エウシュリー25周年記念となる超大作迷宮攻略RPGとはどんな作品なのか!?
大艦巨砲主義を掲げ、「遊べるエロゲー」を作り続けてきたエウシュリーが25周年記念作品として開発中の『百千の定にかわたれし剋(ひゃくせんのじょうにかわたれしとき)』。
その魅力を知るべく、BugBug8月号ではカラー6ページを使って精鋭クリエイター陣に直撃インタビューを敢行。その一部をお見せしよう!!
▲エウシュリー作品のグラフィックは女の子以外にも荘厳な背景やモンスターも多いため、多数の原画スタッフが役割分担して制作している
▲スタッフたちとしては毎日黙々と作業を続けていたので25周年を特別な節目とは思っていなかったようだが、いつもより企画の規模が大きいことは感じていたとのこと
25年目ならではの大作への取り組みは
エウシュリー屈指の人気作の前日譚に
──本作の企画はどのように生まれたのでしょう?
花咲:弊社のゲーム作りは、まずジャンルから決めていくんです。最近はSLGが続いていることもあって、今回はRPGで行こうとなった時に「25周年ということで大型企画にしたい」「過去作品と関連するものにしたい」ということで、名前が挙がったのが『神採りアルケミーマイスター』でした。そこから『神採りアルケミーマイスター』の前日譚を作ろうということで、『百千の定にかわたれし剋』の企画が動き出したんです。
──最初はジャンルからなんですね。
花咲:ゲームの魅力をどう作るかを考える時、最初のとっかかりがジャンルなんです。ジャンルを決めて、ではどういう面白いゲームにするかを考えることができるんですよ。
うろ:ユーザーからも、「そろそろ『封緘のグラセスタ』みたいなRPGを遊びたい」という声は確かにありましたしね。
──物語としては『神採りアルケミーマイスター』の前日譚とのことですが。
花咲:『神採りアルケミーマイスター』の舞台となるミケルティ王国連合──その前身であるミケルティ王国がどのようにして連合となったのか、を軸に物語を膨らませていきました。
▲1999年のデビュー以来、遊び応えのある大作を作り続けてきたエウシュリー。久々のRPGということで『百千の定にかわたれし剋』にも期待は高まる
新たにエウシュリーを知った方にも
楽しんでもらえる企画だと思いました
──エウシュリー作品と言えば大きな世界の中の各地域を使ってゲームを制作されてきました。そこから考えても新たな試みですね。
花咲:しかもこれまでは時間軸で言っても100年くらい離れていたんです。でも今回は純粋に『神採りアルケミーマイスター』に繋がる過去で、時間軸にしても10~20年くらいしか違わない。確かに新しい試みに挑戦しています。
──そんな『百千の定にかわたれし剋』の企画を、どのように感じられましたか?
よしだ:『神採りアルケミーマイスター』は2011年の発売以降人気が高い作品で、さらに今年4月には廉価版も発売されました。なので『百千の定にかわたれし剋』は以前からのファンだけでなく、新たにエウシュリーを知った方にも楽しんでもらえる企画だと思いました。
やくり:『神採りアルケミーマイスター』でも名前だけは出ていたキャラが今回登場したりもするので、そういうところを楽しみながら絵を描いていましたね。それと『百千の定にかわたれし剋』のシナリオを読むことで改めて知った『神採りアルケミーマイスター』の設定もあって、なんか新鮮でした(笑)。
──うろさんはいかがでしたか?
