BugBug7月号にて新コーナー『BugBugクリエイター列伝EX』スタート!! 第1弾はシナリオライター・かずきふみ氏が登場
BugBug.NEWSでの連載コラムも大人気なシナリオライター・かずきふみ氏。BugBug7月号から新たに始まった人気クリエイターにスポットを当てる新コーナー『BugBugクリエイター列伝EX』でも、かずきふみ氏のゲームへの深い想いについてガッツリインタビュー!! 6ページに渡って経歴や仕事のスタイルなど様々なお話を伺うことが出来たぞ。今回は特別にその内容の一部を公開しよう!!
▲『BugBugクリエイター列伝EX』の初回ゲストは、多数の人気作を手がけるかずきふみ氏。いきなり大物が登場!!
美少女ゲーム最盛期に出会った名作で
シナリオライターへの道へ
──かずきふみさん、今年がフリーになって10周年なんですが、改めてこの10年を振り返っていただいて、どんな10年でしたか?
かずき:あっという間でしたね。仕事を一所懸命やっていたら10年経っていたというか……自分でもわかっていなかったぐらいなので、特別何の感慨もないなあっていうか(笑)。もう、そんなに経つんだって感じでしょうか。
──特にこの3~4年は大活躍という印象ですよね。
かずき:本当にありがたいことです。この3~4年で仕事が増えてきているのは、ロープライス作品メインでお仕事をさせていただいているのもあると思います。やはりフルプライス作品のシナリオにとりかかってしまうと、スケジュール的にお断りせざるを得ないお話も少なくなかったですから。
──確かにそうですね。そんなかずきさんがシナリオライターというお仕事に興味を持たれたきっかけを教えてください。
かずき:もともとゲームが好きで、ちょうど美少女ゲームが盛り上がっていてコンシューマー移植が盛んだったんですね。そういうゲームがきっかけでシナリオライターに興味を持ちました。
──印象に残っている作品などは?
かずき:明確に残っているのが『加奈 ~いもうと~』や『家族計画』ですね。それまで美少女ゲームといえば「ヌクもの」だったんですが、この作品で初めて泣いて、それで美少女ゲームのシナリオライターを強く意識するようになりました。
▲かずきふみ氏の最初の仕事は『つよきす2学期 ドラマCD』のシナリオ。これが高く評価されたことでゲームのシナリオも任されることになる
新作発売前にメーカー入社で
いきなり経験した制作の修羅場
──それで大学卒業を前にメーカーに履歴書を送られたわけですか。
かずき:そうです。いろんなメーカーの公式サイトを巡って、シナリオライターを募集している会社に履歴書を送りました。その中でインターハートに就職が決まったわけです。
──それがいつ頃ですか?
かずき:『つよきす2学期』の発売前でした。開発の追い込みの時期だったので、入社直後にいきなり修羅場に放り込まれて「これがゲーム制作か」って(笑)。
──その時はどんなお仕事を担当されたのでしょう?
かずき:最初にシナリオのチェックをやって、その後スクリプト。それからは延々デバッグ作業でした。
──スクリプトって新入社員にやらせるもんなんですね。
かずき:どうなんでしょう。僕自身経験がなかったですから、めちゃくちゃ大変でした。
──ちなみにインターハートのゲームはプレイ経験があったんですか?
かずき:入社前に『つよきす』をプレイしたくらいでした。実はCandySoftがインターハートのブランドの一つであるということもよくわかっていなくて、インターハート関連の作業をするときにかなり戸惑った覚えがあります。CandySoftに所属したと思い込んでいたので、なぜ痴漢するゲームを作っているんだ……? みたいな(笑)。
▲ゲームシナリオデビューの『もっと姉、ちゃんとしようよっ!』では新人ひとりで9人分のシナリオを頑張って執筆。だが、好評を受けてのファンディスク決定には「また9人分書くのかよ」と思ったそうで…
フリーデビューは新ブランドデビュー作
失敗できないプレッシャーの中での第一歩
──フリーになってからですが、『なないろリンカネーション』以降、様々なジャンルの作品を書かれています。多彩なシナリオライターという印象があるのですが、いかがでしょう。
かずき:企画については最初にメーカーさんとしっかり話し合って方向性を固めてから作っています。というのも、フリーになった直後は「全部お任せします」というのを鵜呑みにしてしまっていて、クライアント側の隠された意図に気づけず苦労したことがありました。それからはまず最初にしっかりとメーカーさんと打ち合わせをして、作品の方向性を明確にすることから始めるようになりました。メーカーさんの意向を汲み取りつつ自分のしたいことを組み込んでいったら、結果的に毎回ジャンルの違う企画が出来上がったんだと思います。
──そうだったんですね。
かずき:ただ、シルキーズプラスさんは完全に趣味です(笑)。本当に自由に書かせてくれるんですよ。
──『なないろリンカネーション』はシルキーズプラスのデビュー作とはいえ、制作スタッフは大ベテランですよね。そのあたり、プレッシャーなどはありましたか?
かずき:プレッシャー……ありましたね。でも、それ以上に嬉しかったです。僕自身『下級生』の頃のエルフ作品はプレイしていたので、「ご一緒に仕事ができるんだ」ってワクワクしていました。
──ちなみにシルキーズプラスからはどういった経緯で依頼があったのですか?
