秋葉原でR18ゲームフェアを続けてきた業界の縁の下の力持ち・キャララキングがその全てを語る!!
キミは『キャララ』を知っているかな? 毎月最終金曜に秋葉原を中心に、様々なメーカーを呼んで開催。パッケージソフトを買いに来た人、なんとなく秋葉原に来た人たちが無料で楽しむことが出来る美少女ゲームの販促イベントだ。ここでしか聞けない開発スタッフのトークやライブイベントなど様々な催しを行ってきたキャララは2003年にスタート、そして今年で20周年となる。BugBug8月号ではそれを記念して、20年にわたってキャララの担当や司会などを行ってきたキャララキングさんにカラー6ページを使って特別インタビュー!! その一部をダイジェストで紹介しよう。
▲流通会社ヴューズの社員であるキャララキング氏は、キャララのイベント、そして全国のパッケージ販売店のために日本中を飛び回っている営業マンだ
流通主導で会場、設営などを準備
重要だった店舗でなく中立会場で開催
──キャララ20周年、おめでとうございます。
キャララキング:ありがとうございます。
──基本的に毎月最終金曜日の夕方に秋葉原で開催されているリアルイベントを20年続けられていることは本当にすごいと思います。そもそもキャララはどのような経緯で始まったのですか?
キャララキング:今「毎月最終金曜日」って言われましたが、実は当初は違っていたんです。そもそも「発売日以外に秋葉原にお客さんを呼べないか」というところから始まったんです。当時すでに美少女ゲームの発売日は月末金曜に集中する傾向があって、その日は普通にお客さんが街に集まったわけです。それで新作を買うついでに翌月の新作を予約していくわけですが、そこが最終予約日みたいになってしまっていたんですね。なので他の週末にお客を集めて予約を伸ばすにはどうすればいいか? という課題があったんです。
──確かに2000年代前半は、美少女ゲーム発売日には秋葉原に人が集まりましたよね。
キャララキング:その時期、流通会社のヴューズが「キャララ」という小冊子を店舗で無料配布していたんですが、あまり広がっていなかった。そこで入社したての僕に「この予算で何か仕掛けろ」という命が下ったんです。それで考えたのがリアルイベントだったんです。
──その当時も店頭での配布会などは行なわれていましたよね。
キャララキング:でも、そのほとんどがメーカーが各店舗と直接交渉をして開催していたんです。それを会場確保や告知を一手に引き受けて開催することでメーカーも参加しやすくしようと考えました。
▲当時から個別の店舗イベントは行われていたが、あえてイベントスペースを借りることで特定の店舗をひいきすることなく広範囲に広報活動が行えた
▲キャララにいけばどの店舗での予約も出来る。特典を見比べて考えるなども出来て便利
転機は通り魔事件とコロナ
配信は今も500人が試聴
──そんなキャララですが、20年の間には大きな浮き沈みもあったと思います。その辺りはいかがでしょう。
キャララキング:やはり最初に思い出されるのが2008年6月の秋葉原通り魔事件です。さすがにこの月のキャララは中止となりました。秋葉原の街全体でイベントなど人を集める企画について考え直そうという動きになったんですね。その後も「あまり人を集めないように」という指導が入って、入場整理券の配布方法も考えてやらないといけなくなりました。
──あの事件は秋葉原の街にものすごく大きな影響を与えましたが、キャララも例外ではなかったんですね。
キャララキング:もちろんです。実は開催時間についても「平日の昼間、あまり人が集まらない時間に」みたいな議論もあったんですが、それでは本来の意味がなくなるので金曜17時は守りました。
──集客にも影響がありましたか?