うろ:『神採りアルケミーマイスター』はユーザーとしてプレイしたので、その目線からシナリオや設定を見てしまいました。それを「自分が作るのかあ」って不思議な気持ちになりましたね。
▲インタビューで何度も名前が挙がった『神採りアルケミーマイスター』。『百千の定にかわたれし剋』はこの作品の前日譚として物語が繋がっている
ディレクターの短い指示からイメージ
やり取りを重ねて固まるキャラデザイン
──ここからは各キャラについて、キャラデザなどをお話していただきたいと思いますが、公式HPに公開されている順番でいきましょうか。
やくり:それじゃマルクから行きますね。マルクは「町で育った青年で料師という仕事をしている」という設定でした。都市育ちじゃないので華美な装飾品は付けないのと、料師が素材集めをする仕事なので森の知識を持っている人というイメージでキャラデザインしました。ソフィアは、織物が名産の町出身なので、布を沢山使った衣装にしてやろうと(笑)。あとは染物で植物にも通じているイメージで、花のアクセサリーをつけました。
──布が多い衣装だとイベントCGが大変そうですね。
やくり:もう、沢山の布で巻き巻きにしてやりました(笑)。そしてルイリ。彼は「マルクの相棒」って設定だけが来たんです(笑)。アバウトだったので没ラフが結構出ちゃったんですが、「他国から移り住んだ」という設定があったので、過去作でも他国から移ってきたキャラと同じ様な衣装にしました。ちょっと和の雰囲気なんです。
──続いてロランですが、こちらはよしださんが担当されているんですね。
よしだ:はい。ロランは「その立ち位置からコンプレックスを抱えている」と最初に指定されたので、少年キャラを描いたんです。イケメンはやくりさんが描かれていたので。すると「そういう感じじゃないんだよね」と吟遊詩人という追加指定がきたので、派手な装飾のイケメンにしたら、イベントCGを描くのが大変なキャラデザインになってしまって(笑)。とにかくイケメン度を上げようと頭身も調整して、マルクやルイリと並んで立っても見劣りしないキャラにしました。
▲細かい指示がない状態からのスタートだったとのことで、キャラクター造形の苦労が偲ばれる
一度キャラを描いてもらって
すり合わせてバランスをとっています
──そしてアルヴィナですが、こちらはうろさんがご担当ですね。
うろ:アルヴィナは「魔剣士」というワードだけもらって描いたんですが、最初は悪魔っぽいどす黒い女剣士を出したんです。そしたら「魔剣士って魔法を使える剣士ってことだよ」と言われて描き直したんです。それで茶髪の女の子を出したら、「もっと露出多めで、鎧もカッコよく。年齢も高めに」って言われて(笑)、キリッとした表情にしたんですが、そこでようやく性格の設定などが届いて、それに合わせて調整したのが今のキャラデザですね。
──最初の指示が少なくて、後に追加されていくのは大変ですね(笑)。
うろ:でも、大体そんな感じですよ。
やくり:今作は特に最初の指定が少なかったよね。
花咲:まだ企画初期の段階での指定なので、決まっていない設定も多いんです。それで一度キャラを描いてもらって、それぞれすり合わせてキャラ同士のバランスをとるので、ラフをいただいてからの修正が多くなってくるんです。
うろ:決める方も絵がないと決められないですからね。こちらも「そういうこともあるだろうな」って感じでやっているので不満はないです(笑)。
▲様々なアイデアのすり合わせを経て生まれた、魅力的なキャラクターたち
エッチシーンがなくてもドラマ
が成立する作品作りが前提に
──魅力的なキャラばかりですが、女性キャラに全員エッチシーンがあるのでしょうか?
花咲:仲間になる女性キャラには全員エッチシーンがあります。それ以外ですと、街でのイベントを進めていく中での出会いで…って感じですね。その辺りはプレイしていただければと思います。
──エッチシーンは『百千の定にかわたれし剋』ではアペンドデータとして別売されますね。
花咲:エウシュリー作品はゲーム性がメインで、18禁シーンに関してはユーザーさんも「これ、エロゲーだった」って思い出すくらいの位置づけなんです。最初のエッチシーンまで20時間くらいかかったりして(笑)。それで2作品くらい前から「シーンを飛ばす」というモードを実装したんですが、ユーザーから良い反響をいただきまして、だったらエッチシーンのない状態で販売してみたらどうだろう? という形でのチャレンジでもあります。エッチシーンがない分、値段も安く設定してあります。パッケージ版では同梱版としての販売になりますね。
──エッチシーンがアペンドになることで、作品の制作アプローチに変化はありましたか?
花咲:これまではエッチシーンを前提に物語を組んでいたのですが、『百千の定にかわたれし剋』では当初から「エッチシーンがなくてもドラマが成立する作品作り」が前提になりました。完成したゲームからエッチシーンを抜くのではないので、物語の流れが崩れたりすることはありませんから、そこはご安心ください。
▲なまじゲームとして面白すぎるゆえに、Hシーンがないほうが集中できていいというユーザーもいた模様
エッチシーンはアペンドデータで用意も
それぞれ見応え十分なので読者は安心を
──原画家的にはいかがですか? せっかく描いたエッチCGが収録されていないバージョンもあるわけですよね。
やくり:最初から聞いていたので「分かりました」って感じでした。むしろエッチシーン以外のイベントCGが想定以上にエッチにならないように気をつけるのが大変でした。18禁ならサービスでパンチラさせたりもするんですが、今回はやめておいたほうがいいな、とか。
うろ:エッチシーン以外のCGで気をつけなければいけないって気持ちが強かった。なのでエッチシーンは「やっと描ける」って感じでした(笑)。
よしだ:そもそもエウシュリー作品はエッチシーン以外のCGの方が多いので。しかも『百千の定にかわたれし剋』では特にストーリー的なCGの比率が高かったので、そこは十分楽しんでもらえると思います。自分としてもエッチシーンを描けるのはご褒美的な感じでした(笑)。
──とはいえBugBugなので(笑)、エッチシーンの見どころなどを教えていただきたいんです。
やくり:見どころだと、ソフィアはあんなに大人しそうな感じなのに最後のエッチシーンはなかなか激しくて。そのギャップは楽しめるんじゃないかなって思います。
うろ:エルネスのエッチシーンはかなりイチャイチャなんです。その一方でアルヴィナは女性上位で、その振れ幅が描いていて楽しかったですね。エルネスだからもっとイチャイチャさせないと、みたいな感じで。そこが見どころだと思います。
よしだ:自分がエッチシーンを描いたのはヴェラなんですが、アマゾネスだからこそ他のキャラとは同じシチュエーションでも描き方が違ってくるんですよね。しかもアマゾネスというイメージから考えるエッチシーンとは違っているので、そのギャップを楽しんでほしいですね。
▲ストーリーに関わるイベントCGがメインの作品だけに、Hシーンの「特別なご褒美」感はむしろ増した!?
