BugBug2月号ではWhirlpool最新作をロングインタビューで徹底解剖!!
2月22日発売予定の、人気ブランド・Whirlpool最新作『はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-』。同ブランドとしては『pieces/揺り籠のカナリア』、『アンレス・テルミナリア』に続くフルプライス作品となるが、過去2作品とは異なる構成になるとのこと。BugBug2月号ではカラー6ページに渡って本作に関する様々なお話をプロデューサーのアラガー氏に話を伺った。ここではその一部をダイジェスト的にお見せしよう。
▲ベテランのプロデューサーにして歴戦のエロゲーマーでもあるアラガー氏に直撃インタビュー!!
『アンレス・テルミナリア』の課題から
各ヒロインにトゥルーエンドを用意
──『アンレス・テルミナリア』以来2年ぶりの完全新作フルプライス作品となる『はじめるセカイの理想論』ですが、ここ数作のフルプライス作品とは方向性が違うような印象を受けました。
アラガー:Whirlpoolのフルプライスは『pieces/揺り籠のカナリア』、『アンレス・テルミナリア』と続ける中で、「シナリオのカタルシス」を重視して制作してきました。では次の作品をどうするかと考えた時、「シナリオのカタルシスはそのままに全力投球しよう」となりました。ただ、その見せ方としてより入りやすさ―言うなればキャラゲー的なですね、それを意識して制作していこうというのをテーマに掲げました。『アンレス・テルミナリア』の反省点でもあるのですが、シナリオゲーを作ろうとする中で、ゲームの世界観がメインヒロイン一人に収束するような構成になっていたんです。いわゆる「トゥルーエンド」というものですね。
──はい、そうでした。
▲『アンレス・テルミナリア』の発売は約2年前。フルプライス作品を1本制作するには2年くらいかかるとのこと
全ヒロインをトゥルーと感じて
もらえるようなゲームにしよう、と
アラガー:もちろん全ヒロインのルートにテーマはあるのですが、「作品全体として見せたいものは一つ」という作り方だったんです。そこが刺さったというユーザーさんがいてくれたのも事実なんですが、ヒロインルートごとのボリュームの差のようなものが出てしまって、そこに不満を感じられるユーザーさんもいらっしゃったのは事実です。そのジレンマをどうするか? と考えた時に、今度は全ヒロインルートをトゥルールートと感じてもらえるようなゲームにしよう、ということになったんです。
──つまり『はじめるセカイの理想論』では、4人のヒロインそれぞれに『pieces』や『アンレス・テルミナリア』のトゥルールートのような読み応えのあるシナリオが用意されているわけですね。
アラガー:分かりやすく言えばそうなります。社内でも言っていたのですが「萌えゲーの皮をかぶったシナリオゲー」というのがキーワードです。
▲物語を読ませるAVGでありながら4人のヒロイン全員にトゥルーシナリオを用意するという、フルプライス作品ならではの大胆なチャレンジに挑んだ期待の大作だ
Whirlpool安定のクリエイターコンビ
その魅力を最大限に盛り込んだ最新作
──さて、そんな『はじめるセカイの理想論』ですが、シナリオを近江谷宥さん、原画を水鏡まみずさんが担当されています。Whirlpoolファンには安心のコンビの起用ですが、改めてこのお二人の魅力をどの様に捉えられていますか?
