BugBug2月号にて、山本和枝氏を始めとしたでぼの巣製作所の主要メンバーに直撃インタビュー!!　人気ソシャゲ『神楽大戦』や新シリーズなど2024年の展望は!?

次々と新作を出しつつこれまでにない展開への足掛かりを着実に固めるでぼの巣製作所にインタビュー!!
人気原画家・山本和枝氏を擁し、数々の名作を送り出してきたでぼの巣製作所。近年は『神楽黎明記』シリーズと『神楽大戦』で積極的に新作をリリースしてファンを楽しませている。BugBug2月号ではカラー6ページのロングインタビューで、そんなブランド主要メンバーに、2023年を振り返りつつ2024年の展望を伺ったぞ!!　ここではその一部を抜粋してお見せしよう。

▲TGL時代から長きにわたって美少女ゲームに関わってきたレジェンド級の方々にインタビュー!!

7年で27本を制作した『神楽黎明記』
そのノウハウ生かした新シリーズも発売

──まずはでぼの巣製作所の2023年を振り返っていただけますか？
山本：パッケージゲームとしては『神楽黎明記』シリーズを２カ月に1本くらいのペースで５本発売しましたけど、私の作業的には例年と特に変わらなかったですね。
──『神楽黎明記』は長く続いていますよね。
山本：『神楽黎明記』シリーズは、漫画雑誌のようにゲームを出したいと考えているんですよ。前の作品を忘れないうちに新作が出るってペースで７年作り続けてきたわけです。
まゆき：７年で27品ですね。
──でぼの巣製作所が14年目ですから、その歴史の半分で作り続けているシリーズなんですね。
山本：それで2024年1月に『神楽創世記 -久遠-』をリリースするんですが、これは元々海外のユーザーさんの要望を受けての企画だったんです。
まゆき：海外のユーザーさんから、日本と同時発売でゲームを楽しみたいという意見をいただいたんですよ。会社的にも発売後に勝手に翻訳された海賊版みたいなゲームが発売されてしまっていて、さすがにこの状況は良くないという話が山本からあって。
山本：うちが海外版を出したのは『神楽道中記』と『空を仰ぎて雲たかく』だけで、それ以外のゲームは「こっちで勝手に翻訳して遊んでいます」みたいな感じなので（笑）。ならば海外版も一緒に発売しようと考えて、海外ではケモ耳とかが人気らしいから、うちの巫女にケモ耳をつけてと考えて描いたのが久遠なんです。
まゆき：２年前でした。「こういうキャラでゲームを作りたい」と、いきなりキャラ絵を見せられたんです。すでにイラストもあって、山本の中にビジュアルイメージがあるなら制作しよう、ということになったんですね。
──それを『神楽黎明記』シリーズと並行して開発していたわけですか？
まゆき：そうです。なにせシナリオを翻訳するだけで半年かかって、その後に実装しなければいけませんから。

▲先に山本氏が海外展開を意識したキャラを作っていて、そこから企画が始まったと言う変わった経緯を持つ『神楽創世記 -久遠-』

ずっと考えていた国内外同時発売
キャラデザインも海外展開を意識

──ここからはお話にも出てきました、2024年の新作について伺っていきます。まずは1月発売の『神楽創世記 -久遠-』ですが、こちらはどういう企画になるのでしょう。
山本：さっきも少々お話ししましたが、台湾のFancy Frontierに参加した時、現地のユーザーさんに「日本語版と海外版が同時発売になるなら正規版を買いたい」と言われたのがきっかけです。実は『ファーランドストーリー』の頃、TGLに台湾支社があって今の30代、40代の台湾のオタクの中に私を知っている人が多いんです。その絡みがあって、台湾でも日本と同時発売をしたいと思っていました。美少女ゲームは日本の文化だと思うので海外に広めていきたいですしね。
──なるほど、そういう縁もあったんですね。
山本：それと日本国内の事情もあります。美少女ゲーム市場は頭打ちで、ショップも減っていっている。そういう状況で新規のフルプライス作品を作るのは難しいですよね。そこで『神楽創世記』は『神楽黎明記』よりも少し価格を上げて5500円に設定して、海外同時展開を見越して発売ペースももう少し開けて展開していこうと考えています。
──シリーズ展開は確定なんですね。
山本：すでに第２弾はシナリオの作業に入っていますし、原画の方も年内にスタートする予定です。ただ、来年のスケジュールはすでに固まっているので、本格的なシリーズ展開は2025年からかなあと思っています。