キャララキング:そうですね……事件から3カ月くらいは秋葉原でのイベントそのものが自粛ムードだったんです。この影響は少なからずありましたね。ちょうど美少女ゲームの売り上げが頭打ちから下がり始めた時期に重なったというのもあると思います。それでもまあ、コンスタントに3桁の集客はカウントしていたんですよ。そのあとの大きな外的要因が、コロナですよね。
▲秋葉原のイベントには様々な逆風があったが、それぞれに対策・対応を行いつつキャララは継続していった
(コロナ)感染者が増えて
配信イベントに切り替えることに
──全国的にイベントなどが出来なくなりましたからね。
キャララキング:それでもコロナの流行り始めの頃は、出足こそ悪かったものの、イベント中盤には200人くらいの来場者はあったんです。だからその段階では、ものすごく大きな影響だったわけではないんですね。でもその後、感染者が増えて、イベントが開催できなくなり、キャララも配信イベントに切り替えることになったんです。
──配信はすぐに始められたようですが、ノウハウはあったのですか?
キャララキング:以前「キャララ放送局」というネット配信番組をやっていました。これは先ほど言いました秋葉原通り魔事件の後に集客を戻すためのキャララの告知番組として、毎月第2週金曜日に配信していたんです。ところがいろいろあってキャララが毎月最終金曜開催に変更になり、それに合わせて配信も終了しました。その時の経験があったので、コロナの時もすぐに配信イベントに切り替えられたのはありますね。
──実際、配信の反響はいかがでした?
キャララキング:最初の配信では2000人くらいが試聴してくれました。いつも会場に来てくれる人以外に「キャララってなんだ?」という方や、知っていても参加できなかった方……今でもキャララ配信は最初の30分以外を配信しているんですが、それでも500人くらいは見てもらえていますね。
▲あくまでリアルイベントが主だが、コロナの対応としてネットも積極的に活用するようになったキャララ。イベント開始から30分以降はニコ生でライブ配信も行っている
秋葉原の“いま”を映し出す来場者
イベント積極参加は20代が中心に
──実際にキャララを見ていると、配布物をもらったりサイン会などの企画に参加するのに積極的じゃない方もいて、そこを面白くも感じているんですよ。
キャララキング:その日何か新作ソフトを買った人や予約をした人、キャララで催されるライブやサイン会が目当ての人……それ以外の人ってそこそこいるんです。どういう人かというと、月末美少女ゲームの日だから秋葉原に来たけど、別に目的があるわけじゃないって人たちなんですね。でもこういうお客さんが大事で、もらったものをSNSにアップしたり、会場で配信を見てコメントをうったりしているんです。それを見た人がキャララに興味を持つという流れがあるので、これは面白いなって思っています。
──そう聞くと、来場者とキャララの関係性って面白いですね。
キャララキング:もちろんイベントそのものを楽しんでいる人もいますよ。メーカーの購入者サイン会は毎回盛況です。サイン会目当てで割と売れるなら、これは無視できないですよ。もしかするとサイン会がなければ、発売当日に秋葉原に行かないかもしれませんしね。
──確かにコロナ禍でDLや通販でゲームを手に入れる人が増えたとは聞きます。
キャララキング:そうなんです。キャララでのサイン会目当てで秋葉原に来る人が50人だとして、その50人が新作を買うついでに来月のソフトも予約する。そういう流れを作って、できれば大きくしていきたい。DLや通販もいいけど、店舗で買うのも楽しいよね、というのを繋げていきたいとは思います。
▲やはり開発スタッフと直接会うことが出来たりサインをもらえたりするのはリアルイベントの強み。購入者サイン会はいつも大人気だ
サイン会やライブ、トークなどを
目当てで来る層は20代が多い
──そんな浮き沈みのある20年ですが、ユーザーの傾向などに違いはありますか?