二つの作品を遊べば楽しさは二乗以上に
「百千」が先か「神採り」が先か悩ましい!?
──そんな25周年を記念する『百千の定にかわたれし剋』。改めてセールスポイントをお聞かせください。
やくり:全く知らない方でも楽しめる作品ですが、『神採りアルケミーマイスター』をプレイした方は知っている地名や人名が登場するのもあって、懐かしくプレイできると思います。廉価版も発売されたので、『百千の定にかわたれし剋』発売前に『神採りアルケミーマイスター』をプレイしていただけるといいのではないでしょうか。
うろ:久々のRPGなので、それを楽しみにしている方も多いと思います。内容がドロドロしているのでそこも楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。
よしだ:今回は全年齢版もあって、RPGでもあることからとっつきやすいゲームだと思います。もちろんエウシュリーファンに楽しんでもらえる作品になっていますが、エウシュリー入門編としてもピッタリなゲームじゃないでしょうか。そしてエウシュリー作品をさかのぼってもらえればと思います。
花咲:本作は『神採りアルケミーマイスター』の前日譚ということで、『神採りアルケミーマイスター』のネタも沢山仕込んでいます。しかも本作では解決しない出来事もありまして、それが解決されるのが『神採りアルケミーマイスター』だったりもするんです。『百千の定にかわたれし剋』を遊んでモヤモヤした部分は『神採りアルケミーマイスター』で解決されますので、続きものとして遊んでもらえると嬉しいですね。もちろんエウシュリー作品の入り口として遊んでいただくにもピッタリなゲームになっています。
▲ドロドロの重いストーリーと遊び甲斐のあるゲーム性。エウシュリー作品らしさがたっぷり詰まっているので入門作としてもおすすめだ
「遊べるエロゲー」は変わらず
作っていきたいですね
──さて、25周年を越えてまだまだ頑張ってほしいエウシュリーさんですが、今後はどのようにお考えでしょうか?
花咲:企画としては大艦巨砲主義的な作品作りはもちろんですが、時代に合わせたコンパクトなゲームも作ってみたいとはスタッフでも話しています。エウシュリー作品はこれまでは年単位で制作していましたが、そうじゃない作り方を考えてもいい時期かもしれませんよね。
やくり:やっぱりゲーム性があるゲームが好きなので、そういう作品を作りたいというのはもちろんですが、学園ラブコメとかもね。剣とか鎧ではなくて、たまには普通の制服とかを描いてみたいです(笑)。
うろ:「遊べるエロゲー」は変わらず作っていきたいですね。もちろんファンタジーものを描いていきたいんですが、現代ものも描ける機会があるといいかもしれないですね。
▲作品のボリュームや世界設定に関わらず「遊べるエロゲー」という軸足はぶれることがないエウシュリー。本作も遊び応えがたっぷりだ
ゲームも濃いけどインタビューも濃い!! 6ページに詰め込まれた情熱を本誌でチェック!!
実は今回のインタビューでは原画スタッフが多かったためか登場キャラたちのデザインやキャラへの愛情トークが凄い密度となっていたのだが、それを全部掲載するとボリュームがとんでもなくなるため、BugBug.NEWSの紹介記事では割愛させていただいた。
ほかにもワクワクするOPムービーのお話など興味深い話題が6ページにびっしり!! ぜひこの圧倒的な濃密さを本誌で体感して欲しい!!
▲やり込みゲーが好きな諸兄には久しぶりの超大作!! エウシュリーのサイトでは早くもマスターアップ報告が出ているのであとは8月30日の発売日を楽しみに待とう
百千の定にかわたれし剋
エウシュリー
2024年8月30日発売予定
RPG、DVD/DL、18禁/E15、Win10/11
R18アペンド同梱セット(パッケージ版/DL版):10,780円(税込)
[E15]DL版:8,580円(税込)、R18アペンド:3,300円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:やくり、うろ、よしだたくま、夜ノみつき
シナリオ:花咲樹木、横比良こゆき
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