよ、バケモノでしょう。
雫:発想はほとんど一瞬でしたね。CASE-0の中盤くらいまでを読んであの形にしようって決めていて、その後に後半ができたから読んでくれって渡されたんですけど、それを読んでやっぱりこれで合ってたなと確信した感じです。
なかがわ:いや凄いですね。
雫:今回は最初に別のメインビジュアルがあって、それが紺色でSFっぽいイメージだったので、そこから外していくように考えていきましたね。それでいて見た人が「何だこれ!」ってなるようなものをって意識しました。
──ひと目見てインパクトがあったので、まさに狙い通りだと思います。
緖乃:この絵ができた時にまだCASE-0が初稿だったので、この絵の場所が出てくるようにちょっと変えたりもしてます。
▲『白昼夢の青写真』はブランドの4作目。発売されたばかりだがシナリオの評価が高く口コミで話題になっている注目作だ
表現方法としてのAVGと実写映画と舞台
──なるほど。AVGを映像などと比べた時には如何ですか?
雫:僕はこれ反省点なんですけど、なかがわさんが仰ったこととは逆に、完成してから「これアニメでいいじゃん」って自分で思ってしまったんですよね。
緖乃:おお。逆に。
雫:自分がアニメ出身なのもあって、まず映像でイメージしてからそれをゲームに置き換えるみたいなやり方をしてしまうんですね。だから終わってから気づいたんですけど、AVGの良さを活かそうとしながら全く活かせてなかったというか。
なかがわ:でも仮に映像が作れる環境で、今の『TrymenT』の絵を連続して映像にしたとしても、全く違う肌触りになったと思いますよ。
雫:そうですね。でも自分の中ではこの反省点から拾うものもあって、今後に活かせるとは思っているので、今回はこれで良かったとも思いますけどね。そもそも考え方は映像だったかもしれないんですけど、作り方としてはAVGじゃなかったら絶対完成までいけてないので(笑)。
緖乃:なるほど。僕は逆に映像を作った時、AVGに引っ張られました。美少女ゲームが創作の原体験なんで。
──実写映画の時ですか?
緖乃:そうです。できてみて気がついたんですけど、基本的にカメラが固定なんですよ。それって多分、AVGの感覚でコンテを切ってるから。でも本当は映像ってもっと変数が多いはずで、手ブレを気にせずにキャラを追いかけたりとかもっとできたはずなんですよ。その時自分の感覚が無意識のうちに凝り固まって、表現の幅を狭めていることに気づいてちょっと震えました。
なかがわ:緖乃さんが舞台に影響を受けたって部分も多いんじゃないですか? うちもはとが舞台寄りの発想なので、結構そういう作りになるんですよね。舞台出身の映画監督って画面が割とそうなったりするじゃないですか。三谷幸喜さんとか。
緖乃:ほうほう。
なかがわ:自分がはととずっと一緒にいるのもあるんですけど、舞台とAVGって割と近いのかなって思うことがあります。
▲LaplacianとTrymenTがデビューしHARUKAZEも『ノラとと』をリリースした2016年についての話題も。同じく2016年デビューのWhitePowder『LAMUNATION!』スタッフも今年『キラキラモンスターズ』を発売していて注目作だ
誌面ではまだまだ美少女ゲームの可能性について熱いトークが満載!!
今回ダイジェストで紹介した以外にも、お互いの作品やブランドについてや、演出・表現・海外展開・広報・会社としての在り方…等々、美少女ゲームファン注目の内容が盛り沢山なのだ。絶賛発売中のBugBug12月号(電子書籍版もあり!!)を購入して、新進気鋭のブランドたちの熱い想いをジックリ読み込んでくれ!!
白昼夢の青写真
Laplacian
2020年9月25日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win8/8.1/10
パッケージ版:8,800円、DL版:7,800円、DL版オリジナルサウンドトラック付:8,800円
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:霜降、ぺれっと
企画・シナリオ:緒乃ワサビ
マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~
TOKYOTOON
2020年2月28日発売
AVG、DVD/DL、一般、Win8/8.1/10
パッケージ版・GALAXY EDITION :14,800円、パッケージ版・STANDARD EDITION:7,800円、DL版:7,800円(税込)
ボイス:あり、アニメ:あり
原画:大空樹
シナリオ:はと
TrymenT ―今を変えたいと願うあなたへ― AlphA編
TrymenT
2020年2月20日発売
NVL、DL、一般、Win8.1/10
DL版・公式BOOTH:3500円(税込)、DL版:4800円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:雫将維、クロノミツキ
シナリオ:雫将維