【本誌復活レビュー】BaseSon『真・恋姫†英雄譚外伝 -白月の灯火-』をヤリ込みレビュー!!　董卓とのifストーリーを描いた『真・恋姫†英雄譚』の外伝

※本記事はBugBug2024年3月号に掲載したレビュー記事の再掲載です。

外伝だけに今までとは異なる新しい英雄譚!!

BaseSonの人気シリーズ『真・恋姫†英雄譚』は、主に三国の戦いが終わり平和になった後の各陣営の様子を描いた内容でした。しかし今回は外伝ということで、主人公・一刀が三国志の世界にタイムスリップした後、董卓と共に行動していたらどうなっていたか…というifのストーリーになっています。
今までの『英雄譚』とは毛色が違うというか、最初の頃の『恋姫』を思い出しますね。これは面白そう!!　ということでレビューしていきたいと思います。

物語は一刀が漢の時代の洛陽に落ちてくるところから始まります。しばらくは王城で生活し霊帝や漢の将軍たちと交流をするのですが…霊帝に心酔している側近・趙忠から反感を買ってしまい、罠に嵌められ秘密裏に僻地へ追いやられてしまった!?　何だか流行りの「追放もの」っぽい展開ですね。そこを今回のメインキャラである董卓に助けられるってワケです。

さて、ここで董卓という人物について軽く説明しておきましょう。元の「三国志」では霊帝の死後の政治的混乱に乗じて政権を掌握し、暴虐の限りを尽くした悪人と描かれております。一方、本シリーズでは圧政に苦しむ民の生活を見て心を痛める優しい性格…見事に真逆ですね!!　見た目も薄幸の美少女って感じで、とても非道な行いをするようには見えません。それなのにどうして悪評が立ったのか、どうして革命に踏み切ったのか。一刀は彼女と一緒に行動することで、歴史に隠された真実を目にするのでありました。

▲王城から追放された一刀を救った董卓。この出会いにより運命は大きく動き始める!!

そうそう、今回は主人公である一刀の活躍にも注目ですよ。元は普通の学生ですが、この時代からすれば未来から来た存在。つまり「誰に何が起きるか」を知っている知識チート系です。しかしながら今までのシリーズだと歴史改変を気にして、その強みを十分に活用できず乙女武将たちの影に埋もれがちでした。

ところが本作では、例え自分のせいで歴史が変わってもその方が良い結果になるのなら…と悩みながらも決意を固める様子が実に主人公していて良いのですよ!!　かといって変に出しゃばらず、自分にできることを考え行動する…そうした積み重ねで、やがて周囲から頼りにされる人物になる。そんな成り上がりストーリーとなっており、見ていて非常に楽しめました。いやぁ良いですね、これぞ『恋姫』って感じですよ!!　そういう意味でも初心に返った作品という印象を受けました。

あと真名を呼んで怒られたりするやり取りなんかも懐かしかったですね、ついでに脳筋な武人である華雄の意外すぎる真名も発覚。全体的にシリアスな空気だったのに笑ってしまいましたよ。華雄は今作の癒やし担当と言えるかもしれません（笑）。

▲訓練の後、男の部下たちと共に汗を拭く華雄。彼女の辞書に「恥じらい」の文字はないみたい？

董卓や呂布はもちろんだが他キャラも大活躍で面白い

さてヒロインについてですが、やはりメインは董卓なのでまずは彼女について語るとしましょう。
現状を良しと思ってはいないものの、気弱な性格ゆえ思い切った行動に移せなかった董卓。しかし一刀から今の王城の様子と、これから辿るであろう漢帝国の末路を聞いて立ち上がる決意を固めます。役人たちの汚職を正し、民が安心して暮らせる世にする。そんな理想を実現するため場合によっては粛清を実行し、強引なやり方に悪逆非道となじられることをも受け入れる姿には心が打たれました。
とは言っても元来は優しい性格なので精神的に疲弊し、誰かに甘えたくなる時もある…そんな時こそ一刀の出番です。優しくセッ…いや愛で癒してあげましょう♪

▲世を正すという董卓の理想のため力を貸す約束をする呂布

もちろん董卓を支えるのは一刀だけではなく、仲間たちの存在も大きいです。特に関りが深いのが有名な猛将・呂布で、元々は董卓が任されていた涼州を拠点にする賊ですが、民のため戦う義と突出した武勇の持ち主。そこで一刀たちは戦うのではなく話し合いで解決しようとします。最初は董卓を信用していなかった呂布。色々あって信を得て仲間入りするのですが…この仲間に加わるシーンが感動的で、董卓と呂布が見つめ合い手を取るイベントCGが非常に尊いのですよ!!

他のキャラも見せ場は多く、意外にも活躍したのが肉屋こと何進。今まではネタ担当な傾向にあった気もしますが、今回は漢の大将軍として立派な働きを見せてくれました。また、後に三国で争う陣営にも出番があったのは嬉しいですね。漢の衰退を招く原因となった黄巾党との決戦で魏の曹操・呉の孫堅・蜀の劉備らが合流し、各陣営の英雄たちが肩を並べて戦う様子はワクワクしました。一刀と董卓の頑張りで漢の未来は変わったのか、それとも歴史の通りになってしまうのか…そこは是非とも自身の目で確かめていただきたい!!

▲訓練の後、男の部下たちと共に汗を拭く華雄。彼女の辞書に「恥じらい」の文字はないみたい？

董卓と共に歩むifのストーリーが楽しめる本作は、ファンの人には絶対にプレイして欲しい素晴らしい内容でした。また、今までの『恋姫』をリセットした新しい物語と言えるので、シリーズ未経験の人でも楽しめるかと思います。なので「作品数が多すぎて何からプレイすれば良いかわからない」なんて人にもオススメですよ!!　ただ、欲を言うとフルプライスで出してもらいたかったですね。ミドルプライス作品ゆえ短めなのが惜しすぎる…いや話としてはキッチリまとまっていますし、この先は三国の戦いに繋がるので続けるのは難しいとわかっていますが。それでも、もっと一刀の活躍や漢の仲間たちの日常なんかを見たいと思ってしまうほど素晴らしい作品でした。

▲漢帝国の皇帝である霊帝と後継者作り♥　霊帝大好きな趙忠にバレたら…今度は追放じゃ済まなさそう

▲戦いに関しては無双だが恋愛は良く分からない呂布に実践で愛を教えちゃおう♪

▲董卓が信頼する副官・賈駆。親友でもある二人だが…まさかの百合セックス!?

【ライターのイチオシ】クリア後の追加ストーリーも必見!!

本編である『白月の灯火』をクリアすると、サブストーリーが２本とアフターストーリーが3本追加されます。
こちらはシリアスだった本編と異なり、FDらしいギャグやイチャラブが楽しめる内容。
個人的に気に入っている華雄をメインにしたシナリオもあり、非常に面白いのでお見逃しなく♪

▲女らしさというものを学ぶため何進に料理を教わる華雄…。何このスポ根なノリ!?

『真・恋姫†英雄譚外伝 白月の灯火』オープニングムービー

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