Moepedia主催「ソフ倫設立30周年記念座談会」をダイジェストでお届け!!
ソフ倫が主催する美少女ゲーム総合情報サイトMoepediaにて「ソフ倫設立30周年記念座談会」が開催!! 業界を代表する重鎮たちがオンラインで一堂に会し、熱いトークが交わされたのだ。
BugBug3月号ではその内容を6ページを使ってダイジェスト紹介。元々の内容が美少女ゲームの長い歴史を語る各メーカーの代表者たちによるとても濃くボリューミーな内容なので、ダイジェストでも6ページをみっちり使うほどの分量となっている。今回はその内容の一部を紹介しよう。
▲座談会はWEB会議形式で8社のメーカーが参加。司会進行役はBugBug編集長・マス大澤が担当
バブルだったエピソードも!?
「美少女ゲーム黄金期の思い出」
マス大澤編集長:黄金期といってもそれぞれあると思うのですが、何かエピソードなどあれば、ぜひお聞きしたいです。F&C様、先ほどの屋形船の話等、かなりバブルな感じだと思ったんですけど、何か他にもそういう聞いてるお話とかあれば、ぜひお聞きかせください。
エフアンドシー 矢野:黄金期のエピソードの前に、先程、私自身のご説明が抜けておりましたので、自己紹介させていただきます。私自身は2007年まではユーザーの立場でしたが、そこから業界に入らせていただいて、今、大体17年目くらい勤めさせていただいております。なので、ちょっと黄金期自体は私自身は知らないんですが、原画の藤井純生から伺っていたのは、これは結構冗談を含めて社内で時々話題にはなるんですけど、当時、ゲームが売れた際に報奨金制度があったのですが、同期の方の封筒が縦に立って指で押しても倒れなかったのは思い出です、ということを語ってましたね。
▲現在も活躍する様々なクリエイターを排出したブランドのひとつ。美少女ゲームの歴史を語るなら欠かせない
マス大澤編集長:なるほど。次はネクストン様から「紀元前」のエピソード等で何かあれば。
ネクストン 松井さん:「紀元前」のエピソードはwikiとかによく載っているじゃないですか。ネクストンのいわゆる、今の「Key」の脱退事件みたいな感じで、面白おかしく。ところがネットに書いているまことしやかに書いてある情報とうちの代表の話と、先日ちょうどいい機会なので入社した樋上いたるさんの方に聞いた話とで少しずつ食い違いがあるのですよね。結局のところ、抜けた人たちとうちの鈴木代表との間にはいさかいはなかったというところでは共通的な見解になっておりますので、多分、きっとそれが真実なのだろうなと思うのですが、結局はディレクターと制作スタッフの思想の違いというのが本当であったらしい。ネクストンは、業界の黄金期の時よりは今の方が割と余裕がある状態になりまして、社員数もいろんなメーカーさんから途中入社の方が増えてきましたので、今は僕が入社した時の2倍ぐらいになりました。黄金期っていうと、市場全体の黄金期は本当に10年前から15年前になるのですけど、うちの会社だけで見るのであれば今の方が、余裕がある状態になったな、というふうに思っています。
▲Tacticsの『One 〜輝く季節へ〜』で泣きゲーというジャンルを市場に生み出す。その後スタッフが抜けるものの、少しずつ新たなクリエイターが入社し、今では数多くの人気ブランドを擁するトップメーカーに成長
マス大澤編集長:ウィルプラス様はどうでしょうか? 昔の派手なお話等ありましたら…。