アラガー:難しいですねえ(笑)。水鏡まみずさんに関しては、やはり可愛いキャラクターを描いてくれるということに絶大な信頼を置いています。あとはやはりHシーンですね。そこへのこだわりに関しては、上がってきた絵を見てこちらが「いいね」って言うしかないってレベルなんですよ。ユーザーと同じ感覚で楽しみにしていて、情報公開の前から「早くユーザーにお披露目したいな」ってくらい信頼しています。
──近江谷宥さんはいかがでしょうか。
アラガー:近江谷宥さんとはずっと一緒にやっていて、そう言えるくらいお互い信頼関係があります。近江谷さんは、デビュー直後は「テンポがいい」「ギャグが勢いあって面白い」「キャラの個性が強い」という評価をされていましたよね。僕自身もそこを評価していたんですが、『pieces』以降、Whirlpoolのフルプライスがシナリオ重視に舵を切った中で、こちらが予想した以上に上手く書いてくれているんです。「こんな引き出しもあるんだ」って改めて感じましたね。
▲面白いシナリオで評価を得ていた近江谷宥さんだが、ドラマで読ませる作家としての腕前もかなりのもの
『はじめるセカイの理想論』を読んで
今が一番、脂がのっているなって思いました
──確かに以前はキャラ萌えに強いシナリオライターという印象がありましたよね。
アラガー:フリーランスなので実績のあるジャンルの仕事が集まってくるという事もあったと思うんですけどね。『pieces』をお願いした時は近江谷さんからも「こういうのはどうだろう」という提案も沢山いただいたし、けっこうケンカもバチバチしたりしました(笑)。なんだかんだあったけど、こちらの提案もしっかり受け入れていいシナリオを書いてくれましたよね。「アラガー、こういうのが好きなんでしょ」みたいな感じで、期待以上のものを上げてくれました。そして今回の『はじめるセカイの理想論』のシナリオを読んで、「今が一番、脂がのっているな」って思いました。
──そんな時期に作られるゲームだけに、期待は高まりますね。
アラガー:もちろんこれまでの作品も、その時々で「過去最高じゃないかな」って感じてきました。そうやってどんどん更新していくあたりに、本人がいかに努力しているかが現れていると思います。
▲様々な世界から転生してきた4人のヒロイン。Hシーンもヒロインごとに毛色の違うものになりそうだ
ヒロインごとのトゥルーエンドを可能にした
異世界転生モノというブランド初ジャンル
──そんな『はじめるセカイの理想論』のあらすじを教えてください。
アラガー:登場するヒロインと主人公は、別世界から舞台となる世界に招かれた転生者です。その際にこの世界の神様―ゲーム内では神ちゃんと呼んでいますが、「この世界を救ってほしい」そして「キミの理想をこの世界で叶えてほしい」と言われます。その世界でヒロインたちと主人公はどんな世界を築いていくのか…というお話ですね。
──ヒロインたちも転生者なんですね。
アラガー:そうです。しかも主人公も含めて、全員が別々の世界から召喚されてくるんです。
──つまり今作は異世界転生モノになりますよね。このジャンルを選んだのはなぜですか?
アラガー:実は近江谷さんは、結構前から異世界転生モノを作りたいと言っていたんですね。それで毎回企画会議をする時に最低1本は異世界転生モノが入っていたんです。「そんなにやりたいのか」という思いと、「今異世界転生をやってもな」という思いがせめぎ合っていたんですが、『はじめるセカイの理想論』ではヒロインごとにトゥルールートを作るというテーマに、近江谷さんが出して来た異世界転生の世界観がぴったりマッチしたんですね。それならば異世界転生で作っていこうとなったんです。
▲異世界転生とはいえ中世ファンタジー世界というわけではなく、様々な異なる世界から集まった転生者たちが集う学園が舞台となる
それぞれ別の世界から転生してきた
個性的な4人のヒロインに注目!!
──それでは各ヒロインについて説明をお願いしたいと思います。まずはヘルミリア=ヴァン=ノクスローゼです。
アラガー:彼女は魔王です。
──魔王ってすごいですね(笑)。
アラガー:今回転生してくる4人のヒロインを考える時、最初に「どんなジョブなのか」から入ったんです。そこで出てきたのが、魔王、侍、文学少女、聖女でした。で、ヘルミリアは魔王。この世界に転生してきて、勇者として主人公と行動を共にするはずなのですが、実際には自宅でゲームばかりしている引きこもり魔王です(笑)。
──「引きこもり魔王」というワードがまたパワフルですね(笑)。
アラガー:ぐーたら系ヒロインは『竜姫ぐーたらいふ』で実績がありますので、かなり可愛く仕上がっていますよ。
──キャラデザインのポイントを教えてください。
アラガー:魔王なので角です。角のタイプも『竜姫ぐーたらいふ』で色々やりましたが、今回は内巻きの悪魔っぽい角ですね。それとキャラのカラーリング。これは毎回大もめするんですが(笑)、彼女は髪のインナーカラーがポイントです。
▲魔王だけど、ぐーたら魔王…元の世界では恐れられてたのかな?
