オーバーフロー代表・メイザーズぬまきち氏によるコラムがスタート!! まずは自己紹介と近況から
初めまして! メイザーズぬまきちと申します。
オーバーフローというブランドの代表をやっています。と言っても、ほとんどの人が知らないのではないかと思います。なにせ、最後にゲームをリリースしたのは3年前。『スクールデイズシリーズコンプリートボックス』というタイトルで、これはオーバーフローの代表作『スクールデイズ』とその派生作品をまとめたボックスタイトルでした。完全新作としては、2016年の『ストリップバトルデイズ2』が最後ですから、7年前です。エロゲに憧れる中高生が堂々と買える年齢になっちゃうくらいの歳月ですよ。
その間、何もしていなかったわけではなく、『スクールデイズ』のグッズやコラボがたくさんあり、それ以外にも色々なソーシャルゲームのお手伝いもしていました。パッケージゲームとしてのR18タイトルが右肩下がりになるにつれて、多くのエロゲ制作者がソシャゲと言われるオンラインでガチャを回して遊ぶ新しい業態に流れていったわけですが、僕もそうしたことをしていたわけです。お手伝いした中にはR18のソシャゲもあり、そういう意味ではずっとエロゲを作り続けていました。
R18ソシャゲでお仕事させて頂いている現場だと、ディレクターは以前僕もプレイしていたエロゲブランド出身の方で、プロデューサーは僕がお世話になっていたエロゲ流通にいた方、そしてメインシナリオライターはエロゲ誌でマヨちゃん(オーバーフローのマスコットキャラクター)のなりきり記事で毒舌二面キャラの方向性をつけたライターの方だったり、なんだか同窓会めいているなぁなんて思うことも。
他にも、積極的に営業はしていませんが、エロゲに詳しくないけれどエロゲを作りたいという方をご紹介頂いて、シナリオや企画を見て直しを入れたりコメントをつけたり、キャラクターの立て方にチェックをし、画稿発注や音声収録前のNG表現チェック、音声収録の仕方(スタジオの押さえ方、現場に行ったらどうすれば良いか)を付き添って教えたりとか、そういうコンサルティングみたいなこともぽつぽつやってみたりして、とにかくエロゲ周辺のお仕事をたくさんしています。
個人的には、「エロゲ」のくくりは、どんな形態であれエロゲであろうと思っていて、同人も商業も、ソシャゲも、流通形態が違うだけでエロゲなのではないかなという考えです。20年以上前の話になりますが、エロゲ誌のインタビューで「今年一番のエロゲは何ですか?」という質問があり、他の人々は無難にその時期売れているゲームを挙げていたのですが、僕だけ「いやいやいや! ぶっちぎりで『月姫』でしょ。今年は!」と主張して、誌面に載らなかったくらいです。現在もFANZAやDLsiteなど日本の大手サイトでは商業と同人、ソシャゲは明確に売場が分かれていますが、Steam(北米のゲームDL販売サイト)においては日本の商業エロゲも同人エロゲも同列で販売されているので、以前より垣根がなくなって来ていますし、Nutaku(という北米のエロゲ販売サイト)ではソシャゲ(ブラウザゲー)も扱っていますから、渾然一体なのが当たり前な場所も増えています。
▲オーバーフローの代表作である『スクールデイズ』。TVアニメが各所で注目を集めたこともあり、今でもたびたび話題に上がる不朽の名作だ
さて。自己紹介はこのくらいにして、このコーナーでは日々のエロゲ界隈で起こっているトピックやトレンドを追ったりしながら、ゆるく「エロゲって楽しいよね!」という話をしていきたいと思っています。
ただ、やっぱり「お前誰やねん、エロゲ作ってたってマジかいな」みたいな感じの方もわりといるのではないかと思うのと、僕の言う「エロゲって楽しいよね!」はプレイするだけではなくて、「みんなエロゲ作ろうぜ!」という気持ちでもあるので、そのあたりもやっていきたいです。
『ストリップバトルデイズ2』が発売した2016年には420タイトルあったエロゲが、直近だと335タイトルと徐々に新作リリース数が減っています。でも、これはエロゲが衰退しているということではなく、同人市場から商業市場にステップアップしていくという流れがなくなったためで、同人・商業合わせたエロゲ市場自体は巨大化しています(ソシャゲを含めるともっとです)し、既に同人市場のほうが商業より大きくなってしまっているため、もうステップアップと言える状況ではなくなったのかなとも感じています。
じゃあ、同人だけでいいんだ! ということなくて、商業市場のほうが売れるジャンル、同人市場のほうが売れるジャンルというものはあって、「どういうエロゲを作りたいから、ここで売る」みたいな感じに、より表現したいことを優先してリリース先を選べる良い時代になってきたとも言えるかもしれません。
というわけで、次回は僕がエロゲ制作者であることを知ってもらうために、基本のプラットフォームスタイルエロゲを作りますよ。お楽しみに。
メイザーズぬまきち
美少女ゲームメーカー・オーバーフロー代表。2005年発売の『スクールデイズ』は全編がアニメで描かれ、TVアニメ化もされる大ヒットに。普通の学園青春純愛モノの見た目から、予想を遥かに超えるブッ飛んだ展開で、ジャンルを超えて話題を集めた。現在は様々な方向から美少女ゲーム関係で活躍中。5/8(月)16:59までFANZAのスプリングセールで『スクールデイズHQ』などオーバーフロー作品の多くが50%OFFになっているので、まだ未プレイの人はお得なこの機会にチェックしよう。
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