ウィルプラス 榊原:さっきも言ったとおり、私は出入り業者を数年間やっていましたので、外から見ていてという話になってしまいますが…。もともとはゲーム業界と関係ないところから始まっていまして、こちらのゲーム業界に入ってきて、多分、ウィルプラス(当時ウィル)の1作目は大失敗してるはずなんです。広告を担当したのですが、正直、売れないだろうなぁ…と思いながらやりました。その後、2作目、3作目がある程度売れたらしいというところで、そこから当時の社長の身なりが少しずつ良くなって行ったような気がしました。それと、当時のナンバー2の方ももう今はいないので言っちゃいますけど、彼から夜呼び出されて公園でタバコ吸っている時に、すごく儲かったんだよ。あれはこんなに売れたんだよ。と聞かされて。そんなに儲かったのなら結構給料も貰えてるんじゃないの、と聞くと、先程のエフアンドシーさんのお話じゃないですけど倒れないほどのボーナスを、束のボーナスをもらったと。私も気になってしまって、それはすごいな、そんな魅力ある会社なんだ、と思わず彼の年収っていくらくらいあるのって確認したら、130万!? そういうことね。すごく苦労していたんだろうなと思いながら、この会社はヤバいなと思ったんですけど…今、私はここにいます(笑)。
▲かつて存在した美少女ゲームブランド・ウィルを前身とするウィルプラス。個性豊かな様々なブランドを展開している
マス大澤編集長:アリスソフト様は本当にずっとやってるので、黄金期がずっとっていう感じかもしれませんが。ちょっと昔のエピソードとかで何かあればお聞かせください。
アリスソフト 白木:私が入社したのが、先ほど申し上げたように平成10年(1998年)でして、弊社的には業界全体が盛り上がる少し前にもめちゃくちゃ業績が良い時期もあった、みたいな感じです。ちょうど「アリスの館456」というバラエティパック的な商品の発売直後に入社したのですが、10万本限定生産とかやってて、実際に10万本生産していたんですよね。今となっては思い出話になってしまっていますけど、当時良かったなっていうエピソードではやはりその話が一番記憶に残っていますね。
▲昨年35周年記念イベントも開催、大阪に拠点を置く歴史の長い美少女ゲームブランド。現在も毎週アップデートされる『超昂大戦』など積極的に活動中
「30年の間で最も印象的だった
美少女ゲーム関連の出来事や事件」
マス大澤編集長:ソフ倫が生まれる1992年と、もっとその前から美少女ゲームがあったと思うんですけれども、それぞれ最も印象的だった美少女ゲーム関連の出来事とか事件等をお聞きして参ります。ここは個人的にアリスソフト様にお聞きしたいので、ぷりん様に。
アリスソフト ぷりん:悪い方の出来事になってしまうのですが、やりすぎちゃって問題になったゲームでの出来事が忘れられないです。相当古いのですが、女性を後ろから追いかけて捕まえてレイプしてうまいことやったら逃れられるっていう、刑法のタイトルがついていたゲームがありました(※177(いちなななな)/マカダミアソフト)。美少女ゲームという感じではなくて、本当のエロゲーですよね。それが世間的にも悪い方の話題になってしまい、そういう事からやっぱりソフ倫のような組織が必要だっていう風になったと思います。それ以降も、ちょっとやばいのが引っかかった事がちょこちょこあって、そういう事件は自分たちの仕事に直結する話なので、そういう事件を聞くたび知るたびに、自分たちはどう振る舞っていくべきなのか、どういうスタンスで仕事していくべきなのかっていうのは意識し、強く印象に残っています。
▲その昔、美少女ゲームのエロ表現は各メーカーの裁量に任され、過激さを増していった。だがいわゆる「沙織事件」でついにニュースになってしまい、美少女ゲーム業界の自浄作用のための『コンピューターソフトウェア倫理機構』──ソフ倫が設立されることとなった
昔懐かし「秋葉原や日本橋
(大阪)等、電気街の変遷」