▲これまでの『神楽』シリーズより少し価格帯を上げてそのぶん一般のイベントCGなどを追加、物語性にも力を入れていく新シリーズだ

久々の主題歌に榊原ゆいさんを起用

──『神楽創世記 -久遠-』では主題歌が入りますね。榊原ゆいさんは『弓張月の導き雲はるか』でも歌われていますが、これは山本さんのセレクトですか？
山本：はい。大好きですから（笑）。ウェブラジオの「こすずの小部屋」でもパーソナリティーをお願いしていて、色々お世話になっています。「海外発売するゲームの時に歌ってください」って以前からお願いしていたんです。楽曲制作はSTRIKERSさん。Ayumi.さんのところにお願いして、いい曲を作っていただけました。
まゆき：榊原ゆいさんの歌声は素晴らしくて、山本だけじゃなく僕らも大ファンなんです。今回は劇中歌として主題歌を使う予定です。
山本：今回はオープニングムービーまでは作れなかったんですが、予算がね（笑）。
まゆき：『神楽創世記 -久遠-』は一般CGも入っていますが、だからと言ってエロCGが減っているわけではないんです。『神楽黎明記』と比較しても増えている。今回はそこに予算を大きく割きました。
山本：『神楽道中記』やstudio e・go!の『夏神楽』のようなストーリー性のある作品を作ってくれと、ずっと言われていたんです。ただ、『神楽黎明記』のように低価格かつ短期間で発売する作品を作るためには、そこは切り捨てないとできなかった。『神楽創世記 -久遠-』はその中間。一般CGを入れてキャラの掘り下げをしつつ、ゲーム性に寄せた作品を作るというコンセプトで制作しています。
──そんな『神楽創世記』はシリーズ展開を予定されているんですよね。
山本：はい。私が原画を描き続ける限りは、今後も1本で終わるようなことはないです。ぜひ期待してください。

▲美少女ゲーム業界では知らぬものはないシンガー・榊原ゆいさんがパーソナリティを務める。2016年からと、かなりの長寿番組だ

「でぼの巣＝山本和枝」を崩して制作
新原画家で低価格ソフトの新シリーズ

──さて、来年発売のもう1作、『神楽凌艶譚 ～沙耶の章～』についてもお話を伺っていきたいと思います。
山本：こちらの原画は私ではなく、ヒトマルという方にお願いしました。アニメやソーシャルゲームで絵を描いていて、私の古い知り合いなんですね。それで今回は1,000円というお試し価格的なゲームの原画をお願いしました。ここで反応が良ければ、今後も色々とお願いしようと思っています。
──この『神楽凌艶譚』もシリーズ化していくのですか？
山本：はい。実はこの作品のヒロインは姉妹と言う設定で、妹のデザインも出来上がっているんです。
まゆき：なので２作目を作る準備はできています。新しい原画家を起用して、システムは従来のローグライクRPGというでぼの巣製作所らしさを残したシリーズとして展開していきます。「でぼの巣と言えば山本和枝」というイメージがあると思いますが、今後は新しい原画家でのゲーム作りも進めていきます。
山本：実は大病をしまして、今は回復しているんですが色々考えなければいけない年齢になってきましたからね（笑）。それとは別に、一度『神楽』シリーズを自分以外の原画家で作ってみたいとは思っていたんです。今回色々な条件が上手く重なって、本人も前向きだったので制作に踏み切りました。
まゆき：1,000円という価格なので、これまで以上にお手軽にでぼの巣製作所のゲームを遊んでもらえればと思います。『神楽創世記』シリーズで新しい神楽シリーズの姿を模索しつつ、『神楽凌艶譚』でより間口を広げていきたいというアプローチですね。

▲新たに原画家としてヒトマル氏を起用して送る新シリーズ『神楽凌艶譚 〜沙耶の章〜』。実験的な意味合いもあり低価格だが、評判が良ければ今後でぼの巣製作所の柱のひとつに成長していくかも