キャララキング:先ほど言いましたように「なにもないけど、なんとなく秋葉原に来る」という人たちは減っていて、けっこう明確に目的を持ってくるようになったかなと思います。それがゲームの購入なのか、付随するイベントなのかは人それぞれですが。実は先日のキャララで、とあるアーティストのライブをやったんですが、そのライブ目的だけの人が50人来たんです。でも、7~8年前なら200人は来ていた。その来なくなった人たちというのが、「特に目的はないけど、月末美少女ゲームの日だから何となく秋葉原に来ていた」層なんです。来てみたら無料でライブが見られるから行ってみよう、という。
──そして今回来た50人が、ライブという目的を持ってきた人たち、と。
キャララキング:全員がそうだとは言いませんが、大部分でしょうね。で、そういう人たちのためだけにキャララをやっているのかというと、またそういうわけでもないわけですが(笑)。
──年齢層などはいかがですか?
キャララキング:サイン会やライブ、トークなどを目当てで来る層は20代が多いですね。ただ、厚く買い支えているのは40代かなあ。メーカーに挨拶に行ったり話し込んでいるのも20代が多いですね。40代のベテランは「オレたち、もうそういう元気はないけど、買って応援するわ」って感じですね(笑)。まあ、この20代が色々ありながらも20年間美少女ゲームを続けることで、今の40代みたいな立ち位置になるんでしょうけど(笑)。
▲キャララガールたちの華やかさもあり、20代のファンも多いキャララのイベント。若いユーザーたちがいることは、美少女ゲーム業界の未来にも希望が持てる
大事なのは自分が欲しい
情報以外も目に入ること
──今後のキャララの展望はいかがでしょう。
キャララキング:美少女ゲーム市場において店舗売り上げが落ちている中、どのような形にするかは今後もスポンサーのヴューズさんと話し合っていくことになると思います。ただ、参加されたメーカーにメリットがあって、来場者が喜んでくれる。「来なくてもいいけど、来たら何かいいことがある」というキャララは続けていきたいと考えています。もちろん配信も続けていきたいし、キャララのHPも情報量を増やしてポータル的なものにすることも考えられるでしょう。どういった形が最適化はその都度考えていくべきことだと思いますが、キャララという場所は残していきたいと考えています。
──不安と楽しみ、両方ありそうですね(笑)。さて、リアルイベントと同じように、美少女ゲーム関連の雑誌メディアもいろいろ大変な状況にあります。こちらはどのようにご覧になられていますか?
キャララキング:美少女ゲームの雑誌媒体もネットに押されているんだろうけど、大事なのは自分が欲しいと思っている情報以外も目に入ることですよね。ネットだと、自分の欲しい情報しか見ない。でも雑誌だと自然と他の情報も目に入って来るじゃないですか。これ、通販サイトやDLサイトとリアル店舗の関係と同じなんですよ。リアル店舗も、目的のゲームがあっても、店内をうろつくことで他のゲームも目に入ってきますから。なのでBugBugさんにも頑張っていただきたいですね。すでに30周年を超えたんですよね。だったら最後の美少女ゲーム雑誌になるまで頑張ってほしいですね。
▲会場には多くのメーカーのポスターが並び、目的のタイトル以外の気になる作品に出会うきっかけになることもある。とても重要なことだ
決して平坦な道のりではない──それでもパッケージを店舗で買いたい人に手渡せる市場のために
現状、店舗でパッケージソフトを購入する人は減ってきているのは誰の目にも明らかだ。しかしパッケージユーザーを切り捨てたら、彼らはDL購入には行かずそのまま去ってしまうかもしれないとキャララキング氏は語る。パッケージユーザーも店舗もメーカーを利益を出せる市場にするために、キャララキング氏の挑戦は続く。マーケティングの視点から考える氏のお話、その全てをここで掲載することは出来なかったが、BugBug8月号ではカラー6ページを使ってたっぷり掲載されているので、美少女ゲーム業界、そしてキャララのとりくみについて興味がある方は是非読んでみよう!!
▲次回のキャララ開催は7月28日(金)!!(上の画像はBugBug本誌の画像のため先月の情報となっている)。キャララ公式サイトで最新情報を確認しよう