※本記事はBugBug2024年3月号に掲載したレビュー記事の再掲載です。
STORY
主人公・鷲崎慧は、夏を待つことなく、人生を終わらせようとしていた。三年前に始まった妹・鷲崎陽香との冷戦は、着実にその心を追い詰めていた。愚かな兄は探し続ける。二人で幸せになれる『答え』を。疲れ切った彼の前に、妹と瓜二つの少女・満月が現れる。
ただのエロゲではない!! 近親愛の純文学エロゲだ
Waffleの『初めての彼女』を手掛けた間崎俊介氏×サブロー氏のコンビが、「やるせなさ」をテーマに禁断の兄弟愛を描いた本作。
NTRではありません。「近親愛」というタブーの負の面を徹底的に描いた、濃厚インモラルなダークAVGです。「どんな結末も受け入れる」「脳が焼き切れるような読後感を感じたい」という読書マニアの皆様に、ぜひオススメしたい!!
本作は、お互いに想い合っている兄妹、そして妹そっくりの女性の三人が主軸の物語。三年前に思いを告げようとした妹の陽香を牽制して以来、冷戦状態となってしまった主人公・慧と妹の陽香。主人公が牽制したのは、自分たちの想いが許されないものであると気付いており、無理を通せば妹の笑顔が永遠に失われてしまうとわかっているから。だから正しく幸せになれる「答え」を探し、答えを求めて学問に打ち込んだり、常識人のフリをし続けてました。
でも妹はそう思っていない。今の想いが成就するなら破滅の未来も喜んで迎える勢い。このすれ違いが二人を苦しめているわけです。
▲自らを慰める陽香。抑えきれない兄への想いは、恋心だけでなく肉体への想いも…
都合のいい答えも見つからず、冷戦の日々に疲れた主人公の心は限界寸前に。人生を終わらせようと思い詰めていたある日、親友に連れられて行ったキャバクラで妹と瓜二つの女性・満月と知り合い物語が動き始めるのです。
導入部の説明をするのに主人公の感情描写が必要になるほど、本作の人物描写は濃く、重い。どれだけ主人公が妹を愛し、絶望と苦悩の嵐を抑え込んでいるのかを文章で浴びせかけられる。本作を既存に当てはめるなら、泣きゲー、ストーリーゲー、鬱ゲー、などに分類できるでしょう。しかし主人公たちの苦悩や思考を、これほど自分ごとのように焼き付けられる文章は、まるで純文学のようです。私は本作を純文学エロゲと呼びたい。
▲物理的な距離からも伝わる陽香との冷戦状態。文章だけでなく視覚に訴える描写も多い
感情剥き出しのエロシーンは恋と愛と性欲が入り交じる
物語は選択肢がない一本道構成。エンドを迎えると別の視点ルートが解放され、主人公視点、妹、満月と、三人の視点ルートへ移行していきます。エッチ傾向は挿入プレイがメイン。主人公と妹のルートでは、積年の愛情と怨念を吐き出すような濃厚セックスが多め。満月のルートは一転してイチャラブや3Pが多く、最も心安らかにシコれます。主人公は絶倫で連続射精が基本のため、ヒロインが段々と涎ダラダラのアクメ顔を晒し白濁まみれになる姿は大変ドスケベでした。
まず第一のルートは、最も主人公の苦悩が表現される主人公視点の「慧 主観ルート」。妹そっくりのキャバ嬢・満月とセフレのような関係性になるため、エロシーンも豊富です。
特に激しさを感じたのは、「妹との練習」として満月合意の元で妹との本番ごっこをしたエッチ。満月に優しくリードしてもらって童貞喪失した直後、妹と同じ髪型になり、満月に「お兄ちゃん」と囁かれ主人公はスイッチON。妹を愛してから溜め込み続けた鬱憤を、全て吐き出すように妹と同じ顔の満月に腰を振り続ける。しかし心の片隅で、満月は妹ではないとも理解しており、「だったら、何をしても構わないじゃないか」とサディスティックな気質が顔を出し、ぶっ倒れるまで満月を犯し続ける。この主人公の感情に同調してしまったら、頭の奥がチリチリしてカウパーだだ漏れ間違いなしですよ。