コアなでぼの巣製作所ファンをベースに
携帯電話からは新規ユーザーが登録を

──今話題にも出ました、オンラインゲーム『神楽大戦』についてもお聞きします。サービス開始から８年続いている理由を、どのように考えていますか？
「あ」：これだけ長く続けられていることに感謝しています。やはりパッケージからの固定ユーザーの皆さんのお力が多いのではないかと考えています。携帯で遊んでくださる新しいユーザーの皆さんもとても嬉しく思っています。比率的には半々くらいでしょうか。元々電車内とかで片手でポチポチ遊べて、家に帰ったらPCの大画面でCGを楽しんで頂こうというのがコンセプトでしたが、基本的にはそれぞれユーザーが分かれている感じですね。リリースして半年くらいして、これゲームよりもっとパチンコ的な感覚で作るべきだったか？と反省したのですが、まあそれもうちらしいかなと開き直ってここまで来ています。
山本：でぼの巣製作所のPCゲームを遊んでいる人は結構『神楽大戦』を遊んでくれているよ。「○○ちゃんに課金しました!!」とか報告があるし（笑）。
「あ」：パッケージゲームの絵を使ったカードを導入することで、PCゲームのファンを『神楽大戦』に取り込むことはできました。PCゲームにアイテムを貰えるシリアルを入れていますしね。
──というと元からのでぼの巣製作所のファンをベースに、新しいユーザーがオンラインゲームに入ってきているという感じでしょうか。
「あ」：そういう流れですね。
──イベントスケジュールを見ると、月に２回イベントを開催していますね。開発する側は大変じゃないですか？
「あ」：毎週金曜14時に更新するのですが、マスターアップと発売が同時に来る感じですね。公開と同時にお客さんが一気に押し寄せる。そこからユーザーサポートも始まるわけで、パッケージゲームのようにマスターアップして一息つく時間がないんですよね。作業量自体はそれほど大変でもないのですが、とにかく仕事が途切れないので、メンタルが疲れますね。

▲次々と新しいイベントや追加キャラクターが追加されていく『神楽大戦』。それらの要素は本作で使い切りではなく、他の神楽シリーズにもフィードバックされている

『神楽大戦』はより簡単に
遊べるゲームにと調整

──大変なこともありますが、ユーザーからの好反応というのはモチベーションになるのでは？
「あ」：それはありますね。特にオンラインゲームは新データを公開してから感想をいただくまでが速い。なので励みになりますね。ただ、不具合報告も速いですから、対応しながら毎回「ふ～」って感じです（笑）。
──今後はどのような展開を考えられていますか？
「あ」：うーん、これが８年経ったことで手を加えづらくなっているんですが、それでも細かい調整などは逐一やっていかないとダメですよね。例えば実装直後はレアだったアイテムも今は手に入りやすくなっていたりするので、その調整ですとか。もちろん新しいアイテムなども導入するように考えているのですが、なかなか実行は難しいですね。でも頑張ります。
──『神楽創世記』『神楽凌艶譚』も発売と同時に何か仕掛けるのですか？
「あ」：『神楽創世記』については発売日にアイテムを実装します。『神楽凌艶譚』は、実は先行してキャラがすでに『神楽大戦』で実装済です。山本和枝じゃないキャラが受け入れられるのか反応を見るのが目的です。その結果が良好でしたので、『神楽凌艶譚』のリリースも具体化していきました。
山本：実際に沙耶は評判が良かったと報告があったので、DL販売前にいい告知になったと思っています。イベントグッズの画像も、こちらで先出しして反応を見られるかなと思います。

▲でぼの巣製作所が短期間で新作をリリースできる秘訣やリアルイベントの話、今後の展望についてなど他にも色々とお話を聞くことが出来たぞ

低価格タイトルをリリースしつつ新たな展開への布石を張るでぼの巣製作所…これからは一層見逃せない!!
BugBug2月号ではほかにもゲーム内の設定や短期間で新作をリリースするための秘訣、今後の新作や展望についてさらに詳細なお話も掲載されているのだが、全6ページに渡るインタビューはボリュームがあり過ぎてここに全部は載せられないので、神楽シリーズのファンはぜひ本誌でじっくり読んでね!!

▲『神楽大戦』はBugBugでも連載特集記事がスタートしたのでこらもチェック!!

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