マス大澤編集長:秋葉原や日本橋と電気街や、ユーザー層の変遷についてちょっとお聞かせ願いたいなと思います。まどそふとの長老様は、もともとショップさんにお勤めということで、秋葉原にも詳しいと思うんですがその辺をお聞かせ願いますでしょうか。
まどそふと 長老:ソフマップに入る前から一応客としては秋葉原には通ってたんですけど、覚えてらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、当時は駅前にバスケットコートがあって、それこそ本当に白物家電を扱ってるお店か、裏通りのパーツのところでジャンク品とかパーツを扱ってるところか、いわゆるエロアダルトか3つが混合するみたいな感じで、結構、電気街口っていう名前が相応しい状況でした。ここ最近ですと、やっぱりコンカフェとカードショップが多く、うちは事務所が秋葉原なので日々通ってて思うんですけど、ちょっとなんか電気街口っていう名称がちょっと薄くなった事に、時代の移り変わりを感じます。あとは先日、長年PCゲームを売っていただいてたげっちゅ屋様の秋葉原店が閉店しました。約30年ぐらいずっとあのビルで売っていただいてて、もちろんうちの作品もデビュー作から扱っていただいていて、当時私はソフマップにいたので言うなればライバル会社さんだったんですけど、結構、げっちゅ屋さんのホームページとかはすごい参考にさせていただいてました。ちょっと裏話ですけど、ソフマップでWebの.comの売り上げを伸ばすのはどうすればいいかみたいな感じで、上長から言われたときに、げっちゅ屋さんのWeb担当をヘッドハンティングするのが一番早いのかもしれません、という話もしていました(笑)。もしかしたら、どこの情報サイトよりもげっちゅ屋さんの方が発売日情報の掲載が早かったかもしれません。長年、秋葉原に通ってた身としては、お店さんがなくなるのは寂しいんで、今残っているトレーダーさんとかソフマップさんに頑張っていただきたいな、というのは思いますね。
▲現在の美少女ゲームの主流である“萌えエロ系”のなかでも人気ブランド、まどそふと。今回参加してくれた長老氏はかつての秋葉原のソフマップで働いていたとのこと
マス大澤編集長:ありがとうございます。フロントイング様も、秋葉原に昔いらっしゃったということで、いかがでしょうか。
フロントウイング 山川:秋葉原については、もう大体話が出たと思いますが、やっぱり深夜販売とかあった頃が一番懐かしいですね。いろいろ並んでる人にコーヒー配ったりとか、昔の事が本当に懐かしい。先ほども話してましたけど、秋葉原でどうやって面を取るかっていう、いろいろ工夫をしましたね。店舗の面をどうやったら取れるのかっていうのを、広報の宣伝的なものっていうのはすごい考えたりして、その後はまとめサイトにどう取り上げられるのかみたいな。研究とかもたくさんして、うちがやったのはグリザイアの発売の日にウサギの着ぐるみを5体借りてそれを街中に放つみたいなのをやりましたね。マスターアップしましたよということで。
▲2000年のデビューから次々と話題作をリリースしたフロントウイング。とても美しくキュートなグラフィックなのにがっつりエロいところも人気の秘訣!?
ユーザーと直接触れ合う
「イベントの思い出」
マス大澤編集長:それでは、次に、イベントの思い出ということで、コミケ、電気外祭り、ドリームパーティー、あとはそれぞれライブのイベントとかでユーザーと直接触れ合うような、そういうイベントもこの30年でいろいろあったと思うんですけれどもその辺について、思い出なり、こんなエピソードがあったなりをちょっとお聞かせ、願えればなと思います。ケロQ/枕様はいかがでしょうか?