侍キャラということで和服風
髪の色をどうするかでも大もめしました
──やはり『竜姫ぐーたらいふ』ファンに楽しんでほしいキャラですね(笑)。続いては最上ヒナギクです。
アラガー:彼女は侍なんですが、脳筋系でわかりやすいキャラです。和服っぽい衣装を着ていますが、主人公の元世界とは別の、日本でいう江戸時代風の世界からやってきました。
──ヒナギクのキャラデザインのポイントを教えてください。
アラガー:やはりこの衣装ですね。本作では全キャラに神居学園の制服も用意されているんですが、侍キャラという事でメインビジュアルにも和服風の衣装で登場しています。それと髪の色をどうするかでも大もめしました。
──侍キャラなら黒髪が定番の印象がありますよね。
アラガー:設定重視ならそうなんですが、どの色にするのが一番可愛いかを優先したんです。それで色々な髪色を試してみた結果、黒髪に落ち着いたって感じです。
▲侍キャラだけど前向きで目立ちたがりという、かなりアクティブなキャラのようだ
図書館で本を読んでいる無口系
オタクの妄想を刺激してくれます
──3人目は綾月ハルカ。文学少女ってジョブとして考えると珍しいですよね。
アラガー:文学少女って、ビジュアル面の特徴を言っちゃえばただ本を持ってるだけになりますよね。これまでのWhirlpool作品だったら「ちょっと弱いかな」って避けてたのかもしれないんですが、ただ「文学少女」と聞くだけで、どんな性格なのか、今後はどのように物語が展開するのか、けっこう妄想が膨らむじゃないですか。図書館で一人、本を読んでいる無口系ヒロイン…僕たちオタクの妄想を刺激してくれますよね(笑)。そんな幻想が込められたキャラです。
──ハルカのキャラデザインのポイントは?
アラガー:今お話ししたことを含めて、「文学少女」です。全てのポイントがこの一言で解決できるキャラデザインですね。俯きがちで大人しそうで、黒タイツで、でもおっぱいは大きいぞ、と。The Whirlpool文学少女です。
▲記した内容がなんでも現実になるって…とんでもない能力!!
各キャラは「自分はどういう世界を
作りたいのか」を考えさせられるんです
──4人目がティア=フォーレンタイトですが、こちらは?
アラガー:エロシスターです。その一言に尽きますね。主人公に「性行為しましょ」ってがんがん言ってくる、脳みそ飛んでる風のキャラです。キャラデザインとしてはシスター服のスリットです。おへその上までいっているのが、はたから見ていてもけしからん感じですよね(笑)。あとは被っているベールもいい。そのシスター衣装に包まれた主張の激しいボディーラインも魅力的ですよねえ(笑)。
──改めてこうして見ると、4人それぞれ全く違う魅力を持ったキャラのようですね。
アラガー:4人を並べるだけだとバラバラな印象になっちゃうんです。なのでメインビジュアルのようにヒナギクとティアがジョブの衣装で、ヘルミリアとハルカは制服というバランスにしているんです。
──そんな4人のストーリーはどういったものになるのでしょう。
アラガー:神ちゃんが皆をこの世界に転生させた時に「自分の理想の世界を作ってほしい」と言うのですが、各キャラは事あるごとに「自分はどういう世界を作りたいのか」を考えさせられるんです。そんな中で自分と向き合いながら理想の世界を模索していく…というお話です。
──収録は順調に進まれていますか?
アラガー:そうですね、95%くらいは終わっています。
──今回「ハマったな」というキャラはいますか?