基本的に主人公は精神が安定していないため、エロシーンは満月に慰められるような優しいセックスから、主人公のSっ気が顔を出した呼吸を抑え込むプレイなど、幅広いプレイが行われます。ちなみにルートの結末としては尻切れな印象で終わりを迎えますが、続きは陽香ルートで語られますのでご安心を。
▲髪型まで揃えて妹と見分けの付かなくなった満月の囁きに、主人公の理性は全て消し飛ぶ
第二のルートは妹の「陽香 主観ルート」。主人公ルートの裏側解説と続きが描かれるルートです。
要所のみ描写するのかと思っていたけど、もう全文章が違うレベル。親子でご飯食べるような何気ない日常風景まで陽香視点で描写されるため、陽香が普段からどんな事を思っているのかを知れて面白かったですね。エロイベントは少ないですが、兄を想っていたす可愛らしい陽香の姿を拝めて胸キュンしました。
最後は「満月同棲ルート」。今までのルートを別角度で見るのではなく、別の結末へと分岐するお話です。
満月を知るチンピラクズ男の出現をきっかけに、主人公たちの同棲が始まります。主人公たちを守るために満月がチンピラクズ男に肉体を差し出すため、クズ男との愛のない行為もいくつか存在します。しかしそれ以外は穏やかな日常とイチャエロが楽しめるルートです。登場人物たちの心のすれ違いが多かった今までのルートと違い、三人が納得ずくで行動しているためエッチの数が多いのはもちろん、3Pも多いです。寝室や風呂場でも3Pしたり、更には男の憧れWパイズリやWフェラはもちろん、体に蜂蜜を塗りたくったプレイなど、言葉通りに甘いプレイまでお楽しみいただけます。途中まではね…。
▲原画のサブロー氏による迫力のある独特の構図と肉体描写もあり、HCGは全てドエロい♥
純文学のように登場人物を追体験させられる文章、そして「やるせなさ」がテーマ。これだけでおわかりでしょう。本作のどのルートにも、万民が認めるハッピーエンドはありません。しかしだからこそ、どういう幸せがありえたのか、自分ならこうしたのに、などと「答え」を本気で考えさせられてしまう作品です。
「近親相姦」モノではなく、「近親愛」をテーマに描いた本作。わざわざ文字の有るエロゲを好まれるマニアな皆様にこそ、ぜひご堪能いただきたい作品です。
▲処女で敏感な陽香をほぐすように快楽の道筋を教える満月。しっかりほぐした後は…
▲同じ顔をした人間たちを眺めながらの3Pは双子プレイに通じる背徳感もあって、より一層興奮するね!!
▲三人で布団に入る幸せな時間。いつまでも続いて欲しいと心から願う…
【ライターのイチオシ】チャラ男な親友・大地が熱い!!
見たいものだけを、気付きたいことだけに目を向ける人物が多い本作の中で、現実と人間を見ている数少ない人物、それが主人公の親友・大地。主人公の疲弊に気付けば食事や遊びに誘い、また他人に頭を下げてでも主人公を助けようとする。
外見の割に熱い男の彼の姿に「こんな友達が欲しかった」と誰もが思うことでしょう!!
▲ラーメンを食べながら主人公と雑談する親友の大地。彼の存在なくして本作は語れない
ライター:だんちょー
アヘ顔・パイパン・大人キャラは心の三原則。本作の読後感に引っ張られ、ついつい何度もレビューではなく長文感想を書いてしまい、泣く泣くセルフ修正を繰り返しました…。
妹と彼女 それぞれの選択 PV
妹と彼女 それぞれの選択
Waffle
2023年12月22日発売
AVG、DVD/DL、18禁、Win10
パッケージ版:10,780円(税込)、DL版(DLカード版含む):10,450円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:サブロー
シナリオ:間崎俊介
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