かずき:知り合いの編集者さんからの紹介です。シルキーズプラスさんと仲が良かったらしく、「いいシナリオライターがいないか」と相談をされていたそうなんです。シルキーズプラスのプロデューサーさんが『ガンナイトガール』をプレイしていただいていたらしく、それで「この人なら」となったみたいです。
──いろいろな縁が絡み合っての『なないろリンカネーション』だったんですね。
かずき:そうですね。ここでシルキーズプラスさんと繋がってなかったら、今頃僕はシナリオライターをやっていなかったかもしれません。それくらい運命的な出会いだったと思います。実際『なないろリンカネーション』発売後から仕事の依頼が来るようになりましたからね。「シナリオライター:かずきふみ」が歩き出した第一歩目の作品なので、今でも思い入れは強いですよ。
▲失敗できないとの覚悟で、それまで勉強したことや研究したこと、自分の中で温めていたアイデアを全部盛り込んだという『なないろリンカネーション』
多彩な新作が続々発売の2022-2023
──かずきさんの作品ラインナップを見て驚かされるのが2022年からのお仕事ぶりです。『夏ノ終熄』、『クリミナルボーダー 1st offence』、『ツヴァイトリガー』、『天使☆騒々 Re-BOOT!』、『クリミナルボーダー 2nd offence』と、この9カ月の間にリリースされていて、しかもいずれも話題作となっています。
かずき:『夏ノ終熄』はいくつか企画を出した中で、CUBEさんが「一番かずきふみらしい」と選んでくれたんですね。なので自分らしく書くことができました。『ツヴァイトリガー』はOrthrosさんと打ち合わせを繰り返して企画を固めていった作品です。
──『クリミナルボーダー』はいかがでしょうか。
かずき:これは一番僕の趣味に寄せた作品ですね。若干エグめの要素が入っているのが好きなんですが、あまりやりすぎるとニッチすぎる作品になってしまうので、自分の中で線引きしつつ書きました。本当に好き放題やっている企画なので、よくPurple softwareさんは通してくれたなって思います(笑)。
──そしてこの1年で一番目を引くと言ってもいい『天使☆騒々 Re-BOOT!』ですね。
かずき:ゆずソフトさんとは『喫茶ステラと死神の蝶』で初めてお仕事をしたんですが、ゆずソフトさんから仕事の依頼なんて嘘だろって思いましたし、いただいた担当の方のメールアドレスがちょっとユニークだったので、「絶対にいたずらだ」って思ったんですよ(笑)。でもドメインはゆずソフトさんのサポートと一緒で、しばらく悩みました。
──本物でよかった(笑)。その流れで『天使☆騒々 Re-BOOT!』に繋がったということですね。
かずき:そうですね。『喫茶ステラと死神の蝶』のシナリオの評価がどうだったかビクビクしていたんですが、次のお仕事をいただけたということは、ゆずソフトさん的にも納得していただけたんだと思います。
▲発売日を見てもらえばわかるが、近年の仕事のペースが本当に凄い
自由度の高さが魅力の美少女ゲーム
今後はゲーム性のある作品作りも
──かずきさんが、今後作ってみたい作品というと、どういう作品になるでしょう。
かずき:「こういうシナリオを書きたい」というより「こういうゲームを作りたい」という気持ちが強いんです。ゲーム性のあるソフトを作りたいとはずっと思っていて、『きまぐれテンプテーション』に探索要素を入れたり、『夏ノ終熄』にもマップ移動を入れたりしているんです。自分で企画する時はシナリオ分岐を増やしたりゲーム性を盛り込んだりするようにしています。ただユーザーさんには需要がなさそうだな、と(笑)。「めんどくせえ!」という声がたくさんあるのは理解しています。
──BugBug.NEWS(『かずきふみのシナリオLife 第1回』)で書かれていた台湾のゲームや日本でも同人ゲームはゲーム性があります。そこも視野に入っているんですか?
かずき:確かに自由度は同人ゲームの方が高いですよね。なのでわりと惹かれてはいます。
──実際、かずきさん主導でゲームを制作して同人で販売して、などは考えられているんですか?
かずき:自分で作ろうと思ってUnityを勉強し始めたんですが、忙しさにかまけて進んでいない状況です。むしろメーカーさんや同人サークルさんから「うちで作ろうぜ」と言ってもらえたら飛びつくんですけど(笑)。
──とはいえかずきさんも『もっと 姉、ちゃんとしようよっ!』から13年、フリーになって10年、美少女ゲーム制作に参加されています。そんなかずきさんから見て、美少女ゲームの面白さとは、どういうところでしょう。
かずき:自由度の高さです。18禁である分、他の媒体より自由ですよね。自分のやりたいことを書くなら美少女ゲームだなって思います。それとやはりゲームが好きなので、形になった時の達成感の大きさもあります。なのでこれからもゲーム業界で頑張っていきたいと思っています。もちろん他の仕事も喜んでやりますので、よろしくお願いいたします。
▲CUBEでの初仕事となる『夏ノ終熄』でもゲーム性も入れてみた、かずき氏。この辺りのお話は、BugBug.NEWSの掲載されたインタビュー記事でも詳しく語られているぞ
そのほかの作品に関する情報や氏のこだわりなどまだまだインタビュー内容はたっぷり
などなど、第1弾からとても濃厚なお話を伺うことが出来た『BugBugクリエイター列伝EX』。他にも様々なタイトルに関わることになった経緯や普段の仕事スタイル、かずきふみ氏の日常シーンはなぜ評価が高いのかなど、プレイヤーにもクリエイターにも興味深い内容となっているぞ。ここに抜粋したのはほんの一部なので、ぜひ全文をBugBug7月号で確認してみよう!! ゲームクリエイターの方々がどのように考えて仕事と向き合っているのか、そういった知見が増すとゲームがもっと楽しくなるぞ♫
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