アラガー:秋野花さんはWhirlpool作品だとロリっぽいキャラをお願いすることが多かったんですが、今回は敢えてエロシスターをお願いしました。これがかなり新鮮で、いい感じになっているので、ぜひ楽しみにしてほしいです。
▲献身とは愛、愛とは性行為…!? 4人の中でもかなりアブない性格に見えるけど、彼女の望む理想の世界はどんな風になるのだろう
好きだからフルプライスを作るという矜持
それを支える若いWhirlpoolファンたち
──Whirlpoolさんはこれまでフルプライス作品と低価格作品を同時にリリースされています。この展開の狙いのようなものはあるのでしょうか。
アラガー:正直言えば、ないですね。ただ、エロゲー人として、フルプライス作品は作り続けたいと考えています。これは以前BugBugでHOOKSOFTさんと対談させていただいた時もそんな話になったと思うのですが、美少女ゲームが好きで、今も作り続けている我々の矜持みたいなところがあります。低価格ソフトに関しては色んなゲームを作りたいから、というところですね。やはりフルプライスを作るとなると2年くらいかかりますから。それと低価格ゆえに、色々なチャレンジができるというのもあります。『猫忍えくすはーとSPIN!』ではバトルでの出血があったり、けっこうハードな描写も盛り込んでいたので受け入れてもらえるか不安もありました。でも評価も良かったので、「こういうこともできるんだな」と実感できたんです。
▲早い、安いがもてはやされる昨今では作るメーカーも減ってきたフルプライス作品。だが、あるフルプライスのボリュームでのみ表現できる物語もある
エロゲー人としてフルプライスは
作り続けたいと考えています
──今、「フルプライスを作り続ける矜持」とありました。もう少しその部分をお話しいただけますか?
アラガー:ゲームだけじゃなくアニメや映画などに触れて、感動することってありますよね。涙が出てきたり、ものすごく面白かったり。その感動が原動力になって頑張れることって沢山あると思うんです。その原動力を生み出せるのであれば、我々はゲームを作り続けたいと思っているんです。
──とはいえ、今はエンタメもコスパだけじゃなくタイパの時代のようにも言われます。パッケージゲーム、特にフルプライス作品は、その流れに思いっ切り逆行していると考える向きもありますよね。
アラガー:そうですね。そういう事実はあると思います。ただこれはもう郷愁みたいなものかもしれませんが、不便さの中にこそロマンがあると思うんですよ。手軽じゃないから、そこで得られる栄養がある、みたいな。それでいいじゃないか、と。そういうものを求めたい人のために美少女ゲームがあるよ…ただそれだけでいいと思います。
──ただそれだけでいい…そうかもしれませんね。
▲アラガー氏のアツい想いがたっぷり詰まったインタビュー。言葉から伝わるその真剣さを、このインタビューで感じて欲しい
他にも作品の世界説明やサブキャラ、主題歌やOPムービーの話なども!! BugBug本誌と共に『はじめるセカイの理想論』をチェック★
本今回は4人のメインヒロインについてを多く引用したが、他にもこの作品の世界観や主人公、サブキャラ、音楽について等々…アラガー氏の熱気の篭ったコメントがカラー6ページにびっしりだ。ぜひ本誌でチェックして、そして2月22日発売の『はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-』をプレイしてみて欲しい。発売までもうすぐなので、予約特典が欲しい人は急ごう!!
▲サイン色紙のほか、各店舗ごとに異なる特典がある模様。公式サイトでチェックしよう
はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-
Whirlpool
2024年2月22日発売予定
AVG、DVD/DL、18禁、Win10/11
10,780円
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:水鏡まみず、みるくぱんだ(SD原画)
シナリオ:近江谷宥
関連記事
-
Whirlpool最新作は異世界転生モノ!? 他人の嘘を見抜く力で世界を救う『はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-』を公式サイトで速報チェック!!
心に傷を負った少年が異世界で「嘘を見抜く能力」を用いて理想の世界を目指すAVG 9月に『猫忍えくすはーとSPIN!』を発売したWhirlpoolから、早くも次の新作が発表となった。それが今回紹介する『 ...