ケロQ/枕 SCA-自:多分消費動向について、Steamみたいなもので、電子的に情報で手に入れたいという方向と、それと体験型っていう2つに分かれていて、自分はパッケージそのものも体験型に属するような消費行動じゃないかなっていう感じがしています。というのはライブをやったんですけど、それ以前のライブは赤字ギリギリで運営したんですけど、今回はもうちゃんとがっちり利益が出るようにやったんですね。一番の最高の席を40万円で販売したのですが、倍率が80倍だったんですよ。40万円のチケットがそんな出るわけないと思ってました。これってやっぱりお金のかけ方に結構メリハリがすごい強く出てるんですよね。今の若いユーザーさんに売って行くならば、なんとなく売っていくみたいな感じ、いいものをなんとなく売っていくっていう中間的な買ってもいいし、買わなくてもいいっていう商売スタイルだと厳しいかと思います。美少女ゲームっていうジャンルをあえて選ぶっていう選択をしてもらうわけじゃないですか。だから限られたパイなり、限られてなくて増えていくパイ、どちらにしても自分はユーザーにゲームっていう形の体験と、それに関わる周りの体験っていうのをどう構築していくかっていう事で、クラウドファンディングはもちろんそうなんですけど、ライブとかも含めてあと、イベントとかも含めてで、業界全体としてどうやってユーザーに体験価値っていうのを提供できるような形にするのか。エロゲー業界ってちっちゃいんで、メーカー自体がその辺がやっぱりちょっとでかいメーカーさんとは違うとこで、距離感がやっぱり近いんです。未だにそのやり方を多く採用してる他の業種はありません。SNSとかも含めてスピード感っていうのは重要になってくるっていう感じはします。
▲すかぢ氏による、文学的で独特の死生観を持つ物語が、ケロQ/枕の特徴。その唯一無二のプレイ体験から、いまもファンが多い
マス大澤編集長:ありがとうございます。ランプオブシュガー様はいかがでしょうか?
ランプオブシュガー かわうそP:そうですね。基本的に皆さんがおっしゃられたような感じではあるんですけれど、一応イベントという意味で言うとキャラバンがあります。最近はやってないんですけれど、キャラバンというのを日本全国でやってまして、ユーザーさんとのコミュニケーションと距離を縮めるというのは、うちも積極的にやっていたことだったんですね。ちょっとコロナ禍になってからそういうところが一切できてないところではあったんですけど、やっぱりその重要性というのはすごい高いなと思いまして、ちょっとまた再開したいなとは思ってるんですけど、全国行って、来てくれただけでもすごく喜んでいただいたユーザーさんがすごい多かったので、やっぱり距離を縮めるというのはすごい大事なことだな、と聞いていて思いましたね。
▲萌木原ふみたけ氏の描く可愛いケモ耳ヒロインたちの魅力を前面に押し出すブランド、ランプオブシュガー。“可愛い女の子との日常”を楽しむ作品に癒されよう
マス大澤編集長:ありがとうございます。イベントの話題ですと、やっぱり最後に、先日、秋葉原で開催されてすごい話題になったアリスソフト様にぜひお聞きしたいです。白木社長様、イベントについて、この前のイベントではなくても、全体的でも構いませんので、お願い致します。
アリスソフト 白木:先日の35周年イベントは、当日の運営自体は社内スタッフも参加しつつ外部の会社さんの力をお借りする形になっていたんですけど、準備は社内で時間を掛けて開催まで漕ぎつけました。このような形のイベントはしょっちゅう出来るものではないな、とは思うんですけど、アリスソフト初期のものも含めて過去の開発資料を全部ひっくり返して整理し、大規模な展示を行うことが出来ました。もちろんイベントはユーザーさんの為にっていうのがまず最初に来るんですけど、自分達の過去を振り返るという意味でも非常に良いイベントだったなと感じています。
▲長い時間をかけて語られた「ソフ倫設立30周年記念座談会」の内容は、【前編】【後編】にわけてMoepediaで全て無料公開されているぞ
まだまだ気になる話題が満載!! 全編はMoepediaでチェック!!
ここに紹介したのはBugBug3月号に掲載されたダイジェストのほんの一部。座談会の内容はまだまだ山盛りだ。美少女ゲームの過去そしてこれからの未来に向けて様々な興味深いテーマで語っていた座談会の全文は、Moepediaの「業界ブログ」コーナーにて全編無料公開中。業界のディープなネタにも詳しくもなって、ちょっとドヤ顔できるかも!? ぜひチェックしてみよう。
▲Moepediaの『業界ブログ』に進めば、「ソフ倫30周年記念座談会【前編】」「ソフ倫30周年記念座談会【後編】」を見つけることが出来るはずだ
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